とある科学の速度標識《スピードサイン》   作:直視明光

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今回で過去編の1章か終わります。だいぶ遅れてすいません。1回上げたんですが、直したいところがあって直ぐに戻しました。すいません。


結果

自分は何故こんなことになっているのだろうか。足を全力で動かしながら時宮はそんな事を考えていた。確か自分は、打ち上げに向かっていたはずだ。ところが今は、自分をカツアゲしてきた女を誘拐したと勘違いされ、物語の中でしかお目にかかったことがないような車に追いかけられている。

「いろいろとおかしいだろ!何でこんな目に遭わなくちゃいけないんだ」

今朝の星占いが悪かったのか?と思考は科学全盛の学園地区の生徒にあるまじき方向へ現実逃避する。しかしそんなこと考えたって状況が好転するわけではなく。

「当然先程の警告は聞こえていますよね、そこの××××野郎、早くじゃじゃ馬と一緒に止まりなさい。今ならまだボコボコにするだけでやめてあげます。」

後ろから迫ってくる装甲車両からは今も大音量で音声が聞こえてきていた。

「それ絶対止まってもらうつもりないよね!」

「無駄に叫ぶな、体力と酸素の無駄遣いだぞ。少しでも長く走り続けたかったら黙って足を動かすことだな」

お前が諸悪の根源だろうが!と時宮はまた叫びそうになるのを押しとどめる。空井が言っていることにも一理ある。後ろのやつらはこちらがいくら言い訳したって聞きそうにない、むしろ本当のことを言ってもそのまま轢いていきそうな感じだ。

「それでどうするんだ。このまま逃げたってあっと言う間に追いつかれるだけだぞ」

「知るか、とりあえず…」

 そう言いながら空井は振り向き、

「これでも食らえ!」

 巨大な炎の塊を投げつけた。それから何事もなかったように再び走り出す。

「おい、あんなことして大丈夫なのか」

「あんなもので止まるようならとっくの昔に壊滅させているさ、くそっ、逃げ切ったと思ったんだが」

確かに炎の塊は装甲車に直撃したものの、傷一つついていなかった。

「前回はどうやって逃げ切ったんだ。同じ方法で今回も逃げ切れると思うんだが」

「建物の中に逃げ込んで、人間対人間に持ち込んで各個撃破したんだ。こんなドアまできっちり密閉してあるところじゃ使えない」

時宮と空井が今いるのは、学園地区の中でも研究機関が多く集まっているところだった。農業ビルが全然見つからないのでこんなところまで来てみたのだ。結局空振りだったが。そういう場所では研究結果の流出を防ぐため入り口でさえicカードが必要な場所が多い。このまま捕まるしかないのか…

「分かった、俺が何とかする」

時宮の目は覚悟が決まっていた。

そのまま反転するなり車の方へと走っていく。

「おい待て、むざむざ捕まりに行くつもりか!」

「そんなわけないだろお嬢様、今から学園都市一位の力ってのを見せてやるよ」

そう言ってそのまま歩き出す。後ろから『 おい!今のはどういう意味だ、時宮』と声が聞こえてくるが、答えるつもりはなかった。

今回はかっこよく決まったな、時宮はそんなことを考えていた。

車の前で意識を自分の脳に集中させる。車が到着するまで6秒ぐらいだろうか。

「ついに観念しましたか」

そのままそこらじゅうの物体の反応を見ていた自分の能力を一点に集中させるイメージをする。6、5

「よろしい、そのまま手を上にあげなさい」

相手が何か言っているが知ったことじゃない。体から力を抜く。4、3、

「話を聞いているんですか、手を挙げろと言ったんです」

俯かせていた顔を上にあげる。2、1、

「いい加減にしなさい、このまま轢いちゃいますよ」

車体性能に自身があるからだろうか。一切スピードを落とさずに走ってくる装甲車を前にして、しかし時宮は無言でニヤリと笑った。

そのまま走ってきた装甲車は、次の瞬間ドゴン!!という音と共に停止した。

いや、停止したと言うより衝突事故を起こしたと言った方が正しいだろう。怪我人こそ出ていないようだが、車は大きく凹んでいるし、煙も出ている。

タネはそう難しくない。車の前の空気の流れを極端に遅くすることによって壁を作ったのだ。普段は空気をものとして認識していないし、一部だけにしないと自分が窒息するため、結構時間がかかるのだが。

「これで良しと。おい、空井、これで人対人に持ち込んだぞ。後はお前が…… 」

時宮の能力はあまり集団戦に向いていないし、今の能力を使った戦い方にもまだ慣れていない。。時宮としては、ここからは空井に頑張って欲しいのだが……

時宮が後ろを振り向いてみると、()()()()()()()()()()()()

「 あれ、空井さん?冗談ですよね。まさか置き去りなんてことはありませんよね。ねぇ!」

慌てた時宮が周りを見渡すと、近くのコンクリートの壁に何やら煤で書かれた文字を見つけた。あの燃える物体をペンとして使ったらしい。

『 無能力者なのに学園都市第一位なんて見え見えの嘘をついてまで私を逃がしてくれてありがとう。一体どうやって足止めをするのかはさっぱり分からないが、お前が作ってくれる時間は無駄にはしない。このお礼はきっとする。』

「 マジか……」

なんか凄い勇者扱いされている。どうやら、さっきの台詞は見栄で、裏の意味は『 ここは俺に任せて逃げろ!』だと思われたらしい。最後にお礼を言われているし、ここは喜んでもいいところなのだが、時宮はそれどころではなかった。後ろから誰かが肩を叩いてきたためである。

恐る恐る振り向いていくと、そこには当然と言うべきか、本気で怒っている常盤台の方たちがいた。そのうちの1人、執事服を着た女性が目以外で笑いながら

「 もう分かっていると思いますが、まさかこのまま無事で帰れるとは思っていませんよね?」

こうなりゃヤケクソだ!と思った時宮は、手始めにその女に筋肉の動きの反応を見ながら殴りかかっていく。

数分後、『 当然、私たちが高校生に負けるはずがありません』とのコメントと共に、時宮は未成年略取及び誘拐、傷害、暴行、器物破損などなどでしょっぴかれていったのだった。

 




初めて主人公が主人公らしいところを見せました。
ちなみに、過去編の時宮と現代編の時宮が戦った場合、現代編の方が圧勝します。
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