もう一つの千里山女子   作:シューム

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今回は説明多めです。色々と設定が本編と違ってたりもするので...


第9話「オーダー発表」

「それじゃ、オーダーを発表するで!」

 

 監督のその言葉で緊張感が漂った。

 全員、監督の次の言葉をドキドキしながら聞いていた。

 

「・・・・とその前に、宮永さんは高校の麻雀についてどのくらい知っとるんや?」

「私ですか!?えぇっと...あんまり知らないですね。」

「そか。ほな、発表する前にちょっとそのへんを話とこか。」

 

 監督は一息ついて改めて話し始めた。

 

「知っとるやろうが、中学、高校の麻雀の大会は団体戦と個人戦があるんや。個人戦は名前の通り個人個人の戦いで、団体戦は1校のなかで5人メンバーとして出場するんや。それぞれ、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将となっとる。ほんで、このオーダーの決め方にはある程度セオリーがあってな、

『先鋒:一番点を稼ぎにいける人が基本的に置かれるため、大抵強い人が多い。

 次鋒:先鋒や中堅と違い、ある程度楽には打てる。しかし、先鋒があまり稼げなかった時にいかに巻き返すか、逆に先鋒が多く稼いだ時はいかに削られないようにして中堅に繋げられるかが大事になってくる。

 中堅:この辺りが勝負の分かれ目になってくる。点があまり稼げなかったら大抵この辺りで飛び終了が起こったりするため、先鋒と同じく実力のある人が置かれることが多い。

 副将:5人の中では一番能力の低いものがたいてい置かれるが、そこを逆手に取ってここで点を取りに行く事もある。

 大将:リード時は逃げ切ること、逆に点差が開いてる時は巻き返すなどしなければならないため、先鋒に次いで実力のあるものが置かれやすい。』

 とまぁ、こんな感じで置かれることが多いんや。」

「だいたいの学校がこんな感じのオーダーにしているってことですか?」

「そうやな。まぁ、他の学校の昨年のオーダーでも見ればもう少しわかりやすいやろ。竜華、昨年のデータ持ってきてくれへんか?」

「分かりました。」

 

 そう言って竜華は棚にあるファイルからそのデータを探し始めた。

 

「監督、これです。」

 

 見つけたそれを監督へと手渡した。

 

「おおきに。それじゃ、他校のデータを見てみるか。

 まずは、昨年の優勝校で全国大会二連覇中の西東京代表、白糸台高校や。ここは、大将で現3年の宮永照を主力として構成されとる。彼女の能力である連続和了、打点上昇、照魔鏡なんかは点を稼ぐためにもってこいのものやな。」

「そうですね。お姉ちゃん、昔よりも強そうですし。」

「・・・・ん?お姉ちゃん?」

「あぁ、監督はご存知なかったですもんね。宮永照さんは咲ちゃんのお姉さんなんですぅー。」

「ほんまか!?どうりで強いわけや。」

「・・・・オカン、その反応はもうウチらがしたから十分や。」

 

 洋榎はどこか呆れた顔をした。それと同時に雅枝の「ここじゃ『オカン』やなくて『監督』やろ!」というツッコミも入った。

 

「あぁ、あと同じく3年の弘世菫も厄介やな。狙った相手の不要牌をピンポイントで狙い撃ちしてくるらからな。

 そしたら、次は臨海女子やな。ここは、東東京代表で16年連続で地区大会を抜けてる。また、ここの学校のオーダーは年によって変わるから対策がなかなかしにくいんや。そんで、全員外国人やしな。」

「今年も違う人が出てくる可能性があるからな。しかも、全員世界の舞台で活躍しているからな。」

「世界の人たちと戦えるんですか...」

 

 咲は内心ワクワクしていた。もしかしたらお姉ちゃんよりも強いひとがいるのかもと。

 

「それに、昨年のインハイの個人戦で3位だった辻垣内さんもいますしねぇー。昨年は団体戦出なかったですけど今年は出ますかねぇー?」

「どうやろうな。まぁ、昨年の実績を考えると出てきてもおかしくはないな。」

「それじゃ、次は永水女子や。ここは、『牌に愛された子』と言われるうちの1人、神代小蒔がいるところや。昨年のインハイなんか、彼女1人で大暴れしたようなもんやからな。」

「なんでも、神をおろすって言われてるくらいやからな。ただ、今回の春季大会はなんでか知らんが出ないらしいんや。せやから、戦うとしたらインハイやな。」

「これが一応昨年のインハイの決勝の学校やな。」

「あと注意しておきたいところは、龍門渕で同じく『牌に愛された子』の1人、天江衣、南大阪代表の姫松、このあたりかな。これで一通り説明は終わりや。」

「なんだか、試合が楽しみになってきました!」

「おぉ、頼もしい限りやな、咲。」

 

 咲の逞しさに感心したように洋榎が言った。

 そして、雅枝は全員の方を改めて見て話し始めた。

 

「それじゃぁ、今度こそ団体戦のオーダーを発表するで。まずは、先鋒からや。先鋒は...怜や。」

「ほんまですか、監督!?」

 

 怜は予想していなかったのかビックリしたような声を上げた。

 

「あぁ、この中だと点を多く稼げとるのは怜やしな。1巡先が見えるお陰で振り込むこともないから失点も少ないし。期待してるで!」

「はい、頑張ります!」

 

 怜は意気込んだように言った。

「よし、そんじゃ次は次鋒やな。次鋒は...竜華や。」

「うち、今回は大将やないんですか?」

 

