小さな幸せ7
実務者協議の翌日、中央暦1639年6月23日 午前8時 パーパルディア皇国 皇都エストシラント南方海域
エストシラント港より沖合い、港から出港してきた船が次々と所定海域に辿り着いていた
10や20程度の小規模な艦隊などではない、実に150隻から成る大艦隊だ
20程度の艦隊でさえ小国を滅ぼせるほどの戦力となるパーパルディアの無敵艦隊が100を超える艦列を組ながら動いていた
その全てが戦列艦
50~100門級までのもので、多少艦齢の古い船ばかり
大小多数の艦は、多少古いとはいえ、それは大国パーパルディアから見ればの話だった。その実、文明圏外国や文明圏内の中小国から見れば充分以上の新鋭艦艇ばかりなのだ
皇国が売るというなら即座に買うと飛び付くこと請け合いの艦艇ばかり
パーパルディア軍人からしてもまだまだ使える艦ばかりで、これらを処分するなど勿体なさすぎる話である
しかし、ただ力を見せろというパーパルディアの絶対君主、皇国皇帝ルディアスの命令のもとに、これらの大艦隊は処分させられるのだ
そして、これらの余剰艦として処分される艦艇以外に、他にも群れを成す戦列艦隊はいる
皇国皇都防衛隊海軍艦隊の第3艦隊総勢180隻というパーパルディア皇国海軍の三つ有る本国主力の大艦隊だった
並みの中小国など問答無用で叩き潰せるパーパルディア本国の正真正銘の正規艦隊だ
1隻1隻が雄々しく、威圧感のある艦ばかりで、砲門の数など全艦艇を数えるなら1万数千門はあろう、馬鹿らしくなるほどの砲数がある
例えとして出すのならば、文明圏外のアルタラス王国や、フェン王国などが全国力を導入したとしても抗えない。僅か数日、下手をすれば一日で降伏以外の選択肢が無くなってしまうような、海を埋め尽くす一線級の大艦隊なのだ
パーパルディア皇国は外征型の覇権国家。年中自国の力を背景とした圧力外交を日常的に行っている上に、侵略戦争も繰り返し、72ヶ国の属国を従えるまでに膨れ上がったこの国らしい、通例ともなっていた。
新たな侵略戦争でも行うかのような過剰な軍勢が姿を現している目的は、今回に限り外征には非ず
パーパルディア皇国の余剰艦艇により構成された大艦隊を処分する、処分できる力があるから受諾したという、ふざけているとしか言いようがない新興国大日本帝国軍の力を確かめるためだ
たかが、一文明圏外の国の海軍が、第三文明圏の覇者の艦隊を、余剰艦艇とはいえ150隻も処分する
通常ならばそんなことは不可能。荒唐無稽にすぎる愚かな申し出
決めたのはルディアス皇帝だが、この命令は実行できないと頭を垂れるのが新興国としてのあり方のはず
新興国に150からの戦列艦隊を処分する力など有るはずはないのだから
それがどうだ。日本の外交使節団はやりましょうと受諾したのだ
これが如何に異常な事なのかはパーパルディアの臣民なら誰でも知っている
第三文明圏の諸国ならば右にならえで断り、皇帝の不興を買わぬようにと平伏するのが通例
だが、大日本帝国は完全な例外であった。初の反応を見せた相手であった
そんな愚かにも、不可思議にも映る大日本帝国軍の異様さは、現場海域に着いたものから順に把握していった
巨大。とにかく巨大なのだ
一艦一艦が島や城塞のような堅牢さと威圧感の塊であるのだ
パーパルディア皇国海軍第3艦隊の幾つかの艦には、魔導通信、人力の魔力ではなく魔石で動かす通信装置を進化させた、音声以外に映像まで写し出せる映像付き魔導通信機が持ち込まれている
艦船処分の様子を本国の首脳部に見せる為に用意された魔導通信機だ
これには、ルディアス皇帝の持つ魔導通信機と繋がっているものもある
これと、別個日本側からも映像が届けられる装置を用意されていたが、そちらは第1外務局局長エルト、第3外務局局長カイオスの居る第3外務局会議室に中継されているという
この海域に広がる鋼鉄の巨大艦艇群の様子も
「二線級のものとはいえ、予定よりも多い150隻もの戦列艦を処分なさるとは、また陛下も大きく出られたものだな」
第3艦隊提督アルカオンは、皇国に3隻しかない超フィシャヌス級150門戦列艦ディオスに乗船し、日本とやらの軍の力を見届けるために、日本軍艦隊の近くまで寄り、処分艦の広がる海域を睨んでいた
所定位置に辿り着いた艦からは、 曳航されてきた艦を除き、接舷する戦列艦や輸送船に乗り換え、乗組員たちが脱出していく
なにせ150隻の大艦隊だ。作業に従事していた海軍軍人の数も半端ではなく、脱出だけでも時間がかかっている
処分艦隊からは20㎞も離れた位置、最も遠方に配置されている処分艦はディオスから見て50㎞も離れている
