五月五日とは端午の節句。
端午の端とは「はじめ」を意味し、「端午」その物は、五月初めの午の日のことを意味している。
そして、午は文字の音が五と同じくしていることもあり、古くから五月五日が端午の節句として日本では定着していた。
時の移ろい、時代の移り変わりにより、貴族と並び立ち武家が台頭してきた中で、菖蒲の音が武家の役目たる武事や軍事を意味する「尚武」と重なるところから、端午の節句は尚武の節句として、祝われるようになっていた。
主に生まれたときから家のお世継ぎとして定められる男子の成長と、その家の一族繁栄の祈願として執り行われるこの祝い事の由来や経緯から、五月五日は端午の節句、男の子を祝う日として扱われるようになり、現代へと至る。
五月五日は男の子の日で、こどもの日である。
これはもう日本とも大変な友好関係にあるブリタニア人にも広く知れ渡り、常識ともなっていた。
日本華族とブリタニア皇族間で婚姻関係が結ばれる世なのだ。
その身内のブリタニア人にも、端午の節句祝いをしようと考える者が、いたりもするだろう。
その場所がブリタニアの大使館内で、公務中であったとしても。
「さて お前はどちらを選ぶのだ?」
紫の髪をした鋭い視線の美女が、来客用のソファに並べられた日本の武家風の兜と鞘に納められた刀、ブリタニアの騎士風の兜と鞘に納められた西洋剣、最後にナイトメアフレームの起動キーを前にして、自らが抱いていた子供がそれらを見やすいようにと、ソファへ身体を寄せていた。
返事はない。
「だあ だあ だう!」
それはそう。彼女の抱いている子供が、子供と呼ぶにはまだ幼すぎる赤子なのだからしょうがない。むしろ返事をしたら天才だ。
「御公務の最中によろしいのですか?」
こんなことしてて、と言ったのは。鋭い目付きをした美女とは違い、目付きの柔和な女性であった。
しかしその異なる二人の面差しは、どことなく似ているところがある。
「ふっ 此処の最高責任者である私が良いと言ったのだ なにも問題はあるまい」
大使館の責任者である鋭い目付きの女。ブリタニア第二皇女コーネリアは、自分の権限で了承したから良いのだと俺様理論を持ち出しながら、傍らにいる目付きの柔和な桃色髪の女性に、大使館�・2の地位に在る妹の第三皇女ユーフェミアに対して言い放つ。
「それにいまは休憩中だ 誰にも文句は言わさん」
公私混同も甚だしいところなれど、赤子に夢中のコーネリアは気にすることなく、ソファに並べた贈呈用の品々を男児の赤子に選ばせようとしている。
「いえそうではなく この場にこの子を連れてきていることがです」
「構わん 大使でありこの子の叔母である私が構わないと言っているのだぞユフィ」
「お姉さま……」
285: 名無しさん :2018/05/15(火) 19:37:24
そんな姉を困った顔で見るユーフェミアは、しかし彼女も彼女で、姉の抱く子が何を選ぶのかについて興味はあるところだった。それはコーネリアの抱いている子が、他ならぬ自分の息子であるからこそだ。
==シゲタロウ 今日はカズシゲを大使館で預かるぞ==。
早朝、コーネリアはユーフェミアの夫の繁太郎に、出勤する妹に子供を連れてこさせるようにと伝えていた。
繁太郎とユーフェミアの子、カズシゲ・リ・ブリタニアは男の子である。
五月五日で端午の節句だから丁度良い。武門のリ家の者として相応しき男に育て上げたいと、妹と妹婿を余所に張り切るコーネリアは、贈り物として日本ブリタニア両国の武に精通する品を用意して待っていたのだ。
いまは兜二つに刀と剣がそれぞれ一振りずつ、ナイトメアフレームのキーが一つソファに置かれているだけだが、彼女はこの日のために日本の武士甲冑と、ブリタニアの騎士甲冑まで用意している。
なんとなれば、ダールトンとギルフォードにそれぞれ甲冑を着せて参上させても良い、といった具合に考えて二人を控えの間に待機させたりしていた。
「だ~う だぁ」
カズシゲはコーネリアの期待に応えるように手を伸ばした。
「ふふふ見よユフィ やはりこの子は武門の皇家たる我がリ家と 同じくして武門のシマダ家の血を引く子だ 品々に興味を示しているぞ」
「お姉さま 赤子は目の前に初めて視る物があれば何にでも興味を示すものですよ」
繁太郎と結婚し、お腹の中に子を授かったときより子育てについて学んできたユーフェミアは実体験を通して知り得たことを姉に伝えた。
「ほう なるほど母親としての体験談か 参考になるな」
コーネリアの婚約者ギルフォード卿は婿入り前。
子供を授かるのはまだ一年以上は先の話。
やがては経験する事柄を伝えられることは、彼女にとって先々のためにも勉強になる。
「子育ては思う以上に難しいことです お姉さまも頑張ってくださいね」
「そう急かさないでくれ 子供もなにも私はまだ結婚前なのだから」
「うふふ そうは仰られても事が進み始めると案外と早い物なのです 結婚 妊娠 出産と まるで景色の移り変わり行く車窓からの眺望のような目まぐるしさでした」
