帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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掲示板ネタ


馬鹿がほしい馬鹿

 

馬鹿がほしい馬鹿

 

 

 

 

「兄様への狼藉は許しませんよ?」

 

ひとが心配してやってきたのに個室の扉を開けるなりディープキッスを交わしていたバーテンとマリーベル・メル・ブリタニア皇女

 

俺はいったい何しに来たんだろ?

 

バーテンが刺されて

 

夜も寝られず

 

掲示板にも顔を出す気分すら起きない毎日

 

その中でようやく待ち望んでいた吉報を受け取りいざ病室まで来てみれば、深い深ーいキスの真っ最中ときた

 

反射的にスマホで撮ってしまったのは悪いと思ってる

 

熱くなって怒鳴り散らしたのも病院内であり病室であり怪我人を前にして非常に悪かった

 

それでも目の前でキス、それも舌まで絡ませ合ってのキスなんかされていて冷静でいられるほど彼女いない無職くんな俺にはキツく感じる事はなかった

 

それでついつい久々となる掲示板に俺こと北南光太郎は某ライダーブラックのように参上してバーテンや俺自身の無事を知らせると共に、キス画像までアップしてしまった

 

ヒーローに似た名前なのにやってる事は三流悪役

 

自分が情けなくなったがマリーベル皇女の護衛を務めている病室前の男性に許可を取りこうしてアップしたのであった

 

 

 

その最中、病室から出てきたマリーベル皇女は俺が指を走らせるスマホを背後よりジーっと眺めていて、予感がした為に何をするーみたいな文字を打ちかけたところで予感通りにスマホをかっ拐われてしまったのだった

 

あとはまあ掲示板住人の知る通り。マリーベル皇女がなんか書き込んでにっこり笑ってスマホを返してくれた

 

「あの、すみませんでした。勝手に」

 

「構いません。これでもカメラには撮られなれておりますもの。気づいてさえいれば少しだけでも顔の角度を変えるだけで写らぬようにする対処など朝飯前ですわ」

 

朗らかに笑う。邪気のない笑みだ。このひとって確かKGFナイトギガフォートレスとかいう巨大なKMFのデヴァイサーもしていて、御自身の手で南ブリタニアに根を張っていた一大テロ組織の基地を二つ三つ潰した戦歴を持っているような怖くも凄い方なのに

 

この顔を見ているとまるでそんな風には感じさせない年頃の女性って印象を受ける。まあ少々美人過ぎて話しかけるのに苦慮しそうだけどさ

 

「そんな事よりも、いつぞやの夜は大変な失礼を致しました。危うく何も関係のない貴方を殺めてしまうところでしたわ。本当に申し訳ありませんでした」

 

頭を下げるマリーベル皇女。左に結われたサイドテールも彼女の動作に合わせて垂れ下がり宙ぶらりんに揺れている

 

「そ、そんな困ります! 頭をお上げになってください!」

 

なんにも知らない民間人の俺だって彼女がとてつもない身分を持つ御方である事くらいは知ってる。そんな相手にただの無職ヤローがいつまでも頭を下げさせているわけに行くかよ

 

すると彼女は二度は語らず頭を上げてくれた

 

「では、お言葉に甘えますね」

 

「甘えてください。というよりブリタニアの皇女様に畏まられるとこっちがどうしていいかわかんなくなっちゃうんで、できれば普通に」

 

「ええ。それでは普通に。あとひとことだけご注意を。兄様の前ではマリーベルさんか、マリーさんとお呼びくださいね? 間違っても皇女様や姫等と呼ばないでくださいましな。兄様はわたくしの正体など何一つお気づきではありませんので」

 

657: 名無しさん :2018/01/30(火) 21:00:24

 

それを聞いて俺は思った。あいつは最大級の馬鹿なのだと

 

「テレビ観れば貴女の御尊顔などいくらでも」

 

「観てはいると思われます。ふふ、おかしなお話となりますが、わたくしがKGFを駆りカメラに納められていた映像をわたくしと二人で御覧になった事もございますのよ? それでも兄様はマリーベル・メル・ブリタニアとマリーベル・ランペルージが同一人物とはお気づきになさいませんの。うふふ、馬鹿でしょう」

 

いや馬鹿でしょうてあんた笑って口走るどころの話じゃないっすよ

馬鹿とかそんな段階で収まらない

 

「あの、それでは・・・それじゃどうしてマリーベルさんはあんなアホなやつと一緒に遊んだり・・・なんというかその」

 

伝えづらそうにしていた俺へマリーベル皇女、マリーベルさんは答えた。ありのままを

 

「好きなのか? ですわね」

 

そうそれだよ。なんであんた分かっててそんなにこにこしてられるんだよ。あんた自分の身分分かってるのか?

あの馬鹿がたぶん気づいてない事を分かってんのか? 俺が女なら悪いけどあんなの願い下げだぞ

 

「うん。あいつたぶんマリーベルさんの気持ちに」

 

「気づいてはおられないでしょう。未だ兄様の中でわたくしは妹分でしかありませんもの」

 

「それ分かってて・・・だったらこっちも不敬を承知で言うよ」

 

あんた・・・馬鹿じゃねーの?

 

 

 

不敬だと言ったが正直な話俺は不敬だなんてこれっぽっちも思ってなかった。馬鹿に馬鹿と伝えて悪いのは確かだが、それがイコール不敬なのではない。真実の話だ

 

なにかの障害を負ってるひとじゃない。この女性は大グリンダ騎士団を率い自らナイトギガフォートレスを駆って戦うような、頭を使った戦いだって要求される戦場で指揮を執り数々の武勲を挙げてきた聡明な人物だ。それが・・・恋に対してはどうしてこうも馬鹿になるのか?

