もう一つの千里山女子   作:シューム

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ちょっと投稿も遅くなってしまいました。
今回はいよいよ咲とのリベンジ戦です。


第5話「嶺上開花」

 東1局

 東:愛宕洋榎 25000

 南:荒川憩 25000

 西:宮永咲 25000

 北:園城寺怜 25000

 

「清水谷先輩は打たなくていいんですか?」

 

 風香は竜華が今回打たないことに疑問を持っていた。麻雀部の副部長なんだなんだからかなり実力もあるのではと考えていたからだ。

 

「まぁ、正直打ちたいとは思うとるけど、あの三人がリベンジに燃えとるからなぁ...」

「それに、今の竜華じゃ最高状態にはなれそうにないしな。」

 

 怜はそう付け足した。

 

「園城寺先輩、その『最高状態』ってなんです?」

 

 咲はもちろんのこと、泉と風香もその言葉の意味を知らなかった。

 

「うーん、説明しずらいなぁ。いずれ戦う時が来るやろうからその時に自分の目で見てみ。」

 

 そう言って怜は対局の方へと目を向けた。

 

(今はそんな事よりこっちや。宮永さんがなにかしてくる前に何としてもあがらな。せやから...)

 

 怜はふぅと、一息ついた。その時の目は緑色に光っていた。

 

(一巡先を読んでうちに流れを引き寄せる!)

 

 怜は引いてきた三萬を残し、白を切る。

 

(一萬と三萬があるからカンチャン待ちやけど、二萬は次で引けるからそれで聴牌や。)

 

 そして再び怜の番になる。引いてきた牌は二萬であった。

 

(よし、これで聴牌。あとはこのいらない牌を捨てて、一発のつく時にリーチすればいいだけや。まずは一巡先を見て...)

 

 怜はその一巡先を見て驚愕した。

 

(なんやこれ!宮永さんのこの待ち、この和了り方...これは鳴いて止めるしかない。せやけど、二人の捨てるものはどれもうちじゃ鳴けへん。)

 

 怜はただ見守ることしかできなかった、咲の和了りを。怜はこのあと起こることがわかっているのになにもできなかった。

 そして咲の番となる。咲は牌を引いてきて、それを見ることなく表向きにし、手牌にあった三つの牌も倒して

 

「カン」

 

 咲はそう言った。

 

(なんやこの子、なんでこのタイミングで槓するんや。)

(槓ドラでも増やそうとしてるんかな?)

 

 二人には咲のこの行動が理解出来なかった。しかし、怜だけは咲のこの行動の真意がわかっていた。

 そして咲は王牌から牌を引いてくる。それも見ることなく表向きにして

 

「ツモ。門前、嶺上開花で800、1600です。」

 

 その場にいる誰もがこの異様な光景に目を疑った。

 嶺上開花。槓をした時に嶺上牌を引いてきて、その牌が自分の和了牌だったときに成立する役で一翻となる。嶺上開花の出現確率は0.28%と言われているため、たまたまついたらいい方という考え方が一般的である。

 そんな出現確率の低い役をツモで、しかも、それのみであがるなど普通はできないのである。

 

「なんや咲、そのあがり方は!」

「嶺上開花だけであがるなんて、普通できないでしょ!」

 

 風香と泉は目の前のこの光景について咲に疑問を投げかけた。なんで偶然できればいい役だけであがれたのかと。

 しかし、昨日の咲との対戦を見ていたメンバーは違うことを考えていた。

 

(今のは偶然なんかやない...宮永さんは今のを意図的にあがったんや。)

(点数調整ができるのにそんな奇跡にかけてくるような子じゃないでしょうしー。)

(そしたら、あの時の怜の表情はこれが起こることが分かってたからってことか!)

(今のあがりで二人も多分宮永さんのこの嶺上開花が意図的に行われたことには気づいたやろ。そしたら少しは嶺上に対応はできるか...)

 

 ****

 

 東2局 親:荒川憩

 

(今うちにできることは、宮永さんの嶺上開花を止めるために宮永さんに槓材を渡さないようにすること。そして宮永さんよりも......早くあがる!)

 

「リーチや!」

 

 怜はそう言ってリーチ棒を立てた。

 

(怜のリーチ宣言...ってことは、ここで誰かが鳴けないと怜に一発がついてあがってしまうんか。)

(相変わらず怜先輩のこのリーチ、対応しにくいんですよねぇー。)

(リーチ宣言してきたからなるべく安牌を捨てなくちゃ...)

 

 洋榎、憩、咲と捨てていくが誰も鳴けず、怜の番になり

 

「ツモ。立直、門前、一発、役牌、一盃口で2000、4000や。手加減はしない約束やから最初から飛ばせてもらうで。」

 

 

 ****

 

 東:3局 親:宮永咲

 

(このまま宮永さんと怜に流れが行くのは不味いな。うちもここらであがらんと。)

 

 洋榎は内心でそう思った。手は既に一向聴まで持ってきている。

 

(よし、揃った。他はまだはってはいないようやから立直をかけるか。)

 

「リーチ!」

 

 洋榎は高らかにリーチ宣言をした。

 

(ここで一発でひいたる!)

 

 そんな洋榎の心の中での宣言通り次の番で

 

「きたきた!ツモ!立直、門前、一発、三色、ドラ2の3000、6000や!」

 

 ****

 

 東4局 親:園城寺怜

 

(ここまでまだ憩が目立った動きをせえへんのが気になるなぁ。)

(動いてくるとしたらそろそろか)

 

 局の始まる前に怜と洋榎各々そう思っていた。

 憩には、他家が和了ると次の手牌が良くなるという能力がある。ここまでまだ一度も和了ってない憩はそろそろ仕掛けてくるのではと考えていた。しかし、さすがの二人もここまでは予想していなかった。

 

「リーチですぅー。」

 

 憩は一巡目にいきなり立直を仕掛けてきた。

 

(これってダブリーか!)

(今の憩は有効牌を引いてきやすい。下手したら一発で引いてきてまうかも。)

 

 そう思っていたが憩は一発で引いてこなかった。というより、それよりも早く振り込んでしまった。

 

「部長、それロンですぅー。ダブリー、一発、断幺九、平和、三色、ドラ3で倍満の16000ですぅー。」

「...憩、今完全にうちを狙いに来たやろ。」

「しょうがないじゃないですか。このメンバーの中で一番厄介そうなのは部長なんですし。」

「なんや憩、そしたらうちは警戒するまでもないってことか?」

「いや別にそうは思ってませんよ、怜先輩。」

 

 咲は一人この争いの蚊帳の外にいた。なんだか険悪なムードになってきたなぁと思っていた。

 

「心配せんでもええで。あれで一応お互い刺激しあってるもんやし。」

 

 そんな咲を見てか竜華が咲に近づいてきて小声で話しかけてきた。

 

「それより、自分の心配した方がええで。多分この後半大変なことになるやろうから...」

 

 そんなこんなで南入するのであった。




次回は南場からです。
一応、今後のザックリした内容としては
春季大会メンバー選抜、春季大会、県予選団体、県予選個人
みたいな形にしていくつもりです。
春季大会が本編では詳しく書かれてないのでかなりオリジナル要素も入ると思います。
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