ユフィルートしげちー×日本国召喚クロス
小さな幸せ6-2
*
エストシラント港から少し
「馬車は初めてなのですが、結構揺れるものなのですね」
使節団長の澤崎が少し乗り心地悪そうな様子で世間話のように話した
実際問題、石畳が続く路上を走るので、車体がかなり揺れる
「澤崎さんは車酔いはなさる方ですか?」
財務担当官の丸い眼鏡の男が澤崎に尋ねている
「いえ、私は割りと平気な方なのですが、ここまで揺れると酔わないとは言い切れませんな。閣下は?」
なに?閣下だと。カイオスの耳に入った単語に彼は日本使節の様子を伺う。官房長官だという澤崎が、ただの財務担当官をして閣下と敬称を付けているのだ
合流してよりこちら、確かに澤崎は丸い眼鏡の男に気を使っていた
共に馬車に乗り込んだ朝田も、明らかに澤崎よりも上位者に対して接するような緊張した態度を隠さない
この財務担当官という男はやはり日本のかなりの上位者なのだろう
肩書き上、澤崎が使節団の団長を名乗っていたが、この男こそが真実一番上の立場なのかもしれない。カイオスは考えながら身を引き締める
「この分だと緩衝の為としてのサスペンションは売れそうですね」
財務担当官はなにげに呟いていた
しかし、馬車の中の談笑風景とは違い
キュイイイー
外から聞こえるかん高い音に内心の震えが止まらない
馬車の窓から見える、馬車に並走するあるものに、カイオスは目をやった
蒼と白にカラーリングされたそれは、港で視た鉄のゴーレムKMFだった
澤崎や財務担当官といった使節の護衛として、2体が馬車に並走して付いてきているのだ
カイオス同様、街中の臣民たちも興味深げに、戦々恐々とその2体の姿を眺めていることがわかる
「気になりますか?」
財務担当官が尋ねてくる。まるで心の奥底までを見透かされているかのような寒気がした
できる政治家といった澤崎よりも余程底知れない男、財務担当官辻正信に、唾を飲み込みながらカイオスは思うところを伝えた
「はっきりと言わせていただくのでしたらば、その、気になりますね。どういった原理で動いているのかも含めて」
「やはり気になりますか。まあ、あんな金属でできた機械仕掛けのゴーレムを目にすれば嫌でも気にはなるものかもしれませんね。KMFは我が国では日常的にありふれた存在なのですが、こちらの国々には無いようですから」
「あれが、ありふれた存在なのですか」
「ええ、工事の現場でも作業用として使われているような、どこにでもあるものです。外を並走している2騎は戦闘用のものですが」
「な、なるほど」
戦闘用のもの。正しく護衛騎としての意味でつけてきたものだと理解した
あれ1体でどれだけのことができるのか?
興味はつきないが、体高5mほどの鉄のゴーレムが暴れまわる姿は正直見たくない
細い外見ながら、日本のこと。外見からは想像もできない力を持っているのかもしれない
巨大な銃や、剣も備えている
「並走しているのはウィンダムと言いましてね。現在我が国の陸海空三軍で使用されている主力KMFです」
兵器用の資料を手渡された。上質な紙に書いてあるそれは、外を並走するKMFの性能のようだ
第7世代量産型KMF ウィンダム
全高:5.02m
重量:8.47t
推進機関:ジェットストライカー=フロートシステムおよびランドスピナー
兵装:高周波ブレード×2
ヴァリス×1
ハドロンランチャー×1
スラッシュハーケン×4
12.5㎜電磁機銃×2
2連装多目的ミサイル
ブレイズルミナス
大陸共通言語で書かれたそれを読んでみたが、なにがなにやらよくわからない、意味不明のものだった
不明ながらも感じ取れたのは、これはゴーレムなどといった生易しいものではないということだ
ふと考えてしまう、皇国の陸戦兵器である地竜リントヴルムとどちらが強力なのかと
いや、考えても仕方がないか。空を飛び、あんな巨大な銃を撃ち放ってくる相手
マスケット銃ですらリントヴルムを倒せるのだ
これを考慮するなら、あのKMFの装備しているような巨大な銃からの銃撃をリントヴルムが受ければただでは済むまい
「あれは、貴国には何体、いえ何騎あるのですか?機密ならばお尋ねしても仕方がないことですが」
聞いて後悔した
「ああ、機密ではありませんよ。我が国ではそこらの書店でも保有騎数の載った本が販売しておりますので、失礼、KMFの保有数でしたね。現在予備騎まで含めるなら2万3千騎あまりを陸海空三軍で運用中です」
「に、2万…」
言葉を失う。多すぎる
