艦これ改漸く手に入ったので遊んでたら執筆時間少なくて焦った焦ったw
八日目 夜
「今日は体調がまだ回復し切って無いでしょうから、ゆっくりしてて下さいね。」
そうアルトリアに言われ、士郎はこうして早めに自室で休んでいた。
のだが…
(何か…すごいムラムラする…。)
そうなのだ。
昨夜の影響なのか、夕飯からこちら、体内に凄い熱が溜まり、今にも外に出ようと暴れていた。
(静まれ鎮まれ…ってかオレ、これじゃ猿みたいじゃないか…。)
みたいじゃなくて、昨夜の激しさを考えればまるっきり発情期そのものである。
(取り敢えず、落ち着こう。これじゃまた皆に笑われる。)
魔術の鍛錬をイメージし、身体を一つの機械に見立て、己の不調を解明する。
とは言え、今現在のそれは不調ではなく、あくまで本来あるものが多少強調されているに過ぎない。
また、幾ら衛宮士郎が解析に優れているとは言え、解決出来るわけではない。
強引に回路に魔力を流す事で薬の効果をある程度押し流す事は可能だが、純粋な薬草学で作られた媚薬(判断力の低下や興奮、精力の向上等)を打ち消す事は出来ない。
そうこうしている内に、不意に襖の向こうから声がかけられた。
「先輩、起きてます?」
「あ、桜か?すまん、今はt「入りますね。」」
言い切らせずに、桜は士郎の寝室に入り込んだ。
その姿は普段の寝間着姿であるのに、何故か普段よりもボタンを一つ多く外していた。
しかも、風呂上がりなのだろうか、その髪は全体的にしっとりとしていて、肌も薄桃色に染まり、その顔も普段のおっとりとした様子とは異なり、何処か覚悟を決めている様な、そんな印象を受けた。
「さ、桜?何で…」
「先輩、私、先輩に夜這いに来ました。」
「…………はい?」
後輩であり、親友の妹だと思っていた相手からの告白に、士郎の思考は停滞した。
その不意を突く様に、桜は士郎を布団の上に押し倒した。
「セイバーさんからも了承は受けてますから、安心して下さい。」
「な、だ、ちょっと待て桜!全然意味が…」
「女に恥をかかせないでください!大丈夫、天井のシミを数えてたら終わりますから…!」
「いやだから人の話聞けよ!?」
何故にあの大人しかった桜がこんな肉食獣にジョブチェンジ!?
(いや、桜ちゃんは割と最初からこんな感じだったよ?)
(五月蠅ェぞ謎の切嗣ボイス!)
等と混乱で脳内一人コントをしてる間に、あっと言う間に桜にマウントを取られてしまった。
だがしかし、こちとら本格的に鍛錬を積んでいる男子である。
マウントを取られようが、余り鍛えていない年下の女子に完全に抑え込まれる様な事は無様は出来ない。
だが、士郎が桜の両腕を何とか片腕で頭上に抑えつける事に成功し、話をしようと桜の顔を見た時、本日で一番の驚愕する事態に出くわした。
「桜、泣いてるのか?」
「う、ぅぅ~~…!」
ぽろぽろと、桜は涙を流していた。
桜が泣いた所を見た事は無い。
いつも微笑んでいるか、怒っている事を示そうとする様な愛らしい表情しか、見た事が無かった。
だがこの夜、士郎は彼女の本当の顔を見ていた。
「せ、せんぱいはっ、やっぱり、わたじがぎらいなんでずか!?」
「ち、違うんだ、そうじゃない。オレにはもうセイバーが…。」
「やでず!わだじのほうがざきだっだんです!わだじがさぎにせんばいがすぎだったんです!」
泣きながら告げる桜に、士郎はどうする事も出来なかった。
ただ、一人の男として、好いてくれる女に向き合おうと決心し、拘束を解いた。
「オレも、桜が好きだ。」
「ほん、ど?」
「うん。でもオレ、もうセイバーと…。」
「しってます。でも、せいばーさんはさくらならよいって…。」
「マジかよ。」
段々調子が戻って来たのは、言葉遣いが普段のそれに近づいてくる。
とは言え、今の衝撃的な言葉は問い質さねばならない。
「セイバーがどうしてそんな事言ったか分かるか?」
「私は、帰らないといけないからって…それで、先輩を側で支えてほしいって…。」
「っ、あのバカ…。」
