帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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ちと思いついたので書いてみる。
休日世界×戦ヴァル=237様の作品 支援SS



休日世界×戦ヴァル=237様の作品 支援SS

 

 

 

森に潜んでいた砲戦型KMFが火を噴き、敵となる基地に砲弾を降り注ぐ。

その砲火の中を近接戦闘主体の部隊が駆け抜け、慌て出てきたKMFを迅速に、冷静に仕留めていく。

そのKMFの中でひときわ目立つ戦果を叩きだしている機体がいた。

 

【ユーロアレクサンダ】

 

【アレクサンダ】を改良した機体で、難点だった防御力を改善してある。

他にも向上している部分があり、襲撃している部隊―ネームレス―のエースとして相応しい活躍と言える。

ただし・・・その攻撃が激烈かつ、容赦ない無慈悲であるという点を考慮に入れなければ。

 

「おっと」

 

後方から射撃して接近してくる【ボーイ】二機の攻撃を簡単に避け、反転してこっちから突撃する。

戦闘に立っていた【ボーイ】は、後方の僚機に左に出るよう指示し、自分は右側に曲がる。

左右に分かれての挟み撃ちにしようという腹だろう。

 

確かに相手が並なら有効だったかもしれないが、【ユーロアレクサンダ】の操り手であるリエラにはまるで意味が無い。

すぐに足元に転がっていた石を左のトンファーで跳ね飛ばし、右の【ボーイ】の顔面に叩きつける。

更に戻す勢いでトンファーを左の敵に投げつける。

 

武器をあっさり手放し、まるで恐れを知らないかのように突撃を敢行したリエラに対し、左側の【ボーイ】は一時硬直した。

だが、それでも飛来するトンファーをはねのけたのは褒められる事だろう。

ただし、それが回避行動をとらせるための時間を潰してしまい。

 

右のトンファーを真正面から叩き込まれ、コクピットまで無残に押しつぶされなければ・・・

石をぶつけ、カメラを一時使用不能にさせた方も、時間を与えずにさっさと仕留めて一息つく。

 

「もう、いないみたいだね。」

 

レーダーを起動させて確認し、ホッとする。

先程まで鬼神のような動きで敵を蹂躙していた人物だとは思えないほど、彼女の微笑みは綺麗であった。

リエラは不幸な戦歴を持つ。

 

過酷な戦場で、何時も生き残っているというのは上辺から見ればすごい事だ。

しかし、代償として自分のいた部隊がいつも全滅していると知れば、評価はまるで変わる。

 

『死神』

『塩撒き』

『マンイーター』

 

有り難くない異名が彼女について周り、精神を追い詰めていった。

そんな中で会ったのがクルトである。

彼は彼女を献身的に支え、そして死ななかった。

 

クルトに救われた彼女であったが、仲間の死を異常に怖がるのは変わっておらず。

敵を必要以上の攻撃で殺してしまうという行動原理は変わらない。

敵は殺す。徹底的に殺す。降伏などさせない。後ろから撃たせない。

 

その為か、部隊の中でも浮いている存在だ。

皆を守れればそれでいい。

索敵をやめ、武器を拾って合流しようと機体を動かしたその時。

 

―バァン!―

「っあ!」

 

銃声が鳴り響いて【ユーロアレクサンダ】の右肩の装甲が吹き飛んだ。

 

(そんな!)

 

僅かな殺気を感じ、急いで回避したのに当てられた。

その事実に驚愕する。

そして攻撃を当てた犯人が、目の前の建物から降りてきた。

 

別に格好つける為ではなく、次の瞬間にガンスリンガーナンバーの砲撃を受けて、狙撃ポイントが吹き飛ばされるのがわかっていたからだ。

降り立ったのは【オルレアン】。

狙撃銃を左手に、右手にマシンガン。

 

右肩に六連装ロケットランチャー、右肩には珍しく質量刀を装備している。

不味いことに大型ライフル【ジャッジメント】は残り半分で予備弾倉無し。

MEナイフはすでに無く、ケイオス爆雷も無い。トンファーは手持ちに一つ、転がっているのを回収すれば二つになるが、目の前の敵が許すはずもない。

 

だが、リエラは躊躇せずに突進する。

直感でこいつは強いと判断したからだ。

 

「あアアああァァァァァァぁ!!」

 

