帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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日本・ブリタニア首脳会談に際して幼なじみのシャルルを迎えに行った嶋田さん

しかし同じくシャルル陛下を出迎えに来ていたモニカさんは嶋田さんが好き過ぎて好き過ぎて周りが見えないようです
嶋田さんとモニカさんだけが二人の世界で砂糖まみれで、他大部分が血の臭いに苦しみます



モニカ・クルシェフスキーだけは嶋田さん分が足りない

 

 

モニカ・クルシェフスキーだけは嶋田さん分が足りない

 

 

 

 

 

 

モニカさんと暮らし始めてもう数年か

 

色々あったな

 

最初の頃は貴族らしいのか騎士らしいのか

生真面目で真剣な顔ばかり。どう接すれば良いのか正直困っていたものだ

 

真面目な貴族

 

お堅い女性

 

鉄面皮な騎士

 

膝の裏にかかるくらいの長く真っ直ぐなさらりと流れる金髪に、おとなしそうでいて笑顔が似合いそうな碧い瞳を持った稀に見るほどのせっかくの美貌が勿体なく感じていた

 

振り返ればあまり良い印象ではなかったようにも思える

 

ブリタニアの駐日武官として、ブリタニア皇帝の騎士として、ブリタニア帝国軍の頂点に立つナイトオブラウンズとして

恥ずかしくないようにと自らを演じていたのかと

 

そう考えていた時期もあった

 

しかしあるとき。やたらとカップ麺を気にする彼女に家の非常食という名目の俺のオヤツだったカップ麺を食べてもらった辺りから妙に表情が解きほぐれてきたような気もする

実際にはカップ麺なんて切っ掛けでしかなく、彼女の悩みや侯爵家次期当主としての御家事情と、モニカさんなりに抱えていた事があったんだけど

 

打ち解けてからは柔らかい微笑みが印象的な。でもやっぱり真面目な女性という感じに変わったのだと思う

 

薄くにこやかに笑う彼女の笑顔こそが、彼女本来の表情なのだろう

 

見ているだけでも心癒されるモニカさんの笑顔、俺は好きだ

 

最近ではまた別の顔を見せてくれるのが俺としては嬉しいかな

 

お菓子作りが苦手なのに一生懸命頑張って作ったり

 

俺に食べてほしいかららしいがまあ独特の味付けながら慣れると普通に美味しくて

 

751: 名無しさん :2018/02/06(火) 20:12:16

 

 

 

モニカ・クルシェフスキーは嶋田さん分が足りません

 

 

いきなりそんな事を口走ったかと思えば、恥ずかしいだろうに俺を抱き締めては頬をすり付けてきたり

 

これについてはこちらもこちらで恥ずかしいがでもこちらは受け止めてあげるしかなく、柔らかく抱き締め返しては頭や髪を撫でてあげながらモニカさんが満足するのを待つ

 

騎士服にマントといったナイトオブトゥエルブとしての正装姿でも遠慮なくやられたりする。あるときには、たまたま場所が秋葉原であったことも手伝い「コスプレ女性に抱き着かれてるおじさん」感が半端なかった

 

いまもそう

 

そうなんだ

いまもそうなんだよ

 

騎士服に黄緑色のマントな正装モニカさんが真正面より俺を抱き締めたままその柔らかい右頬をこちらの右頬に重ね合わせて、すりすりと擦り付けてきていた

 

「あの、ちょっと、まだかなモニカさん」

 

すりすり

柔らかくきめ細やかな肌をした暖かい頬をすりつけられるその音までもが耳に聞こえてる

 

「まだ35%です。私が動くには全然足りないエネルギー量です」

 

35%てそれ全然たまってないんじゃ・・・?

 

「シマダ卿・・・モニカはシマダさん分が足りないと動けないそう・・・いつも言ってる。食事は摂らなくてもシマダさん分が無いと疲れが酷いと」

 

モニカさんの後ろには二股に別れたピンク色のポニーテールが綺麗な、小柄も小柄な体つきをした中学生くらいに見える無表情な少女がいる

あれが彼女の騎士服なのだろう。すこしばかり露出の多目な衣服に、濃いピンク色のマントを着用した少女が棒読み声で伝えてくる

 

「モニカの至福の時間だから」

 

ナイトオブシックス。アーニャ・アールストレイム卿

 

モニカさんより少し後に日本へ派遣駐日ブリタニア大使館に配属されたナイトオブラウンズのひとりだ

体つきだけを見るととても思えないが、モニカさん同様にかなりの剣術を扱える個人戦闘力の高い方らしい

 

