足柄先生の猛烈!?時事授業   作:ふみ2016

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~筆者より読者の皆様へおわび~
思ったより筆が乗らなかったため、番外編という形に変更いたします。
時事問題の解説を望んでいた読者の皆様、申し訳ありません。
でもせっかく書いたのを捨てるのももったいないのでこのまま書ききり、残したいと思います。
あくまでオマケ程度に考えて読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いします。




なんてったって一航戦

うぅうぅうぅぅぅぅぅぅうぅぅううう~~

 

鎮守府内にけたたましいサイレン音が鳴り響く。

 

(ついに来たわね……。)

 

いままさに公民の授業をしようとしていた足柄はキッと天を睨む。

 

サイレン音と共にオペレーターをしている大淀の声がスピーカーから発せられる。

 

『深海棲艦大型爆撃機が鎮守府に接近! 深海棲艦大型爆撃機が鎮守府に接近! これは訓練ではない! 繰り返す、これは訓練ではない!』

 

サイレンと放送を聞きおどおどする生徒たち。

 

「も、もしかしてその爆撃機って南方鎮守府を攻撃したやつらじゃ……。」

 

「はわわわ! だとしたらかなりマズイのです!」

 

「ど、ど、どうしよう!」

 

「お、お、お落ち着きなさい! れ、れ、レディはいついかなる時でも冷静、そう冷静なんだから!」

 

(いつも出撃する時にくらべて、みんな動揺してるわね。)

 

それもそのはずか、と足柄は唇をかむ。

 

以前空爆された南方鎮守府配属の艦娘達。

 

南方鎮守府が大きな損害を受けたため彼女達の一部はここに一時配属となっていた。

 

が、そんな彼女達が体験した敵新型爆撃機の攻撃の話がウワサとなって鎮守府全員が聞き知っていたのだ。

 

ウワサほど恐ろしいものはない。正確な情報でないぶん尾ひれがつき、必要以上の恐怖を抱かせる。

 

そんな浮き足だつ生徒たちを前に、足柄は務めて冷静に声を掛ける。

 

「慌てないで皆。まだ爆撃されたわけではないわ。こちらの偵察網が敵を捕らえたから爆撃機が接近しているのがわかるのよ。」

 

それを聞いた吹雪がクラス全体に響きわたるような声で話す。

 

「そうですよ! まだ私達は爆撃を受けていません! 南方鎮守府のようになるとは、まだ決まっていません!」

 

赤城が消えたショックで目の下にくまをつくっていた彼女であったが、強い眼差しで級友を見据えぐっと胸の前で拳を握り締める。

 

「吹雪の言うとおりよ。私達はまだ負けていない。勝負はやってみないとわからないわ。」

 

(このときのために準備してきたんですもの。暴れさせてもらうわ。)

 

足柄のそんな思いがつい顔に出てニヤリと笑ってしまう。

 

「あ、足柄さんは、笑っている……。」

 

「私達にとっては未知の敵も同然なのに……。」

 

ニヤリと不敵に笑う足柄を見た生徒達は徐々に落ち着きを取り戻す。

 

「そうよ! 私達だって足柄さんと同じ艦娘よ! 訓練の成果、見せてやろうじゃないの!」

 

「第6駆逐隊の力、みせてやるのです!」

 

「ハラショー!」

 

先ほどまで慌てふためいていた駆逐艦娘たちがにわかに元気になっていく。

 

「みんな、がんばるぞー!」

 

『おー!!!!!!』

 

そんな生徒達を見て「よし!」と大きく頷く足柄。

 

「全員、戦闘態勢に移行します。所定の配置につきなさい。」

 

『はい!』

 

足柄の指示に従い整然と迎撃に向かう艦娘達。そんな中、足柄はひとりの生徒を呼び止める。

 

「駆逐艦吹雪。」

 

「は、はい!」

 

突然呼び止められた吹雪は声を裏返して返事をする。

 

「あなたは私と一緒に職員室へ来なさい。」

 

「は? いえ、なぜでしょうか? 私もみんなと……。」

 

「ごちゃごちゃ言ってないで一緒にいくのよ!」

 

「は、はいぃぃぃ~~。」

 

吹雪の袖をつかんで足柄は半ば強引に職員室へと連れて行く。

 

(な、なんで私だけ? 赤城さんもいない中、私、どうすればいいの!?)

 

そうこうしているうちに職員室に到着する二人。

 

鎮守府では多くの大型艦種が教職についている。そのため有事の際職員室は作戦司令部としても機能するようになっていた。

 

その職員室もとい作戦司令部を預かる長門が二人を仁王立ちで待っていた。

 

「来たか。」

 

敬礼する足柄と吹雪。

 

「防空巡洋艦足柄、駆逐艦吹雪、参上いたしました。」

 

頷く長門。その周りには加賀、金剛、比叡の三人が直立していた。その末席に二人も加わる。

 

「知っての通り、敵の新型爆撃機がこちらに向かってるとの情報が入った。お前達にはこれを迎撃してもらう。非常に重要な任務だ。」

 

指示を出す長門に対して金剛ばビシっと手をあげ発言を求める。

 

「どうした金剛?」

 

「HEY、長門!? 質問いいデ~~ス?」

 

「手早く頼むぞ。」

 

「その爆撃機をこの面子でどうやってInterceptするデ~~ス? ここにいる加賀ですら手も足も出なかったネ!」

 

金剛の言葉にムっとする加賀だったが、実際南方鎮守府に配属されていたときに深海棲艦の新型爆撃機を防げなかったので反論はしなかった。

 

「その言葉、少し頭にきました。しかし、それが事実であることに変わりありません。一体どうやって迎撃するのですか?」

 

「ひえ~~い! まさかの打つ手なしですか? そんなぁ!」

 

「Oh! My sister 比叡! どさくさに紛れて私に抱きつこうとしないでくだサ~~イ!」

 

(提督もとんでもない面子を主力部隊にするな……。)

 

金剛の脚に頬ずりしようとする比叡を一瞥した長門は目つきをより鋭くする。

 

(や、やばいデ~~ス。長門、So Angryヨ。比叡、はやく私から離れるネ!)