どれだけの戦闘力を持っているものかはわからないが、空中からも攻撃可能らしいあんなものを2万体も
そんなものを相手にして皇国に勝ち目は…
「し、主力陸戦兵器として大量配備をなされているのですな」
尋ねてまた後悔した
辻財務担当官は答えた
「いいえ、主力陸戦兵器はKMFの他に、帝国陸軍所属のVTOL、私どもが港に降り立った時の戦闘用のものが数千機、あとは戦車、戦うための装甲自動車両ですが、その戦車を含めた装甲戦闘車両が7万3千両あまりです」
「はぁっ?!」
「如何なさいました?」
「い、いえ」
単純な陸戦可能兵器が10万あまり
VTOLは直接目にしているので知っているが、自動車とはムーやミリシアルで見掛けたことのある陸を走る機械仕掛けの馬車のことだろう。あれの戦闘用車両が7万両もあるという
カイオスは絶句するしかなかった
*
衝撃を受けるばかりの情報を耳に入れながらも、皇宮から少し離れた皇国第3外務局へ到着したカイオスは、日本の外交使節団団長澤崎淳と
日本国外務省職員朝田泰司、財務担当官の辻正信の三人を連れ、第3外務局会議室へと彼等を伴い歩いていく。KMFは外で待機していたが、いつでも戦闘可能な臨戦態勢にあった。
第3外務局会議室
扉をノック。室内より聞こえた声に答えるように扉を開いた
常時なら局長自らが文明圏外国の外交使節を迎えにいき、自らが国交開設の協議をするための扉を開いたりはしない
これは特例だった。傲岸不遜なレミールをして努々失礼の無いように案内せよと言うほどだ
無理もない話であった。まさか古の魔法帝国が保有していたような空中戦艦や、鉄のゴーレムKMFを出してきたり
恐怖さえ覚えそうなほどの巨大な水柱を立てさせる砲撃を行う相手だ
そこらの職員を寄越して非礼があっては皇国の危機を招きかねない
「大日本帝国外交使節団の方々をお連れいたしました」
室内に入ると、皇国側の席に座る二人の女性のうち、冷たい印象を抱かせる20代後半くらいの美しい銀髪の女性が、カイオスに声をかけてきた
「出迎えご苦労だったカイオス。日本の方々、遠路遥々よくぞ参られた。私はパーパルディア皇国皇族、外務局監査室のレミールという。現在は貴国との国交開設交渉担当として出向してきている」
初対面だというのにも関わらず高圧的だが、これが彼女の普段通りの対応である
と、彼女をよく知る朝田は澤崎、辻に小さく耳打ちをする
「第1外務局局長エルトと申します、よろしくお願いします」
常に冷静なエルトが焦りを見せていることがわかる
「第2外務局局長のリウスも本協議に出席の予定だったのだが、私や第1外務局局長エルトが抜けているために外務局の仕事に穴が開いてもならないという理由から、私たちだけとなった」
レミールもそうだが、二人ともに冷静なように見えて、何処か焦っている様子だった
自分が居ない間に何かあったのだろうかとカイオスは疑念を抱いた
「まさか列強パーパルディアの皇族の方が御自ら交渉とは驚きました。いや、失礼を。わたくしは大日本帝国現内閣枢木政権で官房長官を務めております澤崎淳と申します。この度の貴国との国交開設交渉にあたり、外交使節団団長に任じられました。以後よろしくお願いします」
老獪で、できる政治家といった風体の澤崎団長
「この度の使節団派遣における財務担当官を務めております辻正信と申します。使節団の殆どは貴国沖合いにて待機しております。領空領海をお借りして申し訳ありませんレミール殿下」
「いや…よい」
澤崎よりも少し歳かさな様子の辻財務担当官
「大日本帝国外務省職員朝田泰司です」
最後に、最早レミールとは顔馴染みである朝田が挨拶をしたところで、日本側の面々が席に着く
彼等が席に着いたところで、日パ国交締結協議は始まる
「まず、我が大日本帝国についての資料を配布させていただいてもよろしいでしょうか」
澤崎の発言にレミールが応じた
「皇国は貴国の事について殆ど預かり知らぬ故、資料が示されるというのは正直助かる」
「わかりました。では朝田くん、皆さんに資料を配布してくれたまえ」
「はい」
配布される資料。まずはレミールに、続きエルト・カイオスへと朝田から資料が手渡されていく
「大陸共通言語に訳されておりますので大丈夫であると思いますが、もし読めないようでありましたら口頭にて説明させていただきますので」
大陸共通言語を話す日本人が、大陸共通言語に訳す?不可解な言い回しに引っ掛かりを覚えるカイオスであったが、資料は普通に読むことができた
これで、今まで謎のヴェールに包まれていた日本の真実がわかるのだ
