帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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バレンタインは永遠に

 

 

バレンタインは永遠に

 

 

 

 

 

 

ユフィ。もし今のまま永遠に生きられるとしたら君はどうする?

 

仮に俺と二人で永遠を生きるとなればユフィはどうする?

 

 

分かりません

 

分かりませんが、シゲタロウが傍に居て下さるのでしたらわたくしは生きていくことができるかも知れません

 

 

わずか半年前の問答

そしてその答え

 

辻さんは言った

 

『愛するものを失えばやがて精神は磨耗していく』

 

コード

 

永遠を得る古代技術

完成したその技術を我々は使用するに及んだ

 

使用したのは上皇となられる帝と、伏見宮殿下や神楽耶殿下を含む現皇室である宮家のほぼ全方々に加えて会合メンバー全員

ただしギアス能力者を安易に産み出してはならないとする秘密の条文も同時に作った

皆が目指すのは高級平和と宇宙へ向けての歩みだしだ

 

皆知りたかったのだろう

人類の行く末と、まだ見えない未知なる宇宙を

 

コードを生み出すとき、時の政権や時の帝、時の民への道標の役目は100年後までと定めた

以後は時の人々の手に委ねる

過ちへと向かいそうな時のみ介入するに留め、見守る立場となるだろう

 

コードユーザーには誰もがなれるわけじゃない

偶然にも現皇室の方々と親戚筋の枢木家、現会合メンバー全員に素養があっただけのことだ

 

それはブリタニア側にも言えた。ブリタニア側もギアスユーザーとなる素質のあるものは皆コードユーザーとなれた

シャルルさん然り、マリーベル皇女然り、ルルーシュ殿下然り、ギアス嚮団のギアスユーザー然り、そしてユフィ、ユーフェミア第三皇女にも素質があったのだ

他にもビスマルク・ヴァルトシュタイン卿やモニカ・クルシェフスキー卿、アーニャ・アールストレイム卿といったラウンズの一部

リーライナ・ヴェルガモン卿や、トウ・ヘア伯爵といった古い貴族には素質のある者が多くいた

 

むろん素質のある者が希望すればコードユーザーとする

それが日本とブリタニアの方針であった

永遠の恐ろしさを考えてあえて辞退した者も数多くいる

 

そして始めの話に戻る

 

ユーフェミアはシゲタロウが永遠を受け入れるのならば、わたくしも共に受け入れ傍らで支え続けると日本の神根島にて俺と一緒にコードユーザーとなった

 

 

 

 

こうして時は流れ

 

868: 名無しさん :2018/02/14(水) 09:25:21

 

リ家分家の離宮の離れにて

 

 

「ん・・・?」

 

まだ薄暗くなっていた執務室で俺は目が覚めた

 

「ゆめ、か・・・」

 

どうやらあの頃を夢に見ていたようだ

影に日向に大勢の人々と生きてきたあの200年前の時代を

 

「お目覚めですかシゲタロウ」

 

右隣から聞こえた優しそうな声色に顔だけを振り向かせる

 

「ああ、ちょっと昔の夢を見てたんだよ」

 

そこに立っていたのはそう。あの200年前と容姿も背丈も何も変わらない、昔から着ている意匠のままな公務服姿のユーフェミア。ポニーテール風に結い上げられた元々長い桃色の髪だけがあの頃よりも少し長くなったくらいか。そう、同じ永遠を生きるV.V.さんのように。といってもV.V.さんみたいに足首まではないがな

 

そうなんだ。ユーフェミアは、ユフィはあの頃と何も変わってない。年だけを重ねて220歳を目前としているだけで体は18,9のまま停まっている

 

「素質があり無事コードユーザーとなったひと。またこれも無事コードユーザーになれなかったひと。みんなが揃っていたあの200年前の夢だよ」

 

永遠は幸せなのか地獄なのか

いまでも考えるときがある

 

皆が皆、それぞれに別れを経験しながら歩むいまがあって、先を夢見て、実現していく未来を楽しみ、未知なる宇宙へと飛び出していく人類を見つめながら過ごす毎日は幸せなのか地獄なのか

 

永遠を持てなかった者は永遠故の苦しみや寂しさを知らずに逝けるから幸せなのか死ぬことはやはり地獄なのか

 

感じ方はひとそれぞれで異なるのかもしれない

ただ、ユフィは、ユーフェミア・リ・ブリタニアは俺と、嶋田繁太郎、神崎博之と歩く道を選んだ

永遠の苦しみを先達から説明されても彼女の答えは変わらなかった

 

『シゲタロウが永遠を歩くのならば、わたくしはシゲタロウに付いていくのみです。ずっと一緒、そう、お約束致しましたもの』

 

それは何にも変えがたいかけがえのないことだった

 

「この200年、色々ありましたね」

 

ユフィは静かに手を重ねてくる

 

「ああ色々あった。ありすぎて覚えられないくらいだ」

 

ユーロブリタニアの欧州制覇

 

オセアニアによる南ブリタニア大陸を除いた南半球の統一によるEUの完全消滅

 

イラク・サウジアラビア戦争

 

ブリタニアの仲介による日中平和友好条約交渉最中にオセアニア率いる南側と中東の共産国家が手を組み中華連邦への侵攻を開始し、連邦が中華・インド・ペルシャ・中央アジアに分裂したこと

 

オセアニアによるフレイヤ使用とペルシャ・中央アジアの占領

 

中華・インドと日本の個別的な友好条約締結

 

日ブ率いる太平洋ユーラシア同盟とオセアニア率いる南半球経済圏の長きに渡る、いまなお続く冷戦

 