離している理由は不明だが、日本側の力を見せろというルディアス皇帝の要請に、日本側が1隻1隻の間隔をわざと広げさせたという
中には40隻ほどを密集させている場所もあったが、なにかしらの意図があるのだろう
「だがしかし、なんという巨艦ばかりなのか」
アルカオンは1㎞ほど先に浮かんでいる目に写る艦、作業を見守る日本艦のとてつもない巨体に感嘆と驚愕の声をあげていた
ディオスの艦長が汗をたらしながら、アルカオン提督に同意する
「信じられませんな。あそこに見えるあの艦、キイと言いましたか、うちの竜母の何倍もの巨体をした鋼鉄の艦。あれで揚陸艦だそうですよ」
大日本帝国軍パーパルディア皇国派遣艦隊 第1遠征打撃群旗艦
紀伊型強襲揚陸艦1番艦 紀伊
満載排水量:51200t
全長:273.3m
全幅:49.1m
吃水:8.9m
速力:31kt
乗員:2700名
兵装:97式20㎜機関砲3基
8連装90式対空噴進弾2基
ブレイズルミナス
艦載機:輸送・戦闘用VTOL32機+秋水ニ型戦闘攻撃機10~12機・可変型双発輸送機
揚陸艇:LCAC3隻
輸送能力:兵員2500~3000名
KMF、90式改主力戦車・10式および10式改主力戦車・戦闘装甲車・機動戦闘車・自走砲・トラック他支援車両
「あんなものが目の前に存在していることが信じられんよ……。あれ1隻で皇国の揚陸艦何隻分になるのやら。日本軍とは、いったいどれほどの力を秘めているのか」
ディオスの周囲にも無数の巨艦の群が展開している
「とくに」
アルカオンの目を引くのは巨艦紀伊を遥かに超えた超巨大艦艇の姿だ
「とくに…、あの4隻の竜母と2隻の戦艦だ。なんなんだあれらは…。日本側の話が本当ならば、あの戦艦と竜母はそれぞれ10万tを超える排水量を持つらしいが、そんなものが人の手で造れるのか」
大日本帝国軍パーパルディア皇国派遣艦隊総旗艦 大和型戦艦 1番艦大和
基準排水量:128800t
兵装:60㎝3連装電磁砲前部2基6門
後部1基3門
他:155㎜3連装電磁砲、127㎜電磁速射砲、CIWSバルカンファランクス、ブレイズルミナス等
大日本帝国軍パーパルディア皇国派遣艦隊 第1第2空母戦闘群旗艦 大鳳型航空母艦 1番艦大鳳 2番艦祥鳳
基準排水量:104200t
満載排水量:130800t
全長:365.3m
最大幅:85.8m
吃水:12.4m
速力:30kt
乗員:4700名
兵装:97式20㎜機関砲CIWSファランクス3基
8連装90式対空噴進弾2基
21連装89式対空噴進弾2基
ブレイズルミナス
艦載機:統合打撃戦闘機秋水60機含むKMF、VTOL、無人偵察・攻撃機、電子戦機、早期警戒機、等80~115機
第3第4空母戦闘群旗艦 大鳳型4番艦翔鶴 5番艦瑞鶴
基準排水量:106500t
満載排水量:133200t
全長:367.1m
最大幅:86.2m
吃水:12.4m
速力:30kt
兵装:97式20㎜機関砲CIWSファランクス3基
8連装90式対空噴進弾2基
21連装89式対空噴進弾2基
艦載機:統合打撃戦闘機秋水60機含むKMF、VTOL、無人偵察・攻撃機、電子戦機、早期警戒機、計80~115機
これらの巨大艦艇以外にも、全艦艇がムーのラ・カサミ130m級鋼鉄戦艦を大きく凌駕する艦艇ばかりだ
この間隙を横目に展開するパーパルディア皇国海軍のなんたる小さきことか
アルカオンは屈辱と絶望感、そして恐怖に身を震わせながらも、次々と辺りを見回してみる
村雨型駆逐艦 五月雨
満載排水量:15200t
全長:183.6m
全幅:24.6m
吃水:8.2m
速力:34kt
乗員:150名
兵装:62口径155㎜単装電磁砲2基
70口径57㎜単装電磁速射砲2基
垂直発射装置VLS前部両舷6基48セル
後部両舷4基32セル
3連装短魚雷発射管2基
ブレイズルミナス
艦載機:VTOL1機
無人偵察機・攻撃機:3機
長戸型ミサイル巡洋艦 陸奥
満載排水量:15700t
全長:192m
全幅:22.8m
吃水:9.3m
速力:33kt
乗員:270名
兵装:62口径155㎜単装電磁速射砲1基
97式20㎜機関砲=ファランクス2基
垂直発射装置VLS前部64セル
後部64セル
3連装短魚雷発射管2基
ブレイズルミナス
艦載機:VTOL2機
無人偵察・攻撃機2機
恐らくは同じ艦級や型なのだろうそれらと同様の軍艦が一重二重と周囲を取り囲んでいた
他にも形の全く異なるイージス艦と日本軍人が呼称していた鋼鉄艦が何十隻と配置されている
