とある科学の速度標識《スピードサイン》   作:直視明光

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少しずつ既に上げたものも書き直して、より原作に近いものにしたいと思っています。会話の接続が難しい……


第2章 今と昔の一位の差は older-vs-younger
天才


 月兎が脅したおかげで、制限速度ぶっちぎりで二人は待ち合わせ場所にたどり着いた。

 そこは、学園都市第三学区にある超高級ホテルだった。『そもそも泊まれる者が少ないのでたくさん人が入れる必要はない』とかいうトンデモな理由で高さは数十階分あるくせに、実際に人が泊まれる部分は最上階の三階分しかないとかいうものである。

そのせいで豪華さが一周回ったゲテモノぞろいの高級ホテル街でも思いっきり浮いている。時宮はそれを見て顔をしかめ、

「おい、こんなところに入る人間がいたらものすごく目立つだろうが、何考えてんだよブレーン」

と悪態をついた。

 月兎はどこかに連絡しているのだろう、携帯を猛スピードで触りながら、

「それが相手の狙いでしょうよ。ここならもし私たちに不穏な動きがあった場合でもすぐに包囲できますし。」

「俺たち味方なんだけどな…警戒しすぎじゃないのか。」

「そりゃブレインですからねー」

 それは少し違うと時宮はおもった。と、月兎はずっと見ていた携帯から顔を上げて、

「入って良いらしいですよ、それより、分かっているとは思いますが」

「ああ、時宮進じゃなくて、越崎太一(こえさきたいち)として会うってことだろ。あなたに言われるまでもない。」

もちろん実在しない人物だが、書庫(バンク)には速度標識(スピードサイン)の能力者として記載されているし、書類上では学校にも所属している。

 学園都市統括理事の一人が演算装置の助けを借りていること、、見た目には髪の毛以外は高校生にしか見えないことや、()()()()()()()()()がバレると色々と問題なのだ。

 普段の会議やセレモニーには影武者が参加しているが、こうやって直接動くときはこの名前を使っている。

 時宮が歩き出そうとすると、月兎が話しかけてきた。

「あの…どうしても聞きたいことがあるんですけれども、よろしいでしょうか。」

「ん?どうしたやけに真剣な表情で。」

一度コホン、と息をついてから

「ひょっとして、二人称もぶれるんですか。」

「真剣な表情で何を言ってるんだ君は。」

時宮はあからさまに嫌そうな顔をして、月兎の視線を払う。しかし月兎はそこで止めるつもりはないようで、

「で、どうなんですか、ねえ、ねぇ。」

「っ……ぶれるよ、うっとおしいな。」

「やっぱりですか!こいつときたらー、面白すぎですって」

 月兎は三度目の大笑いを見せた。しばらく笑い続け、時宮がそろそろ殴ろうか真剣に考え始めたとき、急に真顔に戻って、

「雲川さんと話すときはそれやめてくださいね。笑いすぎて話が進まなくなると困りますから。」

 笑って言われたら殴れるのだが、心から言っているらしいので、怒るに怒れない。

わかったわかったと言いながら、時宮は演算装置のモードを切り替えた。

 そのままエレベーターに乗る。しばらくお互いに無言が続いたが、

「なぁ、さっきの話の続きなんだが、その雲川ってやつの見た目とか性格とか。」

と時宮が月兎に話しかけた。

「さぁ、それは私にも知らされてないんですよね。行けば分かる、一点張りで。統括理事会での話し合いを行おうとした矢先に、一人が、『うちのブレーンを使え』と言ってきたらしくですよ。まだ雇って日が浅いので、テストも兼ねてるんじゃないですか。」

「我々が知ったら信用を失う情報でもあるのかよ、全く。そういえばその雇い主って誰だよ。薬味先生、それとも貝積のお人よしか?大穴でチキンの亡本が自分を守るために雇ったってのもありだな。」

「ほかの理事を呼び捨てにするあたり、さすがですね。ええと、確か貝積さんでしたよ。」

「ふーん、あいつか。あいつは昔から人が良くて、昔も…」

と学園都市裏話、『驚愕!学園都市理事貝積継敏の過去!』が始まりそうになったその時、クラシック音楽によって目的の階に到着したことが知らされた。ピンポーンとかならない辺り、さすが高級ホテルである。目当ての部屋はすぐに見つかった。というより、その部屋しかないといった方が正しい。ここまで高級だと、()()()()()()()()()()ために、部屋には鍵はついていない。不審者などはすべてエレベーターや戦車の砲撃にも耐える窓で防がれるため、実際不必要ではある。

 二人が部屋に入っていくと、そこには一人の小学生低学年ぐらいの女の子が座っていた。

 それを見た時宮はすぐに月兎の手を引き、180°方向転換して部屋を出た。

「おい、部屋間違えたんじゃないのか」

あんなのがブレインなはずがない。月兎も考え込んでいる。

「おかしいですね。確かにあの部屋のはずなんですが…」

「まずいだろ、こんなところに泊まっているぐらいだから大物の娘に違いないぞ。下手したら誘拐する気だと思われて変な外国人傭兵みたいなのに襲われるかもしれん。」

「大げさですね、あれだけで攻撃してくるわけないじゃないですか。誘拐にトラウマでもあるんですかっての。とはいえ、確かにあの部屋は間違っている可能性があります。ちょっと問い合わせしてみますね。」

 そういうと、月兎はどこかに電話している。話している合間に、『まさか伝える部屋間違ったとかじゃないだろうな、あぁ!』とか『小学生しかいないんだけど、それであってるわけ、ふーん。まちがってたら殺すからね☆』などど不穏なセリフが聞こえてくる。

「ここで合ってるみたいですよ。」

「そんなまさか。」

 二人は暫く考え込んでいたが、

「分かったぞ。ひょっとしてあの女の子はそのブレインと話すための窓口なんじゃないか。例えば携帯から話す事をそのまま伝えるとか……チッ、この俺とした所が、もっと早くその可能性について考えておくべきだったな。」

「なるほど、確かにそうですね。さすがは統括理事のブレイン、女子小学生なんてどうやって手駒にしたんだか、あんないたいけな女の子っ」

 そこまで言った所でドアが思いっきり開き、月兎の足に直撃した。どうやらドアが少し開いており、そこから会話が中に聞こえていたらしい。痛さに呻く月兎を尻目に、中から出て来た小学生は、半分叫んでいる様な調子で

「私が統括理事のブレインだけど、よくもさっきから好き放題言ってくれたな。無事で済むと思わない方がいいけど!」

 

 




 前回がだいぶ時間がかかっての投稿だったので、今回は早めです。彼女が出ると言ってから実際に出るまで何日かかってるんだか。
ケータイだとスペースを打っても段落後の一行下げができないのが悩みです。
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