上帝陛下と将軍と無限なる夢の関係
大きな宮殿の池、とある人たちは其処で久方ぶりとなる顔合わせを行っていた。
「今年は寒いですね。テレビでは暖冬、暖冬と頻りに叫んでおりましたが」
ですますと、丁寧な言葉で話すのはこの中での最低齢の女性。
その系譜の途上にて幾度かブリタニアの白人種の血が入った為か、先祖返りした当代は、腰まで届く金髪に美しい碧眼を持つ美貌の女性であった。
名を足利義輝。初代義輝の如き剣の達人であれと、彼女の両親が名付けたのだ。
当年取って三十路に突入する事ながら、貴族院にてその辣腕を振るっている。
「織田公爵には相変わらず疲れさせられます」
ニューギニア戦争の戦費負担分だけでも合衆国オセアニアから取れないか?
今年度の軍事予算をGDP比10パーセント枠の一千兆にまで引き上げられないか?
かなりの無茶ばかり言うのだ。その根底には清国。高麗共和国。この二国に加えて予想外の中国攻め、つまり中華連邦攻めの魂胆が混じっているからもう大変だ。
『日中戦争はまだ終わっては居りません。大陸の管理はややこしい。では島をと言うなら海南島の遥か西にはセイロン島があるではありませんか』
昔は技術的問題などや国力の問題から不可能であったセイロン島の割譲。だが現代の圧倒的なる国力と技術力を背景とすれば可能。強行的な織田公爵の言い分は分かるが日中講和条約自体はもう結ばれている。
海南島は日本の領土として定められ、セイロンの方に付いては中華連邦インド軍区にその権利有りと定められているのだ。
『ならば攻め落とせばよいのです。どっちつかずでふらふらしているアジア大陸。これを全て我が帝国が総取りするのです。今の世界第二位の超大国にまで肥大化した今の日の下ならば、帝国ならば可能なのですっ!!』
とまで言ってのける織田公爵も、足利大公が反対すれば大人しくなる。武家華族は公家華族とは違い足利大公が強力な求心力を以てして束ねている為、武家華族は足利将軍家=足利大公家には逆らえないのだ。
「強硬派を抑えるのも疲れる物ですね」
そんな足利大公に、はァァ、とため息をつきながら同意するのはタカ派にもハト派にも根を持つ、帝国議会の本当の支配者夢幻会のメンバーであった。
「なにを仰いますか。貴方こそ本来ならば私の上に立つべき人物。将軍・帝の知恵袋として過去より今日までこの日ノ本を支え導いて来たのは貴方方でしょうに──夢幻会主幹のお一人、嶋田繁太郎伯爵閣下」
呼ばれた嶋田は、インチキも多分に混ざってますよと自嘲気味に笑う。
そんな二人の会話に割って入るのは、頬には法令線が見え、髭や髪にも白い物が混ざっている、壮齢の男性。
男性は池の鯉に餌をあげる。優しい男性の気質もあり、とても懐いている鯉たちは、我よ我よと餌を食べていく。
「人生100年以上も生きておると、様々な問題ごとにぶつかるもの。時に力で、時に知恵で、解決を図ってきたのだが100%の答えだけは一人として出せぬのだ」
男性は続ける。
「我がかわいい孫、第八皇女──皇家の神楽耶と、ブリタニア帝国第一皇子オデュッセウス殿との婚約の際にも、方々より邪魔が入り排除するのに苦労した。嶋田伯爵、足利大公、二人にも面倒をかけたな」
「勿体なきお言葉に御座います」
義輝が首を垂れ。
「誠心誠意頑張った。そして結果が実った。全ては上帝陛下と御帝の御心のままであると存じ上げます」
嶋田はただ謙遜する。
「いついつ会っても二人とも変わらぬな。……朕、いや、思えば私も無茶をした。あの神聖ブリタニア帝国と真正面からぶつかる選択を詮議に詮議を重ねたとはいえ良しとしたのであるから」
嶋田と足利、二人が生まれる前の話。穏やかな中に悲痛なる瞳の色が見て取れた。
本当にあれしかなかったのか。
本当に戦しか手が無かったのか。
中華や欧州の様な格下ではない。二倍半から三倍の国力を持つ相手だ。最先端を行く技術で押し切るほかなかった。
会戦劈頭での橘花の大量投入。8万t空母、8万t戦艦を五月雨の如く大海へと流し込み。ブリタニア軍の驚愕を耳に鎧袖一触していった。
だが、ブリタニア側も遅れてジェット戦闘機を繰り出し始める。それを支えられる蒸気カタパルト付きの航空母艦も。
ならばとこちらは対艦ミサイルを開発、対潜魚雷を開発、技術の先取りを行いつつ、"最初の三発”までも開発した。
時間との勝負だった。技術で勝り追いつかれ、また勝り追いつかれ勝る。千日千手の中で不気味な動きを見せていた南半球の覇者は大洋州連合へと攻め入り併合。
東南アジアという帝国の裏庭に入るニューギニア島にも攻め入り、他ティモール、インドネシアと狙い始め、南ブリタニア大陸にも兵を送ろうとし始めていた。
混迷を極める巨大国家群の動きに他の国々は、戦々恐々とした目で戦の趨勢を見ていたという。
ものすごい勢いで大増産されていく艦艇にジェット戦闘機。巡航ミサイルに、弾道ミサイル。中戦車を超えた主力戦車の登場。太平洋戦争中に世代が一つ上がる程におかしな戦争。
落としどころを見つけなければならない。双方が納得するところを。そうでなければ不吉に動き始めた南の大国が何を始めるか分からない。
我が国は8万5千機の六発超重爆撃機富岳を以てして、ブリタニア全土爆撃計画にてブリタニアを灰燼に帰す手前まで行った。
ブリタニアも似たような考えで、無敵艦隊とでも言わんばかりの大艦隊で太平洋から日本近海まで押し寄せていた。
もはや事ここに至りて相討たんと、実験もしていないから使えるか否かは不明ながら、最初の三を投入しようとしていたところに日本からは嶋田卿が。ブリタニアからはクルシェフスキー卿が待ったをかけた。
そして戦は終息へと向かい、日ブはがっちりと手を組み合った。そして留め置いていた最初の三を戦後の実験と称して使用した。実験は成功。
悪魔の兵器をこの世に生み出してしまった、か。