 

思うところを口にしていく俺

 

黙って聞くマリーベルさん

 

直ぐとなりに立つ護衛の人もこれにはわかっているのか頭を悩ませているのか口を差し挟んではこなかった

 

思いの丈を述べる俺にうんうんと相づつマリーベルさん。その度にサイドテールが揺れている

 

信じられないよ。こんな聡明な頭の良い人があんな馬鹿に

 

その馬鹿が無事だと知って喜び駆けつけた自分を無視して言いたい放題だ

 

やがて出てくる言葉が尽きた頃。マリーベルさんは話し出した

 

「自らが恋に対して馬鹿だという自覚はあります。身分違いであるという自覚もございます。ですが、ですがわたくしはシン兄様に、兄様の手にこの背を押されたのです。幼き日に道に迷い泣いていたわたくしを歩むべき道まで連れていってくださり、最後にこの背を押してくださったのです。わたくしはあの日あの時よりシン兄様への確かな愛情をこの胸に抱きました。無論ブリタニアの皇女というこの身。日本の皇族・華族、士族ですらない一介の平民でしかない兄様となどと一時は諦めていたのですが、いつかの時。実にくだらない理由で再会を果たした兄様よりこれをーーー」

 

言って彼女が白いワンピースのポケットから取り出したのは。出てきたのは何の変哲もない和菓子。角みたいな突起が丸い球場の物体にたくさん突き出た日本の和菓子。いまはもう滅多に見ない駄菓子屋にでも行けば置いていそうな飴。金平糖だった

 

マリーベルさんはその金平糖を宝物を手にするように両手に包み込みながら目を瞑り

 

659: 名無しさん :2018/01/30(火) 21:03:25

 

「これを新たに受け取った時よりもうこの恋を諦めたりはしないと誓ったのです。いえ、新たに誓いを立てたのですわ。ですからわたくし、恋には馬鹿になる事を決めましたの。馬鹿と同じ土俵に上がらなければ馬鹿にはこの姿を見ること叶わぬと申されるのならば、このわたくし自身が馬鹿となり馬鹿を超えて馬鹿を手にして放さないようにする。そう、二度と永遠にと」

 

滔々と語るマリーベルさん。マリーベルさんの護衛さんが両手を上げて首を振っている。その様が俺には馬鹿には敵わないと言いたげで。俺は俺で馬鹿を超えて馬鹿を手にすると宣戦布告するようなマリーベルさんをひとり、手に負えない馬鹿だと考えていた

 

「あの、では先ほどのその・・・口づけをしていたのも?」

 

聞きづらいけれど気になって仕方ない事を俺はマリーベルさん、恋における馬鹿に訪ねていた

ただの好奇心からなんだけどね。そしたら馬鹿は顔を真っ赤なリンゴよろしくな具合に染め上げて

 

「あ、あれはその、兄様をお助けする際に行ったある賭け事の負け分の御支払ですの」

 

・・・・・・わっけわかりませーん

うああ駄目だぁ! 俺の中でブリタニアの紅き戦姫のイメージがぐちゃめちゃに壊れてくーっ!

 

なんでもバーテン。本名は玉城真一郎というそうだ。彼は極端に悪運が強く悪い方へのサポートの意味でも口づけなんてものを賭けていたらしい

 

本来の受取人は病院側なんだけど、いくらなんでも同盟国の皇女様からのキスなんて受け取れないし、そもそもマリーベルさんが嫌がる様子を見せていたそうだ。こちらは隣にいる屈強な護衛さんが付け足してくれた。じゃあ払わないかと言えば、神聖ブリタニア帝国の皇女として支払わない訳にはいかないとなり、支払い対象がなんでか病室の中にいるアホに変更されたらしい

 

南ブリタニアの紛争もほぼ沈静化したことで大グリンダの指揮を彼女の筆頭騎士ナイトオブナイツのオルドリン・ジヴォン卿に引き継ぎ長の休暇をもらい、こうして日本において想いびとのお世話をしていた中で交わされた支払い対象変更に従い、マリーベルさんは玉城真一郎さんにのし掛かって口づけをするに至った

 

それがいま俺の見た光景だったとの単純な話

 

 

 

「マリーベルさん、もう一度で悪いけどあんた馬鹿だろ?」

 

「は、はい、先ほど申し上げましたが自覚しております、」

 

「で、さ、なんであんな深いキスをしたわけなんです?」

 

「わ、わたくしがしたかったから。く、唇を重ね合わせただけではその・・・物足りなく・・・、恋愛ドラマのようなロマンチックな口づけをと・・・舌を入れたのも舌を絡ませたのも、10分ほどの深く長い口づけを交わしながら唾を飲ませ会わせたのも・・・わたくしなのです・・・」

 

げーっ!?

 

10分もディープキッスしてたーっ?!

 

俺そんなことまで聞いてねーよ?!

 

つーかそれじゃマリーベルさんあんたが玉城さんを襲ってたんじゃんか?!

 

「ああ・・・よく、よーくわかったよ。あんたやっぱ馬鹿だわ・・・あいつとお似合いだよ・・・」

 

バーテン、おまえ・・・とんでもない女に捕まっちまったみてーだぜ

 

この分じゃあのかわいらしい参謀さんもヤバそう・・・

 

 

俺は静かに合掌しながらマリーベルさんと共にバーテンの待つ病室へ戻った

バーテンはバーテンであわあわして呂律が回ってなかった

 

そりゃまああんなディープな口づけを10分もされてたら、ねえ?

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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