絶対に作ってはいけないバレンタインチョコレート
腰の下まで届く癖の見当たらない真っ直ぐなさらっとした長い金色の髪・・・を、いまは赤いリボンでポニーテールに結わえた碧い瞳の女性
ナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキーは、いま絶対に立ってはいけない場所に立っていた
マントの色である明るい緑色のエプロンを着けて立っていた
立ってはいけない場所に、そうキッチンに
いまではもう嶋田家の家人といっても過言ではない彼女。先の極東戦争、大日本帝国VS清・高麗バックにオセアニアの、地域大戦争では、ブリタニア義勇軍司令官として高麗本土を急襲
高麗首都平壌で第9世代ナイトメアフレームの性能を如何んなく発揮して一騎掛けを行い平壌を陥落させ"戦女神"の二つ名を頂いた、神聖ブリタニア帝国最強の騎士である
その腰よりも長い絹糸のような金糸のごとき髪
碧い瞳に眉を隠すくらいで切り揃えられた前髪と、その下に浮かぶ柔らかい微笑みといった万人が認める美しき容姿
貴族の令嬢らしい、女性らしい所作と言葉遣い
正義とはあまねく全ての人々の上に降り注がれなければならないといった騎士の鏡のような信念と本質
そんなモニカ・クルシェフスキーとは、いついかなる時であろうと、体の何処を見やろうとも、完璧なる淑女だった
「今日は2月14日です。聖バレンタインデー。女性より愛する殿方へとチョコレートをお贈り差し上げる大切な日」
瞳を閉じて想い人を脳裏に浮かべるモニカ。恋する乙女はその常より美しき様相を愛する男性を想うことで更に美しく輝かせていた
そうだ。モニカ・クルシェフスキーは美しき可憐なる乙女であり淑女
ナイトオブトゥエルブとしてあらゆる敵を切り裂くブリタニア皇帝の最強の剣であり、そして同時に彼女の想い人にして相思相愛にある婚約者、嶋田繁太郎の剣である
これは事実の話、ブリタニア皇帝シャルル・ジ・ブリタニアの言葉として、ナイトオブトゥエルブモニカ・クルシェフスキーは我が剣であると共に、我が生涯の友たる大日本帝国伯爵嶋田繁太郎を守護せし剣でもある。ブリタニアの将兵は皆これを心得よ。と訓辞を出しているのだ
878: 名無しさん :2018/02/14(水) 16:30:19
つまりモニカ・クルシェフスキーはブリタニア皇帝の騎士であるが嶋田繁太郎個人が持つ剣であると世界に向けて宣言したわけだ。他ならぬブリタニア皇帝の口で
極東戦争にてその圧倒的なる個人戦闘力を発揮した彼女がよりにもよって日ブを完全に繋ぐ役目を担った
世界はそう考え、いよいよ大日本帝国と神聖ブリタニア帝国によるかつてない大連合帝国の誕生を予見し戦々恐々と、或いは歓喜していた
しかし、いまその彼女の動向に歓喜も戦々恐々ともしていない人物がいる
それこそが、モニカ・クルシェフスキーが、我が身と剣を捧げし主君、嶋田繁太郎である
それはもう無我の境地に到達した達人のごとき静けさを以て、こちらは戦々恐々としているモニカを除いた嶋田家の家人達の眼差しを一身に受け止めていた
頑張って下さい旦那様
(なにを頑張ればいいんですか?)
モニカ様の愛を受け止める御方はこの世でただひとりなのです
(言われんでもわかってるよ)
旦那様はモニカ様を愛しておられます
(だからわかってるよ。俺はモニカさんだけを愛しているさ、婚約もしてるさ)
頑張って下さい
(だからなにを頑張れと言うんだよなにを!)
