帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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小話一本投下。
昨日の小話の続きで玉城とマリーのデートの裏側みたいなの?


「マリーったら、なんであんな変な男に御執心なのかしら」

 

 

「マリーったら、なんであんな変な男に御執心なのかしら」

 

主君であり親友であるマリーベル・メル・ブリタニア。

大切な友達である件の彼女は一人の男に夢中なのであった。

それがオルドリンの癇に障る。いい加減な夢追い人。それはまだいい。夢を持って前に進むことは悪いことではないのだから。

だが、主張をコロコロと変える一貫性のなさ、二十も半ばになって無職、借金持ちのVV様の家への寄生。悪いところもいっぱいだ。

 

そんな男にどうしてかマリーは惚れている。

過去の話を聞いてみると共に夢を目指す同士として将来を誓い合った仲なのだとか名状しがたい説明を受けた。

幼い頃のマリー、それは自身も知っている。遊び相手であり幼なじみなのだから。

だがそんなオルドリンを以てしても玉城との一件は知り得たことは無かった。

 

「シンイチロウ・タマキ、ギャンブルが好きで粗暴、言葉遣いも悪ければ目上の人への態度もまるでなっていない。マリーが惚れる要素なんて何処にも無いじゃない!」

 

あのいい加減な男はそんなマリーの女性としての一面を引き出させているのだ。心中穏やかでは居られない。

腹立たしい、親友である自分でもあそこまでマリーの喜怒哀楽を引き出して素のままの女性にさせるなど無理なのに。

 

右側側頭上部で束ねられているマリーの赤く綺麗な長い髪が彼女の気持ちを物語るように嬉しそうに揺れている。膝に届いた毛先がさらさらと嬉しげに踊っている。

マリーの姿だけを視ていればそれは美しく高貴な女性がお忍びで街を散策している風景に見えなくも無いが、隣の男が全部台無しにしていた。

 

その隣を歩く柄の悪そうで品のなさそうな男、シンイチロウ・タマキ。

神聖ブリタニア帝国第八十八皇女ともあろう者がアレの何処に惚れたのか。

さっぱり以て理解不可能だ。何かの技術に秀でて居るでは無い、VV様曰く「ただのダメニート」。マリーがアレに惚れるだなんて聡明なVV様でさえ予想していなかったらしく。

神様がヘロインとコカインを飲んでスピードボール決めてイッチャッタとしか思えないよと仰っていた。

 

マリーは騙されているんだ、あの変な男に妖しい催眠術でも掛けられて騙されているに違いない。

 

「その性根と正体、マリーの前で絶対に暴いてやるんだから」

 

意気込むオルドリンはデート中の二人の後を見つからないよう付けていく。

しかし彼女は知らない。マリーベルがそんなダメニートの正体の全部を見切った上で手の平で転がすように自分へとその想いを向けさせようとしている事実に。

 

 

「なんか不審者がいるんだけど」

 

クララは街を散策していた。

大好きなパパと二人で。

お兄ちゃんも誘ったのだが別で予定が入っていると断られてしまったのだ。

 

そんなところで何やら物陰にシュババと身を隠しながら移動しているオルドリンを見つけてしまったのである。

 

「あれナイト・オブ・ナイツだよね? なにしてんのかな?」

 

「さあね。なにをしているんだろうね(大体想像付くけれどこれはまずいなあ)」

 

愛娘のクララまで暴走してしまう危険性を孕む展開だ。

この広い大東京でどうして玉城とマリーのデートに鉢合わせるようにしてオルドリンがいて。

そこへどうして自分とクララまでが鉢合わせてしまうのか。

 

東京は世界最大級の大都市だ。

日中の人口なんて何千万人と居る。

そんな中をたった五人が偶然にも居合わせる。

これはなんて災厄な事態なのか。

 

「クララ、あっち行こう」

 

せめてVVは愛娘が玉城とマリーのデートに気付かないようにこの場を離れたかった。

アレを見てしまえば娘は傷付くし、怒り心頭となるだろう。

 

「どうして? パパ気にならないの?」

 

「他人のプライベートを覗き見るのはレディのする事じゃないよ。クララはもう立派なレディだろう? だったらお行儀良くしなくちゃね」

 

背丈の低いクララは自分自身を良く気にしている。

よりにもよってクララの愛する男が豊満な体型の女性が好みだからだ。

お世辞にも大人らしい体型とは言えないクララは発展途上にある。だから余計に気にしている。

 

そこでVVはクララを立派なレディと褒めてあげることでオルドリンから気を逸らせようと考えたのだ。

オルドリンから気が逸れれば玉城とマリーの姿にも気が付かない、万事丸く収まるという具合。

 

