帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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こちらは悪逆皇帝となり死を迎えた彼の、その後のお話しとなっております。
蒼の混沌掲示板様投稿分から僅かばかりの修正が入っております。


帝都の休日外伝 ルルーシュシリーズ
また君を……。


 

 

 

 

 また君を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 殺戮に継ぐ殺戮。破壊に継ぐ破壊。

 

 多くの血を流し、我が手を真っ赤に染め上げ、全ての憎しみを集め世界の敵となった悪逆皇帝ルルーシュ。

 

 最早、虐殺皇女と名付けられたユーフェミアを思い出す者はいない。例え歴史にその名を刻んだとしても、悪逆皇帝が達成した偉業の前には、霞の如く薄れ消え行くであろう。

 

 無論、そうなった処でユフィに殺させてしまった者達の彼女へと向けられる憎しみが消えることはない。

 

 出来ることならば、その憎しみすらもこの身で引き受けたかった。しかし、人々の心を一つにし、ユフィが望んだ争いのない平和な世界を作る為には世界の英雄であるゼロの存在が必要なのだ。

 

 その為にはユーフェミアをギアスで操り、罪のない日本人の虐殺を命令したのがゼロであってはならない。もし、ゼロがルルーシュと同一の存在である事が白日の下に晒されれば、ゼロレクイエムは崩壊し、世界は再び戦火に包まれてしまう。

 

 そして、その新たな戦火を止めることは最早誰にも出来なくなり、己の全てを掛けたこの計画が水泡に帰してしまう。

 

 何もかもの引き金を引いたのが自身である以上、計画通りに進めることその物が傲慢と言えたが、例えユフィに恨まれたとしてもこの我だけは押し通す。

 

 それがこの俺……。

 

 

 

 魔王──ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが成し遂げなければならない最後の仕事なのだから……。

 

 

 

「ル……ルルーシュっ……!」

 

「これは、お前にとっても罰だ……」

 

 スザク……。いや、ゼロの剣で貫かれた胸が熱い……。

 

 だが、これでいい。こうでなければならないのだ。

 

「お前は、正義の味方として……仮面を被り続ける……。枢木スザクとして生きることは……もう……ない……。人並みの幸せも……全て……世界に捧げてもらう……、永遠に」

 

 俺の死と、そして枢木スザクの死こそが、このゼロレクイエムの総仕上げ。

 

 俺も、お前も、共に人を殺しすぎた……。

 

 俺は徹底した殺戮と破壊を行った悪逆皇帝として世界に憎まれながら死に、お前は悪逆皇帝の下で殺戮を実行した裏切りの騎士として死を迎える。

 

 お前が、お前として生きることは最早無い。枢木スザクが望んだ死すらも、ゼロ──今のお前には許されない。

 

 お前が人(スザク)として何かを望む事は、俺(魔王)が生き続ける事と同様に、これより訪れる平和な世界にとって許されざる大罪だ。

 

 故に、人としてではなく、ただ、正義の味方という装置として、己が天寿を全うするまで生き続けろ。それがお前の罰だ……。

 

「そのギアスっ……! 確かに受け取った……っ!」

 

 ああ……漸くだ……、ナナリーが望み、ユフィが望んだ世界が……俺とスザクが計画し、実行へと移したエゴ、ゼロレクイエムの果てに……。

 

「お兄様……」

 

 剣が引き抜かれ、身体の支えを失い落下した先には、俺が守りたいと思っていた者の一人が居た。

 

 ナナリー……。

 

「そんな……! お兄様は……今まで……っ!」

 

 俺の手に触れたナナリーの手……直後に聞こえたのは驚愕に彩られた声だった。

 

 ああ……そうか……。忘れていたよ……。ナナリーには、触れた者の心象風景を読み取る、不思議な力があったのを……。

 

 ふ……だが、知られた処で、最早何も意味は成さないがな……。

 

「お兄様っ……! 愛しています……っ!」

 

 涙を流し俺に縋るナナリーの声……。

 

 

 

 

 

 だが、それも束の間の事だった。

 

 

 

 

 

 

 

『ルル……よかった……』

 

 

 

 

 

 

 

 泣きじゃくるナナリーの声に混じって。

 

 

 

 

 

 

 

『最後に、話せて……』

 

 

 

 

 

 

 

 別の声が聞こえてきたんだ……。

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

『私ね……記憶が戻って凄く怖かった……』

 

 これは……。

 

『偽物の、先生……。記憶にない……友達……。みんなが……嘘を、ついてる……。世界中は、私を見張ってるような気がして……』

 

 シャーリー……? 