嶋田はチラ
キッチンを見る
見るというよりもチラ見だ
あまり長く見ていると目が痛いから
実際に目が痛い。しばしばしてくる
モニカの長いポニーテールがさらり、さらり、と揺れている
彼女の某かを作る動作に併せて金色の長い尻尾が揺れている
普通に絵になる
綺麗だと思う
嶋田はこの世で最も美しいのは彼女の笑顔と喜びと、彼女が努力している姿であるとの確信を持っていた
輝いているのだ
なによりも、誰よりも、女神よりも、モニカ・クルシェフスキーという女性の姿は尊いと知っていた
知っているからこそ言えないこともある
あの、ブクブクと音を立てて泡立つ紫色の何かはなんだろうかと
モニカのマントはライトグリーン。だがマントの内側の生地は紫色をしている
だがしかしそのマントの紫色はとても綺麗で鮮やかな色だと思う
寒い日には傍らに立つモニカにマントの中へと誘われ、二人仲良く彼女のマントにくるまれる事もある
その時によく見る紫はやはり綺麗だった
なにを考えているのかスリットスカートの白い騎士服とあのマントを身に付けて、その騎士服の上からまた黄緑色のエプロンを身に付けるといった実におかしな格好を彼女はしていた
家政婦さんの誰かがモニカに大切な時には勝負服を。といった言葉を完璧なまでに勘違いした姿であった
879: 名無しさん :2018/02/14(水) 16:30:51
(それでいいのだろうかナイトオブトゥエルブモニカ・クルシェフスキー)
嶋田は思う。絶対に意味を間違えている
勝負服を本当に戦いの意味での勝負服、戦装束にしている点でもうおかしい
いやまだそこまではかろうじて良いとしよう
(モニカさんはチョコレートを作ってくれてあおるんたまよなぁ? なんだろうかあれは。なんかマントの内側の生地とはまったく異なり毒々しい紫色の物体は)
仮称物体Xとでもしよう
嶋田は彼女から数回チョコレートを戴いている
好意も寄せあい今では婚約者として一緒に生活をしている
嶋田は知っているからこそ悩んだのだ
モニカ・クルシェフスキーは料理が苦手だ
貴族の淑女ながら、当主として育てられてきたからか
騎士として教育されて来たからか
士官学校で料理を学ぶより前にナイトオブトゥエルブの称号を賜ったからなのか
それは知らない
どんな道を歩んできても、できることはできるようになるだろうし
できないことはできないなりの成果となって身に付く物だ
そういった意味においてもモニカ・クルシェフスキーは致命的に料理が下手であった
しかし嶋田はそれを気にしない
どの様な不味いものであれ、それがモニカの手によって作られた物であるのならば不思議と美味しく感じるのだ
好きな女性の手料理
美味しくないわけがない
だがあれは
(違う! あれは危ない! 警鐘が止まらない!)
モニカは長いポニーテールを振り振りしながら軽快に、楽しそうに、嬉しそうにその物体X、いまや物体Zと化してきているそれを作っていた
「嶋田さん、喜んでくれるでしょうか」
ニコニコ微笑みながらの呟きが聞こえてしまった
この時点で嶋田の『モニカさんのチョコレートだから今すぐ食べるなんて勿体ない。後でゆっくりといただくよ』作戦は破綻してしまった
愛する女性が、最愛のモニカが、あんなに嬉しそうに食べてもらおうとしている
これを食べないなどという暴挙は嶋田自身が出来やしないのだ
「完成、しました・・・!」
やりきったといったモニカは爆発も破裂もしなかった紫色から更に変色した固形物を持ってきた
騎士服にマントにエプロンにミトンの手袋
もう服装のチョイスというか、めっちゃくちゃである
880: 名無しさん :2018/02/14(水) 16:31:26
「あの、嶋田さん」
モニカはテーブルに"それ"を置くと、顔を寄せてきた
嶋田は
「モニカさん、嬉しいよ」
それだけ告げてモニカに顔を寄せていく
「んーー」
重なる唇。甘い甘い口づけ
モニカのポニーテールに結わえた髪が、嶋田の頬をこすり、更に身を乗り出し寄せくる彼女の体に併せて揺れながら髪の香りを嶋田の頬に、肩に、体になすりつけるようにして彼の背へと金色の長い尻尾が流れ落ちていった
「ん、あむっ」
甘い口づけは続く
1,2,3,4,5,6,7と、分刻みで甘くて深い、唇の重なりに終わらぬ舌の絡み合いは続いていく
いっそこれで終わりなら
嶋田がそう思ったとき、無情にもモニカの上気して赤色に染まる頬が離れた
背に流れていた長いポニーテールも彼女の体が離れると共に嶋田の背を肩を滑りながら離れていった
残されたのはそう
"あれ"
"あれ"だけだった
"あれ"とか"それ"以外に言い表せる言葉の見つからない物体Zだ
それが、嶋田の腹と接するテーブルに鎮座していた
甘い味わいを与えてくれたモニカはというと、テーブルを挟んだ向かい側に座ってただただ期待に満ちたはにかみようでこちらを見ていた
さあ食べてください
その碧い瞳は物語っている
私からのバレンタインチョコレートです
・・・・・・この物体Zが?
