帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達

 

 

534: 名無しさん :2017/12/07(木) 05:05:27

トーゴー氏のシゲチールートでSS書いたんで投稿します

 

535: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:09:36

だいぶ久しぶりな投稿なのでハンネ無しで行きます

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

これはなんだろう?

 

どうしたことなのだろう?

 

事情を飲み込めない俺は気が付いたとき、ただ一人空中に浮かんでいた

空中に浮かびながら眼下に広がる情景を眺めていた

 

眼下には人が集まっている。見知った人、見知らぬ人、どこかで見たことのあるような感じを抱く老人と老女が

真っ先に目に付いたかの老女は、一人静かにベッドへと横たわる老人の手を握りながら、溢れ出る涙をこらえるように笑いかけている

その姿に俺はある人の、大切な人の名を思わずして口に出していた

 

 

・・・ソフィー?

 

 

どうしてだろう?

なぜなのだろう?

 

俺はかの美しい老女を、俺の知らないはずの老女を、ソフィーであると認識していた

 

そんな馬鹿な

ソフィーはまだ学生で、俺と同じ生徒会にいて

 

でも、それでも俺には分かってしまったのだ

かの老女がソフィーであるのだと

 

誰よりも彼女を、ソフィー・エル・ブリタニアを知るからこその確信に満ちた認識だった

 

では彼女がその手を優しく握り締めているベッドの老人は?

 

そんなの、深く考えるまでもなく分かる。だって、それほど愛されている自覚が俺にはあるから

 

決して自惚れなんかじゃない。俺は、俺ことカズシゲ・シマダ・リ・ブリタニアは、彼女とずっと一緒だから分かるんだ

彼女がその柔らかな瞳を向ける相手は俺だけなのだと

 

でもどうして俺と彼女は年老いているのだろうか?

それに周りにいる人がなぜ皆俺とソフィーに似た容貌の壮年男性や壮年女性、少年少女ばかりなのだろう?

 

そしてその中にはいま現在の俺の知っている人達の姿もあった

 

536: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:11:48

『・・・父上? 母上?』

 

シゲタロウ・シマダ・リ・ブリタニア。俺とソフィーの面影を持つ壮年男性と壮年女性と少年少女達の輪の一番外側で、いつもの公務服、そう荘厳に着飾るブリタニア皇族・貴族では珍しくも皇族なのに上下揃いのスーツを着て、老齢を表すような黒い中に白が入り交じる髪を綺麗に整え、父上は立っている

 

その父上の隣には、父上に寄り添うようにして、まるで薄桃色の羽を思わせる意匠が後ろ側に施されたタイトな白いスカートと、桃色のふわりとした長い髪の毛をポニーテールを大きくしたようにして頭の後ろに束ね、耳後ろの髪はお団子状に纏めている、父上と同様いつもの公務姿の母上ユーフェミア・シマダ・リ・ブリタニアの姿があった

 

不可思議なことに、その父上と母上の姿は、いまの俺の知る父上と母上の姿と何一つ変わらない

 

いやもっと言えば。より深く掘り下げれば、父上と母上の姿は、父上と母上が出逢った頃から何一つ変わらずの姿であることを今更のことながらに思い知らされた

 

俺は知っている。父上と母上が思い出のアルバムとして二人きりの時にだけ観ているらしい、友邦ならぬ親族の邦と書き親邦、大日本帝国で生活していた時代の

姿を

いまと、そしてこの情景の中でもまったく年を取っていない二人の姿を

他にも翌々考えても見ればおかしかったことはある

 

いつかうちの学院の学生服を着てお忍びで訪問してきた母上のことを学院生と間違えていた子がいたことは明らかにおかしいはずなのに、いつもリ家分家たる我が離宮で毎日顔を会わせていたからか気が付かなかった

 

父上も母上も肉体年齢と実年齢に齟齬がありすぎるのだということに

 

どうしてなのか?

 

それは俺には分からない

父上と母上は色々と俺の知らない顔を持っているから

 

『・・・やめよう』

 

どんなに考えたって分からないものは分からない

ただ、いま分かることが一つだけある

 

537: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:16:04

『これって、もしかしなくっても、いつか来る、体験する俺の未来なのかな?』

 

随分と年を取ってしまい老いた自分

老齢となってなお眩しいほどに美しいソフィー

取り囲んでいる人達はひょっとして

 

『俺とソフィーの息子や娘、孫達なんたろうか?』

 

可能性は高い。俺とソフィーのいまの姿と似た年齢と容貌の少年少女がたくさんいるから

 

『俺とソフィーには、将来こんなに大勢の子供や孫達ができるのか』

 

これもまたほぼ確信に近い感じを覚えていた

俺は時々変わった夢を見ることがある

いつか見た平行世界の自分自身と出逢い語り合った夢なんかもその代表格だ

平行世界の俺の母上はかのナイトオブラウンズで十二の席の称号を授与されている、モニカ・クルシェフスキー卿なのだという

 

『とても想像できないなあ』

 