輪陣形の中心部では紀伊のような竜母型の揚陸艦や、紀伊よりもずっと巨大で威圧感のある竜母が存在感を発していた
奇妙なのは、その巨大竜母や巨大揚陸艦の護衛艦らしきそれらの艦艇の殆どが見掛け1門しか砲を搭載していないところだった
たったの1門でなにができるのだろうか
そして、日を遮る影に空を視ると、そこには200m級の戦艦群と、戦艦を護衛するように取り巻く数十体のゴーレムや、鉄の箱にも鉄の鳥にも見えるものが浮かんでいる
大日本帝国軍パーパルディア皇国派遣艦隊 第2第3浮遊航空艦隊
斑鳩型浮遊航空艦
全長:200m
兵装:主砲ハドロン重砲2門
副砲76㎜単装リニア砲2門
57㎜単装リニア砲8門
対空・対艦ミサイル発射基各4基
CIWSバルカンファランクス2基
ブレイズルミナス
艦載機:KMF10~14機、輸送・戦闘VTOL10~14機
日本、分析しかねる国だ。まるで神話の中より突然出てきたようにも感じる…、これは本当に現実なのだろうか
「提督、あの空中戦艦の1隻に皇国皇族外務局監査室のレミール様が乗艦しているのですね?」
「ああ、なんでも対日本外交を引き受けていた御自身が見届けなければならないとの事でな」
大日本帝国の空中戦艦艦隊は12隻飛行していた、が、その内の4隻はエストシラント港に入港空中停泊していたが、その中から1隻
飛鳥という艦だけがこの海域に舞い戻ってきていたのだ。皇国の誇るワイバーンオーバーロードよりも遥かに速い速度で
「あの空中戦艦は明らかに430㎞というとてつもない速さを出すことが可能なワイバーンオーバーロードの2倍以上の速力を出せる。竜母や揚陸艦より飛び立っている凹凸の少ない滑らかな形をした大きな戦闘用の飛行機械などになれば軽くオーバーロードの3倍4倍の速力だ。どういう原理で飛行しているのかもわからんが、あんな化物どもとは戦おうとしても戦えん」
「この世のものとは思えませんな。伝説上の魔法帝国を彷彿とさせます」
日本軍と似通った話で残されている伝承は神話のラヴァーナルだけ
いな、そのラヴァーナルでさえも
「あれらの魔力を感知できない完全機械性の戦闘機械どもには対抗できないのではないのか?」
まるでそう、まるで魔法文明が取るに足らないとでも言われているかのような気分だった
*
信じられない場所にいる
眼下に広がるのは広い広い海
多くの、無数の艦隊が海を埋め尽くしているのが見える
パーパルディアの余剰艦艇150
パーパルディア本国艦隊180
そして、異様な巨大、威圧感のみを覚えさせられる陣容を誇った日本の鋼鉄艦隊200とこちらも日本の空中艦隊9
この海域には総勢で539隻の大艦隊が展開していた
それを空から見下ろしている
空中艦隊を編成している空中戦艦の1隻、第1空中艦隊旗艦、飛鳥という飛行戦艦の窓からその海上と辺りの様子をレミールは見下ろしていた
この船とエストシラント港に待機中の3隻を合わせて12隻もの艦艇が空を飛んでいる
艦艇の周りにはKMFと呼ばれる鉄のゴーレムが張り付き、周囲のワイバーンオーバーロードやワイバーンロードを警戒している
人型以外で飛び交う飛行機械も大きく威圧感があり、何よりも恐るべき速さだった
あの我が皇国が誇るワイバーンオーバーロードがよちよち歩きの子供のような、そう感じざるを得ない速さだった
あんなものを相手にしては戦いにもならない。レミールは外交分野の人間であり、けして軍事に明るくはないが、それでも素人目にもわかる
あんなものとまとも戦いなどできるはずがない
レミールの隣にいた軍部の最高責任者、皇帝に命じられてレミールと共に日本軍をその目で確かめてこいと命令を受け参じていたアルデも青ざめた様子で窓の外を見ていた
「レミール様、これは駄目です……これでは我が皇国は一夜で滅びます、精神論だけなら最後まで戦うと言い張りたいところなのですが、あんな速度の飛行機械、どうやって相手にしろと……」
絞り出すアルデにレミールも絞り出すように言った
「あの、眼下に見える砲が1門の戦艦群についてお前はどう考える」
「は、それにつきましても、別の攻撃手段があるようです。我々がいま乗艦しているこのアスカとかいう空中戦艦と同じ空中戦艦を12隻も運用している日本ですが、この空中戦艦も、他にもまだあるようです。日本人がくれたこの本が正しければ……」
アルデは参考までにどうぞと日本人の乗組員から渡されていた「別冊宝大陸 最新日本の軍事事情」というタイトルの本をレミールに手渡す。図鑑のようだと思い彼女はページを開く
先端が尖った細長い槍のようなものが最初に説明された項目を彼女は開いていた
「な、なんだこれは?!」