「上帝様、どうかなさりましたか」
思いにふけっていた壮年の彼、やんごとなき御方、大日本帝国先代帝、上帝陛下が目を開けて共にいた二人を見る。
「嶋田伯爵」
「はい」
「足利大公」
「はっ」
「ブリタニアの血の紋章事件の件もある。くれぐれも軽挙妄動に走らんとする輩には気を付けてくれ」
『はっ、臣の一命を賭して』
空をぼんやりと見上げながら女官が持ってきた緑茶を飲む三人。
「しかし、上帝様」
「なにかね?」
「こうして上帝様と足利大公との秘密の園遊会というのも不思議な物ですね」
「そして全員が夢幻会の関係者であるという処もか」
上帝陛下。足利大公。嶋田伯爵。
三人ともが彼の組織と繋がっているのだ。
まさか足利大公までと考える者もいるだろう。だが、この大日本帝国でただ一家、大公位を持つ足利家が夢幻会と無関係であるはずもない。
強力な者達が自身を戒め、不忠者に目を見張る体制の確立。これをこそして帝国の安寧は保たれている。夢幻会の役割とはそれ程に大きいのだ。
シュゴ―ーーー!
大きな排気音を立てながらフォートレスモードのKMFが一騎空を飛んでいる。ずいぶんと高空の様子だが音は確かに聞こえた。
「上帝陛下と御帝、御皇族方の住まう宮殿の上空を飛行するとは……」
足利大公が言いかけて。はたと気が付く。
「あれは近衛の訓練でしょうか?」
すると上帝陛下はほっこりと笑顔を浮かべた。
「正解だ。流石は武勲も誉れ高き足利家の現当主。世が世なら征夷大将軍に任じられ、ユーロピアとでも戦っていたのかもしれぬな」
「と、とんでもない、この身は何処までも陛下を守る剣であります」
主従の美しき光景に。嶋田が口を挟んだ。
「しかし、万一にも南天軍と総力戦となった場合は陛下の身を守るために必要ですからね」
「朕……自分としては民草をこそ守って欲しい物だが。27万8千の兵力。多いか少ないかは誰が語ることが出来ようかとも思わぬが。南天という巨大で邪悪な存在を前にしては、何時いかなる時であれ気は抜けぬな」
ごくり。丁度お茶を嚥下する瞬間が三人共に重なり。
三人は顔を見せ合って笑うのだった。
上帝陛下または上皇様
昭和の天皇陛下。引退してより三十余年、100歳を超えても元気な笑顔が似合う御方。
嶋田さんと、足利大公は茶飲み友達。園遊会を時々開いている。
近衛師団の指揮権を持つが、自分は退いた世代であるとし、基本は今上帝の方針に口は挟まれない。
植物など生物学の権威で世界中の賞を受賞している。
足利義輝
足利大公家現当主。貴族院議員。
風貌は十代後半から二十代前半の腰まで届く金髪と、曇りのない碧眼の女性。
現代の剣豪将軍とも呼ばれる程に剣の腕が立つ。
近衛師団
総兵力27万8千。
戦車・装甲車・兵員輸送車・対空ミサイル・多連装ロケット・KMF・浮遊航空艦等の多くの戦力を有する今上帝直轄の軍。
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
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嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
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南雲忠一×ドロテア・エルンスト
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玉城真一郎×クララ・ランフランク
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玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
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澤崎敦×井上直美
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レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
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原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
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ルルーシュ(休日)×ミレイ
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オデュッセウス×皇神楽耶
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ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
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コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
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高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
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鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-