話はさかのぼって咲と麻雀をした日
「あの子一体何者なんや?うちら相手にプラマイゼロをやってのけるって...」
怜はまだ驚きの表情を抑えきれていなかった。それほどまでに咲に得体の知れない恐怖を感じていたのかもしれない。
「なぁ憩、あんたがここにあの子を連れてきた理由って人数合わせだけやないやろ?」
「やっぱり部長気づいてましたかぁー。あの子に初めて会った時、うちも先輩方のように何かをかんじたんですよー。」
「やっぱり、宮永っちゅう名字は『宮永 照』となにか関係があるんやろうか。」
「せやけど、宮永照に姉妹がいるだなんて聞いたことないからなぁ。」
全員が咲について色々と疑問を持っていると竜華が提案してきた。
「せやったらもう一回宮永さんと対戦してみるのはどうや?そこで全ての疑問を解消させたらええやん。」
「おぉ、それや!そんなら憩、宮永さんのクラスは知っとるか?」
「すんません、聞かなかったんでわからないですぅー。」
「という事は...」
「「「「虱潰しか!」」」」
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(ってな事があって全員で一年のクラス探すこのになったけどすぐに見つかるもんか...)
洋榎は少し不安があったもののこうする以外今は方法がないと考えとりあえずと、A組の前まで来ていた。
(よっしゃ、ここまで来たからには何が何でも探し当てるで!)
そして洋榎は教室のドアを開けた。
「このクラスに『宮永咲』って子はおるか?」
中にいた生徒は急に話をやめてこっちを向いた。無理もない、いきなり知らない上級生が入ってきてこんな事を言ってきたら誰でも黙るだろう。
しかし、静かになったことが幸いとなってか、奥の方でボソリと呟いた声が洋榎には聞こえた。
「あの人って、確か麻雀部の部長さんの...」
それを聞いて洋榎はその声のする方を向いた。いた。確かにそこにいた。探し求めていた彼女がそこにいた。
そして、洋榎は彼女のいるところへと駆け寄った。
「見つけたで、宮永さん。」
「え、えっと、なんで私を探しに...
「部長、何でこんなところに!?」
咲の話を途中で遮って風香が驚いた声で言った。
「ん?なんやあんたらもここのクラスやったんか。...今考えてみれば部員に聞いてからの方がよかったなぁ。」
「部長、それでなんで咲を探しにうちらのクラスまで来たんです?」
風香の問を無視して考え込んでいた洋榎に、今度は泉が質問した。
「あぁ、せやったな。」
そう言って洋榎は改めて咲の方を見ると
「宮永さん。放課後もう一回うちらと打ってくれんか?今度は本気で。」
「えええ!咲ちゃん部長と打ったことあるの!?」
「聞いてないで、咲!」
洋榎の衝撃的な発言に二人は咲へと詰め寄った。
「わわ、二人とも落ち着いて!」
「これが落ち着いていられるか!うちらでも部長と打たせてもらったことないのに、なんで部員じゃない咲が打ってるんや!」
「えっと、それは成り行きで...」
「成り行きでそんなことにならないよ、普通!」
「二人とも落ち着き。」
興奮状態の二人を洋榎が制した。
「それで、どうや?」
「...すみません、私は打ちたくないです...」
「そうか...」
洋榎としてはここで「はい、わかりました」と食い下がるわけにはいかない。なんとか咲に打ってもらわなければ。
「なぁ、話はちと変わるけど、宮永さんって兄弟か姉妹っておるんか?」
「え、はい、お姉ちゃんがいますけど...それが何か?」
「姉ちゃんの名前ってなんや?」
「お姉ちゃんのですか?宮永照ですけど...