 

『ルルは、こんな世界で一人で闘ってたんだね……。たった一人で……』

 

 ……シャーリーとの記憶……。

 

 永遠の別れとなった──彼女との。

 

『だから私は……私だけは……、ルルの本当になってあげたいって……』

 

 あのときの──別れの時の。

 

『私……ルルが好き……お父さんを巻き込んだって、分ってても……嫌いにはなれなかった……』

 

 父を殺した俺を。

 

 それでも……好きだと言ってくれた……。

 

『ルルが全部、忘れさせてくれたのに……。それでもまた……ルルを好きになった……』

 

 人生で二度目に愛した……。本気だった……。本気だったからこそ、遠ざけた……。

 

『記憶を弄られても……また好きになった……』

 

 シャーリーと話した……。

 

 

 

 最後の記憶……。

 

 

 

 

 

 はは……は……なんて……ことだ……。

 

 失礼……極まり……ないな……。

 

 分かれを告げ……一番に思わなければならないのは……今……俺に縋り付き、泣いている……ナナリーでなければ……ならないというのに……。

 

 死に行く……瞬間の……永遠とも言える時間が……シャーリーの残した……最後の言葉とは……。

 

 ナナリーとの幸せな日々ではなく……彼女との別れの瞬間を思い出しているなんて……。

 

 俺は……俺という奴は……こんなにも……薄情な兄だったのだろうか……? 

 

 ずっと……ナナリーの幸せを願い……戦ってきた筈なのに……。

 

 

 

『何度生まれ変わっても、きっとまた……・。ルルを好きになる……』

 

 

 

 いま……俺は……自分が愛した女の子の事だけを……思い出している……。

 

 …………。

 

 ────いいや……違うな……。

 

 何を、都合の良いようにばかり……考えている……。

 

 俺は……。俺という男は……。元々……こんな奴だったじゃないか……。

 

 ナナリーの為というのを口実にして自分の考えを押し付け。

 

 結局は自分の思い通りにしたかっただけの。

 

 自分勝手で我が儘な人間だ……。

 

 

 

『これって……運命なんだよね……』

 

 

 

 運命……か。

 

 そうだな……運命かも知れない。

 

 こんな自分勝手な俺を好きになってくれる、君みたいな優しい人と巡り会えたのは……、運命と呼ぶ以外に……何と呼べばいいのだろう……。

 

 シャーリーは、死の淵にあるその瞬間も、こんな自分勝手で傲慢な俺を好きで居続けてくれた……。

 

 こんな人との巡り会いが、運命でなければ、何だというのか……? 

 

 この、優しさの無い、冷たく孤独な世界で……。君の存在は、俺の救いだった……。

 

 

 

『だから……いいよね……ルル……。……生まれ変わってもまた……ルルを……好きになっても……』

 

 

 

 ああ、もちろんだよシャーリー……。

 

 こんな俺で良ければ……また……好きになって欲しい……。

 

 きっと俺も……君を……好きになるから……。

 

 

 

『何度も…… 何度も……』

 

 

 

 何度も……何度も……、何度でも……。

 

 

 

『好きに……なる……か……ら……』

 

 

 

 好きに……なるよ……。

 

 

 

 

 

「ああ……俺は……。世界を……壊し……。世界を……。造る……」

 

 

 

 

 

 新しい世界……。

 

 

 

 もしも……。

 

 

 

 そこで……また……。

 

 

 

 巡り会えるのなら……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 君を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 君のことを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きに……なるよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 **

 

 

 

 ***

 

 

 

 ****

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 

 

 眠りに落ちる瞬間……というのは、実に……不思議な物だ。

 

 いつ思考が途絶えたのか? それを僅かたりとも感じさせずに意識を失う。

 

 昔、考えた事がある。眠っている時とは、死んでいる時と同じ状態なのではないのかと。

 

 

 

 ──いっ! 

 

 

 

 眠ったまま起きないのが“死”という状態ならば、眠っているのは死を擬似的に体験していると考えられないだろうか。

 

 

 

 ──おいっ! しっかりしろっ! 

 

 

 

 人間は──いや、恐らく人間に限った事ではないと思われるが、生物は皆本能的に死を恐れている。

 

 にも拘わらず、意識や思考を完全に喪失した擬似的な死の状態にある眠りを恐れない。

 

 眠たいから眠る。これを進んで行っているのがその証明。

 

 一つ違うのは、眠りには起きられるという保証があるのに対して、死は二度と起きられないという処であろう。

 

 死んだ者が起き上がる。生き返ることはありえない。

 

 不死の力を持つコードの保持者でも無い限りは。

 

 俺は死んだ。

 

 ゼロとなったスザクに心臓を貫かれて。

 

 ナナリーに看取られながら、シャーリーの声を聴きながら。

 

 何度生まれ変わってもシャーリーを好きになるという誓いを立てながら。

 

 確かに俺は死んだのだ。

 

 

 

 つまり……この状況はおかしい。

 

 ありえないということだ。

 

 

 

 ──死ぬんじゃないっ! 