 

必死で比叡を自分の脚から引き剥がす金剛。

 

「でも、本当にどうやって迎撃するのですか? 私の零戦隊はこの鎮守府で前回よりも力をつけていますが、さすがに迎撃高度までは上がれません。」

 

加賀の質問に長門が答えようと口を開けたそのときだった。

 

「打つ手は、あります。」

 

凛としたよく通る声が職員室の奥から発せられた。

 

その声に全員がバッと振り向く。

 

いち早くその声の持ち主が誰か理解したのは、吹雪だった。

 

「そ、その凛とした声。まさか、まさか……。」

 

吹雪が両手を頬にあてカッと目を見開く。

 

コツコツと長門たちに向かって歩いてくる声の主。

 

白色の第二種軍服を着こなし、その背にはライフルが。

 

肩の飛行甲板は木目調ではなく、装甲板をはったかのように鈍く輝く。

 

だが弓を射るときの弦のようなギリリとしたその眼差し。

 

そして美しい黒髪。

 

そんな艦娘はこの世にたった一人。

 

「みなさん、お久しぶりですね。」

 

大粒の涙を浮かべ喜ぶ吹雪。

 

自分達の知っている衣装でないその姿に驚く加賀、金剛、比叡、足柄。

 

そしてその反応をみた長門がフッと笑う。

 

「赤城さん!」

 

そう叫び吹雪は赤城に思いっきり抱きつく。

 

そんな彼女の頭を愛おしそうに赤城は撫でる。

 

「赤城さん……、ひっく……、赤城さん……。」

 

「吹雪さん。突然いなくなってしまって本当に申し訳ありませんでした。」

 

「いいんです。いいんです……。赤城さんが帰ってきてくれただけで、吹雪は幸せです……!」

 

「ひえ~~い! でも、赤城さん、本当にどこに行っていたんですか? それに、その姿は?」

 

その質問に答えるように赤城は左腕で吹雪を抱きながら長門に敬礼する。

 

「航空母艦赤城、近代化改装及びその戦力化を完了いたしました。いつでも出陣できます。」

 

「ご苦労だった、赤城。ま、こういうことだ皆。」

 

「ふぅっ! これでやっと秘密じゃなくなったわけね。肩の荷が下りたわ。」

 

「足柄、知ってたデ~~ス!?」

 

「怒らないでよ! 万が一、敵に赤城の情報が漏洩するとまずいってことで秘密だったんだから!」

 

「なるほど、赤城さんがいなかった理由は改装のためだったのですね。理解しました。で、肝心の作戦は?」

 

手をあごにあて加賀が長門に尋ねる。

 

長門は無言で頷き、作戦を伝える。

 

「今回の迎撃任務、旗艦は赤城。赤城より発艦する新型戦闘機を以って敵爆撃機を撃滅する。」

 

「ちょ、ちょっと待つデ~~ス! 敵は高高度を飛んできマ~~ス。そんな敵を倒せる装備を赤城はしているんデスカ?」

 

赤城は金剛の目を見てゆっくりと頷く。

 

「わかったネ。今回の旗艦、赤城で文句なしネ。」

 

「では続けるぞ。加賀は戦闘機隊をあげて敵機迎撃に向かう赤城戦闘機隊を援護する。さらに空母護衛に戦艦金剛、比叡、そして防空艦として足柄、吹雪をその任に当てる。以上だ。武運を祈る。」

 

「なるほど、赤城さんの持つ新型戦闘機、それが今作戦の肝ということね。以前の恨み、ここではらします。」

 

「やってやるデ~~ス! 全力で赤城を援護するネ!」

 

「お姉さまに恥はかかせません! 金剛型二番艦比叡、全力でいきます!」

 

「魚雷までとっぱらったのよ? 飢えた狼の実力、みせてあげるわ!」

 

「赤城さんは、赤城さんは私が守ります!」

 

全員の言葉を受け、赤城がその気持ちをまとめるように長門に敬礼して出撃の挨拶をする。

 

「一航戦赤城、出撃します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

深海魚のように独特で、それでいて禍々しいそのフォルム。

 

ガガガガガガガという大きなプロペラ音がまるで空の王者のごとく強烈に自己主張する。

 

その数はそれほど多くはない。が、とにかく巨大だった。

 

その巨体が、雲をはるかに突き抜けた高高度、超空と呼ぶに相応しい空を我が物顔で飛ぶ。

 

これこそ深海棲艦が送りだしたまさに空の悪魔であった。

 

その空の悪魔を護衛するため、深海棲艦戦闘機隊が中高度を飛ぶ。

 

まさに悪魔の使いといった具合である。

 

悪魔を護衛する彼らは、いつもの空母発艦ではなく、本来であれば作戦圏外の地域からの出撃であった。

 

故に、その燃料に余裕はまったくなく、一戦したら使い捨てのように墜落し、救助もされないことになっていた。

 

しかし、そんなことは深海棲艦にとってどうでもいいことだった。

 

そう、目的が完遂するのならば、仲間の命なぞ知ったことではない。

 

彼女らの目的。

 

そのフレーズを飛行中、すべての悪魔達がささやき続ける。

 

「ニンゲン共。哀レナ者ドモ。欠陥品ドモ。我ラヲ恐レ、我ラニヒレ伏セ。」

 

そしてひときわ大きく唱和する。

 

『我ラノ恨ミ溶ケキルマデ。』

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