 やや怪訝そうに竜華は尋ねた。

 

「竜華をここに置いたのは次鋒は強い選手がそこまでいないっちゅうことや。幸い、今のうちらのチームは能力のあるメンバーがおるから竜華をここに置いても痛手にはならないしな。むしろ竜華もここで稼ぎにいって欲しいわ。」

「監督がそう言うんなら分かりました。しっかり稼ぎにいきます。」

 

「それじゃ、次は中堅や。中堅は...洋榎や。」

「ここで点を取っていかれないように、プラスで終わることが多いうちが選ばれたって感じか?」

「それもあるけど、今回はできる限り中堅までで試合を終わらせる気でやって欲しいからな。そのために竜華を次鋒に置いたっていうのもあるんやけど。」

「それって対白糸台に向けてってことですかぁー?」

「そうやな。多分弘世を副将、宮永照を大将に置いてくるやろうからそこに回ってくるまでにできれば終わらせたいって感じや。」

 

「そして、副将は...咲や。んで残った大将は憩やな。」

「ちなみに監督、そう配置した理由はなんなんや?」

「咲を副将に置いたのは、咲がこの中で一番経験が少ないってことやな。前半の3人がそこそこ稼いでくれてるやろうからそこまで気負うことも無いしな。」

「前半の3人にはなかなか仕事多いんやな...」

「それだけ信頼しとるってことやで。そんで、憩を大将に置いたのは憩が宮永照との試合経験が一番あるってことやな。前半のリードをキープした状態で大将戦を乗り切ってくれれば十分や。」

「うちもなかなか責任重大ですぅー。」

 

 5人とも自分の責任を全うできるかどうか心配な面もあったが早く試合をしたいという気持ちもあった。

 

「いいかみんな。春季大会まであと少ししかないが今年こそは白糸台を倒して優勝するで!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

『春季大会優勝』を目標に全員が一致団結するしたときであった。




オマケ

昼休み、咲が用事が終わって教室に戻ってくると泉と風香が何かスナックを食べていた。

「泉ちゃん、風香ちゃん。何食べてるの?」
「あ、咲ちゃんおかえり!これはね、『プロ麻雀せんべい』って言って、オマケに『プロ麻雀カード』が付いてくるんだよ。さっき購買にあったからいずみんと一緒に買ってきちゃった。」

そう言って風香はカードを何枚か見せてくれた。しかし、どれもこれも同じカードであった。

「え、風香ちゃんたちこの人だけを集めてるの?」
「んなわけないやろ!3つ開けて3つ全部藤田プロだったんや!誰が好き好んで藤田プロをそんなに持ってたいんや!」

泉の鋭いツッコミが入る。

「本当は小鍛冶プロとか三尋木プロとかが欲しいんだけどね...なかなか当たらないんだよ。」
「そうなんだ...ねぇ、私にも1個くれないかな?」
「ええで。調子のって結構買ってもうて正直2人じゃ食べきれなかったところやし。」

泉の許可を得たので咲はせんべいの袋を一つとって開けた。中に何枚かのせんべいと、小さな袋が入っていた。

「この中にカードが入ってるんだね。開けてもいいかな?」
「いいよ。今来た咲ちゃんだったらいいカード引いてきてくれるかな!?」
「なんかプレッシャーがかかったな...」

咲がそう言ったとき、泉が声を上げた。

「待った咲!咲は開けたらあかん!」
「どうしたのいずみん?自分が開けたかったの?」
「いやそうじゃなくてな、咲の能力に嶺上開花で和了る能力、つまりは同じものを4つ揃える能力があるやろ?それを今の状況に置き換えてみ。」
「えっと、藤田プロのカードが現時点で3枚出ていて、今咲が4枚目を開けようとしているところでしょ?ってことは...まさか!?」

風香は泉の伝えたいことに気づいたのか驚きを隠せない表情になった。

「そうや、多分咲が開けようとしているその4枚目のカードは藤田プロや!」
「なっ・・・・なんだってェ────!」

風香と泉が寸劇をやっているのを見ていた咲は申し訳なさそうに言った。

「あ...あのね、実はもう開けちゃったんだ...」
「じゃぁ、もう藤田プロの召喚は免れないのか!」
「4枚開けて4枚藤田プロとか嫌やわ!」

悲痛な声を上げる2人。何か申し訳ない感じになりながらも、咲は確認のために一応中を見てみることにした。

「・・・・あれ?これ藤田プロじゃないっぽいよ。」
「「・・・・え?」」

2人が確認のために咲の持っているカードを見に行く。

「ホンマや、これ藤田プロやない。」
「しかも、戒能プロだ!」

4枚中4枚藤田プロという状況を避けられたからか、2人は喜んでいた。が、

「ちょっと期待通りにならなかったのは悔しいなぁ...」

藤田プロじゃなかったらそれはそれでこの言われようである。不憫だ。

「まぁでも、4枚も当たることって滅多にないしね。」
「せやな。よし、この流れにのってもう一個開けたろ!」

そう言って泉は別の袋に手を出した。そして袋の中身を開けてカードを取り出す。出てきたものは、

「・・・・藤田プロだね。」
「・・・・5枚中4枚が藤田プロ。フォーカードだね。」
「・・・・文句言ったるわ!!」

暴れる泉を風香と咲が抑えているうちにいつの間にか授業開始の予鈴が鳴っていた。
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