しかしてその試みは。

 

「あーーーッッ!!」

 

失敗した。

 

「あちゃあ~ッ、ダメだもう」

 

オルドリンから逸れた愛娘の視線が僅かな瞬間に玉城とマリーにセットされてしまったのだ。

 

失敗したと頭を垂れるVV。足下まで掛かるほどの淡色の金髪がだらりと力なく垂れ下がり、毛先が地面に接触してしまった。

が、そんなことはどうでもいい。愛娘の反応の方が気になる。

これで娘が傷付いたりしたら今夜にもうちに来るだろうあのバカに借金の全額返済の請求とお説教をくれてやろう。

そう決意した彼は気が進まないと娘の顔を見上げた。

 

すると。

 

「あのお店アレ新作のパフェが出てるんだよ! ねえねえ行こうよパパァ!!」

 

玉城とマリーへと至る斜線軸の中間線。

そこにはパフェの店があり新作が発売中であるという垂れ幕が掛かっていた。

 

なんというタイミングと位置関係の良さなのだろうか。

 

「……相変わらず悪運強いね」

 

悪運にだけは愛されているのか危機的状況をまま回避する玉城真一郎という男。

どうやらこの度の悪運も彼に良かれと働いたようだった。

クララが彼らを発見するという悪運、それを回避したのだから。

 

「オルドリンはいいのかい?」

 

「ナイト・オブ・ナイツのことより今はパフェパフェ!」

 

こちらの腕を引っ張り始めたクララにVVは内心安堵のため息を吐きながら玉城とマリーを視界の端に入れた。

 

(マリーもクララも僕の大切な子達だからね。泣かせたりしたら許さないからね)

 

直接文句の一つも言ってやりたい。

彼の大馬鹿野郎はマリーの気持ちもクララの気持ちも知ったこっちゃないと遊び回っている。

マリーを心配するオルドリンの気持ち、分からないでもない。

あんなやつに惚れてしまったマリーとクララが可哀想だ。

 

でも答えはいずれ近いうちに出して貰わないと困るのだ。

 

マリーを選ぶにしろクララを選ぶにしろ。

 

そうしないとこの二人はいつまでも待ち続けるだろう。

 

「あまり待たすんじゃないぞ」

 

もっとも本人がどちらかに惚れてくれない限りは始まらないのでこれもまた頭の痛い悩みだった。

 

「はぁ~っ、二人とも何であんなアホに入れ込んじゃったんだよ」

 

「どうしたのパパ。ため息ばっか吐いちゃって。幸運の女神様が逃げちゃうよ」

 

「幸運の女神様とやらはコカインとヘロインやってスピードボールかましてとうの昔にどこかへいっちゃったよ」

 

心配してくる愛娘に余計気落ちしてくるVVの頭がまた下がり、彼の髪の毛がまた地面に触れた。

雨に濡れた街路だったら髪の毛先がドロドロになるところだ。

 

「パパの髪の毛地面に付いちゃってるんだけど」

 

「はぁぁあ、ああそうだね・・・・。うちに帰ったらあのバカに洗わせてやるよ。お風呂で二人きりになって逃げられない場で説教してやるんだ」

 

「お兄ちゃん何かしたの?」

 

「いいや君が気にすることじゃなし、なんでもないよ・・・・。パフェ、食べよっか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

※※※

 

 

 

「こんばんちーん。今晩のご飯はなんすかー?」

 

夜、大馬鹿野郎はやってきた。

昼のデートの後マリーと別れてからわざわざ出直してきたよ。

こいつ計算してやってるのか?

 

「いらっしゃい、というべきかお帰りというべきか、君の場合家人でもないのに迷わされるよね」

 

相変わらずの悪人面で僕を見るシンイチロウ。

 

「いや~、一応こんばんはのお邪魔しますだろうよ流石に。まあ俺としちゃただいまーでもいいくらいこのうちの家人みてーなもんだし、それでもいいかなと思わんでもねーけどさ」

 

思えよ!君他人だろ!!

