帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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何かネタを書かなくてはと思い考えたネタです。
ネタバレが混じっておりますので読まれている方で、ネタバレがお嫌いな方は飛ばしてください。



マリーベルの気持ち

 

 

 小ネタ マリーベルの気持ち

 

 

「んがぁぁぁ、んがぁぁぁ」

 

 V.V.邸の居間。この誰も居ない時間帯に、二人の人物が居た。

 

 パチンコで負けて、望みの綱として、丁度来訪していたランペルージグループ社長。

 

 シャルル・ランペルージ社長を相手に、財布の中身全部勝負で、スピードとポーカー勝負を挑み。

 

 結果として全財産をシャルルに巻き上げられてしまったのはそう。

 

 この不貞不貞しく居間を占拠しながら眠る。

 

 茶髪を逆立て、顎髭を生やし、身体にフィットしたジーパンと紫のTシャツに身を包む、日本人の青年、玉城真一郎であった。

 

 シャルルの護衛で艦隊を動かし、日本まで来ていた、あるお姫様は。

 

 そんな居間に眠る青年の頭を自分の膝に乗せてあげていた。

 

 本来は空の人と成り、世界中を飛び回らなければない彼女。

 

 超巨大テロ組織白い翼と、その参加のテロ組織を相手取って戦わなければならないのだが。

 

 シャルルが日本を訪れる際には休暇が出される事があり、シャルル護衛艦隊に混ざって行動することもある。

 

 シャルルが久しぶりに娘に会いたいという個人的な希望もあって。

 

 そのシャルルは今、嶋田邸に赴いている。政治の話ではない、主に商談の話なので、かつての嶋田政権の元閣僚数人や、彼の世界四大企業の一つ倉崎重工の倉崎翁が参加している話し合いらしい。

 

 警護にはシャルルが皇帝と分かってしまうような布陣、ナイトオブシックス――アーニャ・アールストレイム卿、ナイトオブテン――ルキアーノ・ブラッドリー卿が付き。

 

 嶋田繁太郎元宰相側にはナイトオブトゥエルブ――モニカ・クルシェフスキー卿、陸軍から藤堂鏡志朗と四聖剣が付くという徹底ぶり。

 

 ランペルージ側からは技術顧問としてロイド・アスプルンド伯爵。

 

 その助手セシル・クルーミー女史が参加し。

 

 倉崎側からは技術顧問として倉崎の最先端技術開発部主任と、ラクシャータ・チャウラー顧問が参加。

 

 かなり大きな商談らしく、皇族ではV.V.皇兄殿下にしてランペルージグループ会長が参加しているのみ。

 

「何のお話を為さっているのでしょうね? 兄さま?」

 

 お姫様は、白雪姫のように眠る玉城真一郎の頬を撫で、逆立つ髪を撫で、彼の唇に口付ける。

 

 白雪姫は起きない。まるで、まるでそう、あの時のよう。

 

 白雪姫であるこの人と、王子である私が再会したときのよう。

 

 あの時のように、もう二度とお起きに成られないのではといった不安が、今以て拭えない。

 

 あの時から、王子は更にテロと南天を憎むように成った。

 

 

 

 

「白い翼――南天……」

 

 この世界の平穏を乱す敵、わたくしと、お母さまと、ユーリア。多くの騎士や使用人達を一時生死の境に落とした、あの火事と爆発。

 

 忘れない――『キミは資格を持っているのだ選択の数だけ時間と未来は生まれる さあ、選択の時だァ? くふふふっひゃーっはっはっはっはっはァァァァ!!!』

 

 影に隠れた容貌の奥、目の位置に輝くは虹色の双眸。鳥のような羽ばたきを持つ虹色の、二つの瞳。

 

 眼鏡を掛けていた、白衣の男。見たことも無い銃を持つ白い頭巾を被った二人の男を従えて、わたくしたちの宮殿を焼失させた男。

 

 あれはきっと夢じゃない。お父様を悩ますテロリスト。そんな生易しい物ではない、あれこそがきっとこの世界の敵。

 

「南天のか――」

 

 口に出してはいけない言葉を出しかけたとき、わたくしの膝の上で、熱源体がごろんと寝返りを打った。

 

 兄さま、ああ、兄さま、わたくしは、王子はあなたをお慕い申し上げております。

 

 もう二度と、あの様な目には、合わさないと。衣服をまさぐり上げると、ほっそりとしながらもたくましい身体の一カ所に、大きな弾痕の跡がある。

 

「……ヴァーチャーズ、キル・ワーカー……」

 

 裏世界では名を知らぬ者が居ないと言われるほどの、スナイパー。

 

 麻生良太郎大臣は動かれた。

 

『調子くれた糞ガキの始末は任せろ』

 

 そう言って辻卿の命令の下、正確を期すなら静かな怒りで有り、世界を破壊してしまうような恐ろしい怒気を発していた嶋田閣下の御命令で。

 

 あの日はそう、お祝いの日だった。わたくしの、わたくしだけの秘密のお祝いの日。

 

 ネッサローズで、グリンダ艦隊でこの盟邦大日本帝国へと降り立ったときから、その瞬間だけを待ち焦がれていた……。それが……。

 

「兄さま、兄さまは必ずやこのわたくしが御守り致します。ですから……、ですから、どうか今は安らかに」

 

 今、王子たるわたくしは、グリンダ騎士団の正装でも、外出用のワンピースでもない。

 

 左胸に紫の薔薇のコサージュを付けた白い上着と、金の髪留めで大きく一つに纏めた髪に白い帽子、タイトなスカートの赤い衣服に、焦げ茶色のソックスといった姿。

 

 社長令嬢マリーベル・ランペルージの姿であり、視察に赴くとき様のマリーベル・メル・ブリタニアとしての装い。

 

「兄さまにこの姿をお見せしたかったのに」

 

 兄さまは深い眠りに就いている。こういうときの兄さまは起こしても起きないこと、わたくしはこの僅かな時間で与り知りました。

 

 疲れて眠っている兄さまを起こすつもりもない。

 

「兄さまがお起きでしたらば。そして、いつもとは違うわたくしの姿をそのお目に焼き付けていたら、どの様な御反応を為さっていたのでしょうか」

 

 愛しております兄さま。永久に愛しております……。

 

 マリーベル・メル・ブリタニアは、あなた様への永遠の愛をここにお誓い申し上げます……。

 

 そっと、静かに唇を重ねる。

 

 寝息しか出ていない、いびきを搔いているその口に。

 

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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