大清連邦の指導者高亥没後にオセアニアが糸を引いた中清、中高戦争の勃発

 

続く日清戦争・日高戦争の勃発と日本による清・高麗の委任統治

 

清国南シベリアのユーロピア王国連合ロシア帝国への返還

 

清国東モンゴルの中華モンゴルへの返還

 

世界は塗り絵のように勢力図が変わり続けた

 

日ブとオセアニアによる宇宙開発競争

 

人類の月面居住と火星開発

 

869: 名無しさん :2018/02/14(水) 09:26:42

 

「様々なできごとがありましたけれども、日本とブリタニアがいま平和であることこそがわたくしはなによりも嬉しいです」

 

「そうだな」

 

色々あったその中には別れという必然もたくさんあった

 

永遠を持つものとしての宿命C.C.さんが、V.V.さんが言っていた

 

まさか、息子や娘を見送ることがあれほどまでに辛いことだったとは

 

「素質のない。素質はあれどもコードユーザーとならなかった兄弟姉妹も皆、鬼籍に入りました」

 

「ユフィ・・・」

 

「ですが、わたくしは悲しくありません」

 

ユフィは寂しさを打ち消して春の暖かさを運ぶようなあの笑顔を向けてくれ、俺を掻き抱いた

 

「シゲタロウ、あなたがいてくださればわたくしは共に永遠を生きていけますもの」

 

「そう、だな。俺もユフィがいれば・・・ん? あ、そういえば、今日は2月14日バレンタインじゃなかったか?」

 

バレンタイン。昔はユフィと二人でよくデートをしたものだ

お菓子屋さんの戦略に乗せられてだが、チョコレートもいっぱいもらったな

 

「バレンタインは永遠に、か。不老不死の俺とユフィのバレンタインには終わりがないんだが、今年はどうしようか」

 

「バレンタインだからと特別なことはせず、孫や曾孫達と過ごすのもよろしいですわね」

 

「しかしなあ、去年にお祖父様とお祖母様は仲が睦まじすぎて見ているだけでもお腹いっぱいです。なんて言われなかったか?」

 

「ウフフ、言われてしまいましたわね。それではいつかのような風の向くままの気ままなデートをなさいますか」

 

ユフィが顔を近づけてくる

俺はユフィの肩を抱いて口付けた

 

「んむっ・・・ん」

 

200年経って自然にできるようになっても恥ずかしいものは恥ずかしいな

 

ユフィの薄く開いた瞳が見える

俺も薄く開いた瞳で見つめ返す

ユフィの紫色の瞳が、虹彩が、綺麗だ

 

そのうち口付けはそのままにお互いを強く抱き締めあっていた

ユフィの背に回した手に触れるのはポニーテール風に結い上げられた彼女の桃色の長い髪。色艶があり照らされた光沢が薄暗い執務室でも煌めいている

触れた背の温もり。人肌の温もり。ユフィの温もり。愛する女性の、愛する妻の温もりが俺の体に熱を帯びさせていく

 

「ユフィ・・・」

 

「シゲ・・・タロウ・・・」

 

長く生きていると人恋しさが増すのか

俺は昔よりもいまの方が益々ユフィを求めようと体を突き動かすように感じることがある

 

870: 名無しさん :2018/02/14(水) 09:30:56

 

背中に回るしなやかな腕と手の温もり

 

ユフィの指が俺の頭を捕らえて撫で回してくる

 

彼女も俺と同じなのだろう

血を分けた兄弟姉妹や親族が逝くそのたびに強く俺を求める。きっとそうだ、ユフィも俺がユフィを恋しがるように、ユフィも俺を恋しがるのだろう

 

「ユフィ、ユー、フェミア・・・」

 

「シゲタロウ、シゲ、タロウ・・・ヒロ、ユキ・・・」

 

俺はユフィの背に触れつつ、手にあたる、纏められている彼女の髪を、彼女が俺の頭にするようにして返礼とばかりに撫で回し指を差し入れてはすいていく

 

「ん、ユーフェミア、」

 

「ヒロユキ、」

 

お互いに呼び合う本名

 

こうなるともう共に自分を抑えられなくなる

 

今までがそうだった

 

ユーフェミア・リ・ブリタニア

 

俺という男の本当の名前を知るただひとりの女性

 

嶋田繁太郎として接しながらも、神崎博之としての自分で接することができるただひとりの愛しい女性

 

「ユフィ、今日はチョコレートはいい」

 

「まあ、もうお作りしちゃいましたよ?」

 

「あとの楽しみに取っておくよ。その代わりに、・・・君をもらいたい」

 

席をたち、俺はユフィをお姫様抱っこにしてあげた

 

「お姫様をお姫様抱っこだから洒落にはならないかな?」

 

「うふふ、わたくしは皇族ではあってももう姫ではありませんよヒロユキ」

 

「いいや、俺にとってはいつまでもお姫様だよ。さて、ユーフェミア姫様。続きを寝室にて行いたいと平民の神崎博之は具申いたします」

 

「承りましたわヒロユキ。ふふ」

 

 

 

 

 

 

それと、たぶんこの日がそうだっただろう

 

10ヶ月と少しのちの話だが、俺とユーフェミアは久々となる子宝に恵まれた

 

もちろんユフィの妊娠がわかったのはもっと早かったが、孫達からは祝福の声と共に

 

『これでまた私達は年上の甥や姪になってしまうわけですねシゲタロウお祖父様、ユーフェミアお祖母様?』

 

なんてため息をつかれてしまった・・・

 

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
  • 枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
  • コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
  • 高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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