 

「図々しいやつだねまったく、ここの主人である僕を前にして」

 

「勝手知ったる仲じゃんか」

 

「君ね、僕は君より四十くらい年上なんだよ?態度や口の利き方に気を付けたりしないの?」

 

「だっておっさんはおっさんだしい、今更だしよぉ」

 

「はあ、本当に礼儀ってやつを知らないやつだなあ。そんなのだからいつまでも無職なんだよ」

 

「無職関係ねーし。つーか今晩のメシは?」

 

いきなりたかりですかそーですか。

それなら僕だって言ってやろう。

 

「先にこれ持って」

 

僕は風呂おけを突き出した。

自分の分もある。

 

「なにこれ。銭湯でも行くのか?」

 

「行かないよ。今からうちのお風呂に入るんだよ」

 

「なんで俺まで?」

 

俺メシの後でいいから。

そんなふざけたことを言ってくる。

 

僕は無言で立ち上がって馬鹿野郎の脛を蹴ってやった。

 

「痛ってええっ、なにすんだよクソジジイ」

 

ジジイの前に糞まで付けるか。

本当に目上に対する口の利き方がなってない。

 

「いいからお風呂入るよ。ついてきて」

 

「んだよジジイ、なにキレてんだよ。俺なんかした?」

 

「何もかもしてるしやらかしてるよ。ほら、さっさとついてこい」

 

「へいへい」

 

お風呂場。

僕は召使いにさせるように自分のマントや衣服を馬鹿野郎に脱がさせる。

 

「自分で脱げよ。なんで俺がジジイの服を脱がさにゃあならねんだよクソ」

 

「文句言うならご飯抜きにしてやってもいいんだぞ。今晩は君の頼りのクララはまだ帰ってきてない。僕がご飯を作るんだから」

 

「おっさんのメシ、久しぶり感あるな。マリーは?」

 

「まだ帰ってないよ。夜のお買い物さ。大体が君がうちにくるの早すぎなだけなんだよ」

 

腹減ったしとか舐めたことを言ってくる。

服を脱がされている最中だから行動には移せないけどもう一発蹴り入れてやろうか?

 

「パンツは自分で脱げよ?男のパンツとか触りたくねーし」

 

「自分で脱ぐにきまってるだろ気持ち悪い」

 

僕は服を全部脱いで風呂おけを持つ。

 

「ほら君もさっさと脱げ」

 

「おっさんが自分で服脱がねーから俺服脱ぐの遅れてんだぞ」

 

「うるさい口答えするな」

 

「ああもうなんでそんな機嫌悪ィの?」

 

「君のせいで髪の毛地面に付いたんだよ。外でね!」

 

「俺かんけーねーじゃん!」

 

「さっさと脱げ!」

 

僕がせかすとぶつくさ文句を言いながらも馬鹿野郎は衣服を脱いだ。

悔しいけど体格はしっかりしてて無駄な脂肪もついてない、体つきもいい。

十歳くらいで体の成長が止まった僕とじゃ大人と子供の差だった。

ちょっとムカつくなあ。

 

 

「さあ、入るよ」

 

「へーい」

 

男同士、裸になって僕のうちのお風呂に入る。

広さは結構なものだ。

一応屋敷と呼ばれる広さを持つ僕のうちのお風呂だからね。

狭いはずもなしだよ。

 

僕はシャワーを取ると、馬鹿野郎に手渡して風呂おけを洗い場に置いて椅子を取って座る。

 

「え?なに?」

 

「シャワーかけてくれ」

 

「自分でかけろよ」

 

「いいから言うとおりにしろ、ご飯抜きにするぞ」

 

「はいはいわかりましたよ爺さん」

 

ざあっ、シャワーからお湯が噴出し、僕の頭にかけられる。

お湯が髪の毛にしみこんでいって、ぼたぼたと流れ落ちていく。

行水しているみたいな感じだが、お湯が暖かくて気持ちがいい。

 

「しっかりお湯で濡らしたら次はシャンプーを僕の頭にかけてそのまま僕の髪の毛を洗ってくれ」

 

「なんで俺がんなことせにゃならんのよ?!」

 

「君のせいで髪が地面に付いたって言ったろ。君に汚されたようなものだから君が洗って流すんだよわかったかい?」

 

もごもご文句ばかり言ってくる馬鹿野郎。

僕が機転を利かさなかったら昼のあの時間修羅場になってたんだぞ。

 

「シャンプーぶしゅ~っと」

 

「大目に使ってくれていいよ」

 

「おっさんの髪の毛無駄になげーもんなあ」

 

「まあね、自分でも無駄に長いとは思ってるよ。ただ今更切る気もしなくってね。切ろうかと言ったら家族に邪魔されちゃったよ、切るなってさ」

 

「いや、逆にここまでなげーと実際切るのもったいなくね?おっさんもうすぐ年金世代だろ。切った瞬間に禿げるかもしれねーぞ」

 

「そんな馬鹿なことあるか、余計なお世話なんだよ」

 

