やっぱりゴットイーターはこうでないと!!
捕食モード、カッコイイィィィっ!!
あ、どぞ。
レンは死を覚悟していた。
どんな人でも空中100メートル近くから落ちれば死を覚悟するものである。
なんだかんだいって結局死ぬのかと思いながら落ちる直前には意外と冷静になっていた。
そして落ちた。
が、全く無傷。一応人助けをしており、レンの上には人が一人いたのだがそれでも痛くも痒くもない。
(ほ、ホントにオラクル細胞とは別のもので身体が強化されてる?)
そんな呑気なことを考えてると上の人が目を覚ました。
と、それを見ていた周りの人間は下敷きになって埋もれているレンには全く気付かず、しかしながらレンの上の人を心配して集まってきていた。
要するに、レンがいまとてつもなく出ていきにくいのだ。
する事もないので取り敢えず聞き耳をたてて会話を聞いている。
(この俺の上の人、王様なのか……)
なら、周りの人間がすかさず駆け寄ってくるのも当然。
聞き耳を立ててわかる情報は少ないが、この人が王様だという事と若い少年が勇者?だという事はわかった。
ともかく如何にしてこの気まずい状況から脱するかだが……
いつまでも気まずくて出て行きにくい状況が続く。
(てか、とある王様よ、俺の存在に気づかんのか?)
そんな事を心の中でボヤいていると、突然王様が血相を変えて勇者?に詰め寄っていた。
(んー…?どうやら大事な友人が攫われたっぽいな)
ソレを聞いた途端、レンはさらに焦りを感じ、遂に会話に無理矢理割り込んだ。
そして、無事発見して頂き取り敢えず初のお披露目状態。
周りの人間も怪奇の目で見つめていた。
(うぅわ、気まずい……)
ただレンがあの高さから落ちて無傷だから信じられない目で見られてるだけなのだが。
全身黒の衣服に金色のラインや装飾を施しており、黒いブーツにも同じ装飾があり、どこかの貴族のような格好。髪は長く吸い込まれるような深い黒。顔もかなりの美形(レンは自覚ないが)でもはや女性か男性か分からないが恐らく声からして男だろうとレオ閣下達は推測した。
そして右手には赤くいびつなくらい大きい腕輪。
さらにあの高さから落ちても無傷で今もただらぬ雰囲気をかもし出している。(レンは自覚ないが)
勇者シンク、親衛隊隊長エクレール、レオ閣下以下メイド一名は取り敢えずとてつもない人だと瞬時に考えついた。
一番最初に口を開いたのはレオ閣下だった。
「……お主は?」
レンは相手からの突然の質問に戸惑う。
「え?ああ、えーと、神野レンと申します。職業はゴットイーターで、極東支部所属です。」
おかけで、思わず情報隠蔽することも無く正直に話した。
「…ゴットイーター?神を食べる者?何ですかそれ?」
しかし、まさかの返答にレンはゴットイーターとしての自信にちょっと傷つく。
「え?ゴットイーター知らないんですか?あれぇ、結構活躍しているつもりだったんですけど……」
「……聞いたこと無いですね。それとあの武器は?」
今まで様子を見るかのように黙っていたエクレールもさっきからずっと気になっていた武器について聞いた。先程までとてつもなく大きい狼かと思えば、突然縮んでいびつな武器になったのだから気になるのも無理もない。
「え?ああ、あれは神機。オラクル細胞で形成されてる生きた武器です」
「オラクル細胞……?て、生きてる!?」
エクレールはまさかの返答に、冷静をよそおっていたが堪らず驚きをあらわにする。
「はい……って、明らかに場違いな俺がいうのもなんですけど、何か急いでいたのでは?」
そろそろ質問タイムもいいかと思ったレンは最も重要な問題に触れた。それを聞いて思い出したのか、レオ閣下は再び焦り出した。
「…っ!!そうじゃ、ミルヒを助けなくては!?」
「レオ様、姫様はあの魔物に?」
(魔物?)