中で獣の様に咆哮しながら機体を操る。

前に飛び込むように形態を変形させ、四肢でもってさらに跳躍する。

不規則に、縦横無尽に動き回るその姿は毒蜘蛛の様だ。

 

だが相手も只者ではない。

その動きに幻惑されることなく射撃をたたき込む。

狙撃銃が右足の装甲を削り、マシンガンがリエラの行動を邪魔をする。

 

使い捨てのロケットランチャーを、至近距離に近づいた【ユーロアレクサンダ】に、躊躇なく叩き込んできた時には肝が冷えた。

いくら装甲に定評がある【オルレアン】とはいえ、いくら何でも無茶くちゃだ。

その証拠に狙撃銃が壊れたのか、投げつけてきた。

 

それを変形しながら避けようとすると、マシンガンで狙撃銃を破壊して暴発させる。

悲鳴を押し殺して体勢を立て直すと、用済みのロケットランチャーをパージした【オルレアン】が、左手に持ち替えたマシンガンを乱射しながら突撃してきていた。

 

「くっ! このぉぉぉ!!」

 

負けじと残り少ない弾丸を【ジャッジメント】をたたき込む。

数発が【オルレアン】に命中するものの、厚い装甲に阻まれて撃破できない。

しかしそれでも接近してくるにつれてダメージが無視できなくなったのか、少し横に避けた。

 

そのわずかな間に人型になり、とうとう空となった【ジャッジメント】を意趣返しとばかりに投げつける。

既に弾が無いとわからない【オルレアン】は銃で叩き落とすのではなく、右手に持った質量刀でもって叩き落とそうとする。

 

―ドガン!―

 

投げつけられた【ジャッジメント】は見事に落とされた。

しかしリエラはそれを見越して、残っていたトンファーを投げつけてマシンガンを破壊する。

そして急いでもう一つのトンファーを取りに向かった。

 

最後の銃器を破壊された【オルレアン】は、急いで止めを刺そうとするが、それよりも先にトンファーを回収されてしまった。

ご丁寧に【ボーイ】のトンファーも回収して二刀流だ。

 

「仕留める!!」

 

【ユーロアレクサンダ】は【オルレアン】に向かって走り出す。

変形機構は狙撃銃暴発により故障している。

故にランドスピナーの移動しかできない。

 

相手はそんなことは知らないだろうが、答えるように接近してくる。

急速にお互いの距離が縮まる。

ぶつかりそうになるまで接近した両機は、リエラが上に飛ぶことで衝突は回避された。

 

リエラはそのままコクピットを狙う。

【オルレアン】はそうはさせまいと質量刀で庇い、更に無理な関節機動で避ける。

潰せなかった事に舌打ちをし、着地に備えて体勢を捻って整えようとするが、庇う動作から右回転上段切りに移行した斬撃が襲いかかる。

 

「っく!」

 

衝撃が機体に走り、左に吹き飛ばされる。

何とか防御が間に合ったが、負荷がかかった右腕が着地と同時にだらりと下がる。

リエラの無茶な戦闘に耐えていた【ユーロアレクサンダ】だったが、さすがにこのダメージは大きかった。

 

もう右腕は使えない。

距離が離れた【オルレアン】を見据える。

【オルレアン】自身も無茶が祟って、右腕から火花が散っている。

 

質量刀を左に持ち替え、右にスタントンファが出現する。

どうやら、この機体の主は少しひねくれているようだ。

今までにない強敵に、リエラは自然と息を飲む。

 

そして一拍の後・・・砲弾が近くに落下したのをきっかけに再び接近する。

今度は真正面からの攻撃だ。

機動力にものを言わせて【ユーロアレクサンダ】が襲いかかる。

 

堅実でありながら時折セオリーガン無視で対抗する【オルレアン】。

二機の戦闘は基地司令部が降伏するまで続く。

その戦闘光景を見る事が出来たネームレス隊員は、「まるでダンスしているようだった。」と証言する。

 

『戦闘を中止せよ。この基地は降伏した。戦闘を中止せよ。』

 

この通信が入ったとき、二機はボロボロになっていた。

【ユーロアレクサンダ】の右腕と、左太腿の装甲がなく。右足のランドスピナーは切り落とされてどこか行った。

頭部の損傷もひどく、良く外が見えているなと言える。

 