シャンプーの冷たさを頭皮に感じる。

馬鹿野郎の手は続いて僕の髪の毛を撫でるようにして洗い始めた。

 

「わしゃわしゃ洗いたいけどよー、こう女みてーな毛だとそれも気が引けるんだよな」

 

「くしゃくしゃにはするなよ?」

 

「わーってるよ」

 

丁寧に髪を洗い始めた馬鹿野郎の手が意外に気持ちいいの悔しいな。

いつも自分で洗ってるから、たまに誰かに頭を洗ってもらうと気持ちがいいんだよね。

 

「なあなあ」

 

僕の髪に指を差し入れてしっかり洗いながら馬鹿野郎は聞いてくる。

どうして僕の機嫌が悪いのか。

どうして僕の髪の毛が地面に付いてしまったのが自分のせいなのかと。

 

「君、今日クララにお外に遊びに行こうと誘われて断ったよね?」

 

「おう、先約があったからな」

 

「その先約ってマリーのことだろう」

 

「げっ、なんで知ってんの?」

 

「居合わせたからさ。僕とクララがその場にね。君、酷いじゃないか埋め合わせもなしにクララの誘いを断って」

 

「いや、でも俺が誰と遊ぼうが俺の自由」

 

「自由だろうさ、クララが君のこと好いてなければ」

 

「い、いや、それは」

 

「あの子、いつも言ってるだろう君のことが好きだって。あの子の気持ちに嘘はないよ、君のこと本気なんだよ分かってあげてくれよいいかげんに」

 

「で、でも、なあ」

 

自信がない以前に端から信じていない。

他人からの好意に鈍いのだろう。付き合いが長いからわかっちゃいるけれどさ。

 

「まあそれはいい、置いておく。結局はクララと君の問題だからね。それで、その居合わせた場でクララが君とマリーに気付きそうになったところを僕が目を逸らさせたんだよ。その際に僕の髪の毛の先の方が地面についたのさ、肩と頭を落とした時に」

 

「そりゃあおっさんのせい」

 

髪を洗ってくれている手が止まる。

 

「手を止めるな」

 

「あ、はい」

 

再び馬鹿野郎の指が僕の髪の毛の中に吸い込まれてわしゃわしゃと洗う泡の音が聞こえた。頭皮に十本の指の触られ具合がよく感じられて気持ちいいな。

髪の毛全体が後ろに持ち上げられるようにされて背中に垂れ落ち、泡の感触とやつの手の感触がよく感じられてなじんできた。

 

「クララはああ見えてすごく嫉妬深くてね。真正面からなら受けて立つ方だけどその気はなくてもコソコソされているように受け取られたら君、何されるかわからないよ?」

 

「こ、こえーこと言うなよ」

 

冗談じゃない、あの子は好きな相手が自分を振り向いてくれないのなら殺してしまう可能性を秘めている。

世に言うヤンデレ気質のある子だ。真正のヤンデレではないところがまだましなんだけど、もちろんマリーが馬鹿野郎に好意を抱いていることも知ってる。

淑女協定じゃないけど真正面からならそう無茶なことはしないだろう。

だからこそ今日みたいな断り方はまずいのだ。きちんとマリーと遊びに行くと伝えてあげればあの子は怒るし悲しむかもしれないけど無茶な行動に出たりしないだろうからね。

 

わしゃわしゃ。

 

洗われている場所が背中に移り、やがて髪の毛の先まで丹念に洗われる。

結構上手いな。これなら時々やってもらってもいいかもね。

背中の流しっこはこの馬鹿とよくしているけれど頭を洗ってもらうのはあまりないしさ。

 

「まあ僕が何に怒っているのかというと、クララにもマリーにも思わせぶりな態度をとって何もなしとかはやめてあげてってことで怒ってるわけ。あの子たちは二人とも君に本気なんだからそれだけは忘れないでほしい。ああ、別にあの子たちと遊ぶことが悪いとは言ってないから、コソコソするようなことは控えてもらえるといいかなって思ってるんだよ」

 

「俺、コソコソしてるつもりねーんだけど」

 

「君にその気がなくても彼女たちはそう見ないだろう?」

 

「う、う~ん、そうなのか~?女の気持ちとかよくわかんねーしよお」

 

「まあそれなりに気を付けてあげてくれてたらいいよ」

 

「そっか、まあ気ィつけるわ」

 

もう一度頭のてっぺんから髪の毛の先まで洗われる。

念のためにと二回洗ってくれるらしい。

それ自体は悪い気分はしなかった。

イライラが洗い流されていく感じで気分がいい。

 

「えと、頭の先から髪の毛の先まで洗ったけどよ、シャワー流してもいいか?」

 

