今回時事をテーマにした作品を投稿致します。
初めて小説を書くので不備があるかと思います。自分でもすでに投稿した作品を再度見直し、大幅に加筆、修正することもあるかと思います。読者のみなさまにおかれましてはこのために読みにくいと感じるときもあるかと思いますが何卒、ご寛大に読んでくだされば幸いです。
また、作品の内容は時事ということで現在進行形で問題がおき、研究が続行中で意見が決着していないものも多々あるかと思います。そのため、私が書いた内容に対する反対意見もあるかと思いますが、この点はどうぞご容赦ください。
2016年1月11日2時。2倍以上の大幅加筆のため再投稿。
海難事故
それは人類がその生息域を拡大し始めた時からつきまとっている海の災厄のひとつだ。
だが近年、その海難事故は人類がいままで経験してきた以上の数起きているのではないかと思えるほど多発していた。
否、もはやこれを海難事故と呼ぶのは不適切だろう。
戦争。
そう、これは戦争といっても過言ではない。
彼女らは海底深くからひっそりとやってくる。かと思えば大胆に出現し、あらん限りの暴力で海に浮かぶ船を始めとした人工物をことごとく破壊しつくした。
深海棲艦
彼女らのことを我々はそう呼ぶ。
圧倒的な戦力差の中、無神論者さえも祈り、こう唱えた。
「いったい神はいづこにおわすのか?」
何回、いや、何万回、いやいや、何兆回全人類はこの言葉を唱えたのだろうか。
そして我々がその言葉すら唱えるのに絶望したとき奇跡が起きた。
深海棲艦に襲われた少女の体が光に包まれ、いままでどの軍隊も見たことがない武装に鎧われたと思うと、少女はその装備を見事に使いこなし深海棲艦を文字通り薙ぎ払った。
この件以来各地で同様の現象が起き、彼女達の力で今まで対抗できなかった深海棲艦をわずかに追い払うことができるようになっていった。
海軍は彼女達の強い希望のもとに、彼女達と残存艦艇を中核とした新海軍を創設。ここにはじめて深海棲艦を互角以上に戦える組織が誕生した。
深海棲艦という暴力に抗う深海棲艦と対になる乙女たち。
我々人類はこの唯一の希望を与えてくれる娘達を敬意をもってこう呼んだ。
艦艇の魂を持つ娘。通称、艦娘と。
ーーーーーー天聴新聞社1面「天聴仁語」より
きーーんこーーんかーーーーんこーーーーーーん…
「はーい、それでは今日の授業はここまで! 今日やった天聴仁語はテストに出すから、飢えた狼のようにしっかり復習しておくのよ!」
若い女教師が教科書を教卓の上に置き、授業の終了を告げる。
『は~い』
「声が小さい! あなた達、最近だれすぎているわよ!」
(無理だよ…だってこんなにあったかいんだよ。眠くもなるよ。ふあぁああぁ。あのきれいな桜の下で昼寝できたら最高なのに。)
ウサギのように長く黒いかざりと砲塔タイプの不思議な妖精を従えた少女は「ふあぁぁ」と人目もはばからずあくびをする。
「島風!!!!」
「オウっ!?」
突然自分の名前を呼ばれた少女は思わずかわいらしい声を出した。
「オウっ!? じゃないわよ。まったく……。」
そうして女教師はもう一人の少女に目先をうつす。
「ぽい?」
今までの流れにそぐわない素っ頓狂な返事が彼女の口から漏れる。
(はぁ、本当にもう、あなた達ときたら……)
女教師は今日の授業の最初に宿題のチェックをした時を思い出し再び頭を抱える。
(島風とこの子は本当に宿題忘れの常習犯なんだから)
「足柄先生? 大丈夫? 頭痛いっぽい? 風邪ひいたっぽい?」
(あなた達のせいよ!)
そう叫びたいのを我慢しながら、足柄先生とよばれた女教師はいつものセリフを吐く。
「今日も宿題を忘れた島風と夕立は放課後に私の補習があるから、ちゃんと時間通り来なさいよ!」
「……っぽい~~~。」
「おっおっう~!」
「はやすぎてもダメよ! 島風!」
「お」
いつもどおりの返事が返ってくるかと思ったが、急に島風がお腹を押さえる。
(え!?島風!?どうしたの!?)
