ルキアーノくんが怖がっている様です。
「お疲れ様ですブラッドリー卿」
駐日ブリタニア大使館。その一室。
そこで出迎えてきたのは金の長髪を揺らせる女。
かつての部下だったお嬢様だった。
恰好はパイロットスーツ。直ぐにでも戦闘に出られるようないで立ちだった。
緊急の用、KMFを動かす可能性すらもある最高の警備体制下にある事がその服装から感じ取れた。
「ずいぶんと久方ぶりよなリーライナ・ヴェルガモン卿」
かつては呼び捨てにしていたが今は立場が違う。
一個人、伯爵家令嬢としても立場を持つ相手。
しかも彼女は士官学校主席卒業の才媛でもある。
ラウンズたる自身とは格そのものが違うのだが貴族を相手とする接し方が必要とされる。
「ルキアーノ様、いえブラッドリー卿。皇帝陛下御来日の先触れとして訪れるとお耳にはしておりましたがずいぶんと可及ですね。なにかございましたの?」
リーライナが尋ねてくる。私の用向きは陛下の来訪とは別にあった。
「なに。本日わがブリタニア大使館に我が国の皇帝陛下の御朋友がたがご来訪されると耳にしたものでね。是非とも個人的にご挨拶できないかと思い参った次第さ」
「御朋友・・・・それはマサノブ・ツジ閣下、シゲタロウ・シマダ閣下、いっく・・・イソロク・ヤマモト閣下のお三方の事でしょうか?」
マサノブ・ツジ卿。
大日本帝国元大蔵・財務省にして日本の世界の闇を知り尽くしていると言われる御仁。
イソロク・ヤマモト卿。
大日本帝国元海軍大臣であり国防大臣にしてニューギニア戦争の英雄。
シゲタロウ・シマダ卿。
大日本帝国元宰相にして事実上の日本最高指導者。
三名ともに知らぬものは居らぬ大物たちだ。
その三名が揃って我が大使館を訪れる理由。
オセアニア、南天が絡んでいる事柄ではないのか。
色々とケースが考えられるが、日本を裏から操っていると言われる日本のフィクサーが一堂に会するこの機会。逃す手はないとして先走ったわけだが。
「リーライナ、お三方との急遽となる面会だが貴卿の権限で可能とすることはできないかな?」
「申し訳ございません。如何にナイトオブテン・ブラッドリー卿と言えども彼のお三方とアポイントもなくお会いになることは」
言いかけたリーライナ。
だがそれを遮るようにしてバタバタと大使館職員が動き出した。
伯爵令嬢であるリーライナ、ラウンズであるこの私にすら構ってはいられない何かがやってきた。
これをわかりやすく肌で感じる。
廊下の奥。
扉の向こうから気配がした。
三つ。
強大な気配だった。
(こ、これはッ?!)
物凄い、物凄い血の匂いがした。
これほどの濃密な血の匂いは今まで経験したことがない。
「失礼しますヴェルガモン卿! し、至急ヴェルガモン卿に御面会したいと申される御方がッ」
慌てた様子で入ってきた平民上がりの騎士。
本来ならラウンズたる私を優先すべきだと考えるが、私自身が可及の来訪にて私が此処にいることを知らぬ者とていよう。
なにせまだ大使閣下であるコーネリア殿下や大使補佐官であるユーフェミア殿下とも顔を合わせてはいないのだから。
だが、そんな雑多な思考は今この時、すべて吹き飛ばされてしまった。
「失礼いたします」
入室してきたのは一人の日本人。
それほど背も高くなく特別な何かを感じさせない風貌、一見してそんな風貌だったが。
(や、闇だ)
黒よりも黒い黒。
闇よりも深い闇。
丸い眼鏡が特徴的なその男は私に視線を向けた。
瞬間。
背筋を冷たいものが走り抜けたことを感じた。
「これはこれは、貴方はナイトオブラウンズ第十席、ナイトオブテン、ルキアーノ・ブラッドリー卿ではありませんか。貴卿が此処にいるということは皇帝陛下がもう参られているのですかな」
心臓が捕まれる感覚がする。
この戦場と無縁そうな男から感じる深い闇はなんだ。
そしてこの血の匂い・・・・血の匂いに慣れているはずのこの私が、この濃密に過ぎる血の匂いに嘔吐しそうになっているだと?!
「こ、皇帝陛下はまだ御来訪ではありません。た、ただ私の独断でこちらを訪れていただけで」
声がひきつる。
なんだ、何なんだこの男は。
「そうですか。ブラッドリー卿ほどの御方が態々ご自身で優先なさりこちらを来訪する用向きがあると」
「は、はっ」
闇と血を纏う男は私から目を離す。
今度はリーライナを見る。
「ヴェルガモン卿」
「は、はいっ」
「いっく・・・・失礼。山本が貴女にご挨拶にしたいと申しておりまして、お通ししても構いませんか?」
「え、い、いっくん・・・あ、ヤマモト閣下が私に?」
いっくん?
なんだろうか。
この濃密な気配の前では些末なれども気になった。
「失礼する」
次にもう一つの強烈な気配が動き出した。
その気配も嗅いだことのない血の匂いを纏わせている。
丸坊主にされた頭。白い軍服。
(イソロク・ヤマモト!!)
元帝国海軍大臣にして国防大臣だったイソロク・ヤマモトだった。
「リーラ・・・・ああ、いや。ヴェルガモン卿構わんかな」
「う、うん・・・あ、いえ、はい」
二人は歩み寄る。
まるで長年連れ添った夫婦のようで。
(どういう関係なんだ?!)
「おお、失礼。貴卿はルキアーノ・ブラッドリー卿ですな? 山本五十六と申します、以後よしなに」
「はっ?! い、いえ、こちらこそ彼のニューギニア戦争の英雄ヤマモト閣下とお会いできるとは光栄でございます!」
内心汗が流れる。服の下が気持ち悪く濡れている。
そして。
「辻さん、山本さん、勝手に先へ行かないでくださいよ」
最後に入ってきた男。
その男からは血と闇と、そして強大な死その物の気配を感じた。
あまりもの死の匂いに本当に吐いてしまいそうだった。
(も、元帝国宰相・・・・シゲタロウ・・・シマダ・・・)
その死に寄り添うように入ってきたのは我がブリタニア帝国の第三皇女ユーフェミア殿下だった。
この場にいる私以外の者、なぜ正気でいられる?!
血と闇と死、この濃密すぎて強大な気配を前になぜ何もない日常を生きているかのようにしていられるのだ?!
(これが、これが日本を陰で操るフィクサーたち・・・・)
こんなのがまだ何人もいるという。
怪物としか思えない人間たちを前に、鋭すぎる嗅覚と血の匂いを感じ取る感知力を持った男、ルキアーノ・ブラッドリーは生まれて初めて抱いた恐怖に包まれていた。
彼をもってしても闇の深すぎる存在たちに彼は言葉もつむげず立ち尽くしていた。
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
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嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
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南雲忠一×ドロテア・エルンスト
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玉城真一郎×クララ・ランフランク
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