もう一つの千里山女子   作:シューム

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第27話「ダブリー」

 東一局 親:弘世菫 ドラ{②}

 東:弘世菫 25000

 南:大星淡 25000

 西:宮永咲 25000

 北:哧悟楽 25000

 

 淡は自分以外の卓についている3人を見た。1人は麻雀部の先輩、1人はチャンピオンの妹、1人はアジア大会での金メダリスト。

 

(これは気抜いてると一気にやられるかも。ここは最初から攻めなきゃ。)

 

 ふぅと息をはいて気持ちを切り替えた。とりあえず今は菫先輩の親番を流す。

 配牌が終わり全員が並べ終えた時、淡以外の3人はあることに気づいた。

 

(あれ、これってもしかして五向聴?)

(まぁ、別に珍しいことではないが、淡以外の2人もあまり配牌が良くないようだな。)

(淡のやつ、最初から飛ばしてくつもりか?)

 

 菫が捨てた後淡が牌を引き、手牌から1つ取り出すとその牌を高く上げ、牌を回転させながら切った。

 

「リーチ」

 

(これってダブルリーチ!?どうしよう、まだ五向聴なのに...)

 

 咲は動揺してしまっていたが、哧は冷静でいた。

 

(ダブルリーチのメリットとして、相手に何待ちかをわからないようにさせる点がある。ただ、待ちが悪かったり安手であったりするデメリットもあるから、振り込んでしまってもそこまで高くないかもしれない。)

 

 その後場は進んでいくが、淡はあがる気配を見せなかった。

 

(ここまできてもあがれないとなると、相当待ちが悪かったのか?)

 

 哧がそう考えていると、淡が引いてきた牌と手牌の3個を倒した。

 

「カン」

 

(ここでカン!?)

 

 哧は淡のこの行動に驚いていた。一方、咲は咲で別のことを気にしていた。

 

(淡ちゃんがカンしたけど、もしかして淡ちゃん嶺上開花でもする気なのかな。)

 

 この咲の予想ははずれていた。事実、淡王牌から引いてきた牌を捨てていた。しかし、菫以外の2人はこのあと起こることなど知る由もなかった。

 

「ツモ」

 

 次巡、淡がとうとうあがった。手牌を倒すが、役はダブルリーチしかないようだ。これならツモと合わせても満貫には届かない。しかし、淡からは予想だにしない言葉が発せられた。

 

「ダブリー、門前、ドラ4の3000,6000。」

「・・・えっ」

 

 咲はつい声に出してしまった。ドラは{②}のはず。しかし淡のところには一つもない。また、カンドラがのっているわけでもない。なのにドラ4と宣言している。

 

「淡ちゃん、ドラ4つどころか1つものってないよ?」

「ちゃんとのってるよ。」

 

 そう言うと、淡は裏ドラをめくった。すると、カン裏がのっていた。しかもそれは、カンした牌4つであった。

 

「ね、のってるでしょ?」

「本当だ...」

 

 咲はなんとなくではあるが理解した。淡の能力は相手の配牌を悪くする、ダブルリーチをかけられる、そしてカン裏をのせることであると。ただ、これはまだ一度しか見ていないため断言はできないが。

 

 ***

 東二局 親:大星淡 ドラ{中}

 

「リーチ」

 

 淡はまたダブリーを仕掛けてきた。先程と同じよえになってしまうと、淡はまたカン裏をのせて跳満であがるかもしれない。

 しかし配牌がまたしても悪いため、思うように聴牌までいかない可能性がある。

 

(私も淡の『絶対安全圏』には苦しめられてるからなんとかしたいが、うまい対策が思いつかない...)

 

 菫がそう思いながら牌を捨てると、哧が鳴いた。

 

「カン」

 

 この哧の鳴きには菫と咲だけでなく、淡も驚いていた。リーチを仕掛けている淡に対して、一巡目でカンをしてきたからだ。もしかして、自分の絶対安全圏が効いてないのかと思っていたが、それは違っていたようだ。哧は牌を切ってきた。しかもその牌は{五}であった。

 

(そんなところをいきなり!?)

(淡に振り込むかもしれないぞ!?)