俺の母上はブリタニア皇室の中でも武門の名家、リ家の分家当主、ユーフェミア・シマダ・リ・ブリタニアしかいないから。あくまでも俺に取っての生みの母上はこの母上だけ

平行世界の俺と母クルシェフスキー卿の関係を一度見てみたいような、しかし怖いような

騎士の家系で領地も広大だから彼も場合によっては大変だろう

クルシェフスキー卿の生家は侯爵家。いかな部屋住まいの三男坊的な自由な身分であれ、そこは侯爵家三男としての立ち振舞いを求められる

モニカ・クルシェフスキー卿といえばそれはそれはとても真面目で曲がったことが嫌いな人である。平行世界の俺にも当然ながら厳しい躾や貴族としてのあり方を叩き込んでいることだろうなあ

武門の名家に生まれるとそれだけで厳しい鍛練が待ち構えているわけだ

 

もっとも俺の母上については武門出とはいえど、騎士とか戦士とか、闘う人に非ずな感じの穏やかな人だけれども

ただ心だけは俺の知る誰よりも強い人だ

武門の名家としての役割を継ぐ本家当主のコーネリア叔母上よりずっと強い心の持ち主で、ほんわかした中にもとんでもなく頑固な一面を隠し持っている・・・らしいのだ、父上からの又聞きではね

 

538: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:17:51

 

色んなことを考えながら思考の海に沈みつつも夢、という形で変わったなにかを体験する俺は、いま体験している夢を忘れないようにじっと部屋の様子を見ていた

 

『ここは』

 

そこで思い至る。俺が空中を漂うこの部屋はリ家分家離宮の俺の部屋だということに

 

『それじゃあやっぱり』

 

あの老齢に差し掛かりながらこの夢の時間内においてはもう二百歳を超えてるはずの父上も

 

精々十六歳から十八歳、十代の後半にしか見えない母上も

 

年老いてもなお輝きを喪うどころか、益々美しく光輝いている俺の誰にも譲れない譲らない宝物であるソフィーも

 

俺とソフィーの子供達や孫達らしき人々も

 

『みんな、リ家分家の直系の人達で、あの父上と母上も俺の父上と母上で間違いないということなんだな』

 

俺はそんな人々が見つめる中心にいて、みんなの輪の中にいて、そこでソフィーの手を握り返しながら、父上と母上を呼んでいるようだ

口の動きでなんとはなしに理解した

 

(父上、母上、私は、私はソフィーを、子や孫達を残していくことが気掛かりです)

 

弱気な言葉を紡ぎ出す年老いた俺

 

539: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:19:33

 

(なにを言っているのですかカズシゲ。あなたはまだまだ元気ではありませんか。しっかりしなさい)

 

春の陽光のような、母上の笑顔をそう称してやまない父上の言うその微笑みが俺に向けられる

日ブの平均寿命が百五十年以上に延びているいまよりも未来なら、もう二十年くらい延びてそう

そうならこのどこをどう見ても十代の後半にしか見えない母上も二百歳近いってことか

 

『老いた俺が十代後半にしか見えない母上より優しい叱責を受ける、か』

 

なんだかシュールだよ

そしてそんな母上に続くように外見年齢は俺より若い初老の父上。推定年齢二百五十歳が励ましてくれた

 

(カズシゲ、ユフィの言うとおりだ。俺とユフィは例外だから親より先に逝くのが親不孝とは言わない。俺とユフィは新たに作り出されたとある刻印の影響で年を取らないからな。必要だったからこそ俺は志願し、ユフィも共に志願した。それ以上でも以下でもない。だが平均寿命よりも短い命で人生を終わらせるのなら話は別だ。それこそが親不孝だぞ?)

 

父上と母上が出逢った年に完成を見たという日ブ最重要機密の共同研究の成果。永遠

 

だがそれは普及してしまえば人類種その物を衰退させゆく劇薬だ

同時に家族友人知人を時の果てに喪い続ける地獄でもある

 

しかし人は間違う。一度反省してもまた繰り返す

だから人類、いや日ブの行く末を見ていく者達が必要だと判断されたのだろう

 

(私達に話しても良いのですか父上母上。その話は私も噂程度にですが耳にしたことがありますが、確か日ブがこの先も道を誤らぬよう調停者、助言者として時間の中に残り続けることを国家大計として実施していると)

 

(なに、構わんよ。終わらないことがどれだけ辛いのかを俺は知っている。終わらないこと、というものがあることもな。そしてコードというものを受け入れずとも俺は時間と世界を旅してきた。その旅が少しばかり形を変えているだけだ。その旅にユフィ他幾人かが加わった。この世界で形を変えてね。世界の管理者だの監視者だのといった大袈裟で傲りあるものでもない。いまと大層変わることなく俺はただユフィとゆっくり終わらない時間を歩くだけだよ。そうして国が道を誤らないよう時々お節介を焼くことにしよう)

 

笑顔の父上、母上も

うん、まあこの父上と母上が傲慢になることはないだろうな

 