 

 

 

 最初は遠くから、徐々にはっきりしてきたこの声は、明らかに俺を起こそうとする声だ。

 

 眠っているのではない。死んだ筈の俺を起こそうとする為の。

 

 そこからはもう一瞬だった。睡眠中の人間を起こそうと身体を揺さぶれば大抵の者がそうであるように真っ暗闇だった俺の視界に光が差込む。

 

「う……」

 

 永遠と思われた闇が晴れ、光の世界に帰還した俺の視界には、ホッとしたような表情で覗き込んでくる一人の男の姿があった。

 

「おおっ! 気が付いたかっ!」

 

 眼鏡を掛けた中年の男性だ。見た感じはブリタニア人だが。

 

「ここ……は……?」

 

「ここはって……。君……、自分でこんな所まで入って来たんだろう?」

 

「自分で……?」

 

 自分で入って来たという男性の言葉に疑問を覚えて周りを見渡してみれば、そこは死の瞬間まで居た処刑執行前のパレード会場ではなく、鬱蒼とした草木と、木々が生い茂る森の中だった。

 

 その森の中に俺とこの男。更に数人の何かの機材を担いだ男達が居た。

 

 

 

 *

 

 

 

「まったく、若いのに何を考えているんだね君は!」

 

「えっ……? い、いや、俺は……」

 

「こんな樹海の奥まで入ってきて……っ! 何があったのかは知らないが、死んでどうするっ!」

 

 なに……? 

 

 この男は一体何を言っている? 

 

「……この辺りは携帯も使えないし、衛星電話は故障中……といって、このまま放って置くわけにもいかん……。これは一度引き返すしかないな」

 

「ええっ! 何考えてんすか局次長っ!? もう少しで調査ポイントだってのにっ!」

 

「そうっすよ! こんな自殺しに来たようなガキなんか放ってさっさと仕事終わらせましょうよっ!」

 

「そう言うわけにもいかんだろう。とにかく電波が届く場所まで引き返して警察に連絡だ」

 

 自殺? 自殺だと? 

 

 俺が自殺しに此処へ来たとか言っているのか? 

 

「君、名前は?」

 

 名前? 何故……この男は俺の名前を知らない? 

 

 俺は……俺の顔は、世界の敵として全人類が知っている筈だ……? 

 

 何故、自分が生きているのかは分からなかったが、生きているならばもう一度死ぬ必要がある。

 

「我が名はルルーシュ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」

 

 そして、知らないのならば教えなければならない。

 

 知らない人間が居るのならば知らしめる必要がある。

 

 少しでも多くの憎しみをこの身に集める為にも……! 

 

「な、なんだって……? もう一度いいかい? 私は君の名前を教えて欲しいんだよ」

 

「何度でも言おう、我が名は神聖ブリタニア帝国第99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」

 

 耳が遠いのか聞き取れていなかった様子で再度俺の名を問うた男に、もう一度告げる。

 

 世界の敵であり、血塗られし悪逆皇帝である自身の名を。

 

 だが、もう一度名乗ったときだった。

 

「このガキィ──っっ!!」

 

 それまで特に関心を抱いて居なさそうだった男の部下らしき何かの機材を背負った男が殴りかかってきたのは。

 

「ぐッ……!」

 

 男の拳を諸に受けた俺は、後方に吹っ飛ばされて地面の上に投げ出された。

 

 流石はあれだけの機材を担いで歩くだけの事はあるな。

 

 だがこれでいい。こうして俺の正体を知った者がまた一人、憎しみを抱いてくれたのだから。

 

 その憎しみを背負って逝くのが俺の仕事だ。

 

 そう、思ったとき──

 

「よりによってルルーシュ殿下の御名を騙ろうとは何て恐れ多い事抜かすガキだッ! 局次長ッ! やっぱりこんなガキは放っておきましょうよッ!」

 

「まあ待てッ」

 

「けどルルーシュ殿下のッ、皇族の名を騙るなんて立派な不敬罪っすよ! それも98代帝シャルル陛下の御代で99代帝という僭称までッッ、幾らここが日本だからってッ!!」

 

 男達が始めた話に違和感を覚えた。

 

 呼び捨てでも陛下でもなく……殿下? 

 

 それに……シャルルの御代……?

 

「君もだ。幾ら自暴自棄になっているからといっても口にして良い事と悪い事がある。日本でならまだしも、そんなことをブリタニアで口にすれば皇族侮辱罪で捕まるぞ。大体そんなラフな服装の皇帝陛下が居るものか」

 

「局次長、日本でも特高に捕まるっす」

 

 今は98代シャルルの時代で、俺が殿下と呼ばれている。

 

 それにラフな服装? 

