帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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時間軸は無視してください。モニカさんの嶋田さんの呼び方から判断していただければ。平和な時間軸です。ただし南天と創造主クリエイター=Lとの戦いはまだ終わっておりません。

皆さん山の日ですが、山登られましたか?
私は登っていないのでせめてSSでは山の日を。
嶋田さんとモニカさんと共に。
エレーナさんは顔や姿は出ておりませんが公式でのモニカさんの副官です。


山の日(富士山?)

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ」

 

 海の漢が山に登る。簡単に言うが結構キツいな。頭がクラクラしてきた。

 

 嶋田繁太郎として生きてきて200年近いが、それでも山登りは余りしてこなかったような。書類仕事ばっかだったものなあ。

 

「さあ、博之さん。あと少しです」

 

 前を歩くモニカさんの長い金髪。を、ポニーテールに結った、腰にまで届く彼女の長いポニーテールが元気よく揺れている。

 

 いつもの黄緑色のマントでは無い。白いタイトスカートの騎士服でも無い。

 

 今は、黄緑色のシャツに白いジーンズ。黄緑色のシャツは良いとして、白のジーンズは汚れが目立つのでは?

 

 モニカさん曰く『汚さないように歩くのです。ラウンズとして常日頃から鍛えていかねばなりません』というのが答えらしかったが、確かに見事なまでに汚れていない。

 

「はあっ、ふうっ、はあっ」

 

 ああ、しかし、まるで夜伽の方の呼吸の乱れにも通ずる。モニカさんが普段しないポニーテールなんて髪型をしているせいで、少しばかり不埒なことを想像してしまうのだ。

 

 思えば彼女いっつも髪を下ろしているものなあ、結んでいると言えば、身体の前に流した横髪と鬢の髪をリボンで結んで、あまったリボンはくるくると髪の毛に巻き付けているだけ。

 

 いつもそれだものなあ。見慣れているし、綺麗だと思うけれども、たまには違うモニカさんの姿を見てみたいという男心もあるにはあるのだ。その絶好の機会だというのに。

 

 体力はある。海軍時代に遠泳などで鍛えられてきたし、甲板で運動もしてきた。しかし陸に上がった亀は遅いとでも言うのか? 着実なる一歩は踏み出せるが足の速い彼女に追いつかない。

 

 

 

 

 山の日(富士山?)

 

 

 

 

 するとモニカさんの副官さん、エレーナさんが側に寄ってきて耳元で囁くように呟いた。

 

「よろしければ私がお荷物をお持ち致しましょうか?」

 

 気遣いの出来る人エレーナさん、さくさく先を歩いて気付かないモニカさんとはまた別種の魅力がある。

 

 下心は無いけれども、そんな事を考えていた為か、エレーナさんはくすりと笑い。

 

「その様なことをお考えですとクルシェフスキー卿の御不興をお買い致しますよ?」

 

 モニカさんの不興。買うのだろうか。あの空の色よりも蒼く、海の色よりも深い、雄大な瞳を持つモニカさんが嫉妬。

 

「何をしているのですっ!」

 

 突如響く怒声、怒声というか大きな声というか。

 

 それは金色の長いポニーテールを揺らしながらこちらへと下がってくるモニカ・クルシェフスキーの姿だった。

 

「何を為さって居たのですか博之さんエレーナっ!」

 

 俺が何かを言う前にエレーナさんが応えてしまう。

 

「いえ、嶋田卿が少しお疲れのご様子でしたので私がお荷物をお持ちして差し上げようと」

 

「お疲れ…………、そ、そうなのですか博之さん?」

 

 むう、モニカさんが怒っている。物静かで他人を思いやる彼女にしては珍しい。普段風流なことを口にするくらいに物静かだというのに、俺とエレーナさんが接近しただけで。

 

「も、モニカさん……。怒ってる?」

 

 緑の木々が伝い覆う山道で何をしているのだろうか?

 

「お、おお」

 

「おお?」

 

「お、怒ってません! ただエレーナが博之さんにご迷惑をお掛けしているのではと感じただけです!」

 

 普通逆でしょう。男の俺がエレーナさんに迷惑を掛けるのなら未だしも。

 

「ふふ、大丈夫ですよクルシェフスキー卿」

 

 余裕たっぷりのエレーナさんはまるで挑発をするかのようで。この二人、普段から姉妹のように仲が良いのに何でこんなに荒れているんだろうか? え? 俺? 俺が原因ですか?

 

「な、なにがでしょう?」

 

 エレーナさんはモニカさんの耳元に唇を近づけると、某かを囁いた。

 

 凄く小さな声だったので俺には聞こえなかったけれど。

 

“私はクルシェフスキー卿から嶋田卿を盗ったりなど致しません”

 

 このボソボソとした言葉の瞬間、モニカさんの顔は瞬間湯沸かし器みたいに血流が上り、ボンッと真っ赤になった。

 

「え、え、エレ、エレーナっ、わ、私は別に、そ、そういう意味で注意したのではっ!」

 

「ふふふっ、ではどういう意味なのでしょう? クルシェフスキー卿に取り、嶋田卿は最優先の存在。その側に近づく女性は例え副官の私であっても許容し得ないと存じましたが如何に」

 

 エレーナさんが挑発文句を口にしながら、俺の頬に頬を近づけて。

 

 俺は――。

 

 俺は――。

 

 ぐいっとエレーナさんを押し戻した。

 

「それ以上は駄目ですエレーナさん」

 

「嶋田卿?」

 

「俺のこの身はモニカさんに、モニカさんだけが触れても良い。モニカ・クルシェフスキーという女性にだけ触れて良い体だと決めているのです。ですから、エレーナさんの想いにはお応えできません」