足柄の言葉が出るよりはやく夕立が島風に尋ねる。
「島風ちゃん、どうしたっぽい!?」
すると島風がお腹をおさえながら息も絶え絶えに答える。
「お、お、おしっこ……。」
足柄はそんな間抜けな答えを聞き、ずっこけそうになるのをなんとか踏ん張った。
「授業はもう終わりだから頑張るっぽい~~。」
「はぁ、ホンット頼むわよ。あなた達……。それと補習受けないみんなも頑張らないと単位あぶない人が多いんだから頑張りなさいよ……。それじゃ挨拶お願いね。」
『起立! 敬礼!』
教卓上の教材をまとめ足柄は教室をあとにする。
すると後ろから小走りに短髪のかわいらしい教員が足柄に近づいていく。
「ねぇさん!」
「あら、羽黒。おつかれさま。駆逐級2組の国語の様子はどう?」
「順調です。みんな宿題もしっかりこなして、次の試験でもばっちりだと思います。」
「はぁ、そうなのよね、2組は吹雪をはじめ真面目な子が多いからか周りの子も感化されて宿題も授業も真面目に取り組むのよね……。」
「そうですね。なにしろ吹雪ちゃんは鎮守府最強の艦娘、赤城さんの護衛艦を務めるほどですから。授業もすんなり理解するし、天才肌なのかもしれませんね。」
天才肌、という吹雪への評価を聞いた足柄は苦笑いを浮かべる。
(本当は影ですごい努力しているのよね、吹雪は。)
「ねぇさん?どうしました?」
苦笑いを浮かべた足柄を羽黒は怪訝そうな顔で見つめる。
「羽黒、明日4時くらいに起きて校庭を見てみなさい。面白いものが見れるわよ。」
「そんなにはやくですか? 一体なにがあるというのです?」
(ここで吹雪が朝早くから起きて頑張っているって言っても、それは私目線のものでしかない。ここはやはり、自分の生徒の頑張りっぷりを生でみるのが一番だわ。そのほうがきちんとその子を評価できるんですもの。)
「内緒よ。内緒。いい? 必ず起きなさいよ?」
「は、はい。わかりました。ねぇさん。」
「でも確かに、2組はホント吹雪がいい影響を及ぼしていていい感じなのよね。それに引き換え……。」
そういって足柄は歩きながら持っている教材に目を落とす。
「ねぇさん、その様子だとまた1組の社会は……。」
「そうよ。また島風と夕立が宿題を忘れてきたわ。他の子もやってきてはいるんだけれどテキトーにやっている感がぬぐえないのよね。」
はぁ、と大きなため息を足柄がつき、羽黒もそんな姉に同情する。
「そうですね。私が担当のときも、その、宿題をやってきてはいるんですけれどいまいちで。」
「羽黒のときでさえそうなの?」
足柄がやや驚いた声をあげる。
(柔和な性格でおっとりしているけれど決めるときは格好よくビシリと決める。そんな羽黒は生徒たちからも一目置かれる存在なのに……)
「実はね……。」
と足柄が話題を切り出す。
「この前宿題を出したのよ。好きな戦国武将を調べてきなさいって。」
「それは面白そうですね。みんな誰について書いてきたんですか?」
「やっぱり有名どころが多かったわね。信長とか秀吉とか。あ、そうそう。今度大河ドラマになる真田丸の主人公、真田幸村も多かったわ。」
「幸村かっこういいですものね……。」
「何?羽黒はああいうのが好みなの?」
そう問われた羽黒は両手を頬に添えながら男ならば誰でもドキリとするようなうっとりした表情を浮かべる。
「はい。真紅の鎧に身を包み、最後まで主君の家に仕えて戦い抜く。そんな素敵な殿方が嫌いな女性がいるのでしょうか!?」
「え、あ、うん、いない、と、思う……わ。」
突然豹変した妹に歯切れ悪く足柄は答える。
「あぁ、どこかに槍をたずさえ黒毛のたくましい馬に乗ってきて私をさらってくれる素敵な武人はいないのでしょうか………?」
より陶酔した表情を浮かべる羽黒。
(あぁ、完全に自分の世界にはいっちゃったわ。そんな男、いるわけないのに。これさえなければこれだけの器量持ちなんだからすぐにいいトコに嫁げるのに。)
「あ、そ、それでね、島風が織田信長について調べてきたわ。」
その言葉に羽黒ははっと我に帰る。
「まぁ、織田信長ですか。島風ちゃんのことだから有名所だから資料もいっぱいあってすぐに宿題を終わらせられるだろうと考えたのでしょうね。」
「たぶんね。たしかに、島風が出してきた宿題は誰よりもボリュームがあったわ。でもね……。」
「でも、なんです? ねぇさん?」
立ち止まり自分の足元に目線を落とし、プルプルとこぶしを震わせる姉を心配そうに羽黒は見つめる。」
「ねぇさん……?」