平穏をこよなく愛する大日本帝国救国の元宰相

神聖ブリタニア帝国の慈愛の皇女

 

傲慢やら見下すといった人種とは圧倒的なまでに方向性が異なる二人だから

父上達のようなメンバーの選別にもその人と成りに、熟考に熟考を重ねて選び抜いたのだと思う

 

540: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:21:39

 

それにしても、とんでもない機密を知ってしまった。家族である限り父上母上の異常を誰もが知るところになるからと、それなら先に言っちゃいましょうなんて母上がにこにこしている

 

声は聞こえない

音も聞こえない

でも口の動きで俺自身とソフィーと父上母上の言葉だけは聞き取れた

 

少しばかり薄情であるかもしれないけど、いまの俺にはまだ見ぬ子供と孫達の言葉は読み取れない

これは接してきた時間の長さだと思う

 

(再度申し上げますわねカズシゲ? 平均寿命を下回る人生の終焉は私もシゲタロウと同様に親不孝と見なしますわ)

 

(母上・・・)

 

(弱気になってはなりません。まだあなたには闘える体力があるでしょう? それに私もシゲタロウも、ソフィーも。そして)

 

病床なのだろう俺を母上は子供達の、孫達の名を挙げながら激励してくれる

握られていた手には力がこもり、溢れそうだった涙はどこかへ消したソフィーも俺を見ている

 

父上も、息子や娘、孫達も俺を見ている

いつの間にか生徒会の元メンバー達や、こちらも父上と変わらなく初老のままの父上の親友ヤマモト閣下や、母上よりほんの少しばかり年上で、でも実年齢より若すぎる二十歳くらいに見えるリーライナ・ヴェルガモン伯爵

ヴェルガモン伯爵はおそらくお子様やお孫さんに閣下譲られているだろう

話を聞いてると母上もリ家分家の家督についてはかなり前に譲られていまは母上から見た孫の代、俺の子供の誰かが継いでいるみたいだ

 

そういえばこういうときにはよく駆け付けてくださっていたコーネリア叔母上夫妻、義父シュナイゼル殿下夫妻がお見えにならないのは多分そういうことなのだろう・・・

 

541: いつか訪れる未来と 永遠に変わらない人達 :2017/12/07(木) 05:24:47

 

『・・・俺は、こんなに愛されているんだな』

 

存命ならばきっとコーネリア叔母上夫妻や義父シュナイゼル殿下夫妻も駆け付けてくれていた、俺はそのことを考えると体もないのに胸と目頭が熱くなって、いつの間にか泣いていた

 

最後にソフィーの顔を見たところで、いまと変わらないあの微笑みでベッドの俺を迎えてくれていた

 

うん、大丈夫だ。俺はきっとまだまだ生きられる。もしこの光景がいつか来る未来であったとしても

 

だって、未来の俺は、父上母上を始めとしたこんなに多くの人達の愛情を受けているのだからな

 

そして、なによりもそう

 

俺の宝物であり女神であるソフィーが傍にいてくれて、先に行くなんて、絶対に嫌だから。その強い思いはきっと病気なんてはね除けてくれる

 

漠然とした考え、されども確かな未来の予感に俺は不安を覚えるどころか、不安を吹き飛ばされながら、浮かんでいた俺の意識も一緒に、ゆっくりと浮上していった

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「・・・知ってる天井だ」

 

俺の部屋なんだから当たり前だよ

 

「また変な夢を見ちゃったな」

 

夢だけど、夢じゃない夢

いつか来る未来の夢

そんな予感がする

確実に来る予感が

 

だってさ

 

「早く起きなさいなカズシゲ。そんなでは学校に遅れてしまいますわ。生徒会の一員としての自覚を持ちなさい」

 

薄桃色の羽を思わせる意匠が背中側に施されたタイトな白いスカートをした公務服と、桃色の長い髪の毛を大きなポニーテールにして頭の後ろに束ね、耳後ろの髪はお団子状に纏めている、公務姿の母上ユーフェミア・シマダ・リ・ブリタニアの姿があったから

 

「あの、母上」

 

「なんですの?」

 

「母上って、お年を召されることが無かったりしませんか。ずっと若いままで寿命が無いとか? 父上もですが」

 

「っっ!?」

 

ほんわかした母上がなんか両手で口を押さえて絶句してしまった

 

こ、この反応。やっぱりコードとかいうので寿命が無くなってる?!

俺やらかした!?

 

「カズシゲあなたどこでそれを!」

 

「い、いえあの母上がいつまでもお若くお美しいので、どうしてなのだろうかと疑問に思ったらまででしてっ、」

 

「そ、それは・・・び、美容と健康に気を使っていれば若さを保つことも可能なのです!」

 

無理ですよ。母上もう三十代後半ではありませんでしたか?

 

「と、とりあえず私とシゲタロウとあなたと三人でお話をしなければなりませんので今日は直帰なさい! いいですわね!」

 

「はっ、はいっ!! 母上っ!!」

 

母上・・・自爆してますよそれ

 

 

 

 

終わり

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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