「そんなものか? だがお前とシマダ卿 シゲタロウの場合は早すぎるだけにも思えるがな お前達が付き合い始めてからこの子が生まれるまでに二年も掛かっていないではないか」
コーネリアは納刀されている日本刀に手を伸ばすカズシゲを抱き直し、言った。
「一年半ほどだったかな 父上と背比べの早さであった」
ユーフェミアは繁太郎との出逢いより僅か二年以内に結婚、お世継ぎ作り、出産子育てと、全てを経験していたのだ。早いと言えば早い。しかし彼女達の父親と比べれば差ほど大きな差はないとも言える。
百人以上の妃を持ち、今も尚新しい妻だ愛人だと騒がれる父親のケースと比較するのは無理もあろうが、もっとも身近にある父と比較するのは、それはそれで正しい娘の姿であった。
286: 名無しさん :2018/05/15(火) 19:37:57
「愛あればこそです」
「一言で片付けたな いや単調でありながらもそれこそが唯一の真実なのかもしれん」
コーネリアの腕の中の赤子がまた手を伸ばす。
触れた物は順に、日本の兜とブリタニアの兜。
次いで、刀と剣。
最後にナイトメアフレームの起動キー。
「ふむ これはどう見るべきかな?」
用意された品々にカズシゲの手は余すことなく触れていた。
どれか一つではなく、どれにも等しくだ。
「カズシゲ あなたはどれが気に入ったのですか」
ユーフェミアは腰を低くしてしゃがみ、姉の抱いている我が子に目線を合わせると、言葉も分からない我が子に問い掛けていた。
「兜ですか? 刀剣ですか? それともナイトメアのキーですか?」
「だ~う だ~う」
赤子カズシゲは話し掛けてくる母親の顔をぺたぺた触りながら「だぁだぁ」としゃべっている。
言葉になっていない言葉で母ユーフェミアに話し掛けている。
何かを伝えようとしているのか、そもその言葉に意味など無いのかただぺたぺたとユーフェミアの頬を触っては、口を開いていた。
「或いはそのどれも全部か だとするならやはりこの子は武を重んじるリ家の申し子だな かつて分裂寸前であったブリタニアを再統一なされた高祖クレアのような偉業を成し遂げるやもしれぬ」
コーネリア、ユーフェミア姉妹の高祖、クレア・リ・ブリタニアは、日本の支援を受けつつもブリタニア大陸全土に広がっていた戦乱を終わらせた大皇帝だった。
この時代でのクレア並みの武の偉業ともなれば、それこそ数百年来の対立関係にある合衆国オセアニアと、それに追随する民主共和制原理主義勢力の完全討滅の達成くらいであろう。
「お姉さま わたくしはカズシゲが戦乱に巻き込まれることを望みません」
「まあそれは確かに無論のこと起らぬに越した事は無いが しかし時として戦とは否応なしに始まってしまう事もあろう 近年のオセアニアの大軍拡を目の当たりにしているとな また或いはだが現在の冷戦的対立構造を打ち崩し 新たな世界秩序の構築を平和理に成し遂げるその騎手にこの子が立てばやはり高祖クレア並の偉業となる」
妹の子だからとカズシゲを過度の期待の目で見るコーネリアに、ユーフェミアは苦笑いを浮かべて言った。
「わたくしと致しましては 大きな何かを成し遂げなくてもいいので この子には普通の人生を普通に生きていってもらいたいものです」
母と叔母の話を意味も分からず聞いていた0歳児は、変わらず母の顔をぺたぺたしていた。
「だうだ~う」
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
-
嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
-
嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
-
山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
-
南雲忠一×ドロテア・エルンスト
-
玉城真一郎×クララ・ランフランク
-
玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
-
澤崎敦×井上直美
-
レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
-
原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
-
ルルーシュ(休日)×ミレイ
-
オデュッセウス×皇神楽耶
-
ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
-
枢木スザク×ナナリー・ランペルージ
-
コーネリア・ランペルージ×ギルフォード
-
高麗大佐×奥様(書けたら(-_-;)
-
鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-