帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

124 / 379
二二三氏の短編です


少し前、ほんのひと月前までの自分達ならば考えられないことだった

 

 少し前、ほんのひと月前までの自分達ならば考えられないことだった。

 

「ふ、ぁっ……ああ、シゲタロ……ッ」

 

 唇と唇を重ね、肌と肌を合わせ、彼女と一つになり愛し合うなどと。

 攻めるという程では無いが、少し奥まで重なると、彼女はとても甘い声を唇から漏らす。

 

「ふ、はぁっ、はあ……」

 

 女性なのだからそれで自然なのだ。年嵩なれども男たる俺が彼女を、ユーフェミアを最たる場所まで愛し。

 受ける側のユーフェミアも優しく包み込むようにして。

 

「し、シゲタ、ロぅ……わたく、しっ」

 

 俺の愛に答えてくれる。

 

 男と女の理想的にして自然の馴れ初めだ。

 愛し合っている以上この行為は避けがたいし。

 なにより俺も、またユーフェミアも、お互いを愛しているからこそ求め合わずになどいられるものか。

 

 それは俺、嶋田繁太郎が大日本帝国の伯爵位を持つ華族で。

 俺が今この時愛している女、ユーフェミア・リ・ブリタニアが神聖ブリタニア帝国の第三皇女。

 家格は俺が劣るも華族で、ユーフェミアが同盟国の皇族であることを加味したとしても止まらない。

 

 婚前交渉。一線を引いて踏み入るべからずの禁忌的なその行為に俺とユーフェミアは至ってしまっていた。

 自分を手折れとそう決意を込めて訴えてきた彼女に負け、彼女を肉体的に愛してしまったあの時から、俺と彼女の情事は秘めやかに続いてきたのだ。

 

 

 初めての。という特別な日を跨ぎ。二度目の特別へ至り、程なくして三度目の特別へと至る。

 ユーフェミアと愛し合うという時はいつも特別で、他の事を考える隙間などない。

 どうして彼女をこんなにも、こんなにも愛してしまうのか。

 

 ユーフェミアはどうしてこんなにも嶋田繁太郎を愛するのか。

 

 事は中ほど。途上の余暇の少しの休みを挟んだ時、何となく聞いてみた。

 

「ふう、……。なあ、ユフィ。君は、君はどうしてこんな俺をここまで愛してくれるのかな? 知っての通りこの手は血に汚れ億の人間を死に至らしめた罪業者だというのに……俺を愛してくれる君の愛にはまるで底が見えない」

 

 彼女に尋ねるには少しばかり意地悪で、俺を受け入れてくれている彼女に対しての背信にも思えたが。

 

「ん……んうっ」

 

 尋ねながら少しだけ生じた動きに彼女は身をよじりながら、そんな俺の考えや思いを見透かすかのようにして答えをくれた。

 

「んっ……、必要、なのですか?」

 

「え?」

 

「私がシゲタロウを愛する事に。シゲタロウの過去や罪が何を意味するというのです。咎人……確かにそうかもしれません。でもその咎人だった貴方を私が愛する事に、愛する以上に何か必要なのでしょうか」

 

 過去は過去。起こした出来事も奪った命も変えられない。だが、だからといって戦という非常時に大切なものを守る為ならば。

 致し方ないこととてあるだろう。

 

 ユーフェミアはそっと静かに自らの頬を俺の頬へと重ねて擦った。

 未だ公務の最中、その一時間ほどの休憩を利用して愛し合っているため、ユフィの髪は公務用の大きな髪留めで緩く大きなポニーテール風に結われている。

 頬をすり合わされた肌の上をその纏められて桃色の長い髪の一房が撫でていった。

 くすぐったく、肌心地が良く、いい香り。

 衣服を着用したままなのに、夜のベッドで愛し合う時の匂いが少しする

 

 

「それに私は以前申し上げましたわ。貴方の罪も纏めて愛しますと」

 

 擦り合っていた頬が強く押し付けられた。

 自然、俺は愛するユーフェミアの長い髪をただ静かに撫でていた。

 髪を撫で、指で透き通しながら。

 

「すまなかった……それと、ありがとう……、こんな俺を愛してくれて」

 

「こんなが余計ですわ。私の愛しいシゲタロウ……私の貴方への愛は永劫に尽きないのです」

 

 ユーフェミアの髪を抑えていた手に力がかかる。

 外側に押されている。それは彼女が伏せていた顔を上げて離した合図。

 

「貴方は私を愛してくださらないのですか?この愛は計算によって裏打ちされた間というのでしょうか?」

 

 そんなこと、あるもんか。

 声を大にして言いたい。

 

「そんなこと、あるわけないだろうっ……ユフィを愛する気持ちに底なんて無いし、打算なんてものは最初から存在してないっ」

 

 俺は彼女の髪を撫でながらそっと自分の方へと彼女の顔を引き寄せる。

 それに対して彼女は瞳を薄く閉じ……。

 

「ん──」

 

 俺とユーフェミアは今日一番の心のこもる口付けをした。

 唇を割って入り込む互いの舌。求め合い絡まり合う。体も同じく抱き締め合う。

 どこまでも強く、お互いを離さないように、衣服越しの肌のぬくもりを感じ合うんだ。

 

「ん、ふうう……お優しいキスですわね……甘酸っぱいですわ」

 

「ユフィとのキスはなるべく優しく長く、そして熱くしていたいからね」

 

 大きなポニーテール風に纏められている彼女の髪をまた撫でる。

 纏まっている髪の房を手に取り、手のひらを滑らせるとしゅるるっと肌の上をこすれていき気持ちいい。

 

 

 

「ユフィを愛したい……ただユフィを愛したいんだ。どこででも、いつまでも……ユフィを愛していたいんだ……。ユーフェミア・リ・ブリタニア、君を愛したい気持ちが止まらないんだ」

 

「どうして、私を?」

 

「聞かないでくれ。言葉にできないから……ただ、君を愛したい」

 

「ああ……、シゲタロウ……わたくしを、私を愛して……貴方の愛で私を満たして……!」

 

「ユフィっ!」

 

 何度も何度も、撫でては梳いて、撫でては梳いて。

 ユフィの長い髪の手触り、触り心地、肌触りを楽しみ。

 慈しみながら彼女を愛する。

 

「気持ちいい……、シゲタロウに髪を撫でられるのがとっても気持ちがいいの……ねえ、もっと撫でてくださいまし……」

 

「ユーフェミア皇女様のご要望とあらばいつまででも……俺も、こうしていたいから、だから君から言われるまでもなくこうするよ」

 

 ユーフェミアはそういうとまた俺の頬に自分の頬を近づけてきた。

 俺も彼女の頬に自分を合わせて、そうして。

 

「ん……ユフィ」

 

「シゲタロウ……んあ」

 

 抱き締め合いながら、今一度時間の許す限り愛し合った。

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。