家路
絶妙なさじ加減を持ち日本の舵取りを行う夢幻会の会合メンバーたちは、ブリタニアのジ家双子の兄V.V.とは面識を持つ者が多い
伏見宮を皮切りとして近衛、辻、山本、東條、阿倍、倉崎、杉山と、挙げていけば何れも名だたる大物ばかりが幾人も名を列ねている
V.V.はギアス嚮団の嚮主として日本との連携を密にしてきた実績から会合メンバーのお食事会に呼ばれることもあり、ひとり、またひとりと面識を深めてきたのだ
皆それぞれ個々の間でも交遊関係を築いてきたV.V.だが、一番の仲良しは言うまでもなく幼なじみの嶋田繁太郎であった
嶋田もV.V.の親友であり幼なじみは自分しかいないと考えていたし、その実その通りであるのだから何をや言わんや
今夜も今夜とて会合メンバーとV.V.はお食事会という名のごく普通な飲み会の為、都内の料亭に集まり、難題から馬鹿馬鹿しい話まで多岐に渡る話題で場を盛り上げながら食べて飲んで楽しみ、そしてお開きとなった
「嶋田、V.V.殿下それでは失礼するぞ」
少しばかり呂律がおかしな丸坊主の寒そうな頭をした男が手を上げてお別れの挨拶をしている
元海相と国防相を歴任した山本五十六
ニューギニア戦争では一艦の喪失もなくオセアニア海軍のニ個機動部隊を撃滅した事から国内外より現代を生きる軍神や英雄などと呼ばれる事もある海の男だった
彼はふらつきながらも迎えの車に乗り込んだ
「ちょっと飲み過ぎよいっくん」
車中に見えるのは金髪の長髪をした美麗な容姿の外国人女性の姿
山本の婚約者リーライナ・ヴェルガモン
彼女は山本が特別な飲み会に行くとき、自らは出席できないその会合に、せめて送り迎えだけはと毎回のように自家の車を出しては料亭まで山本を出迎えにくるのだ
できた妻である
軍神、英雄と呼ばれる山本だが彼女には弱い
いつの世も女性は強いようだ
「ちょっと飲み過ぎただけだ。ちょっとだけにちょっと。はっはっはっ」
ご機嫌な山本はリーライナのちょっとに掛けてくだらない駄洒落を口にしている
あれはちょっとどころの酔いかたではない
山本はこのお食事会でかなり飲んでいた。気分的に飲みたい気分だったそうだが、酒には強いほうな彼がいい感じに酔うほど此度のお食事会は雰囲気も何もかもが良かった
それは見送る嶋田にしてもV.V.にしても同じ
彼等も等しく楽しい酒に酔っていた
「じゃあな山本」
「気を付けてねイソロク」
リーライナにもたれかかるようにして体の力を抜いた山本は応とだけ返事をして、頭を下げる彼女の膝に寝落ちまでしてしまった
「もう、いっくんたら」
そんな声だけを残して扉は閉まり、ヴェルガモン家の運転手が車を出して遠ざかっていった
「我々も帰りましょうか」
「そうだね」
今夜参加したメンバーの最後のひとりである山本を見送った嶋田とV.V.は帰路につく
宴席の料亭が偶々彼等の邸宅と近かった事もあり、二人は歩いて帰ることにした
余談だが二人の家は互いに近く、気軽に歩いて遊びに行ける範囲内にある為に、よく遊んでいた
共に齢六十を数える、V.V.は肉体年齢こそ十つほどであるも、実年齢では六十五となる初老に差し掛かっている
そんな二人ながら、昔からの幼なじみとして違和感なく遊んでいた
「とりあえずどうぞ」
肩を組むにしては背が違いすぎる二人は、年齢通りの肉体な嶋田の側が背丈は高く、嶋田はしゃがむとV.V.をおんぶしようとする
「君ね、僕のが五つほど年上なんだって事を忘れちゃいないか?」
厳に子供扱いするなと語るV.V.に嶋田は運動不足ですのでと譲らない
「やれやれ。兄の立場な僕が弟分の君にこんな事をされる日がやってこようとは。時の流れは無情だ」
肩を竦めたV.V.が嶋田の背に乗る。手を彼の首に回して子供が親の背におぶさるように
230: 名無しさん :2018/03/02(金) 13:01:42
「よいしょっと。昔は僕の方が背が高かったのにすっかり追い越されてしまったな」
背にのし掛かる小さな体躯と体温に、V.V.がおぶさってきた事を感じ、立ち上がりながら嶋田は笑った
「今更でしょう。お兄さんは不老不死なんですからずっとお若い。羨ましいですよ」
「だったらコード解析終了と新規コード開発の暁には君も不老不死になればいい。実現化まで間近に迫ってるんだ。シャルルは辞退したよ。愛する我が子が先に逝くのを見続けて行けばいつか心が壊れてしまうってね」
寂しそうにV.V.は笑う
双子の片割れは供に歩んではくれないらしい
「私は条件が整えばお付き合いしますよ。私…僕もお兄さんをひとり残して逝くのは忍びないですしね」
「ははっ、義兄弟みたいな君の方が兄思いだね」
「心技体とも、シャルルさんよりかは強いつもりです」
「それシャルルに言ったらまた殴り合いになるよ」
「海軍で成らしてきた僕は皇宮で過ごしてきたぼんぼんにゃあ負けませんよ」
嶋田はシャルルをシャルルさんと呼ぶ
子供の頃はシャルルくんと読んでいた
しかしV.V.の事はお兄さんと呼ぶ
今でも昔語りをしている時や、二人で遊んでいる時にはお兄さんと呼ぶ
「シャルルさんとお兄さんは根が強いか弱いかに差がありますからね。根が弱い元もやしっ子のシャルルさんをお兄さんとは呼びたくありません」
「違いないや」
えっちらおっちら歩く嶋田
嶋田の背に乗り彼の首へと腕を回してしがみつくV.V.