「そ、そうなのですか?」

 

「そう。だから、シマダ卿・・・モニカの好きにさせてあげて」

 

口数少なに好きにさせろって

 

いやあの、しかしちょっと困るんだが

モニカさんはお構い無し。周りの声など聞こえないとばかりにすりすりと頬をすりつけ続けている

 

752: 名無しさん :2018/02/06(火) 20:12:46

 

 

 

「クククッフハハハっ! お耳にしてはおりましたが実物を目にすればこいつはお笑い物だ。 よもや天下のクルシェフスキー侯爵家次期当主にしてナイトオブトゥエルブの称号をお持ちのクルシェフスキー卿が借りてきた猫のようだ。ずいぶんと彼女を躾られたようですねぇシマダ卿?」

 

「シマダ卿とモニカに失礼。それにシマダ卿は日本の裏ボス」

 

裏ボスて・・・俺はRPGの登場人物か

 

内心考えながら小柄な少女の隣に目を移す。抑揚の無い声で話すアールストレイム卿の隣にはもうひとりいるのだ

 

逆立てられたオレンジ色の髪に目付きの悪い・・・ああ失礼。肉食獣の如く目付きの鋭い野性味ある視線を向けてくる、不良のような印象の青年が

 

上下とも裾は長い白一色の騎士服

マントは夕日のように鮮やかな明るいオレンジ色

 

ナイトオブラウンズのナイトオブテン、確かルキアーノ・ブラッドリーといったか。その青年は実に不快なにやにやした顔でこちらを見ていた

 

「不快、ですね」

 

口に出てしまう。にやにやしている事が不快なのではない。モニカさんを「躾ている」と罵るような発言が不快だ

 

「おや、これは失礼を」

 

優雅に一礼してくるブラッドリー卿はだが謝ってなどいない。微塵も謝罪の意思を感じられない

 

俺に謝ってどうするね。君が謝らなければならない相手は俺に抱き着いているこの淑女だろうに

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

実に不快だよルキアーノ・ブラッドリーくん

 

 

 

気がつけば俺は彼をくん付けで呼んでいた

 

753: 名無しさん :2018/02/06(火) 20:13:32

 

 

 

空気が変わった

 

和やかだった空気が戦場よりもなお重苦しい空気に

 

発生源はシマダ卿

 

思わず手足から力が抜けそうになるのを踏ん張る事に力を入れてしまった

 

この空気を作り出した原因はルキアーノの不用意な発言

 

ルキアーノは悪い男じゃない。でも誰彼構わず見下したり、非礼な発言をしたり問題ばかりな男でもある

 

ラウンズ内でもヴァルトシュタイン卿以外には平気で気分を害するような余計なひとことを発する男

 

いま、たぶんこの空気に気づいていないのはモニカだけ

 

モニカはシマダ卿に甘えるその時だけは周りが見えなくなるから気づかない

 

ん、そもそも気づかない方が幸せだと思う

 

声だって聞こえていないと思う

 

でも、それでいい。これはきっとシマダ卿もモニカに知られたくない顔だとなんとなしに思うから

 

周囲は。私の親衛隊やルキアーノの親衛隊はみんな息を飲み込んでいる

 

殺気とかじゃない。空気その物が違う

 

そう、これは私達ラウンズには馴染み深くて、でもこれだけの濃厚な臭いは初めて

 

鉄錆びの臭い。血の・・・臭い

 

ふと、ルキアーノの顔を見る

 

「・・・」

 

言葉もなく真っ青になっていた

 

「ルキアーノくんは人殺しの天才だそうですが」

 

くん・・・ルキアーノを子供扱いするなんてまるで陛下のよう

 

でも

 

だけど

 

いま私は、シマダ卿が怖いと感じていた

 

754: 名無しさん :2018/02/06(火) 20:14:19

 

 

 

「一人殺せば殺人犯。百人殺せば英雄と申しますね。才能とは人それぞれ異なるもの。しかし人殺しの才能を誇るのはあまり誉められませんよ」

 

ところでルキアーノくん。貴方は何人殺しましたか?