 

「なッ!」

 

 男の指摘を受けて自分の服装を見てみれば、死ぬ間際まで着ていた筈のブリタニア皇帝としての服装ではなかった。

 

 茶色のジャケットにグレーのパンツ……どこからどう見ても私服だ。

 

 何なのだいったい……。何がどうなっている……。

 

 死んだ自分が生きていて、気が付けば森の中。服は私服に替わっていて……そして今は98代帝シャルルの時代。

 

 男の真剣な顔。部下の男達の激情具合から判断しても、どうやら本気のように見える。

 

「もう一度聞く。次に同じ事を口にすれば流石の私も看過できん、場合によっては通報する事になるし、そうなれば君の御家族にまで危害が及ぶぞ」

 

 このまま自身の主張を押し通しても良かったが、もし本当に悪逆皇帝ルルーシュ──俺が居ないというのなら、自身の主張を続けたところで意味など無い。

 

 それに、色々と気に掛かることが多すぎた。

 

 いったい此処は何処だと言うんだ? 悪逆皇帝を知らない者が居る土地。そんな場所は、この地球上の何処にも有りはしないというのに……。

 

 …………此処は、話を合わせておくのが得策か……。そして名乗るなら、嘗て名乗っていた姓しかないだろう。

 

「す、すみません……ルルーシュ、ルルーシュ・ランペルージ……それが俺の本名です……」

 

 妙に歯痒い感じがしたが、このままでは恐らく何も進まない。

 

「そうか。ルルーシュというのは本当だったのか……嘘じゃないね?」

 

「はい」

 

「ルルーシュって……よくもまあ殿下と同じ名前を付けた物だなコイツの親も……」

 

「よさないか」

 

「へ~い」

 

 何より、シャルルが……、俺が殺したはずの父上が生きているらしいのが気になる。

 

 死んだ筈のあの男が何かをしたのか? もしもそうだとすれば、何をどうやってこんな……。

 

 そうやって思考の海に沈み掛けた時だった──。

 

「で、結局引き返すんですかフェネット局次長」

 

「ああ、そうなる。警察や、何よりも彼の御家族に連絡を取らなくてはならないからな」

 

 あの忘れられない、彼女の名前を耳にしたのは……。

 

「フェネット……?」

 

「ん? ああそうだよ。私はジョセフ・フェネットという。日本の地質調査研究チームと合同で富士裾野、此処、青木ヶ原の地質調査をしているんだ。まあ、その現場に向かう途中で君が倒れているのを発見したという訳だよ」

 

 ジョセフ・フェネット……ナリタ連山の作戦で、俺が殺してしまった……シャーリーの父親……。

 

 いったい、何の罰だこれは……。死んだ筈の俺が目を覚ませば、シャルルの御代だという連中に出逢い、その一人は俺が殺したシャーリーの父親。

 

 それに……。

 

「日本……?」

 

 さっきからずっと日本という国名を口にしている。彼らブリタニア人が日本という国名を使用する事は無いというのに。

 

 まさか、日本がブリタニアの侵略を受けて、エリア11となる前の時代にタイムスリップしたとでもいうのか? 

 

「しかし、よく見れば似てるな……」

 

「あ! それ、俺も思ったっす!」

 

「ひょっとして似てるから騙ったのか?」

 

 ジョセフだけではなく、地質調査チームとやらの全員が俺の顔を凝視してきた。

 

「な、何に似てるんですか?」

 

「何って、君が騙ったルルーシュ殿下にだよ。歳も背格好も同じくらいだし今まで間違われた事もあったんじゃないのかい」

 

 な……なんだと…… 歳も背格好も同じで俺が殿下と呼ばれている? 

 

 馬鹿な…… その頃はもう俺は死んだ事にされていたし皇籍も失っていた……! 

 

 今までの話が本当なら2010年以前にタイムスリップしたとなる筈だが、これでは年代がッ、そもそも辻褄が合わないぞッ!? 

 

 いや、それ以前にタイムスリップ自体がありえない……! 

 

「え、ええまあ、ところでフェネットさん……いま、何年何月か分かりますか?」

 

 混乱してきたが何とか平静であるように取り繕った俺は、確かめておかなければならない事を聞いた。

 

 そう、年代だ。年代を聞けばはっきりする。そう思って聞いたのだが──。

 

「変な事を聞くね……皇歴2019年8月に決まってるじゃないか。終戦記念日がある月を忘れるとは近頃の若者は……。ま、80年近くも昔の話だから分からんでもないが、ブ日両国にとって重要な日がある月を何と考えているのやら……」

 

 まるで年代が合わない……。それに80年前の終戦記念日? 

