とある科学の速度標識《スピードサイン》   作:直視明光

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第一位(アクセラレータ)ってやっぱり強いですよね……
2人の話を早く終わらせたい……


実力

「 まぁそんな事だろうと思ってました」

驚きと悲しみに打ちひしがれる時宮を月兎は冷たい目で見ていた。

時宮はそのまま倒れそうになったが、なけなしの記憶から反論を試みる。

「 いやでも、『 超能力者(レベル5)になれるのは君だけだ』って水底にて深淵を思索する者(ディープシー・ネーレウス)が」

「 何ですかそれは、そもそもあなたがそう言われてから何十年経ったと思ってるんですか、こいつときたら。」

確かに、日々使ってる機材や薬も新しくなっている気がする。小さい時からそれを投与されれば、時宮より強い能力者が生まれるのは自明の理である。もっともな事なのだが、時宮は何だか寂しい気持ちになった。

「 でも、学園都市最初の超能力者(レベル5)になりたかったなぁ」

これは別に超能力者(レベル5)になったらきっと……というのとは何も関係ない。純粋に男子のロマンである。

「 そろそろ本題に戻ってもいいですか。こちらにも時間が無いので」

遠い目をしている時宮の郷愁は月兎の言葉によって一蹴されて終わった。

「 そうだな。ところで、相手が超能力者(レベル5)なら、大能力者(レベル4)の自分が勝てるはずないと思うんだが」

「 また始まりました!時宮先輩の一人称変換!」

月兎は目に見えて面白がっている。

「 そんなに嬉しそうに言うんじゃない。それで、どうなんだ。研究特化の能力者で戦闘向きじゃないなら別だが」

「 そんな訳ないでしょう。まともにやったら、時宮さんが勝てる可能性は0です。というか、今確認、それに誕生が演算(かくてい)されている超能力者(レペル5)7人全員に、時宮さんは勝てません」

「 自覚していることでも、やっぱり直接言われると傷つくな……。ていうか超能力者(レベル5)7人もいるのか」

「 今いるのはまだ2人ですけどね」

ということは、まだ5人超能力者(レベル5)候補がいることになる。

「その候補に、僕は入っているんだろうな」

時宮は当然のことを確認するように言ったが、返事は望んだようなものではなかった。

「 入っていたらあんな言い方する訳ないじゃないですか。こいつときたら。自意識過剰ですね。あなたみたいに可能性が極端に低い人は候補に入らないんですよ。そういう人もいれると、もうちょっと増えます」

「 ふーん、そんなもんか」

自覚していることでも、(以下同じ)

「 あのー、そろそろ話に戻ってもいいですよね」

リンゴジュースに口をつけながら月兎は言った。結構めんどくさそうである。

「 話を逸らしたのはお前だろ。それでその第一位の能力は何だよ」

「 いや、時宮さんですよね」

互いに自分を棚に上げている。

「 ええと、確か一方通行(アクセラレータ)とかいう名前です」

「 名前だけで能力が分かるかよ。ん……名前から考えると、物体を無限に直進させる異能か?確かに強いけど、相手できないほどじゃないな。」

「 自己完結して勝手に見くびらないでください。彼の異能は、ええと」

そう言って、月兎は何やら原稿を鞄から引っ張り出そうとしている。

「 覚えてねぇのかよ、おいおい。よくそれで『 見くびらないでください』なんて言えたな」

時宮はヘラヘラ笑っている。

「 うるさいなジジイ、私にも色々やることがあるんですよ。」

結構手間取って、取り出した後、月兎は原稿を読み上げた。

「 ええと、『 運動量、熱量、電気量などを問わず、あらゆる種類の〃向き(ベクトル)〃を、皮膚上の体表面に触れただけで自在に操ることことができる能力』だそうです。ベクトルってなんですか?」

「 何ですかじゃねぇ、無茶苦茶強いじゃないか。」

時宮の顔からは、さっきまでの余裕や笑みが完全に消し飛んでいた。




設定:水底にて深淵を思索する者(ディープシー・ネーレウス)
学園地区で使われていたスーパーコンピューター。防水性を極端に高め、水中に設置されていた。周りの水を常に撹拌し続けることにより、『 熱が発生し過ぎるので巨大化できない』というスーパーコンピューターの問題を解決した。
のちに『 そもそも宇宙なので熱を逃がす必要が無い』樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)に取って代わられる。
次回は原作のあの人が登場します。今は先輩キャラのあの人も、後輩の時代があったのです。ちなみにもう一人の超能力者(レベル5)は第7位です。
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