「ウィキならまだマシだったわ……。」
「ねぇさん、まさか、島風ちゃんは……。コピペを……!?」
一呼吸置いて足柄は苦々しく口を開く。
「そう、あなたの考えているとおりよ羽黒。島風はコピペしてきたわ。はやければいいってもんじゃないわよ! しかもウィキペディアで飽き足らず、アンサイクロペディアまでコピペしてたわ。ほんっとに、はやければいいってもんじゃないわよ!」
アンサイクロペディア、それはウィキペディアにそっくりなパロディサイトである。それをコピペして提出したと聞き、羽黒の全身に衝撃が走る。
「さすがに……。」
羽黒の口が重く開く。そしてやっとのことで次の文章が羽黒の口から出てきた。
「さすがにアンサイクロペディアはひどすぎますね。」
羽黒は自分の口元を教材を抱えていない左手で隠す。その手はわなわなと震えていた。
「島風の信長は本能寺の変で殺害されたあと、蘇ってノーベル平和賞を受賞していたわ。しかも、島風のやつ、完全にコピペしてきた証拠に信長のカラー写真と題してキャンペーンで信長に扮したどこかのおじさんの写真まではっつけてきやがったわ。それに、いったいどうしたら寺を焼き討ちした男がノーベル平和賞をとることができるのよ!」
足柄は飢えた狼のように吠えまくった。
「怒るところはそこですか、ねぇさん……。でも彼女はとても個性的ですが決して頭の悪い子でもないんですけれど……。」
「そうね。彼女はかしこいし、仲間思いのいい子よ。この前会敵したとき被弾した吹雪の前に出てダメージを上手く吸収していたしね。」
「でも何度注意してもあの『おうっ!』って返事はなおりませんね。完全に癖になっています。」
「それを言うなら夕立もそうよ。何度注意しても『ぽい』って語尾につけるっぽいし。」
「ふふ、ねぇさんも夕立ちゃんが移っていますよ。ぽいって。」
「うっそ、本当? 嫌だわ、今夜合コンなのに。変な語尾ついてたらまた男に振られちゃうわよ!」
「ねぇさん、今度こそいい男(ひと)見つかればいいですね……。」
受け持つクラスの様子を情報交換がてら話ながら二人は職員室に入る。
自分の机に教材をおろすと足柄はさっそくパソコンを開いて放課後の補講の準備をはじめた。
それを今日の放課後は暇になっていた羽黒がお手伝いする。
「ねぇ羽黒、この地図の中東地域の部分拡大印刷お願いできる?あとはここのデータをこうして、空白部分を作って生徒が考える思考を身につけられるようにっと。」
「ねぇさん、こんなものでいいかしら?」
「えぇ! ありがとう羽黒助かったわ! あとはこの授業用タブレットが、つくったデータをこちらの思惑通りに動いてくれればいいのだけれど……。」
足柄の手にはxPERI@とロゴのはいった超薄型の10インチタブレットが握られていた。
「タブレットを使っての授業はまだ本土でも少ないからここで実績を積み上げたいですね。」
「そうね。本土でも不具合が多かったみたいだから、注意しないとね。羽黒の授業ではまだだったかしら?」
「えぇ、だから今日の補習授業、見学していってもいいかしら?」
「もちろんよ!一緒に授業の腕を研鑽しましょう!」
と、タブレットの動作確認を一通り終えた二人の近くを青年誌を小脇に抱えアロハシャツを着た提督が通りかかった。
「あら、提督。今日も暇そうね。なんなら私の授業変わってくれないかしら?」
「マジか?保険体育しか俺できねぇわ、って、ぶほぅっ!」
筋肉質の引き締まった男の肉体がへしゃげるほどの鋭い蹴りを足柄が食らわす。
「お、おまえ、さすがに股間はねぇだろ……!? 嫁入りまえなのに……!?」
「アホにはそれくらいがちょうどいいのよ。」
痛みで床で悶える提督を前に挑発的、いや、邪悪な笑みを足柄は浮かべた。
「ふふっ、さっきのは冗談よ! 冗談! 私の授業は私じゃないとできないわ! 他人にやらせてなるものですか! え? 島風たちは大丈夫なのかって? 心配しないで! この足柄が補習するんだもの! きっと試験はいい結果になるに違いないわ!」
そういって足柄は先ほどの邪悪な笑みとはまるで違う飛びっきりの笑顔をつくって授業道具を持ち、出来の悪い生徒が待つ放課後の教室へと向かうのであった。
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「おい……誰か、俺を介抱してくれ……。」
このとき多くの艦娘があわれな提督の近くを通りかかったが介抱した者は、ひとりもいなかったという。