 

「き、9年前の、ブリタニアが日本を侵攻した時の極東事変終結ではなく?」

 

「極東事変? ブリタニアが日本侵攻? ……ぷッ、わはははッ、面白いが笑えない冗談だよ。いったい何をどうすればブリタニアと日本が戦争になるんだね? 仮にそんな事になったら両国共に破滅だよ」

 

「き、局次長、やっぱりこのガキちょっと頭がおかしいんじゃないっすか?」

 

「やめろ、とにかく引き上げよう。話があるならそれからだ」

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 そこから先は俄には信じがたい話ばかりだった。

 

 確かに戦争はあったがそれは80年も昔の事であり、現在のブリタニアと日本は同盟国という間柄。

 

 それも、共に歩むパートナーとしてあらゆる分野において共同研究と相互協力の条約を結び、最早一国二制度の連合国家と言っても過言ではない程の深い結びつきとなっていた。

 

 更には戦前から日本に渡っていたブリタニア人の移民も多く、現在ブリタニア系日本人は人口の一割超えにまで達している。

 

 反対に日本からブリタニアへと移り住んだ日系ブリタニア人も多く、ハワイや西海岸、特に日本と深い繋がりを持つクルシェフスキー侯爵領には相当数の邦人や帰化人がいる。

 

 いざ、他国との戦争となった際にはブ日相互安全保障条約──一方的な同盟ではなく互いが互いを守り合う対等な同盟に基づき即時参戦する体制が整えられている。

 

 双方の文化交流も相手の文化が根付くほどとなっている。

 

 皇族・貴族・名家の人間は、相手国に嫁いだりする事も多く、広義の意味でブリタニアと日本は血の通い合う親族関係となっている。

 

 ブリタニアと日本が一体化し始めている!? 

 

 想像を絶する友好関係が築かれていた。

 

 理想……そう理想だ。悪く言えば夢想そのものが現実となっていた。

 

 力こそが正義、弱肉強食を是とし、人は平等ではないと言い切る処までは俺の知るブリタニアと同じであったが、他者を踏みにじるのではなく、一国平和主義の果てに高福祉弱者救済の政策を行っている。

 

 平等ではないからこそ、こぼれ落ちてしまう者には救いの手を。貴族と平民は支配する者とされる者などという単純な関係ではなく、互いに手を取り合い支え合う関係に。

 

 

 

 その源流には、新大陸遷都後の初代皇帝リカルド・ヴァン・ブリタニアの遺訓があった。

 

 

 

『お前を信じろッ! 俺を信じられるお前を信じろッ!! 信頼する多くの仲間に裏切られようともッ! 父が母が兄弟姉妹がッ、血を分けし親類縁者全てがお前を欺こうともッッ! 世界中の全てに裏切られようともッ! 人を信じるその心を忘れるなッ! 人を信じられる自分という人間を信じ続けろッ! 人に信じられる自分という人間を信じ続けろッ! 人を信じられないというまやかしの自分を見るなッ! 人を信じられるという真実の自分を見続けろッ!! お前にただ一人でも信じられる存在が居るのならッ! お前のことをただ一人でも信じてくれる存在が居るのならばッ!! お前はお前を信じ続けろッッ!!』

 

 

 

 新大陸開祖リカルドが遺したとされる言葉は、裏切りと策謀渦巻くブリタニアの何かを変えたのか? 

 

 そもそも、そんな遺訓が本当に遺されていたのかは今となっては分からない。

 

 だが、基本的には他者を信じられない、疑心暗鬼の塊であった皇室出身者の幾人かには影響を与えていたのか。叔父V.V.と、シャルル──父の頑ななまでに人を信じることが出来ないでいたその心を変えた。

 

 いや……その時、人が信じられなくなりそうだった彼らの側には、彼らを信じる、そして彼らが信じられる誰かが居たのかも知れない。

 

 日本と同盟を結んだのも同じなのではないだろうか。

 

 日本という国を唯一無二のパートナーとしたのは、日本が、日本人が信じられるから。

 

 日本以外の国と歩まないのは、信じてくれる者が……そして信じられる者が居ないからではないのか? 

 

 この世界、最早自身が歩んだ世界とは別の過去と捉えた俺は、この新世界のブリタニアの歴史を学んだ。

 

 ブリタニアは嘗て三度、自国本意の戦争を起こしている。

 

 一度目はジョージ・ワシントンの反乱後に起こった北南戦争。

 

 二度目は北ブリタニア大陸統一の為の第一次拡張戦争。

 

 三度目は中央ブリタニア・カリブ海・南ブリタニア・主に北太平洋諸地域・そして南ブリタニアへと食指を伸ばした第二次拡張戦争。

 

 この内、第二次拡張戦争は南ブリタニア北部を併合した辺りで突如方針を変え進軍停止。

 

 その後は一国平和主義政策に転換し、併合した諸地域の開発と地域住民へのブリタニア人としての市民権を与え、徹底した手厚い国民第一主義政策に舵を切った。

 

 大規模な侵略戦争を繰り返していたブリタニアだったが、新たな領土住民には一切弾圧を加えていない。

 

 貴族だけが世界一といっても過言ではない豊穣なブリタニアの地の恩恵を受けるのではなく、新領土を含む全ブリタニアの平民にまでその豊かさを分け与えていた。

 

 貴族は平民を支え、平民は貴族を支える。その信頼関係の成就は永い時を掛けて国民全ての手で築き上げてきた物なのだろう。

 

 その為に宥和・帰化政策が殊の外上手く進んでいたようだ。

 