とは口が裂けても言えない嶋田は今度は自らモニカを一度抱き寄せる
嶋田の肩にモニカの頭が
モニカの肩に嶋田の頭が
交差する形で載せられた
「食べる前に少し、モニカさん分をくれないかい?」
嶋田は肩と肩とで互いの頭を載せ合い見つめるモニカと瞳を交わらせてまたキスをした
「んっ、んぅ、」
キスをしながら頬をすりよせてモニカさん分を補給していく
いつも彼女が行う嶋田さん分の補給の逆パターンだった
「こうして頬をすりよせあうと、君を感じられるね我が剣モニカ・クルシェフスキー」
「は、い・・・嶋田さんにも、分かりますか? 私がどうして嶋田さん分が必要なのかが」
「ああ勿論だよモニカさん。君と俺は互いに求め合わないと駄目なようだね」
「・・・はい!」
笑顔、眩しいまでの笑顔
モニカの笑顔を見ながら眩しいと思った彼にはモニカさん分は感じられたがきっと、モニカの求める嶋田さん分ほどには理解できてない
なにせ彼女を求めた理由が、このブクブクボコボコ泡立っていた物が固まったモニカのマントの内側生地の紫とは似ても似つかぬ毒色な紫の物体を食べる勇気がほしかったからだ
「ありがとうモニカさん。これからもモニカさん分を求めても、いいかな?」
「も、勿論です嶋田さん・・・我が愛しき主・・・」
もう一度、頬を重ね合わせた嶋田とモニカ
そして、すっと離れるモニカの頬
嶋田は今ほどモニカと触れ合う事が愛しいと感じたことはなかった。彼女が離れれば待っているのは物体Xを超越した物体Zだからだ
(いや、モニカさんだって貴族の娘。まさか食べられないものを作ったりは)
物体Z。なんだか変な顔が浮かんでいるようにも見える
(これ、チョコレートだよな? な! そうだよなモニカさん!)
モニカを見る、モニカは待っている
彼が食べてくれるのを待っている
(う、うう、うあぁ・・・くそっ行くぞ俺ェェェ!!)
嶋田は、モニカが作った物体、その名も無き毒紫の物体Zを一気に口へと書き込み咀嚼した
881: 名無しさん :2018/02/14(水) 16:32:08
「う、」
「う、なんでしょう? う、なんでしょうかっ!?」
「うまい! いや、最高に美味しいよ! なんて美味しさなんだ君の、モニカさんの想いが込められたチョコレートは! この世で食べたどんな物も色褪せてしまう美味しさだ!」
嶋田は叫んで立ち上がるとモニカを力強く抱き締めた
「あ、ありがとう! ありがとうっモニカさん! 君のような女性を妻にするなんて、幸せで"死にそう"だ!!」
モニカを妻にするのが幸せで死にそう
合ってる
モニカへのお礼と最高の食べ物
合ってる
「嶋田さんっ・・・! わ、私は、モニカ・クルシェフスキーは貴方を主に持ち、貴方と添い遂げられる事を誇りに思いますっ!!」
感極まって涙を流すモニカ
嶋田はそんなモニカに頬を寄せすりつけた
モニカも感じていた。嶋田の感じているだろう幸せを
涙を流すほどに自らとの結婚を喜んでくれていることを
感極まり体を"震わせていることを"
モニカ以外は嶋田の、主人の顔が見えていた。モニカと出会えた喜びと、モニカと想い寄せ会えた喜びと、婚約者としてやがては夫婦となる本当に心から幸せな嶋田の表情と
毒紫色に染まり汗を垂れ流す苦悶の表情を
モニカ以外の嶋田家の全家人が見つめていた
もちろん、空気を読んで誰も言葉を発っさなかったのは語るまでも無きことである
翌日から嶋田は、嶋田家家人の自称他称『インフルエンザ』で約10日間ほど寝込んだ
戦女神モニカの嶋田への献身振りは誰から見ても夫婦と呼べる間柄にある者同士であったことも言うまでもないことであった
ただ、一点
こうなった原因を他ならぬモニカが知らない事を除いて
知らずにすめばそれでいい
嶋田は回復後にそう呟いたとかなんとか
酒飲んで危機回避?
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
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嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
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南雲忠一×ドロテア・エルンスト
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玉城真一郎×クララ・ランフランク
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玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
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澤崎敦×井上直美
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レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
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原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
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ルルーシュ(休日)×ミレイ
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オデュッセウス×皇神楽耶
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ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
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枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
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コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
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高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
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鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-