「これはミサイルという恐るべき兵器のようです。この自動で敵を追尾し攻撃するミサイルという兵器は、信じがたいことですが、ほぼ百発百中の精度を誇っているらしく。それぞれに対空・対地上・対艦とあるようですが、これは神話に出てくる古の魔法帝国の誘導魔光弾と似たようなもののようでして、速度はそれぞれに音の速さを遥かに超え、射程も100㎞~1000㎞の彼方から放てるもので、対空用のものについてはワイバーンオーバーロードもなにもできずに撃墜されてしまいます。これらがあの1門級の魔導艦に大量搭載されているようなのです。そしてあの砲もただの砲ではありません分間数十発~物によっては200発台で砲撃可能なものです。海上にいるらしい村雨型駆逐艦と呼ばれている艦の砲は射程距離が300㎞で、副砲は20㎞台で分間250発の砲撃ができる型の様です、命中精度もミサイル同様に百発百中だとか、とても信じられませんが」
「……っ!」
だからか。だから大量の砲が必要なかったのだとアルデの説明を聞かされたレミールは理解した。
こんな百発百中であたるような、それでなお強力な破壊力を持つミサイルのような反則兵器を大量に搭載しているのならば、砲の数など問題外だと
砲自体もそうだ。射程距離300㎞で99%が命中するなど、射程20㎞前後で分速250発など反則すぎる
「また、日本には竜母、空母という名前の船が18隻あるようですが、これには1隻あたり約100機あまりの音を超える速度の飛行機械が搭載でき、世界中のあらゆる場所まで無補給航行が可能です。随伴する護衛艦はそのようなわけにはいかないようですが、この」
話の途上でアルデは地図を出す。鮮明な地図だ。世界中のどこを探しても、世界一の列強国神聖ミリシアル帝国でも作成不可能な地図が出された
「こんな地図をどの様にして作成されたのか皆目わかりませぬが、この地図によれば我がパーパルディアは空母戦闘群という、我が皇国の竜母艦隊を恐ろしく強力にしたような艦隊を直ぐ様派遣、送り出せる場所にあるようでして、パーパルディアには簡単に日本の手が届くということのようです。また日本本土から戦略爆撃機なる飛行機械を用いれば、我が皇国はおろか第一文明圏にまで往復可能な長大な攻撃能力と投射能力を発揮、これと同じく長距離弾道ミサイルなるものを用いればやはりミリシアルにまで日本の手が届いてしまいます。この情報雑誌が正しければ、日本人たちは日本にいながらにして相手国を攻撃する手段をお持ちのようです」
図鑑のような本に目を通しながら、冷や汗を浮かべているレミールに、横合いから口を挟むアルデを、彼女は無礼ともなんとも思わずに聞いていた
「すでに皇国には4個空母戦闘群が派遣されてきており、遠征打撃群なる揚陸艦隊と合わせれば、この本の話が本当ならば皇国は」
「4個空母戦闘群、この本によれば1個群で日本基準での小国を滅ぼせるほどの戦力が4個群も来ている…、日本はいまこのときにでも、その気になれば皇国を滅ぼせるというのか?」
「……わかりません。仮にも我が国は列強」
「だが、その列強である我が国は、日本のこれが事実ならばただの一小国でしかないではないか…」
別冊宝大陸 大日本帝国軍皇暦2022年度最新版
常備兵力:約276万人
作戦機:11700機 内戦闘攻撃機8200機
VTOL:6000機
浮遊航空艦:40隻以上
KMF:予備騎含め23000騎
戦車:14000両
装甲戦闘車両:35300両
自走砲・野戦砲:23400門
航空母艦:18隻
海軍艦艇:1300隻
各種弾道:ミサイル未発表
殆どのものがどういった戦力なのかは図鑑を見ているレミールにもアルデにもわからない
戦車や装甲戦闘車両なるものがなにかもわからない
ただ、眼下に映る巨砲を備えた戦艦や、いま自分たちが乗艦している空中戦艦を造り出せる国
この一つ一つが考えも及ばない巨大な戦力なのだろう
竜母、空母や戦闘艦艇等の諸元性能についても載っていたが、レミール自身が竜母だろうと疑った船、強襲揚陸艦についての項目を見たときもまさかという気持ちでいっぱいであった
「アルデ、こんな巨大な揚陸艦、お前には考えられるか? これが14隻もあるというのだぞ。あの眼下に見える島のような竜母、空母が18隻もあるというのだぞ。いま私たちが乗艦しているような空中戦艦が40隻以上も、あの音よりも速い飛行機械が8千も、鉄のゴーレムKMFに至っては2万3千。なんだ、なんなのだこの大日本帝国というのは」
