足柄先生の猛烈!?時事授業   作:ふみ2016

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とりあえず書いたものを投稿します。
テーマは家庭用ロボットです。
いつもどおり今回は序章になります。また、今回はある作品とクロスオーバーしています。
「ババン!バン!とバトルだ!」


第五斉射 小さなレディとポンコツ勇者 『テーマ:家庭用ロボット』~連載中~
暁と謎の漂着物


武道の稽古には特別な稽古方法がいくつか存在する。

 

まずは「朝稽古」。文字通り早朝、体がまだ睡眠から完全に覚醒していない状態で稽古をすることである。

 

次に「寒稽古」。これもその名の通り冬の寒い時期にあえて暖房などをいれずに稽古場あるいは野外で稽古をすることである。

 

どちらも「特別」な稽古方法であるわけ。

 

それはどちらの稽古方法も”とても”つらいから特別なのだ。

 

もちろん、つらい稽古をこなすことで心身ともに頑強になるという目的があるから行うのであって、何の意味もなく行っているわけではない。

 

ここ鎮守府のとある部活動では今まさに「朝」稽古と「寒」稽古を同時にこなしている真っ最中であった。

 

「ほら、あんた達~~! まだ浜辺を10往復しただけよ! この程度でへこたれてるんじゃないわよ!」

 

竹刀をもった足柄が地面をバシバシと叩きながら生徒である艦娘達を叱咤する。

 

「ひ、ひぃ~~! 狼よ! 飢えた狼がここにいるわ!」

 

ぜぇぜぇと息を切らしながら鬼のように自分達をしごく足柄に文句を言う暁。

 

「そ、そんなことを言ってはダメなのです、暁ちゃん……。はぁはぁ。」

 

「ボリズィニイィ(つらい)……。」

 

「そんなこと言ったって、まだ朝日も昇っていないのよ。はぁはぁ。その上、昨日の雪がまだ残っている中で稽古するだなんて……。」

 

「た、たしかに寒いのです……。はぁはぁ。」

 

「ドゥバ(キツイ)……。」

 

「で、でもあんまりしゃべってちゃ……。」

 

そう言い掛けた雷がちらっと足柄を見る。

 

すると足柄はニコっと笑みを投げかけてきた。

 

(やばい! これは……殺られる!)

 

そう第六駆逐隊の面子が思った瞬間、竹刀を振りかざして足柄が猛ダッシュで襲い掛かってきた。

 

「あんた達~~! しゃべってる暇があったらもっと根性いれなさい! 私が根性ぶちこんであけるわ~~!」

 

「ぎゃ、ぎゃ~~! 狼、いや鬼よ! このままだと鬼に噛み付かれるわ! だ、第六駆逐隊、散会!」

 

「に、逃げるのです!」

 

「仕方ないわね!」

 

「了解、響、戦域を離脱する。」

 

そう言った第六駆逐隊はまるでいつも練習しているかのように足柄に対して華麗に四方に散っていく。

 

「こ、こら~~! あんた達、なんで逃げるのよ! とっ捕まえていつもの10倍、稽古させてやるんだから!」

 

「それが嫌だからこうして逃げるのよ!」

 

「怖い! 足柄先生怖いのです!」

 

「チッキー(逃げろ)!」

 

「み、みんな武運を祈るわ!」

 

先ほどまで息切れしていたとは思えないほどの脚力で足柄から逃げていく駆逐娘たち。

 

「こんなに体力が残っているなら、まだまだ稽古ができそうねぇ! あ~~か~~つ~~き~~!」

 

「ひ、ひぇぇぇぇぇい! なんで? なんで暁を追ってくるのよ!」

 

「逃げてばかりいると立派なレディにならないわよぉぉぉぉぉお!」

 

「いつまでも結婚できないでいる足柄先生に言われたくないわ!」

 

「なにぃぃぃぃ! もう許さないわよぉ、暁ぃ!」

 

見るものを震え上がらせる形相で暁を追う足柄を一目だけチラっと見た暁は

 

(逃げなきゃ! 逃げなきゃ! 逃げなきゃ!)