英霊たるアルトリアは聖杯戦争が終われば帰らねばならない。
そして現状、大聖杯を破壊する可能性が高く、彼女は二度と召喚される事も無い。
それはつまり、二度とアルトリアと再会出来ない事を意味していた。
「桜は、それで良いのか…?」
「先輩が何を考えてるのか、ちゃんと分かってます。でも、私はそれでも十二分なんですよ。」
「っ、二股とか最悪な男だろ!?」
「それでも」
士郎の自己嫌悪の言葉を止める様に、桜は口を開いた。
「私みたいな汚れた女でも、貴方が大好きなんです。」
「桜?」
ぎゅぅ、と桜が士郎を抱き締める。
その手は僅かに震えていて、その様はまるでこれから裁きを受ける罪人のそれだ。
「私、処女じゃないんですよ?10年以上前に魔術の鍛錬だって奪われて、それから今まで何度も…。」
「桜」
「もう数え切れない位に汚されて、もう小さな頃の私だった所なんて無くて、誰も助けてくれなくて…っ。」
「桜」
「でも、そんな時に先輩に出会えて…貴方の優しさと藤村先生の明るさが嬉しくて…!」
「桜ッ!」
士郎が強引に桜の話を止めた。
口と口、互いのそれを合わせる事で強制的に中断させた。
「良いんですか、先輩?私、汚いですよ?」
「桜に汚い所なんて無い。そんなに家の事が嫌だってんなら、オレが桜を守る。これでもセイバー達に鍛えられてるし、大昔の英雄にだって勝ったんだぞ。魔術師の一人や二人、今更だ。」
「もう、先輩ったら本当に…。」
ぽろぽろと、桜がまた涙を零す。
それは汚れた自分を惚れた男が受け入れてくれた事への、喜びの涙だった。
「先輩…うぅん、士郎さん。私も抱いて下さい。セイバーさんみたいに、思いっきり。」
「良いのか?多分、加減できないと思う。」
「良いんです。だって…」
貴方の事を私に刻み込んでほしいんです。
耳元で静かに囁かれたその言葉に、士郎の理性は破壊された。
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九日目 朝
ちゅんちゅん、と早朝の雀の声が聞こえた。
カーテンの隙間から注ぐ日光が暖かく室内を照らす。
照らした先の光景は…何と言うか、凄まじかった。
室内に充満する程の性臭、何を拭いたのか粘ついたティッシュで一杯になったゴミ箱、辛うじて身体に掛かっている湿った布団、そして布団の中で眠る汗だくの裸の男女。
どう見ても濡れ場の翌朝の光景だった。
そこに、スッと僅かに襖を開けて様子を見る者がいた。
サーヴァントセイバー、真名をアルトリア・ペンドラゴン。
この事態をお膳立てした女である。
(どうやら上手く行った様ですね…。)
そして、不意に布団の中、士郎の腕の中で薄らと目を開けている桜と視線が合った。
(ありがとうございますセイバーさん!)
(えぇ、大願成就おめでとうございます桜!)
互いにぐっ!と親指を上に向けて健闘を讃え合う姿は、共に困難に挑んだ同士としてか、それとも同じ男を好いた女としてか。
何れにせよ、此処に対衛宮士郎共同幸福戦線は構築されたのだった。
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冬木市内のどっかの路地裏
「ハッ!?何か桜の傍で愉快な事が起きている予感が!」
霊体化を解いた紫髪の女性、ライダーが天に向かってそう叫んだ。
一体パスから何を受信したんだこの女。
「く、このままではその様を私が目撃できません。何とか早く合流せねば…!」
暫くアーチャーとセイバーという今回の聖杯戦争でも他に見ない高相性の二人に狙われ続けた彼女は、魔獣に成りかけ故に強まった生存本能を十全に生かし、全力で逃げ隠れしていた。
だがしかし、此処で己の中の女神としての人で楽しむ愉悦成分が鎌首をもたげてきてしまった。
「待っていて下さい桜!私は貴方の味方ですよ!」
この後、路地裏でぐっと拳を握って叫ぶ眼帯痴女スタイルの外人の美少女と言う新しい怪談が冬木市で生まれた。
次回からはシリアスに戻ります。
さぁ充填完了した我様の出番ですよ!