帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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事件処理その2

 

 

 

掲示板系SS

 

 

 

 

 

 

 

事件処理その2

 

 

 

 

「やれやれ、あいつは困ったものだねまったく」

 

屋上の欄干にもたれ掛かるV.V.の付くため息は白く霧のようになって空に消えていく

 

「セクハラその物が犯罪行為だという意識もないんだろうな。馬鹿につける薬はないって言うけど僕はほしいよその薬が」

 

「ふふ」

 

「どうしたのさ?」

 

「いえ失礼。子は親に似ると言いますが、貴方のいまの言葉の使い回しかたがクララさんと似てましたのでつい、ね。言葉の語尾にまったくをつける辺りなどよく似ておりますよ」

 

「それはどうも。僕もよく言われるよ僕とクララは子供たちの中でも一番似ているってね。極端から極端に走りそうになるところまでがそっくりだと」

 

「しかし貴方の場合はその極端にブレーキをお掛けくださる友人がいた。以前申し上げましたが私はね。もし嶋田さんが貴方と弟さんの幼なじみではなく、貴殿方のブレーキが掛からなければ」

 

排除することも考えておりました

 

にこやかな微笑を張り付けたまま大したことでもないように話す辻に、V.V.は気を悪くしたようでもなく

 

「危ういところだったのかな? 君たち魔法使いに狙われていた可能性があったなんてゾッとしないな。あらゆる秘密を知り、遥かな先を見通す未来見の力を持った君たちが敵に回れば・・・死、以外の未来が見えないね」

 

欄干に預ける力を強くしながら眦を下げだらけた様子で空を見上げるV.V.

 

「それは未来。もしかしたらもう終わってしまった未来なのかな魔法使い?」

 

あったかも知れない不確定未来になど思いを馳せても無駄なこと

それを理解しつつも考えてしまうのだ。もしも、信頼できる友人たちと敵として合間見えていたら?

 

「御冗談を。我々とて貴殿方の折れない執念を重々承知しておりますよ。目的のためならば世界を破壊すらしかねない執念と言いましょうか、猛執を。それに貴方が真に怖いのはそこではないのでしょう?」

 

嘘の無い世界を創世しようとしたV.V.兄弟の猛執。必要とあらば世界最大の超大国ブリタニア帝国や、世界中の人間全てでさえも、道具のひとつとして使ってしまうような馬鹿げた怨念とも呼べるそれと相対するのなら、夢幻会側もかなりの血を流す覚悟を要求されていたことだろう

 

しかしその傍らで、変えようとしても変わらない世界の流れと戦い続けてきた夢幻会以前のこの世界を知る人たち、夢幻会の中のこの世界を知る人たちは未来とV.V.たち個人を知るからこそ分かっていた

V.V.兄弟が必要としていたのは信頼できる友であったのだということを

 

「そうさ。僕は、僕とシャルルは、君たちというかけがえのない友人たちを得られなかった可能性。それが怖かったのさ」

 

友のいない二人だけの世界

寂しい世界

現実になっていたかも知れない世界

 

「信じられない大人たち。信じられない貴族たち。信じられない民たち。信じられない家族たち。嘘ばかりな世界。こんな世界なんてぶち壊して、盤面ごと変えてしまおうと、そう考えたこともあった」

 

「そんなときに、貴殿方の前へやってきた子供がいた」

 

「そうだ。見事なタイミングでね。そいつは言ったのさ。友だちになろうってさ」

 

空を見上げているV.V.の瞳からひとすじの水がこぼれて落ち、屋上を真っ白に染めている雪に染み込み消えていった

 

「嬉しかったなぁ・・・本当に、嬉しかった・・・心から、」

 

つーっ、と。頬を伝う水滴を彼は拭いながら口を開く

 

「なんにも腹に抱えてない純粋な眼差しで。『父からジ家の双子殿下の遊び相手をしてこいと言われたから来た』なんて無礼で馬鹿正直に。おどおどして引きこもりがちだったシャルルを引きずり出して殴りあったり、僕も混ざって三人で喧嘩したり、それからかな。心新たに誰かを信じてみるのも悪くはないって思い始めたの」

 

897: 名無しさん :2018/02/15(木) 18:08:04

 

「嶋田さんも子供の頃は子供の体に心を引っ張られていたのですね」

 

「なんのこと?」

 

「ああ失礼。独り言です」

 

舞い落ちるべた雪は溶けずに更に降り積もる。しんしん、しんしんと

 

「ブリタニア高祖リカルドは死ぬ間際に言っていたらしい。一度は誰かを信じた己自身を信じ抜けってさ。僕もシャルルも、生まれてから一度も誰かを信じなかったなんてことはさすがに無いんだよ? でもね、それ以上に同族争いに始まり、裏切りや妬み、媚びといった、下卑なる輩が多すぎた。周りはみんな嘘つきだらけだったのさ。そんな僕らの前に遠い異国から友だちになろうとやってきたあいつが現れた。思いをそのままにぶつけてくれたあいつが。だからもう一度だけ、僕らは信じてみたのさ。やがてそいつは唯一無二な親友となって僕らを僕ら自身の猛執から救い上げてくれたんだ。ま、やってたのは泥んこになるまで駆け回ったり、意見をたがえれば話し合いより先に手が出て取っ組み合いの喧嘩になったり、そんなことばかりだったけどね・・・・・・ふふ、そういえばちょっとどころじゃない変な気になったけとがあったなぁ」

 

「なんです?」

 

「いやね、シャルルはどうか知らないけどさ、僕はあいつがもし女の子だったのなら、僕の妃にしたいと考えたことがあったんだよ」

 

「ほうほう、それはそれはご腐人方がお慶びになりそうな」

 

「残念なことに彼は男だから友情的な心愛で止まったけどね」

 

「ご本人にはどうされましたか?」

 

「伝えたことがあるよ。そしたらさ、実に嬉しそうな笑顔で『そこまで信頼されてると清々しいくらいに嬉しいものですね』だってさ。人たらしだよあいつ。だからつい冗談で『僕の側が女の子だったら君はどうするんだ』って尋ねたんた。そしたらさ『○○殿下になら求婚してたと思います』だって。あのときはそっちの道に入りそうでかなり危うかったよ」

 

「そうですか。恥ずかしいけど嬉しい思い出というやつですね?」

 

「うん。あ、勘違いしないように訂正しておくけれども本当に何もなかったんだぞ? いまでも友情の意味での心愛だからな」

 

「そんな強調なさらずともわかっておりますよ。そうでなければ嶋田さんが女性と仲が宜しくなる時に嫉妬から無茶苦茶していたでしょうV.V.さんなら」

 

「だろうね。クララのこと言えないな」

 

「クララさんはそれだけ貴方と似ていらっしゃるのでしょう・・・・・・ところで、フランク・ロズベルトの足取りはわかりましたか?」

 

「ああ、そっちはもう調査済みだよ。彼は以前より南ブリタニア大陸はアラウカニア=パタゴニア王国に何度も出入りしてた形跡がある。それと、特定の人物が所属している会社と取引していたようだ」

 

「ペンタゴン関係のフロント企業の可能性高しですね」

 

「高いどころか真っ黒さ。なにせ今回ロズベルトが日本へ訪れる前に立ち寄ったみたいなんだけど、その後すぐに会社は畳まれて社長以下従業員は行方を眩ませてるから。思考誘導のギアスを掛けられたとすればその時だろう」

 

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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