騎士王が兜に王位を譲る話   作:VISP

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空白期その1 我様ルート続編

 

 

 泥を浴びたアルトリアは、共に受肉したギルガメッシュと共に現在は冬木教会で慎ましく暮らしていた。

 

 「ふぅ……。」

 

 パタパタと黒い衣装のまま駆け回って掃除洗濯をテキパキとこなす姿に、暴君としての面影は無い。

 否、寧ろこの姿こそが王となる事の無かった、極普通の女性のアルトリアなのかもしれない。

 

 「おねーちゃーん!お歌歌ってー!」

 「こらこら、ダメですよ、いきなり飛びついては。」

 

 背後から飛び掛ってきた幼子を驚く事もなく抱き止める。

 その姿は正に慈母であり、彼女が暴君である等と言われて信じる者はいないだろう。

 

 「王様がねー、おねーちゃんがお歌もお上手って教えてくれたのー!」

 「全く、あの人ったら…。」

 

 困った様にアルトリアは頬に手を当ててため息をついた。

 こうして自分だけでなく、態々他人を嗾けてくるのだから困ったものだ。

 

 「じゃぁ、今からおやつですから、その時に歌ってあげますね。」

 「はーい!

 

 軽い足取りと共に、幼児が廊下を楽しげに駆けていく。

 災害孤児。

 半年前に集結した第4次聖杯戦争、その最後の大惨事に巻き込まれた者達の生き残り。

 生き残った者、分けても子供の数は極少数だが、それでも確かにそうした者達は存在する。

 この教会では現在孤児院を併設しており、建物の完成までは子供達はこの教会で暮らしている。

 だが、それが解せなかった。

 

 (魔力を私が提供する限り、この子達が魔力生産機に加工される事は無い。だが何故教会に住まわせる?)

 

 英雄王は子供好きだが、衣食住の手配の他、彼らを自分に世話させる等、度が過ぎている感がある。

 魔力こそ体液交換を通して、自身の生産するそれを供給しているからこそ潤沢だが、ならば子供らを養う意味は無い筈なのに…。

 

 (まぁ良い。小聖杯は一度は失われたとは言え、10年後にまた開催される。その時こそ…。)

 

 ギシリ、とアルトリアの戦意に大気が軋む。

 ギルガメッシュの妃となる代わりに、聖杯を得る(破壊する)。

 全ては人類の滅びを回避するためであり、それ以外の私情は無い。

 

 「なんだ、此処にいたか。」

 

 そうして改めて覚悟を決めている所にその気配に釣られたのか、ギルガメッシュが現れた。

 

 「貴方でしたか…。そろそろオヤツにしますので居間、に!?」

 

 何の前触れもなく、ギルガメッシュはアルトリアの血の気の薄い唇を奪った。

 

 「ん…く…ん!」

 

 更に無理矢理アルトリアの細腰を抱き締めながら、口付けをより深く濃密なものへとしていく。

 

 「…ッ…こ…いい加減になさい!」

 

 だがそれも、低出力の魔力放出で無理矢理突き飛ばされる事で強制的に中断された。

 

 「昼間から何を盛っているのですか!?ここは神の家、清廉に暮らすべき子羊達の住処なのですよ!」

 「ハハハハハハ! その割には随分と色気のある声だったぞアルトリア!」

 

 言われなくても彼女自身が分かっていた。

 耳も頬も上気し、瞳は潤み、手足に力が入りにくい。

 触れ合うだけのキスなら兎も角、既に妃として幾度となく抱かれた自分ではあの様な口付けをされてしまったら、どうしようもなく身体が火照るようになってしまった。

 

 「何、剣気を振り撒いていては子雑種共が怯えよう。我はそれを防いでやっただけ、寧ろ感謝してほしい位だぞ?」

 「ぐぐぐ…仕方ありませんね。」

 

 ふいと火照った顔を反らしながらつれない反応をするアルトリアに、ギルガメッシュは心底愉しそうに笑っている。

 この男は今の反応があくまで照れとプライドから来るものであり、自分の女になったアルトリアがどれだけ反抗した所で、己を完全には切り捨てきれないと過不足なく理解しているからだ。

 

 「フゥーー…。」

 

 呼気と共に、アルトリアは自身に熾り始めた火を追い出す。

 こうした心と身体を離す身体制御は王であった頃、為政者として培ったものだ。

 こうでもしないと自身の動揺が呆気なく漏れてしまい、家臣や政敵に伝わってしまうからだ。

 

 「そらっ」

 「ひゃぁぁ!?」

 

 が、その時に目を瞑っていたのが仇となり、ギルガメッシュが再度するりとその腰の下、尻と背の境目を撫で上げてくる。

 

 「だから昼間から何をしてるんですか!?」

 「わはははははっ!」

 

 笑い声と共に駆け去っていく悪童染みた悪戯をしていったギルガメッシュを、今度は許さぬと怒りで顔を真っ赤にしたアルトリアが追跡する。

 サーヴァントとしての超人的な身体能力を駆使したおいかけっこは、小一時間程続けられることとなる。

 

 

 

 

 

 

 「おねぇちゃんもおうさまもラブラブだねー。」

 「うむ、全くだ、」

 

 その頃、言峰神父は子供らと共にアルトリアのお手製の料理を存分に堪能していた。

 

 「ファーザー言峰、本当に私達で全部食べて良いんですか?」

 「何、構わんとも。二人共大人なのだ。程好く切り上げるか、自分達の分は何とかするだろう。」

 「はぁ…。」

 

 戦後処理のため、まだ滞在中のスタッフにまで非常に美味なオヤツを提供する事で、結構な量があったオヤツもドンドン消費されていく。

 

 (これであの二人が帰る頃には無くなっているな…愉悦ッ!)

 

 自身の欲のためなら、人類最古の英雄王すら利用する。

 歪み無く愉悦部員の言峰綺礼だった。

 

 「いいかね諸君、アレがツンデレバカップルというものだ。君達が将来伴侶となる相手を見つけた時、あのようにならないように注意したまえ。」

 「「「「「はーーーい!」」」」」

 「うむ、元気があってよろしい。ではこの最後のフレンチトースト(アイス付き)は君達に進呈しよう。」

 「「「「「わーーーい!神父様ありがとーー!」」」」」

 

 (良いんでしょうか?) 

 

 こうして二人のオヤツは子供達の胃袋へと消えた。

 

 

 

 

 

 翌日

 

 「おねーちゃん、どうしてあるくのゆっくりなのー?」

 「な、何でもありませんよ。ちょっと足を挫いただけですから。」

 「「ぷくくく…。」」

 




Q1、どうして子供達と同居?
A1、羞恥プレイと一般生活へ戻るためのリハビリの一環です。

Q2、さくやは?
A2、おたのしみでしたね。
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