愛・七夕 山本五十六とリーライナ・ヴェルガモン
梅雨も明け、夏真っ盛りにならんとする七月初頭の七の日。
山本五十六は自宅に非ず、近しくも遠い地と言えようブリタニアは五大湖の一つ、ミシガンの湖畔に立っていた。
「これは、見事なものだな」
ミシガン湖。そこはブリタニア帝国の上位伯爵ヴェルガモン家がその半分を領地として治めている湖だが、ヴェルガモン家と言えば同国でも有数の大貴族である。
その総人口は領民だけでも770万人達し、五大湖工業地帯に多数のヴェルガモン家傘下の企業群が軒を連ね、日本の企業体も数多くが進出している一大経済圏を有す貴族領だった。
常時6乃至7個騎士団を編成可能な戦力も備えた、いわば領地全体が一つの国といっても差し支えのない大貴族家ヴェルガモン伯爵家。
ミルウォーキーを始めとした大都会のイメージが強い同領地だが、なにも領地全土が大都会というはずもなしである。
このミシガン湖畔には貴族や富裕層の別荘地が多く、とくに山本の立つ場所には、見渡す限りの広い原生の地と、手入れされた樹木が広がっているだけ。
人口的な明かりなどほとんど無く、少し遠くに目視可能な一際大きな別荘が、その内部より光源を漏らしているのみだった。
「前世より、東京に出てからというもの、都会の明かりに消されてしまった夜空になれてしまった所為か、こうして夜空の本当の姿を観られるのが殊の外貴重に感じてしまうな」
すっかり都会人になってしまった山本は、この満天の星空を眺めながら誰に聞かせるでもない呟きを漏らしていた。
「いっくんって、時々おかしな事を口走りなさいますわね」
しかし、聞かせるでもない言葉を聞いていた者がその場に降り立つ。
5mほどの鉄の巨人だった。ナイトメアフレーム、KMFという名を持つ鉄の巨人だ。そのヴィンセントという名を持つKMFの後部ハッチが開いて、搭乗していた者が姿を現せた。
「前世とか、まるで幻想の世界に生きる住人のようですわよ?」
腰まで届く金色の長い髪が一陣の風に舞った。
その身を包むのは、体にフィットした黒と紫紺色のレオタード風の衣装。
胸元は開き、臍までが見えてしまう三角状の大きな露出部が目立つ、エメラルドグリーンの瞳を持つ世の男性諸氏が思わず目を奪われるほどの、美しい女性であった。
リーライナ・ヴェルガモン。
この美しき夜空を魅せるミシガン湖西部一帯を望む、広大な領地を持つヴェルガモン伯爵家の息女にして、次代の当主となる女性。
そして、他ならん山本の婚約者でもあった。
317: 名無しさん :2018/07/11(水) 21:52:22
「まあ、気にするな。意味のない独り言にすぎん」
言えない。伝えたところで信じられない話は無意味な戯れ言と同じである。
山本はそう思い、ほどなく妻となる遙か年下の女性からの言葉を受け流した。
「それよりも、俺としてはその言葉遣いの方をどうにかしてもらいたいのだがな、むず痒くて仕方がない」
昇降機を使いKMFヴィンセントより降りてきたリーライナは、黒いサイハイブーツに包まれた脚を前に出し、歩を進め、夫となる年嵩の坊主頭の男性に目を移しながら伝えると。
「まあ、淑女らしく振る舞っておりますのに……いっくんには、こっちの方が良いの?」
口調を変えたリーライナは微かに微笑み、山本の傍へと寄り添った。
「ああ、楽だからな。堅苦しいのは苦手だ」
山本は、リーライナの肩を抱き。
「――」
小さく、軽い、口付けを落とした。
「ん」
甘い口付けだ。深くもなく、荒くもなく、ただただ静かで優しい、触れるだけの口付けだ。
啄み合いはしても、それ以上には進まない。それでありながらも大切な愛おしい者を想う、想いのこもった口付けであった。
静かに離れるお互いの唇。
体は密着させて抱き締め合ったままに。
山本はリーライナのエメラルドグリーンの瞳を。
リーライナは山本の黒い瞳を。
視線反らさずに固定させたまま口を開いた。
「ちょうど頭上には天の川が広がっているわね」
「そうだな」
「なんだか今の私、いっくん彦星との待ち合わせに遅れてきた織姫のような気分だわ」
「気にするな。散歩がてらに先に別荘を出ていたのは俺なのだからな。それにリーラを相手になら待ちぼうけとなってしまっても怒りは出て来んぞ」
彼女の背を引き寄せていた山本の片手が、彼女の頬に宛がわれる。
「安心してよ、待ちぼうけになんてさせないわ。いっくんがいるところに私は必ず駆け付けるもの」
彼の背を捉えていたリーライナの片手が、その紫色の手袋に包まれた指が、山本の唇を静かになぞる。
「どうミシガン湖の夜は。ここで迎える七夕は」
「無論、気に入ったとも。ここが同じヴェルガモン領でも大都会のミルウォーキーなどでは東京と変わらん夜空だろうから残念に思うところだったがな」
「嬉しい、私の家を気に入ってくれて」
「お前の家か、確かに貴族の領地はその地を治める貴族の私有地。ずいぶんと大きな家だが領民含めて皆が家族か」
「ええ、そうよ。都会で働く領民達も、工業地帯で働く領民達も、農場で働く領民達も、我が家の家臣達も皆大切なヴェルガモン家の家族だわ」
そしてと含み。
リーライナは。
「彦星のいっくんは私の旦那様」
彼の唇に触れていた指を彼の頬へと移して、一つ唇を重ねていた。
318: 名無しさん :2018/07/11(水) 21:53:37
終わりです。
いっくんとリーラは支え合う関係な感じがします。
どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。
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