レンは聞き慣れない単語に疑問を持つが今はそれどころではないと頭の片隅においやる。
「そうじゃ……、我の実力不足なばかりに…」
「心配しないで!必ず僕が助け出して見せます!」
「私も、勇者と協力して姫様救出に向かいます」
「お主ら……、スマンな。頼む。」
そしてシンクとエクレールが出陣しようとした時だった。
「あ、俺も手伝いましょうか?」
レンも協力を推薦した。元からその為に来たのだから。
「お主……、レンといったか。すまないがよろしく頼む。人は極力多い方がいい。しかしあの魔物は強い。無理だけはするでない」
「ありがとうございます。それじゃ、早速向かいますね」
「え?」
レンはそう言うと地面に刺さっていた神機を拾う。
『やっと拾ってくれたか。忘れられたかと思ったぞ?』
「うるさい!!あの蹴りだけは許さねぇからな!?」
「「「!!?」」」
3人が驚愕してるのは傍から見ればレンが1人でいきなり大声をあげているように見えたからだ。
しかしながらレンはそれに気づくこと無く、会話を続ける。
「今から戦闘っぽいけど、大丈夫だよな?」
『ふん。当たり前だ。もうパレッドも装填済みだ。取り敢えずハンニバルのアラガミ弾を装填している』
「了解。あと捕食モードであのバケモノの所まで届くだろ?」
『勿論だ。普通の神機なら厳しいが私は違うからな。ハッキリいって余裕だ』
「よし。なら早速行くぞ!!」
『おう!!レンの実力、しかと見せてもらうぞ!!』
「凄すぎてビビんなよ?行くぞ!!!」
先程から気合入りまくりのレンとは裏腹に若干取り残されぎみのシンクとエクレールは気になっていた。
レンがどうやってあの魔物の所に向かうのか。
しかしそれはすぐにわかる。と、同時にレンのゴットイーターという職の意味もわかる瞬間でもあった。
「届けっ!!!捕食モードっ!!」
レンがそう叫んだ瞬間、神機は変形し、内側からおぞましいドラゴンの口のようなモノが飛び出し魔物の所まで一気に届く。
そのまさかの光景にその場にいた全員は絶句した。
そして遂にその口が魔物に届き、
「じゃ、お先」
そう言い残してレンは一気に魔物の所まで飛んでいくのだった。
「なんだ今のは!!?」
「す、凄いねぇ……僕には真似できないかなぁ」
まさかの行動に驚いたシンクとエクレールはしばらく固まっていた。
が、自分にも大事な役目を思い出した。
「ぼ、僕達も行かなくちゃ!!」
「あ、ああ!」
そしてシンクとエクレールはレンを追いかけるように魔物へと向かうのだった。
残ったレオ閣下は呟いた。
「一体、なにものなのじゃ……?」
それはレオ閣下が少なからずレンに興味を寄せた瞬間だった。
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シンクとエクレールがようやく砦を出た時。
既にレンは魔物の上へとたどり着いていた。道中、妨害もはいったがレンの身体能力だけで退けていた。
「ホントに強くなってんな……」
『そうだろう?ついでだ。ここでさっき試したいと言っていたブラッドアーツを試したらどうだ?』
「そうだな。取り敢えず目の前の狐のお化けと変な触手の武器を一掃したいな。武器はスピアで行こう」
『それがいいだろうな。なら私がオススメするブラッドアーツは突進を強化する奴だ。大体分かるだろう?』
実はここにたどり着く前、レンの腕輪を経由してブラッドアーツの全てをレンの脳内に記憶させていたのだ。
その為のスピアと言う武器の選択だった。
「OK。スピアに変わってくれ」
『おう』
そう返すと神機は一瞬で黒い塊に戻り、また同じ速度でスピアに変わった。
「よし。コアの場所は……、あそこか?」
『そうっぽいな。速攻で決めれるな』
「ああ、あれぐらいの大きさなら捕食で一撃で終わる」
レンは一気に突進で詰め寄り、外皮ごとコアらしき所を捕食して終わりにするつもりだ。勿論、人助けという目的も忘れていない。
『おう。これであそこに囚われた人も助かるだろう』
そう、少し先の方に恐らく囚われた姫様らしき人物がいることも確認済みだった。しかし何も来ておらず裸のため、直視出来ないのだが。
「だな。よし、行くぞ!!」
そう言うとレンは一気にスピアの神機を構え、力を貯める。
それに反応した人機は段々とオーラを纏い、大きく広がるように変形する。
そして完全にためきったと同時に勇者シンクが遅れて到着した。
すぐに戦闘に加わろうとするがレンのとてつもない覇気に思わず声をかけずに止まる。
そして、
「行くぞっ!!ブラッドアーツ、『クリムゾングライド』!!!」
紅いオーラを纏ったレンは物凄い暴風と共に一気に敵陣へと突進する。
「おおおおおっ!!」
肉薄した敵は反撃を試みるがあまりの勢いに止めることも出来ずに霧散していく。
そしてそのまま魔物の上にいた敵達はみるみるうちに消されていく。
誰にもレンを止めることが出来ず、全滅するのだった。
そのままの勢いで一気にコアらしきものに近づいたレンは突進の威力を生かしつつ、素早くスピアを引っ込め、捕食モードに変化させる。
「喰らえっ!!!捕食っ!!」
コアに食らいついた神機はそのままコアを噛みちぎり、あっけなく戦闘の終了となるのだった。
ちょっと焦って出したので誤字多いかも。
間違いなどの指摘よろしくお願いいたします!!
ちなみに捕食モードなどの仕様は主にアニメの方をイメージしてくれるとわかりやすいかと思います。