国名:大日本帝国
首都・帝都東京
立憲君主制・議会制民主主義
人口3億5千万人
北端である千琴・アリューシャン列島がグラメウス大陸の南側、西端である海南島が皇都エストシラントより東へおよそ1千㎞の位置にある、約174万7千k㎡の国土を有する島国で、突如として全国土ごとこの世界に転移
元の世界では「技術の日本」と称され、世界第二位の列強国として環太平洋経済圏、および欧州経済圏に対して発言力を持っていた
年代は不明ながらも数万年の長きにわたる王朝を持つ立憲君主制国家であり、国家元首は「帝(みかど)」である
政治体制は貴族院および衆議院の二院制
貴族院は皇族議員・華族(貴族)議員・勅任議員により構成されており、議員の大半は終身議員とされている
衆議院は臣民による選挙によって選ばれた者が務め、任期は4年
総理大臣、首相が帝の代行者として内閣を組織し行政を動かす議員内閣制
国土大転移後の現在、周辺国と国交を締結している途上にあり、主に大東洋の国々を中心として広域にわたり文明を持つ処地域を探査中
「人口3億5千万だと?!」
レミールが叫ぶ
あり得ないと
実際にあり得ない人口だ
3億5千万といえば、パーパルディアの5倍もの人口となる
174万7千k㎡という広さの国土を持つとはいえ、その広さはパーパルディアの三分の一ほど
これに比しては人口が桁外れに多いと言えた
「国ごと転移とは、まるでムー大陸の伝説のようではありませんか?!」
続きエルトも声を荒げた
「これは、こんなことが…」
内心カイオス自身もなんと言ったら良いのか理解に苦しむ
こんな話が現実にあるだろうか?いやない。普通に考えるのならば
だが、普通ではない物、空を飛ぶ戦艦などを目にしている以上は、そんな国がフィルアデス大陸第三文明圏に存在していれば当然パーパルディアの耳にも入る
しかし現実には大東洋西部にそんな大きな国土を持つ国があるという調査結果はないし、誰も知らない
知らないものがあると言い張られたところで無いものは無いとしか言えないのだが、こうして日本の大艦隊がエストシラントに現れていることからして、有るのだろうという見解に至らざるを得ない
神話の魔法帝国のような空中戦艦が実在しているのだ。鋼鉄の大艦隊が存在しているのだ
有るものは有るのだろう
「信じていただくより他、こちらとしては何も言いようがないのです」
主として、日本側は澤崎が話をする
財務担当官の辻と、外交官の朝田はその様子を見ているだけだ
「転移国家ということをすぐに信じろと言われて頷けるものではない。ましてや3億5千万もの人口を持つ国家などと」
「しかし、ここに我々は存在しております。エストシラントの港の空には浮遊航空艦隊も滞空しておりますし、沖には我が国の艦隊が停泊しております。この外務局の外には貴国の反応から見てこの世界には存在しないらしい、少なくとも今現在は存在しないらしいKMF鉄のゴーレムも待機しています。貴国の魔導通信の報告にも色々と入ってきているのではありませんか?」
「……」
澤崎の言葉にレミールが押し黙る。押し黙り、一度目をつむり、再び開いたとき、彼女は「有るのだろうな」とだけ漏らした
神話の兵器があるのだ。ならば同じ様にもう一つの転移という神話があってもおかしくない、ということのようだ
納得しがたいが納得するより他ない。そうカイオスも思った
「我が国の西端である海南島まではエストシラントより1千㎞ほど東に、本土四島はエストシラントから北東へ2千㎞ほどの場所にあります、転移の際に何がどうなったのか、我が国西部にある海南島と台湾という島が我々が東シナ海と呼んでいた海に近付いた位置に転移しましてね。不思議なことです」
澤崎団長の衝撃続きな発言は続く
「また、我が国の同盟国も共に大東洋に転移してきております」
「まだ、転移国家があるというのですか?!」
これにエルトが飛び付く
「ええまあ、神聖ブリタニア帝国という大陸国家なのですが、あとは更にそのブリタニアより東にAEUという連合国家も転移してきております。こちらも我が国の友好国です。機会があれば、彼の国々とも交友を結ばれてみるのも良いものかと愚考いたします」
「全て、大東洋に?」
「ええ、大東洋にです」
話を聞きながら、日本の国土の位置関係にも変化が生じていることがわかってきた。だからといって何がどう変わるという話でもないが
更に信じられないことに他にも転移国家があるという。神話の大安売りだ、いったいどうなっているのか?