 

と身も心も大泣きしながら大声で叫んだ。

 

「さ、最大戦速!」

 

「あ、ちょ、ちょっと! 暁!」

 

足柄の声が届かないほどの速さで暁は浜辺の奥に猛烈な速度で消えていった。

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ。こ、ここまで来ればもう大丈夫……よ……ね?」

 

全速力をだして足柄を振り切った暁が息切れしながら浜辺に腰をゆっくりおろす。

 

「も、もう、だめ……! さすがの暁も、もう、もう限界よ……!」

 

深呼吸をしながら、ぼんやりと海を見る。

 

「そういえば、いつも海のそばで生活しているのに、じっくり海を眺めたことってなかったわね。」

 

暁の息が整っていくのにあわせるかのように太陽がゆっくりと昇っていく。

 

朝日がそこに生きるすべての者に平等に降り注ぐ。

 

「きれい……。」

 

自分でも気づかないくらいポツリと出たその言葉は、今の光景をあらわすのにそれ以上必要がないくらい洗練されているように思われた。

 

「ん? なにかしら?」

 

呼吸が整った暁が朝日に照らし出される浜辺に何かが打ち上げられているのに気がつく。

 

「結構大きいわね。人間と同じくらいかしら……って、人間!?」

 

まさか!?と思い駆け出す暁。

 

深海棲艦が現れてから、海上で命を落とす人間の数は増加した。そのため、このような形で陸地に帰ってくる者も少なくない。

 

しかし、全員が全員死んで戻ってくるとも限らない。

 

だから暁は大急ぎで人間と思しき漂着物に向かっていった。

 

「ちょ、ちょっとあんた、だいじょう……ぶ?」

 

打ち上げられていたものを見て暁は言葉を失った。

 

確かに人型である。

 

小柄な暁と大きさは同じくらいだろ。おおよそ140センチ前後である。

 

だが、足は固そうな四角い装甲で覆われ、両腕からは銃身が覗いている。

 

金属光沢を光らせるそのボディには大きな傷がいくつか確認できた。

 

損傷した箇所から電線が飛び出しており、痛々しい。

 

そして頭部はカブトムシのような特徴的な意匠のヘルメットをかぶり、全身が黄色で塗装されていた。

 

そう。この漂着物は人間ではなかったのだ。

 

「ろ、ロボット?」

 

暁が浜辺でみつけた打ち上げられていたもの。

 

それはまごうことなく損傷したロボットだった。

 

「こ、壊れているのかしら……。って当然よね、だって電線が飛び出しちゃっているんだもの。」

 

そう言ってロボットをつんつんと指でつつく。

 

「ん? なにかしら、これ?」

 

ふとそのロボットの傍らにもうひとつ漂着物があることに気がつく。

 

「時計? ううん、時計だけれど、時計じゃない? スマートウォッチ?」

 

付着している砂をはらってみると液晶画面の大きな時計であった。

 

(け、結構かっこいいじゃない……。)

 

そう思いためしに腕につけてみる暁。

 

「えへへ。ちょっとゴツイけれど、少し大人っぽくなったかしら?」

 

少しきどったポーズをとってみる暁。そのときだった。

 

『ビービービービービー!』

 

「な、なに? なんなの?」

 

けたたましい音が暁の身に着けた時計から鳴り響く。

 

思いも寄らないことに驚く暁。

 

「ピーピーピーピー! メダロット損傷甚大! メダロット損傷甚大! スラフシステム最大稼動! スラフシステム最大稼動!」

 

「な、なに!? 一体なんなのよ!? メダロット? スラフシステム? え? え!?」

 

時計の音声に呼応するようにロボットの各部からブシューッと煙があがる。

 

「あ、暁、何もしてないのに、なにがどうなっているの!?」

 

ガチャン、ガチャン、ガチャン……。

 

煙の中で機械音がするのが聞こえる。

 

ガタ、ガタ、ガチャン、ブシュー!