 

「・・・っ!!」

 

ルキアーノの顔色が真っ青を通り越して白くなっている

 

血の臭いが好きなこの男がこんなになるなんて思ってもみなかった

 

「も、申し訳ありません、でした。シマダ・・・卿」

 

「私に謝ってどうされるのです? 私は私への侮辱や非礼など一切気にしない人間なので謝るのでしたらば」

 

顔中から汗を吹き出させながらルキアーノは謝罪していた。でもシマダ卿は自分に謝られても困るとだけと伝えてモニカの髪を撫で下ろしながら、明らかに誰に対して謝罪の言葉が欲しいのかを指し示しつつルキアーノの反応を待っている

 

するとルキアーノは

 

「も、申し訳なかった、クルシェフスキー卿・・・き、貴殿を侮辱した事をここに謝罪を・・・」

 

モニカに謝った

正解。私でもそうする。この血の臭いには耐えられない

 

でも

 

「嶋田さん分50%です。私にはまだ足りません」

 

「も、モニカさん・・・ちょっと話を聞いてるのかな君は」

 

「すりすり」

 

「すりすりってモニカさん口に出してそんなこと」

 

「すりすり・・・嶋田さん分補給中ですただいま50.01%です」

 

「全然増えてないよモニカさんっ!」

 

モニカはシマダ卿の話も聞かずただひたすらにシマダ卿の頬に自分の頬をすりつけながら抱き着いて離れない

 

「すりすり~っ、嶋田さんすりすり~っ」

 

「ああ~もうわかりましたよモニカさん。必要な栄養分でもなんでもお好きなように補給してください・・・ハァ」

 

それと、鼻を付く鉄錆びの、濃厚に過ぎる血の臭いは、シマダ卿がモニカがすりつけている自分の頬に意識を向けた時にはもう消え失せていた

 

755: 名無しさん :2018/02/06(火) 20:20:05

 

 

モニカが満足するまで周りは今の空気は一体なんだったのかと顔を見合わせている

 

腰を抜かして尻餅を着いているグラウサム・ヴァルキリエ

 

私個人の親衛隊員も

 

みんな一様にあの重苦しく息も詰まる血の臭いから解放されて安堵し、それでいながら不安な表情を浮かべていた

 

「あ、アールストレイム卿・・・」

 

そのひとり。ルキアーノが私に話しかけてくる

 

「クルシェフスキー卿は、いつもあの御仁と共に?」

 

いつも?

 

それはない。モニカも任務中は駐日ブリタニア大使館に積めているからいつでもシマダ卿と一緒な事なんてあるはずがなかった

 

「いつも一緒なわけじゃない。でもモニカはシマダ卿の家に住んでいる。そういった意味では一緒なのかも知れない」

 

モニカは日本に赴任した時よりシマダ卿と一緒に住んでいた

陛下のご紹介だとも聞いていた

その意味ではモニカはシマダ卿といつも一緒なのだと思う

 

モニカはシマダ卿を一人の女として好意を寄せている

 

見ていれば分かる

 

そうでなければ今みたいに私達の目の前でシマダ卿に抱き着きながら「補給」とかいう行為などしないだろう

 

「は、はは・・・なる、ほど・・・。由緒正しく、お行儀の良い、正義感強く弱者に甘いあのお嬢様が、よくも、あ、あのような・・・」

 

 

バケモノと

 

 

幾百万、幾千万、或いは億にも届かん血の臭いを帯びた御仁と共に生活ができるものだ

 

自分なら気が狂う

 

 

 

 

ルキアーノの言葉がどこまで真実なのか。私には分からない

 

ただ。シマダ卿がそれだけの人間の血を直接にまた間接的にも浴びた記録はない

 

きっとまた言い負かされたルキアーノの悔し紛れか言い訳か

 

私はそう結論付けながらシマダ卿を抱き締めては頬をすりつかせているモニカを

自分に抱き着いて離れないモニカの頭や髪を優しそうな顔をして撫でているシマダ卿を見て、ひとり安心感を覚えていた

 

シマダ卿の抱える何かはモニカや幼なじみのシャルル陛下がストッパーになって止めている

 

何かについては分からない

 

モニカはいつもいつでもシマダ卿だけを見ている

 

シマダ卿はモニカを包み、モニカはシマダ卿を包み込みながら、お互いを必要としている

 

それはきっと良いこと

 

誰にとっても良いこと

 

もう間も無く、浮遊航空艦専用駐機場に降り立ったログレスより陛下が降りてくる

 

陛下はシマダ卿にすりついている時のモニカに付いてはなにも言わないから大丈夫

 

けれども、腰を抜かしてしまったロイヤルガードを目にしてなにを思うのだろうか

 

ルキアーノは未だひとり汗を吹き出させて直立していた

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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