 

 咲と菫はそう考えていたが、淡はロンを宣言しなかった。

 その後場が進んでいくと、淡がまたしても暗槓をし、次巡でツモってきた。

 

「ツモ。ダブリー、門前、ドラ7の8000オール。」

 

 淡がカンしたときに表示されたカン裏がのったのはもちろんのこと、哧がカンしたときのカン裏もなんとのっていたのである。

 そしてもう一つ驚くべきことに、淡のあがり牌は哧がカンした後に捨てたあの{五}であったのだ。

 

「何をしようとしてたのかは知らないけど、無駄な抵抗はしない方がいいよ。私の親番だけで終わっちゃうから。」

 

 淡が哧にそう言うと、哧は笑みを浮かべながら言った。

 

「忠告ありがとう。知りたいことも知れたからこれ以上はする気はない。それと残念なことだが、淡は次の局はあがれない。」

「へぇー、何か対策をしてくるってわけか。面白いじゃん、見せてみてよ。」

 

 淡は余裕の笑みを見せていた。

 

 ***

 東二局 一本場 ドラ{⑨}

 

「リーチ」

 

 開始早々、淡はまたしてもリーチをかけていった。しかし、今回は今までと違ったことがある。それは哧が鳴いてきたことだ。

 

「チー」「チー」「ポン」

 

 三副露をしてきたが、鳴いた牌を見る限り役は一通しかなさそうである。

 

「それが答え?確かに早くあがることで私があがるよりも早くあがれる可能性はあるだろうけど、そんな安手じゃ私には勝てないよ。」

 

 そう言う淡をよそに、今回は哧が先にあがった。

 

「ツモ。一通のみの300,500」

 

 哧の手牌は単なる安手であった。しかし哧があがったあと、今までとは何かが違う空気に包まれていた。

 

第一关口突破(ディイーグァンコウトゥポォ)(第一関門突破)。」

 

 哧はそう言った。その目には炎が宿っているように見えた。

 

 ***

 

 東三局 親:宮永咲 ドラ{①}

 

 配牌が終わった時、哧は淡の方を見て笑みを浮かべながら言った。

 

「淡のダブリーってこんなふうにやるんだっけ?」

 

 そう言うと牌を天高くあげ、回転させながら切った。淡がダブリーをかけた時と同じように。

 

「リーチ」

 

 哧は淡と同じようにダブリーをやってのけたのだ。しかし、驚くことはそれ以外にもあった。それは、淡が発動している絶対安全圏が哧に効いていないことである。

 

(うそ、私の絶対安全圏は発動しているのに私と同じようにダブリーをしてくるなんて!?私の技が盗まれた!?違う。技を盗まれたような気はしない。そうすると、私の技をコピーされたってこと!?)

 

 淡は目の前で起きていることが信じられず、動揺していた。淡だけではない、菫もだ。菫も淡の絶対安全圏とダブリーについては知っていたため、技を真似てきた哧に驚きを隠せないでいた。

 淡の番になり淡が牌を引いてくると、聴牌の形となった。

 

(やっぱり盗まれたわけじゃないか。)

 

 ひとまずそのことにホッとしていた。そして、淡もダブリーをかけることにした。

 

「リーチ」

 

 そう言って牌を捨てたと同時に哧が手牌を倒した。

 

「ロン。ダブリー、一発、平和、一盃口、そしてドラは...」

 

 哧が裏ドラをめくると、{8}となっていた。

 

「とすると、{9}3つがあるからドラ3の16000か。カンして裏ドラのせるは厳しいか。」

 

 それでも裏ドラをのせて倍満を食らわせられたため、淡の動揺はついに他人が見てもわかるほどのものとなっていた。

 

(何あの化け物みたいな力は!?私のダブリーをこうも容易く真似ちゃうなんて。これ以上ダブリーをしちゃうとどこかで私の完璧なコピーをやってのけちゃうかな...)

 

 一方、哧からは先程よりもさらに強いオーラを解き放っていた。

 

第二关口突破(ディリャングァンコウトゥポォ)。」

 

 哧は不敵な笑みを浮かべていた。




Vitaの咲-Saki-であわあわと戦う時は、わざと振り込んでダブリーだけで済ませて、能力が切れたら点取りにいくっていうスタイルでやってます。というより、それ以外の方法が思いつかないです。(トヨネや霞なんかは別として)

さて、ついに哧の能力の片鱗が見えてきたわけですけど、果たして一体どんな能力なのか!?この時点でわかる方とかいるんですかね?
能力については次の次になりそうです...
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