「なっ、宮永照やて!?」
「初めて名前聞いた時まさかとは思ってたけど本当に咲ちゃんのお姉さんが宮永照だなんて...」
「ふむ、やっぱりうちらの考えてた通りか...」
「あのぉ、お姉ちゃんに何かあったんですか?」
咲がこの自体についていけず不思議そうに質問した。
「もしかして咲、自分の姉さんの活躍も知らないとかか?」
「え、何があったの?」
「何があったのどころじゃないよ!宮永照は昨年のインターハイで団体戦優勝、個人戦も優勝と2冠を成し遂げた麻雀をやっている人なら知らない人はいないほど有名なんだよ!」
「お姉ちゃんが...麻雀?そんなの嘘だよ!だってあの日にお姉ちゃんは...」
咲はその言葉が本当だとは思えなかった。あの時の最後の家族麻雀で姉はもう麻雀をやらなくなったものだと思っていたからだ。
「宮永さん、何か姉ちゃんとあったんか?」
「いえ、...何もないです。」
「まぁ、無理に言わんでもええよ。話してくれるようになった時で。それじゃぁ、もう一回聞かせてもらうけど」
洋榎は一呼吸置いて
「宮永さん、うちらと打ってくれへんか?」
咲の反応は前とは明らかに違っていた。どうするかだいぶ悩んでいるように洋榎は感じた。ここで畳み掛けるしかない。
「対局中なら宮永さんの聞きたいことに答えてあげられるけど。」
「お姉ちゃんの...お姉ちゃんのこと教えてもらえるんですか?」
「あぁ、うちらが知ってることならなんでも教えるで。」
「...わかりました。今日の放課後ですね。」
咲は了承してくれた。これでやっと彼女と打てる。
「そんなら今日の放課後、昨日やったところで再戦や。まってるで。」
そう言って洋榎は教室を出た。後ろでは咲がまた、泉と風香に質問攻めされているようだ。
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放課後
咲は昨日行ったばかりの麻雀部の部室へと来ていた。
「なぁ咲、ここが昨日やったって場所か?」
「うんそうだよ。ここって麻雀部の部室なんでしょ?」
「確かにそうだけど...ここって使われているところまだ見たことないような...」
「いつもうちらが打ってるところはここやないからな。いつもはもっと広いところに大人数で打ってるし。」
「じゃぁ、この場所って一体...」
「ここは集中して打てるようにと、代表メンバーのためにある場所や。」
声のする方には咲が昨日あった麻雀部の人たちがいた。
「え...咲ちゃん...昨日打った人たちって部長とあと誰だったの?」
「あの人たちだよ?」
「...なんか驚き疲れてもう驚けなくなってきたわ...」
「え、あの人たちってどんな人なの?」
「それも知らずに打ってたんやな...」
「ほな、ちゃんと自己紹介したろか。昨日はサックリしたもんやったしな。」
洋榎はそう言った。どうやらこっちを会話が聞こえたらしい。
「そんならまずうちから改めて。うちの名前は園城寺怜。ここに入部してきたのは秋あたりからやから昨年のインハイにはでとらん。せやけど、秋季大会は代表メンバーに抜擢されて先鋒を務めたわ。」
「大会ってインターハイ以外にもあるんですね。」
「せやで。春季大会、インターハイ、秋季大会の三つがあるんや。とはいっても、秋季大会は春季大会への代表選抜みたいなもんやけどな。秋季大会は地区大会までしかなくって、そこで1位やった高校が春季大会に進めるって感じやな。」
「それじゃぁ、千里山は秋季大会どうだったんですか?」
「三箇牧を下して春季大会への切符を掴んだで。」
「今年の麻雀部は過去最強とまでうたわれてますもんね。」
「次はうちですかねぇー。うちは荒川憩。昨年のインハイから代表メンバーに選ばれてて基本副将を務めてますー。一応昨年のインハイは個人戦2位やったよ。」
「それって、お姉ちゃんの次に強いってことですか!?」
「確かに2番目やけどあの人は人間じゃない。うちとは格段にレベルが違うよ。」
「そんな弱気でどうするんや憩。ゆくゆくは戦う相手やろ。」
「そうはいいますけど部長、あの人ほんまに強いんですから。戦ってみたらわかりますって。」
「ほんなら次はうちかな。うちは清水谷竜華。麻雀部の副部長をやっとるで。代表メンバーにはずっと選ばれとって秋季大会のときは大将を務めとった。これくらいかな?」
「竜華先輩他に何もないんですかぁー?」
「いや、あるで。竜華の太ももがめっちゃむちむちしてるってことや。」
「太ももが...むちむち?」
「怜!何にもわからん子にそんな発言したら変なふうに思われるやないか!」
「最後はうちやな。麻雀部部長、愛宕洋榎や。うちも竜華と同じで代表メンバーにはずっと選ばれとって秋季大会は中堅や。」
「部長、秋季大会のとき全試合プラスで終わりましたよねぇー。」
「秋季大会より前の大会でも洋榎がマイナスになるとこって見たことないかもな。」
「そりゃそうや。負けるつもりで麻雀を打ったことはないからな。」
「部長らしい頼もしい発言やな。」
「とまぁこんな感じや。つまり、昨日戦ったメンバーは全員うちの代表メンバーちゅうことやな。」
「それを相手に咲は昨日打ってただなんて...」
「咲ちゃんも宮永家の血筋ってのがよく分かったよ...」
「まぁ、他にも色々聞きたいことあるとは思うけどそのへんは対局中に話すから。」
「わかりました。」
「そんなら始めたろか。今度は半荘でお互い全力でな!」
春季大会が実際どんなものなのかは本編の方には詳しくなかったので想像で補いながら書いたりしたので多少違うところもあるかと思います。
また、次回からの投稿もこれくらいの投稿間隔になってしまうと思うので予めご了承ください。
次回はいよいよ再戦って形になります。