【オルレアン】も右腕を損失。装甲もボコボコで、隠していた左のスタントンファがへし折れている。

更に起動を停止させる前に膝がとうとう壊れ、そのまま膝をついてしまった。

その【オルレアン】にネームレス隊の歩兵部隊が取り囲む。

 

あれほどの戦闘をした人物だ。警戒もする。

クルトもすぐにやってきてリエラをねぎらい、部下に指示を出す。

 

「コクピットを開いてくれ。」

『ああ、分かった。』

 

取り囲むのが終わり、出る様い要請をすると割と簡単に答えが返ってきた。

 

―プシュゥ…―

 

ロックが外されて、操縦席が後ろにせり出す。

 

「あ~・・・くっそ、コイツの操縦は硬くて肩が凝ったぜ」

「え・・・」

 

出てきた兵士がいきなりそんな事を言って、肩をほぐし始めた。

敵に囲まれているのに恐ろしくないのだろうか?

あまりにも大胆な男の行動に一同唖然とする。

 

そんな一同の中、たった一人だけ呆然としていた人物がいた。

出てきた兵士の顔を凝視する。

ぼさぼさの髪の毛、汚い無精髭。

 

くたびれたサラリーマンという風貌の男に、リエラは見覚えがあった。

そう、あのシーランド脱出の時の・・・

 

「お。おじさん・・・?」

「俺はおじさんじゃねぇ! まだわか・・・い・・・?」

 

叔父さん発言に気に障り発言者を睨む・・・が、すぐに何かを思い出しそうとまじまじとリエラを見る。

そして、

 

「ああ! あん時のお嬢ちゃんじゃねぇか!!」

 

「やっぱりおじさんなのぉ!!」

 

驚愕する二人に、事情が分からないクルトがリエラに聞く。

話を聞くとこの男はシーランド事件の際に、リエラと知り合った兵士だった。

彼女とは別の部隊だったが、無茶な空挺作戦でバラバラとなった際に機体を捨て、そのまま脱出しようとした時に出会ったらしい。

 

「いやぁ、あんときは死ぬかと思ったぜ。」

 

男はケラケラと笑うが、リエラは涙目で睨む。

 

「あの時嘘ついたの覚えているんだから! 何が脇腹をかすめただけよ! 思いっきり撃たれていたじゃない!!」

「でもなぁ・・・あん時、ああ言わないとお嬢ちゃん。なっとくしなかったろ?」

「重症だったのに、輸送ヘリ運転する方がおかしい!」

「ちゃんと飛べたからいいじゃない。」

「こっちはいつ落ちるか冷や冷やしたの!!」

「今生きてるだろ?」

「そういう問題じゃない!!」

 

何時になく怒りまくるリエラに、部隊メンバー全員が唖然とする。

この子はこんな表情もするのか。そういう心境だ。

クルトは何とか状況を整理し、発破をかけて部下を動かす。

 

リエラはまだ文句が言いたそうだが、予備の機体を取りに行かせた。

男はとりあえず拘束しておくが、図々しく煙草を要求するのはどうかと思う。あげるクルトもクルトだが・・・

たばこを吸って一服しているのを横目にしながら聞いてみる。

 

「えっと・・・それで君はどうする?」

「そうだな・・・」

 

男は、ボーっと空を見上げると考える。

 

「なぁ・・・優秀な奴欲しくないか?」

「欲しいですね。」

「タバコと酒くれるならついていくぜ。」

「何が出来ます?」

「機械類なら何でも運転できるし、整備できる。」

「では採用します。」

 

男は「よろしく」と言うと、そのまま手錠を外してKMFが集まっている場所に向かった。

 

「・・・手先は器用みたいだな。」

 

なんというか、自由人と言った男にクルトは苦笑するしかなかった。

 

 

 

以上になります。

リエラと対等に戦えた男ですが、リエラはまだ伸び代があり、最終的に追いつけません。

そしてシーランドに彼女が参加したという話を思い出し、「一人じゃ脱出できないはず。だったらもう1人追加すればいいじゃない」ということで登場させてみました。

で、リエラは脱出した後、男が緊急搬送された後の事は知りません。

なので久々の再会となったわけです。

237様の制作意欲向上につながればと切に願います。

最終更新:2014年08月18日 20:39

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

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