「しかしなんですね。遊ぶって言葉が今でも続いている。それがなんだか変な感じがしますね」
「どうしてだい?」
「いや、確かに僕とお兄さんとシャルルさんは幼なじみでよく遊んできました。いっぱい馬鹿もやっては父やお二人の世話係の方に怒られました。でもそれは子供の頃の話です。遊ぶって子供の頃によく使うじゃないですか。僕らもう六十台ですよ」
V.V.は肩の後ろから首を前に出して嶋田を覗く
「さっきの今だけどそれこそ今更じゃないか? 六十台でも幼なじみは幼なじみだよ。僕は遊びたいんだ。もっとたくさんね。シャルルは立場上気軽に遊べないけど、僕らは遊べるからさ」
「ははは、お兄さんの仰るそれもまた真理ですねえ。昔も今も私たちは変わらない三馬鹿トリオですか」
「うちの家の侍従に言われたねえそれ。ご貴殿方は三人で馬鹿ばかりやって! ご自身のお立場を少しはお考えくださいませこの三馬鹿トリオ! なんてさあ」
こてん。嶋田の右肩に頭を寝かせて昔を思い出しながらV.V.は目を閉じる
「あの方容赦ありませんでしたね。三人してげんこつ落とされて」
「今にして思えばあれは愛情だったのかな」
ああそうそうとV.V.は続けた
「愛情と言えば僕さ、昔君が女の子なら嫁にもらってるところだって話したよね」
「ああ~ありましたありました。あれ告白みたいで僕も強張りましたよ」
嶋田は当時を思い出す
あれはジ家の離宮の広大な庭での事だった
V.V.がシゲタロウはどうして男なんだろうと話はじめた事から出た恥ずかしい思い出だ
「あのお話がどうかなされました?」
「うん。いやね。あれさ、もし君がじゃなくって、僕が女の子だったなら君はどうしたかなって思ったのさ。君は僕を異性として好きになってくれていたのかなあーって」
右肩に乗るV.V.の頭
年月を感じさせる彼の長すぎる長髪が一房はらりと肩越しに、嶋田の体の前へと垂れ落ち、歩く振動にゆらゆら揺れている
「そうですね。お兄さんがお姉さんだったのなら、僕も異性として好意を寄せていたかも知れません。年上で面倒見のいい姉貴分、憧れますよそういうの」
V.V.が女性であったのなら有り得た未来
想像してみれば滑稽ながら、今でも仲良く遊んでいる事を考えれば強ち無いとも言い切れない未来だった
「そうなんだ?」
こてんと乗る右肩の小さな顔の眼が開く
「ええ」
「惜しいな。僕か君が女の子だったならよかったのに」
「よしてくださいよそんなご冗談。私もう婚約者がいるんですから」
「でも、そのもしもが現実だったなら僕は君の事を離さなかったと思うよ? 君もご存じのように僕は嫉妬深くて執念深いからね」
「そこはご心配なく。もしもが現実だったなら僕はお兄さんの婿か嫁かになっていたでしょうからこちらこそ離さなかったところでしょう」
「酔ってるねシゲタロウ」
「酔ってますよ。そちらこそ酔ってますねお兄さん」
「酔ってるよ」
「少し遠回りしますか?」
「そうしよう。僕も息子や娘や甥姪にその親衛隊達、ついでに半同居人の馬鹿にこんな姿を見せたくないから」
「威厳ある叔父でありたいと。それは意地ですね」
「意地さ。僕がありのままの姿を見せられるのは君とシャルルの前くらいだから」
酔い醒ましとばかりに昔話に花を咲かせながら、二人は遠回りをして家路についた
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
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嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
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山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
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南雲忠一×ドロテア・エルンスト
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玉城真一郎×クララ・ランフランク
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玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
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澤崎敦×井上直美
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レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
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原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
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ルルーシュ(休日)×ミレイ
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オデュッセウス×皇神楽耶
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