はっきり言って、純粋戦闘なら主人公より強いです。
「で、結局どこ行けばいいんだ」
窓を飛び出したはいいものの、店がどこにあるかわからず、時宮は迷走していた。
ここ学園地区には大量にいる学生目当てにたくさんの飲食店がある。その中から目当ての、それも新しい店を探すのは至難の業と言えた。
「はぁ、諦めるしかないのか」
ひとまず時宮は自販機で喉を潤し、休息をとることにした。
「ええと、本日のお品書きはと、」
学園地区の大量の学生を利用するため、様々な会社が色々なものを提供している。自販機もその例外ではない。学生の反応を調べるために様々な新商品が置かれている、普通の飲み物を探す方が難しいくらいだ。
時宮はコーヒーを探していた。それも出来れば砂糖も牛乳も入っていないのがいい。
ある夏の暑い日に冷えた珈琲を飲んで以来、その大人の味にはまってしまったのだ。それを『大人の味』と言って飲む姿がむしろ子供っぽく見えることに、彼はまだ気づいていない。
さて、今日の品揃えは…
・イチゴミルクwithココナッツ
・アセロラスパーク
・黒糖しるこ
・カラメルソーダ
etcetc…
「甘いやつしかねぇ…」
強いて言えばコーヒーに近いのはカラメルソーダだろうか。時宮がお金を投入しようか迷っていると、何者かに後ろから肩を叩かれた。
「もし、そこの人」
「ん?」
「この私にジュースをおごってくれないだろうか!」
ガパァ、なんて擬音が付きそうな感じで顔を覗き込んでくる女子がいた。
「うわあ」
思わず時宮は後ろに下がった。いきなり見ず知らずの人に飲み物をおごれなどという人とは関わり合いにならない方がいい。
「待て、怪しいものではない。だからそんなに離れるな」
「そんなこと言われても…そもそも君誰だよ」
そう言われるとその女はすこし離れて偉そうに言った。
「名前を名乗るならまず自分から、豪華な贈り物付きで、と習わなかったのか」
「前半はよく聞くけど、今変なのが付け足されてたよね。まあいいや。俺は時宮進、長点上機学園の高校二年だ」
そう言いながら時宮は少しずつ後ずさりしていくが、謎の女は気づいていない様子だ。
「なるほど、では私も名乗るとしよう。私は、」
「今だ!」
時宮は勢いよく走り出した。打ち上げまで時間がない。こんなわけのわからない男に付き合っている時間はないのだ。
「待たんか無礼者!」
彼女が手を振った瞬間に走り出した時宮の目の前に巨大な炎が立ち上る。
「うわっ!」
時宮は炎の壁に突っ込みそうになり、全力で踏ん張ってぎりぎりで止まった。
「お前、能力者か。街中で能力使うなよ」
超能力の街といっても、街中で好き勝手に能力が使われているわけではない。強大な能力者同士の戦闘は周りに被害を及ぼすため禁止されている。路地裏に一本入ればなくなってしまう程度のものでしかないのだが。
「私から逃げようとするからだ」
そのまま謎の女は後ろから話しかけてくる。
よく見ると炎は下にある謎の物体から放たれている。この物体をどかせば炎が消えるかもしれない。
「私は空井燐。常盤台の二年だ」
反応を見てみようとするが見えない、炎なら酸化反応で燃えるはずだが。
「能力は
とりあえず足の酸化反応と熱による反応を限りなく遅くして触ってみる。
「他の物体には燃え広がらず、熱を伝えるだけだから
「ああ、確かにそうだな。」
靴に起こっている反応は熱反応だけだ。
「おい、いい加減にこっちを向いたらどうだ」
だったら、思いっきり走り抜ければ…
「おい!」
いきなり炎を出していた物体が時宮の顔面に直撃した。
「うわっちい。いきなり何するんだよ」
「お前がこの私の方を見ないからだ!」
「随分お嬢様ぶってやがるな。俺は忙しいんだよ。今日できたお嬢様学園の生徒でもあるまいし」
苛立ちのあまり時宮の口調は崩れつつあった。それは空井の方も同様だったようで、
「だからそのお嬢様学園の生徒だと言ってるだろうが。この平民!」
再び燃える物体を時宮めがけて振り回した。
打ち上げまであと25:00分
過去と現在の違いを表すために、なるべくカタカナ語は使わないようにしています。
過去編は物語の展開が難しい…