 

 多分試されたのだと思う、エレーナさんはモニカさんの副官。もう何年もの付き合いになる。その為人についてよく知っている。こんなことを悪戯で行うような女性では無い。

 

 俺の、モニカさんへの気持ちを試されたんだと思う。副官故に、大切な姉妹みたいな存在故に。

 

 ぱちぱちぱちっ。

 

 エレーナさんの拍手が響く。

 

「見事ですね嶋田卿。さすがはクルシェフスキー卿が見初めた男性です」

 

 優雅に、嬉しそうに微笑むエレーナさん。ぽかーんとするモニカさんとはまるで真逆。

 

「安易に女性の手を頼らないところも、誘惑じみた私の掛け声にも反応せずのところも合わせ◎です。まあ、分かっていることなのですけれど、人は逆境にあるときにこそ本心が出ます。ですので非礼を承知で試させて頂きました」

 

 なんだ、やっぱりそうだったか。

 

「ですが、お荷物をお持ち致しましょうかというのも本心です。嶋田卿は私にとっても大切な御方。万一があってはなりませんので」

 

 おおう、そっちも本音だったのか。優しい副官さんだなあ。

 

 ほんわかしていたのが顔に出ていたのだろうか。はっとするとモニカさんの表情が無表情になっていた。

 

「あ、あの、モニカ、さん?」

 

「ふんっ、そんなにエレーナがよろしいのでしたらエレーナに甘えればよいでしょう!」

 

 あ、モニカさん怒ってる。駄目だなぁこれくらいで怒っちゃ。

 

「普段の冷静沈着で落ち着いた、物静かな君はどこへいったのかな?」

 

「知りませんっ、そ、そんなおだてられたって私はっ」

 

 ちょっと荒療治。

 

「んふう――?!」

 

 口付け。

 

 なんでもない、触れ合わせるだけの。

 

 それでも、モニカさんの甘い唇の味が、唾液と合わさって、俺の唇に付着する。

 

「ん――……」

 

 静かに離れる俺とモニカさんの唇。

 

 彼女の蒼い瞳が潤いを帯び、木々の隙間の空を映す。

 

「モニカさんとは楽しく山登りをしたいな。それが俺の本音かな」

 

 ただ山登りをするだけならば、フリーダム=フローレンスで二人乗りをして、インフィニットドライブから繰り出される強力なエネルギーを持ったランドスピナーで走破していけばいいだろう。

 

 その方が山頂には早く着くし安全だ。でもそんなの山登りじゃ無い。

 

「俺は、モニカさんと一緒に、親しい人達と山登りがしたい。多少しんどくてもね」

 

「博之さん……」

 

 博之さんと呼ぶモニカさんは当然俺の全てを識っている。全てを教え、全てを受け入れてくれる、そんな優しい女性。

 

 俺は言おう。

 

「俺は、モニカ・クルシェフスキーが好きだ。誰よりも愛している!」

 

 エレーナが口許に手を当てる。俺のSPが頬を赤らめる。赤らめんで良い。

 

 モニカさんは。

 

「あうっ、えうっ、はううっ」

 

 何だか良く分からないことになっていた。

 

 ふう、しかし程よい休憩にはなったな。

 

 俺は慌てているモニカさんの右手を握った。

 

「モニカさん、陸戦空戦タイプのモニカさんのペースだと、海戦タイプの俺は付いていくのが少ししんどそうだ。俺に合わせてくれたら助かるな」

 

「あ……、わ、私も少し浮かれておりました。博之さんと山登りという状況に、反省……です」

 

 モニカさんは意識してだろう。恋人繋ぎの、指と指の間に指を差し入れ合わせて握り締め合う繋ぎ方に変えてきた。

 

 俺もその繋ぎ方に合わせて指を握り締め、手の平全体を合わせる。

 

「今度は、どちらが先行するのでは無く、一緒に並んで歩いて参りましょう」

 

 優しい笑顔のモニカさんに俺は。

 

「そうだね。モニカさん。一緒に歩こう、せっかくの山の日の山登りなのだから」

 

「はい、博之さん」

 

 俺たちは荷物を背負ったまま抱き締め合う。

 

 俺の頭をモニカさんが優しく撫でてくれる、気持ちいい。指の一つ一つが髪の合間を掬い。

 

 俺もモニカさんの長いポニーテールに指を入れて撫で掬う、腰まで届く金色の尻尾の毛先まで指を抜けさせて。

 

 お互いの頬を擦り付け合わせる。すりすりと擦らせて自分自身を互いに擦り込んで匂いを付けるんだ。

 

 博之はモニカさんの物。

 

 モニカさんは博之の物。

 

 身体中を抱き締め合わせて触れてない処なんて無いくらいに、お互いを触れ合わせ会う俺たち。

 

 エレーナさんが真っ赤になって、俺のSPたちが明後日の方向を向いて。

 

 別に誰に見られていようと構わない、博之とモニカだけの時間。

 

「んっ」

 

 ソレは最後に軽いキスを残して終わりを告げた。

 

「さあ、参りましょう博之さん。目指す麓は直ぐ其処です」

 

「麓、ね」

 

 カムチャツカ地方。

 

 登る山は富士山。

 

 富士は富士でも標高4750mのカムチャツカ富士。大日本帝国最高峰。他にも沢山の登山客がいる。

 

 登頂難度がどれくらいあるのか俺は知らないけど、みんなが背負う装備の多さからそこそこ分かる。

 

 今は軽い服装だけど後で防寒着に替わるんだろうな。

 

 モニカさん。

 

 直ぐ其処ってどこのことなの?

 

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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