「はっきり言って、わかりません。これらの情報が確実なものなのだとしたら、私は日本が古の魔法帝国だと言われても信じてしまいます。魔法が無くともこれを実現できる、それはもう古の魔法帝国か、下手をすればそれ以上の巨大国家ですので。少なくともミリシアル並だとはみております」
「……古の魔法帝国か。私には最近その響きが何でもない事のように感じられるのだ。日本の話や、ムー大使の話では、日本ほどではないが、とてつもなく強大なAEUという国が大東洋にはあるらしい。そして、日本よりも巨大な国がやはり大東洋にはあるという。古の魔法帝国のような、或いは魔法帝国を凌駕するような国が3国だぞ?」
「耳にしております。とくに日本は日本から程近いことが理由としてあり、AEUなる連合国家はロデニウス大陸のクワ・トイネならびにクイラから発見された彼等の呼び名ではサクラダイトなる鉱石が非常に価値があるとして、日本と共にクワ・トイネ、クイラと国交を締結しているようでして、2国を併合しようと目論むロウリアには良い感情を持っていないようです」
「ロウリアか……最初の対応を間違えていれば、我が皇国も日本という巨大な国と敵対関係になっていたやもしれぬな」
「まだ、余談は許しませんが……日本の力がどれほどのものかはわかりませんが、古の魔法帝国ほどでないとしてもミリシアル並みならば皇帝陛下も対応を間違えたりはなさらないでしょう」
レミールとアルデが日本の力についてを考察していた時、ちょうど彼女たちから見て斜め正面となるメインモニターなる画面に誰かの顔が映し出されていた
『たった150隻の木造艦隊の処分に秋水の機銃・対艦ミサイルやウィンダムのヴァリス・ハドロンランチャーだけでは飽きたらず、飛鳥のハドロン重砲、大和の主砲と、五月雨のVLSに電磁速射砲まで使うだと?』
「はっ、は!その、畏れ多くも辻閣下の御意向でして、」
『そもそもなぜ命令権者が辻なんだね。肩書きではあっても権限を持つのは澤崎くんだろう、彼は確かKMFか戦闘機のみで終わらせると言っておったがあれはどうなった。そも処分艦艇をある程度固めさせて大和か武蔵の三式を撃ち込めばそれで終わりだろうに、これでは弾と金とエネルギーの無駄遣いになるぞ。普段から金の無駄遣いを嫌っておるはずの辻が。……やつはなにを考えておるんだ』
映像付き魔導通信、日本人たちは無線モニターやディスプレイと呼んでいたそこでは、丸坊主のたれ目気味な壮年の男が怒りの声をあげている
飛鳥の艦長との話からレミールは使節団の財務担当官の顔を思い出していた。朝田や澤崎とは違い、一人場の空気を支配してしまった不気味な丸い眼鏡の男
団長である澤崎は財務担当官を閣下と呼称していた。朝田もだ。その関係から、あの場の日本側の本当の実務者トップが辻財務担当官だとわかったレミールは、辻を警戒しながらも、終始彼のペースで進んでいった交渉とも言えない交渉を思い出す
平和に仲良くしましょうね
要約すれば日本側の求めはそれだけであった
そして大東洋の小国家群に手を出してくるなよという牽制だった
国交は対等関係を求め、それ以外に多くは要望してこなかったが、その対等関係が鬼門だったのだ
パーパルディアは五大列強以外に対等な国交を許さない
日本のような新興国ならばとくに
レミールの考えも皇帝の考えも、パーパルディア人全体の考えもそうであった
だが、日本は最初から力を示そうとしてきた
事実、エストシラント港沖で一発だけだが、巨砲を放ち、空中戦艦の艦隊で押し掛けてきた
迂闊なことができなくなってしまったパーパルディアは、善後策としての皇帝の勅命である日本の力を見せろと迫ったのだ
無論レミールは日本を調べあげていく内に、日本がとんでもなく巨大な国だと感づき始めていたために、日本には慎重にと忠言し続けたが、結果は今日という最悪に至る
いや、まだしもましな方なのかもしれない
日本との全面対立こそ避けられているからだ
飛鳥艦長兼パーパルディア皇国派遣浮遊航空艦隊指令田中中将は、レミールやアルデのように顔面を真っ青にしながらモニターの人物に頭を下げていた
「す、すみません名誉元帥閣下、澤崎官房長官閣下は辻閣下の御意向には逆らえず、その辻閣下とされましては個別の兵器ごとにそれぞれがこれだけの力を持つのだぞという最大火力をぶつけることで、以後一切の文句を言わせないようにしなければ、ここまで露骨な覇権主義国を黙らせるのは難しいと」
『現場の判断で恫喝に恫喝を重ねがけするやり方に変えたというわけか。その上今回は飴もなし。辻を怒らせる発言でも飛び出したのか』