 当時世界は帝国主義全盛時代。世界中何処の列強も、程度の差こそあれ侵略戦争を行っていた。

 

 特にE.U.は酷く、植民地にしたアフリカでは酷い弾圧を繰り返している。自分のやってきたことを棚に上げて蔑むのはどうかとも思ったが、それを差し引いても無抵抗な弱者にやるべきことではないだろう。

 

 ブリタニアという巨大な侵略国家に隠れていて見えにくかったが、彼らはとても民主主義国家とは言えないな。

 

 一方で日本も積極的な北進政策・南進政策を行っていた。

 

 但し、編入した地域にはまだ近代国家と呼べる構造を持つ勢力は無く、編入後に日本本土と大差ない扱いをしていたお陰で住民の反発も少なかったようだ。

 

 1500年前後から緩やかに始めていた北進・南進政策では、長い年月を掛けて北は樺太・千島・カムチャツカ・チェコト・アリューシャンを。

 

 南は台湾・マリアナ諸島・パラオ・マーシャル諸島・ミクロネシアと周辺地域をそれぞれ日本に編入。

 

 後に日本に遅れながらも太平洋進出を目指した中華連邦との間には1889年に戦争が勃発し、終戦後に予てより係争中だった海南島を戦勝国となった日本が併合。

 

 1902年には南下・東進政策を採ったユーロピア共和国連合との日欧戦争が勃発、これを軍事力で撃破、正式に日欧国境線を確定させている。

 

 この間、欧州から始まった産業革命とは別の形で日本独自の産業革命を成し遂げている辺り、日本もまたブリタニア同様俺の知る日本とは別の存在となっていた。

 

 そして、何故これほど短期間の内に高い技術力を身に付け、先を知るかの如き絶妙なタイミングで国家の舵を切ってこれたのかが不思議でならない。

 

 他の列強に先駆けて産業革命を成し遂げ、近代国家のステージへと達し、予知と言っても過言ではない程の最良の選択を常時のように行ってきたこの世界の日本国──大日本帝国が、『技術の日本』と呼ばれているのは、

 

 ほぼ全ての面で世界より早く次の段階へと進み、新技術の開発を行っているからだろう。まるで……そう、まるで魔法の国だ。

 

 未来予知の魔法を使い先を知る事で常に世界より優位であり続ける。そんな魔法使い達がこの国を牽引してきたとでもいうのか? 

 

 そんな日本とブリタニアが激突したのが1940年8月8日。

 

 世界初のジェット戦闘機菊花に、初歩的とはいえ明らかにミサイルと思わしき技術を取り入れたロケット。

 

 8万t級の戦艦大和級や、同じく8万tクラスの航空母艦。

 

 どれもが当時のブリタニアには無い物で、どう贔屓目に見ても日本の科学技術力の異常性を表していた。

 

 翌年、1941年8月15日に終戦を向かえたこの太平洋戦争、日本で最初に【一年戦争】と呼称された新聞が出回った事から、後々列強の間でも一年戦争という呼称が広まった。

 

 戦争結果はほぼ痛み分け。技術に勝る日本ではあったが圧倒的物量のブリタニアを攻めきれず、物量に物を言わせるブリタニアも日本の高度な技術力で生み出された新兵器の数々に足踏み状態となり、

 

 結果として互いの本土に手を掛ける事無く、終戦を迎えた最初で最後の日ブ戦争。

 

 それまで常に勝ち続けてきたブリタニアが唯一勝てなかった戦争。

 

「その始まりは日本の飛鳥と、ブリタニアの星の女王号。二隻の客船が絡んだ事件……か」

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 

「ルルー、リハビリはどう?」

 

 ブリタニアはもちろん、日本の事も詳しく書かれた【ブリタニアの歴史】なる題名の本を読みふけっていた時に聞こえた自分を呼ぶ声。

 

 ふと視線を上げると、そこに居たのは見知った顔。

 

「ん? ああ、順調だよ」

 

「早く記憶が戻るといいね」

 

 美人と言うより愛嬌のある可愛いとでも表現すべき顔立ちをしていて、腰まで届く艶やかな栗色の髪に薄い緑色の瞳を持つぱっちりした目の同年代の少女。

 

「……そうだな」

 

 明るい性格の少女が口にした戻ればいいという記憶など端から存在しない。俺の記憶は元より全て揃っているのだから。

 

 ──偽りの記憶喪失。

 

 あの日、目を覚ました青木ヶ原の樹海で出逢ったジョセフ・フェネットに名前以外自分が誰なのか思い出せないと伝えた俺は、記憶が戻るまで彼の家で面倒を見ると連れてこられた。

 

 記憶喪失ではないのにそうした理由は、歩く道々でルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの存在を何度も聞かされたからに他ならない。

 

 元の世界に俺という存在が居たように、この世界にも当然ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは居る。

 

 だから居ない筈の二人目である俺はルルーシュ・ランペルージとなる必要があったのだが、家は家族はと聞かれても答えられないのだ。

 