「その、ブリタニアとAEUという名には聞き覚えがある…」
驚いてばかりの皇国側だが、意外にもレミールは日本の友好国を知っているという
何処で知ったというカイオスの疑問に答えるかのように、彼女は語った
「ムー国の大使が話していた貴国、日本の話の中に、ブリタニアとAEUという名があがっていた……両国共に日本に匹敵する超大国であると」
日本に匹敵する超大国
空中戦艦などを持つ国が他にもあるというのか
もう、何が真実で、何が虚構なのか、カイオスにもわからなくなっていた
そして、日本側からの要望としてあがってきたのは、この世界の列強国パーパルディアにとっては、およそ認められない類いのものであった
◯パーパルディア皇国は大日本帝国が友好関係を結んでいる国々に対して不等な侵略等の拡大主義政策を取ってはならない
◯大日本帝国とパーパルディア皇国は互いを対等な国家として認め、互いの国へ大使館を設置する
◯大日本帝国とパーパルディア皇国は互いに治外法権を認めない
◯大日本帝国、パーパルディア皇国は相互不可侵条約の締結に向け努力する
◯大日本帝国、パーパルディア皇国は対等なもとでの為替レートを早急に整備する
とくにこの五項目については、一文明圏外国が要求して良いものではなかった
文明圏外の国が列強に対して対等な国交関係の樹立を要求する。あってはならないことであった
だが、日本はそのあってはならないことを押し通す
それだけの力が日本にはあるということなのだろう
少なくとも、いま視てきた限りでは、その科学技術力は皇国を圧倒している
ムーでさえ辿り着けない科学技術を保有している
全てがブラフでなければ、大日本帝国とは他と隔絶された超科学を有する国家となるだろう
「我が大日本帝国としては多くは望みません。互いを対等として認め、友好関係を結べられるのならば、それだけを望みます」
話を締め括るように告げる澤崎団長に、諦めと恐怖がない交ぜになったような表情をしたレミールが、震える声で絞り出した
かつての彼女の性格だと激昂していたのだろう日本よりの要望に、彼女は感情を荒らげることはなく、事実だけを伝える
「貴国のことはわかった。虚偽かどうかはともかく、事実として強大な科学技術を保有していることに疑いはないのだろう……だが一つ、国交開設にあたってだが、その前に我が国より一つの条件が出されたのだ…、ルディアス皇帝陛下の勅命として」
そのレミールの口から飛び出したのは、カイオスが聞いてもいない条件の話であった
「パーパルディア皇国と国交を締結したくば、まずは力を見せよと」
「ほう?」
ここで、これまで沈黙をしていた財務担当官辻正信が口を開いた
「それはいったいどの様な趣旨なのですかな?よもや我が国に宣戦布告でもなさるおつもりですか?貴国パーパルディア皇国がどの様な国か、どの様な政策を採り続けてきたのかは大東洋の国々より耳に入れ、しっておりますが」
パーパルディア皇国は長らく侵略戦争・国土拡大政策を採り続けてきた。それはすでに預かり知っている。それをこちらにも向けるおつもりか、と辻財務担当官は口には出さずに話しているのだ
凍り付く空気、沈黙が訪れる
緊迫する中、レミールは顔色を悪くしたままにそうではないと、趣旨を告げる。皇帝ルディアス陛下の思惑を
「この度、我が国で余剰艦が100隻ほど出るのだ。ルディアス陛下がそれらを日本に処分させることで力を見せろと仰せなのだ。こちらの身勝手な都合で悪いが皇帝陛下の御命令は絶対なのだ」
引き受けては貰えないだろうか
出された条件に、澤崎と朝田が緊張した様子で財務担当官を見る
これを受けて、笑顔を見せながらもその目は笑わずの顔を見せた財務担当官は簡潔に答えた
「ほう、なるほど、そういうことですか。我が国の力を見たいと。……よろしいでしょう。貴国の皇帝陛下がそれほどまでに希望なされるというのならば」
始めましょうか、弱肉強食を
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
-
嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
-
嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
-
山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
-
南雲忠一×ドロテア・エルンスト
-
玉城真一郎×クララ・ランフランク
-
玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
-
澤崎敦×井上直美
-
レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
-
原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
-
ルルーシュ(休日)×ミレイ
-
オデュッセウス×皇神楽耶
-
ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
-
枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
-
コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
-
高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
-
鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-