 

「ひ、ひぇ……!」

 

怖くて地面にお尻をついてしまう暁。

 

「ピーピーピーピーピー!」

 

時計は大きな音を鳴り止ませることなく騒ぎ立てている。

 

未知の恐怖におびえる暁を気にする様子もなく、煙の中では変わらず機械音が発生し続ける。

 

しばらくすると、

 

ガコン!

 

とあきらかに今までとは違う音が聞こえた。そしてふいに止まる機械音。

 

「?」

 

大声で喚きたてていた時計もまるで何事もなかったかのように静まり返る。

 

「いったい、どうしたっていうの……?」

 

煙に包まれたままのロボットからじりじり距離をとる暁。

 

そのロボットのほうから声が聞こえ、暁は驚きの極地に達した。

 

『いやぁ、寝た寝た。うん? ここはどこだ? おーい、イッキー?』

 

煙の中でロボットが上半身を起こしたのを確認した暁は怖くて声が出せなかった。

 

『まったく、仕方のないやつだな。よっこらしょっと。』

 

ガキョン、と音を立てて立ち上がり煙の中からでてくるロボット。

 

見つけたときに暁が確認した損傷はすっかりなくなっていた。

 

「んあ? 本当にどこだ? ここ? 俺はイッキと一緒にロボロボ団と戦っていたはずだが……?」

 

「あ、あ、あ……。」

 

「ん? お、いいところに人がいやがる! おい、そこのチビ!」

 

「ち、チビじゃないわよ! 私はレディよ!」

 

と、”チビ”という言葉に思わず反応してしまう暁。叫んだことで少し恐怖心は緩和された。

 

「あぁ? チビをチビって呼んで何がわりぃんだ?」

 

「誰がチビよ! あんたこそこんなところでぶっ倒れていて、とんだ”ポンコツ”ね!」

 

「な、なにぃぃぃぃ!」

 

ガション、ガションと音をたてて怒りながら暁に向かってくるロボット。

 

(ひ、こ、こっちに向かってくる。どうしよう、どうしよう、どうしよう……!)

 

「面~~!」

 

ばこん!と大きな音をたててロボットに竹刀で面を打ち込む足柄。

 

「あ、足柄先生……。」

 

半べそをかきながら足柄に駆け寄る暁。

 

「暁ちゃん、大丈夫だったのです?」

 

心配そうに暁を取り囲む第六駆逐隊一同。

 

「うん。うん。暁は大丈夫。みんなはー。」

 

そう言って暁は周りをみる。

 

そこには足柄に暴力的にとっつかまったのであろう、ボロボロな姿の仲間達がいた。

 

「みんなこそ大丈夫?」

 

「暁、あなたも強化稽古よ。」

 

そう楽しそうに笑う足柄に

 

(やっぱり助かってなかったわ……。)

 

と意気消沈する暁。

 

「ビービービービービー。」

 

「ん? なんの音?」

 

足柄が突然聞こえてきた音に怪訝な顔をする。

 

「あっ、これ……。」

 

腕につけたまだったおかしな時計に目を落とす。

 

「暁、なんなのよこれ?」

 

「はらしょー。」

 

「ビービー頭部ダメージポイント100、機能停止、機能停止。」

 

「どうやらそこに転がっているロボットに関係があるみたいね。」

 

足柄が竹刀で指した先を見る一同。

 

そこには目を回して倒れている哀れなロボットの姿があった。

 

「い、イッキ、一体どこにいやがるんだ……?」

 

「はわわ! どうするのです? なんだかこのロボットさん、かわいそうなのです。」

 

「そうねぇ、とりあえず、夕張のところに運んでいって調べてもらうのがよさそうね。みんな、運ぶの手伝って!」

 

『はい!』

 

こうして謎のロボットは鎮守府の研究所に送られることになったのだが……。

 

「あ、この時計、夕張さんに渡すの忘れちゃったわ。どうしよう。」

 

うーん、と自室で時計をにらみながらしばらく考える暁。

 

「ま、いっか。あとで渡しにいこっと。」

 

と言って自分の部屋の机の上に置いた。

 

『ピーピーガーガー、おーい、誰か、俺をたすけてくれー。』

 

暁が時計から助けを求める声がするのに気づいたのはその日の夕方であった。

 





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