 向こうで死を迎え、何の因果か平行宇宙とやらに放り出されてしまった俺には、もう、家族と呼べる存在は誰一人として居ないのだから。

 

 故に必要だったのは、身元不明の記憶喪失者ルルーシュ・ランペルージの存在だった。

 

 幸いにして、戸籍を調べたところで本来存在しない筈の俺という人間には行き当たらず、連絡を取るべき親類にも辿り着く事は無い幽霊のような物だから、直ぐに自分という偽りの存在を作り上げることが出来た。

 

 素性調査が一通り終わった処でジョセフ・フェネットに引き取られた俺は、こうして自分を偽りながら平穏な日々を送っていた。

 

 そう、平穏……ユフィが望み、ナナリーが願った、優しい世界に限りなく近い平穏な世界に……俺は居る。

 

 死の先で、世界の迷い子となってまで未だ生き続けるこの身が憎らしくはあったが、彼女達が望み、そして俺自身が希求したのと限りなく近いこの世界の優しい空気を吸い続けていたいという欲求もあった。

 

 だからいま、俺は此処に居るんだ。

 

 尤も、この世界の国際情勢を知るにつれ、真に平和なのはブリタニアと日本の影響圏のみであると分ってきたが……。

 

 それに強大な軍事力を背景に平和を保ってはいても、近隣には“あの”宦官どもが建国した清という国に、何かと問題を起こす高麗という半島国家。

 

 そして太平洋戦争中にタイミングを合わせたかのように南太平洋中立国家群である大洋州連合(バヌアツ・フィジー・サモア・トンガ・ツバル・クック諸島・南ポリネシア・ソロモン諸島)に侵攻、小さな軍事力しか保有していない大洋州連合加盟国を短期間の内に制圧・解体、南太平洋の覇者となった事実上の鎖国体制を敷いている閉鎖的な列強国、合衆国オセアニアという不気味な影もあった。

 

 この内、オセアニアは太平洋戦争中に東南アジア全土への侵攻作戦と、南ブリタニア進出をも考えていたと見られる節がある。

 

 事実、オセアニアはニューギニア島にまで兵を進め同島南部を制圧していた。しかし、北太平洋で激戦を繰り広げていた日ブが想定よりも早い段階で停戦した為に予定が大幅に狂ったのだろう。

 

 戦争によって疲弊したとはいえ、自国よりも一段先にある技術大国日本の最新兵器の数々を目の当たりにし、また、そんな日本を物量で圧倒しようとしたブリタニアを見て、これ以上の東南アジア進出や東進は分の悪い賭だと判断したという処か。

 

 下手をすれば総力戦体制下にあった両国の矛先が一斉に自分へと向けられる可能性すら考えられたのだからな。

 

 当時、旧大洋州連合は栄光ある孤立を掲げて永世中立を謳っていた為に、この南太平洋での軍事行動を自国への直接的な敵対行動とは捉えなかった日ブ両国だったが、オセアニアが見せた自分たちの戦争を見越した上での用意周到さに警戒を強めた。

 

 オセアニアも太平洋戦争が起こらなければ、日ブ両国を刺激し、場合によっては両国と戦争になりかねない大洋州侵攻などという暴挙には出なかっただろう。

 

 若しくは、大洋州連合を構成していた国家群が日本かブリタニアのどちらかの庇護下にあったならばな。(太平洋戦争の少し前に大洋州連合を脱退し日本に庇護を求めたナウルは戦火を免れている)

 

 だが、戦争は起こり、結果として大洋州はオセアニアに制圧されてしまった。更にニューギニア侵攻から見られる東南アジアへの野心と、東へ東へと南ポリネシアまで軍を進めた経緯からも南ブリタニアを窺っていたのは明らかだ。

 

 これらの事から、勝者の居ない太平洋戦争で敢えて勝者の名を挙げるとすれば、それは間違いなくオセアニア。

 

 そして、オセアニアは、その後もインドネシア・ティモール・アラウカニア=パタゴニアと紛争を起こしている。

 

 近年で一番大きかったのは1995年3月、南ニューギニアに建国されたオセアニアの傀儡国家──ニューギニア民主共和国と、北ニューギニア──パプアニューギニアの間で起こったニューギニア戦争への介入。

 

 だがこれはソロモンに駐留していた空母メタトロンを基幹とする機動部隊に、本国から派遣した一個空母群を加えた計二個軍まで動かしての本格介入を始めた事で流れが変わる。

 

 ブーゲンヴィル島とニュー・ブリテン島をオセアニアに占領され、マダンやウェワクといった都市部を空爆された事で、最早抗しきれないと判断したパプアニューギニア政府が事此処に至り日本へと助けを求めたのだ。

 

 ただ、日本はその資源豊かな国土と高い技術力のせいか、昔から一国主義の気質が強く、他国の戦争には一貫して介入せずの立場を採っている。

 