「いいよ」

 

「じゃあ流すぜ」

 

ざざーっ。

 

吹き出るシャワーのお湯。

僕の頭にお湯がかかり、髪の毛を伝いながら風呂場のタイルに流れ落ちていく。

 

「しっかり洗うな。おっさんの髪の毛すげーなげーから泡残らないように気を付けるわ」

 

そう言って片手でシャワーを流しながらもう片方の手で僕の髪を梳かしながらシャンプーの泡を洗い落としていく彼。

 

「ああ、結構気持ちいいねこれ」

 

「そか、へへっ、そう言ってもらえると俺も気分いいわ」

 

目をつむる僕。

僕の髪を洗い流すシンイチロウ。

 

ほんと気持ちいいや。

 

 

「シンイチロウ」

 

「なんだおっさん」

 

「僕の髪の毛を洗い終えたら今度は僕が君の頭を洗ってあげるよ」

 

「いいのか?」

 

「うん、けっこう気持ちいいからね。君にも同じことしてあげたくなったんだ」

 

「じゃ俺のことも気持ちよくしてくれな」

 

「わかった」

 

洗い終えた髪の毛。

足首まで届く長さの僕の髪が水分を吸うととても重くなる。頭自体がとても重い。

 

「シンイチロウ、お風呂から上がったら僕の髪の毛を乾かしてもらえるかな」

 

「ドライヤーか」

 

「そう」

 

「了解」

 

後でしっかりと乾かさないとね。乾かすのもシンイチロウにドライヤーを充ててもらおうっと。

 

「じゃあ交代だ。今度は君がここに座って」

 

「ほ~い」

 

シンイチロウが僕の座っていた椅子に腰かける。

同時に僕は水道の蛇口をひねってお湯を出し、そのシャワーを彼のつんつん頭にかけてあげた。

 

「お、あったけ~。ちょうどいい温度だな」

 

「今使ってたそのままだからね」

 

僕と違って普通の長さの髪の毛のシンイチロウ。

そのつんつん頭がお湯を吸ってヘタレるように普通の感じになっていく。

 

「いつも髪を逆立ててるからこうヘタレてしまうと一見別人に見えるよ」

 

「るっせ」

 

十分髪の毛を濡らしたところで僕はシャンプーを手に取り、手の平の上に洗剤を落として、その手でシンイチロウの頭にぺたりと張り付けた。

 

「うお、ぞっとしたぜ」

 

「気持ちいいだろ?」

 

「ああ、結構いいもんだな」

 

「じゃあ洗ってくね」

 

僕は十本の指をシンイチロウの髪の中に入れてわしゃわしゃと全体を泡立てながら洗い始めた。

 

「おお~。おっさんの指のこう、触られる感じが気持ちいいわ」

 

「だろう?僕もさっきこんな感じだったんだ。たまに洗いっこしようか」

 

「いいかもしんねーな」

 

わしゃわしゃ、泡立て洗うシンイチロウの髪は濡れているからだろうつんつん時には感じないつやと柔らかさがあった。

僕は耳の後ろ、うなじ周り、頭全体へと指を這い巡らせてしっかりとシンイチロウの髪を洗ってあげた。

 

 

「これくらいかな?じゃ目をつむって、シャワー流すよ~」

 

「へ~い」

 

ざざ~っ。

勢いよく出るシャワーのお湯を彼の頭にかけてあげながら。

僕も彼にされていたように片手を入れて彼の髪の毛をわしゃわしゃと触り、泡と洗剤を洗い落としていった。

 

きゅっ。

シャワーの蛇口を閉める。

お湯が止まる。

目を開いたシンイチロウはこっちを見て。

 

「終わった?」

 

そう聞いてきた。

 

「うん終わり。奇麗に流したよ」

 

「っしゃ、じゃ次は背中の流しっこだな」

 

「うん、今度も僕からお願いするよ」

 

「よし」

 

言うとシンイチロウは僕の髪の毛を纏めて僕の左肩から前に垂らさせた。髪の毛が背中を隠しているからだ。

 

「ジジイのクセ、そこらの普通のジジイと比べてやっぱちっこい身体と背中だよなーやっぱ」

 

口の悪いやつだ。お年寄りと言え。

 

「うるさいよ」

 

軽口をたたきあいながらの僕らの背中の流しっこが始まった。

 

 

 

終わり~。いや書き忘れた、あとがきでの注意書きで悪いが視覚的BL要素が入ってる。

まあ言ってもただ頭と背中の洗いっこを男同士お風呂でしてるだけなんだが。

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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