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後輩に一方的に電話を切られて、時宮は少し鼻白んだが、また掛け直すというわけにもいかない。仕方なく時宮はやや乱暴に携帯を投げ渡した。雲川はそれを難なく受け取り、軽く切り出す。
「さてと、お前が電話している間にこの女から大体お前の実力は聞いたぞ」
ベットの上に座っている月兎と雲川の周りには、
「ああ、それでどう思う?」
「話にならないけど、これでよく戦えると思ったな」
にべもない。
「おい、そりゃないだろ。もう少し何か前向きなことは言えないのか」
今日何回実力差について話されたことか。さすがにもう慣れた、そう思った時宮だったが、口調からは馬鹿にされた怒りが隠しきれていなかった。
「この報告書を読む限り、お前の攻撃は種類は違えど、結局単純な物理攻撃か異能による直接干渉に集約されるんだろう?」
「そうひとくくりにされると何だか違うと言いたくなるが、まあそうだな、ていうかそうじゃない能力者なんているのかよ」
「
取りつく島もなかった、どうしようもないと言っていい。とはいえ、二人はこれではいそうですかと引き下がるわけにもいかない。時宮は急に黙ってしまったが、月兎は違った。
「へー、結局そういう事言うんだ、へー」
「何だと」
「だって結局お手上げって事じゃん、そんな結論なら私でも出せるっての、こいつときたら。天才って言っても結局はただの小学生ってことなんでしょう」
「ああ、その私にヘラヘラ意見を聞きに来たくせに偉そうだな!」
見た目は小学生と中学生、してその実態は学園都市統括理事子飼いの天才と、学園都市最暗部を担う男の右腕(自称)の間に火花が散る。
「そこまで言うなら考えてやるけど、もしそれがうまくいったらお前土下座してもらうからな」
すぐにムキになるのはさすがに年相応である。そういうと雲川は資料を凄いスピードで読み始めた。
「おい月兎、二人で盛り上がってるのはいいが」
「盛り上がってなんかいません、時宮さんも何か言ってやればいいじゃないですか、ここまで来たのは何だったんだとか」
「お前も俺の能力をさんざん馬鹿にしてきただろうが、それより、問題は
「だからってどうこう出来るわけじゃありませんよ。何ですか、これから時宮さんが戦ってきてくれるとでも?」
そういった月兎の前で時宮は不敵に笑った。
「ああ」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、こいつときたら!もし負けたら」
さすがに本気で言っているとは思わなかったらしい、月兎は目に見えてうろたえ始めた。
「気にすんなって、
「私の責任になるんでホントにやめてくれませんか」
「いきなり真顔になるんじゃない、さてと、この事件が終わったら二人で飲みにでも行こうぜ」
「時宮さん…」
表向きは感動したように見せかけながら、月兎は心の中で笑っていた。むしろほっとしていた。前も言ったように、月兎の任務は
「おい、いい空気になってるところ悪いが、学園都市第一位を倒す方法を思いついたぞ」
その空気を雲川がぶち壊した。
「何?それでどんな案なんだよ。断続的に爆薬を打ち込んで酸素をなくすとか言うのはなしだぜ」
「そんなことは分かっているけど。いいから聞け」
時宮と月兎は二人で雲川の前に座った。雲川の高説が始まる。
「まず、私は初心に立ち返ってみた。そもそも私は心に関する専門家で超能力や物理法則は専門外だ。人並み以上にこなせる自信はあるがな。それなのに私に超能力に関する問題を持ち込むとは、」
そこから長い話が始まりそうになる。月兎がスッと手を上げて、
「あ、そういうのは巻きで」
「あ、ああ…。とにかくそういうわけで私が目を付けたのは、まだこの学園都市第一位が幼いという事だった」
お前だって十分幼い、と時宮は呟く。
「黙れ、聞こえてるぞ。つまり、
「いいから早く本題に入って入って、こいつときたら、勿体付けないと話せないんですか」
そう月兎が言った所で雲川が立ち上がり、
「さっきからいちいち茶々を入れさせないと先へ進まないのか!いい加減にしろ、私は別にこのまま終われせたっていいんだぞ」
勢いよく怒鳴った雲川に二人は気おされ、静かになる。
「ああもう、要するに、能力を使用する方の戦意を削いでしまえばいいけど。幼い子供が大量の武装した人間に囲まれて化け物扱いされたら、すぐに心が折れてしまうだろう。考えてみれば簡単なことだったけど。まあ難解な物理的問題は簡易的な心理的側面によって解決される、と言う奴だな」
時宮は深く頷いている。納得したらしい。
「あのー、一応言っておきますが、相手は小学生ですよ?」
月兎が申し訳程度に言ったが、この場にそれを気にする人間はいなかった。そもそも、超能力者を本名ではなく、その能力名で呼ぶような人間たちである。そのあたりは結構ドライだった。
「ただ、この方法には一つ問題があってな」
「ん?俺には完璧に思えるが」
「
「ああー、なるほど。それは結構致命傷だな。あれを止められる人間となると…」
そう言っていた時宮は視線が自分の方を向いているのを感じた。それは徐々に強くなっていき、
「ああ、分かりましたよ。やればいいんだろうやれば。はあ、戦わなくていいと思ったんだけどな」
結局時宮はそれを受け入れざるを得なかった。
学園地区能力者紹介その3
第四位
体の周囲に、文字通り衣の様な特殊な力場を発生させる能力。飛んできた攻撃はそれがレーザーであれ爆発であれことごとく滑ってあらぬ方向へ外される。応用として、重力をそらして文字通り飛ぶこともできる。学園地区の能力者では珍しく、能力名の読みが日本語である。戦闘能力にはあまり役立たないが、防御能力は絶大である。衣の名前通り、顔と指先の一部分には防壁が存在しない。逆に腕の周辺には防壁が伸びている。
能力者は枝垂桜学園の高校二年生、黒髪美人で、合気道の達人でもある。研磨派の頂点であり、彼女を慕う生徒は多い。
枝垂桜学園は常盤台より三年早く開校しています。二つは近くに建っているという設定です。研磨派については本文中で説明します。