 戦争をして何かの利権を得たりしなくとも、自国内で賄えるのだから必要ないと。更に、東南アジアは基本的に中立であり、独自の外交姿勢で国際社会と付き合っていた地域。

 

 同盟国でもない普通の関係の国の戦争に介入するのは反対だとする世論が強く、列強間の大方の予想では日本は動かないと考えられていた。

 

 しかし、その予想を裏切って日本は動いた。万が一に備えてトラック諸島に終結させていた鳳凰級空母4隻を基幹とする艦隊を動かし、オセアニアの占領下にあったブーゲンヴィル島とニュー・ブリテン島を急襲。

 

 ビスマーク海戦ではオセアニア艦隊の主力空母メタトロンとザフィケルを大破させ、護衛の巡洋艦や駆逐艦の6割を撃沈して撤退に追い込んでいる。

 

 対して日本側はイージス巡洋艦六甲と生駒が大破、駆逐艦1隻が撃沈された以外は、小破・中破に留まり、鳳凰級空母4隻全艦無傷という、完勝に近い勝利。

 

 これは、艦艇や航空機の性能は勿論、采配を採った司令官、山本五十六海軍大将の士気能力の高さを物語っていた。

 

 その後、オセアニア海軍の敗退を目にし、日本がパプアニューギニアの側に立ったと知った南ニューギニア軍の士気が大幅に低下、各地で戦線が崩壊し国境線まで押し返されている。

 

 ただ、オセアニアに睨みを利かせながらニューブリテン島に駐留していた日本艦隊もそれ以上の攻勢には出なかった。

 

 これ以上の積極的攻勢はオセアニアとの全面戦争に発展する。鎖国体制下にあり得られる情報は少なかったが高い国力を持つオセアニアとの全面戦争となれば犠牲が増える。

 

 世論が自国と近い国力を持ったオセアニアとの限定的戦争が、全面戦争にまで発展するのを恐れたのだ。当時の国民の間にはまだ残っていたのだろう、ブリタニアとの全面戦争で流された夥しい血の記憶が。

 

 これが同盟国か、シーランドのように庇護下に置いている国であれば、裏切りを良しとせず信頼を裏切らない国民は全面戦争になってでも守るべきと考えたであろうが、当時のパプアニューギニアは強そうな人に助けてくれと頼みにきただけの他人。

 

 血が流れるのを良しとはしなかったのだ。

 

 無論、オセアニアとの全面戦争ともなれば、1995年当時、既に同盟関係となっていたブリタニアも同盟に基づき即時参戦となるであろうが、それは幾ら何でも筋違いと考えたのだろう。

 

 その結果として一時は国土の4割を占領され、マダン・ウェワクまで瓦礫に変えられたニューギニア戦争は、日本とオセアニアが互いに引いた事もあり、元の国境線より少し南まで下がった1995年7月に停戦。

 

 戦後は南ニューギニアは当然として、二国間の戦争に介入してきたオセアニアにも賠償金を支払わせるべきだという話になったが、当初の予想通り両国共に「負けたわけではない引き分けの戦争で何故賠償金を支払う必要がある」と完全無視を決め込んでいた。

 

 国土を侵され、都市部への空爆で罪もない民間人が犠牲になったパプアニューギニア政府は腸が煮えくりかえっていたが、日本の介入がなければ大洋州連合と同じ運命を辿り亡国となっていたという現実の前に、ただ堪え忍ぶことしか出来なかった。

 

 一見、日本にとっては何の利益も得られない戦争に見えたが、結果としてパプアニューギニアという衛星国を手に入れ、オセアニアへの壁を強化する事に成功した処から全ては計算されていたと見るべき……。

 

「それにしても、鎖国体制の侵略国家か……。色々矛盾だらけだ」

 

 勉強することが多いな、前の世界とは余りにも世の中が違いすぎていて自分の常識が通用しそうもない。

 

 そして以前抱いていたブリタニアのイメージについてだけは完全に捨て去らなければ……。この世界のブリタニアは全く別の国だ。

 

 一国平和主義、日本と併せて二国間平和主義国家にして、絶大な力を持った環太平洋勢力圏の守護者……。

 

 大日本帝国。

 

 神聖ブリタニア帝国。

 

 世界のパワーバランスの頂点に君臨する二大超大国か……。

 

「本当に変な感じだな……」

 

 変だと思いながらも、悪い気はしない。

 

「え? 何か言った?」

 

「いいや、何でもないよ」

 

 少なくとも、こちらを覗き込んでいるこの少女と……。

 

「──でね、ルルもアッシュフォードに編入しないかって」

 

「身元不明者なんだぞ俺は……学費の宛がないよ」

 

「大丈夫。それはパパが──」

 

 

 

 君と……平和な世界で生きていけるのだからな……。

 

 

 

「ルルーシュ殿下とそっくりで──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “シャーリー”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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