「メリナや東アフリカ、南ニューギニア・大洋州連合と膨張してきたオセアニアと同じです。基本が膨張拡大主義のようですので、今のうちに強烈な一撃を与えておかなければ無用な戦争に発展しかねないとのこと。まあパーパルディアは我が国と正面切ってにらみ合えるようなオセアニアのような超大国ではありませんが」
『ふむ。まあ確かに、いま思い起こせばニューギニア戦争やラプラタ戦争のような世界各地における代理戦争はオセアニアに対しての油断から起きたようなものだったな。近年のアフリカ戦争も裏で糸を引いていたのはやつらだった。イラクの膨張主義による中東戦争も日ブとオセアニアの代理戦争的側面が強い。パーパルディアと代理戦争が起きるとは考えにくいが芽の内に潰しておくということか』
映像付き魔導通信よりもずっと鮮明な映像を映すモニター越し
交わされる日本艦隊総司令らしき丸坊主のたれ目男と飛鳥艦長の話から、レミールはパーパルディアが一小国、いや小国以下と見なされていることに気づいた
列強パーパルディアが小国以下
そんな見なされ方は屈辱だが、それだけの国力を大日本帝国は持っているのだろう
もう一度窓越しに眼下を観る
アルデも同様に
海上に浮かぶ530隻の艦隊のうち、自国パーパルディアの艦隊の、なんと小さきことか
200隻の鋼鉄の艦隊の巨大さ足るやなんと恐ろしきことか
間もなく始まる余剰艦艇の処分
それが皇国にとって幸いたらん事であるようにと
レミールやアルデは願わずにいられなかった
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
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嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
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南雲忠一×ドロテア・エルンスト
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玉城真一郎×クララ・ランフランク
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玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
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澤崎敦×井上直美
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レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
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原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
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ルルーシュ(休日)×ミレイ
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オデュッセウス×皇神楽耶
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ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
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枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
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コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
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高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
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鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-