帝都の休日 短編連作群保管庫   作:休日

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砂の王国の終焉
砂の王国の終焉


 

 

 

 

 砂の王国の終焉

 

 

 

 

 イラク社会主義共和国、ユスフ・サルマン・ユスフ書記長。イラクの最高指導者である彼の心は、その心境はいま絶頂の最中にあった。

 

『ヨルダン・シリア・サウジアラビア北部。全てくれてやる。ただしパレスチナ一帯は我々が貰う。いいな?』

 

 イラクもオブザーバー加盟している南天条約機構。その指導層の一人である、ジェネラル・将軍閣下が自ら発言したのだ。

 

『ただしそれらを欲しければ動け。動かざるば何も手に入らぬと知れ』

 

 これはそのままの意味。イラク赤軍を動かせという事だ。南天軍はいま、イエメン民主共和国に恐るべき兵力を終結させている。

 

 それはイラク軍にもある無人機よりの偵察で判明している。総兵力30,000,000、KMF5000騎、戦車装甲車68,000両、戦闘機・攻撃機4,300機、ペルシャ湾を封鎖する空母戦闘群8個群、その中には七天と見られる艦隊が2個群混ざっており、戦艦も80,000級と見られる物が4隻混ざっていた。

 

 正直恐るべきこの物量と戦力、人の海に、我が国の戦力は必要なのかとも考えた物だが、サウジを筆頭としたその他の中東諸国を逃がさないという意味では、必要とされているのかもしれない。何せ南天はイラクを除く中東全土を白化させるつもりなのだ。

 

 我が国にも役目はあろう。そう決意したユスフ書記長は、自国もまた南天条約機構構成国の1国である事を自覚し、事に当たるためと、今の自国に可能な戦力。

 

 第2~第2.5世代ユスフ戦車ユスフ、2戦車計4000両、航空機560機、バミデス230騎とイラク赤軍1,000,000を自国の南。現在のサウジとの国境に展開した。

 

 北方や西方は放置して置いても問題ない。シリアにもヨルダンにも、我がイラクにすら反抗出来ずなのだ。ましてや南天条約機構が本格的に動き出したこの時。

 

 その南天の一員である我が国に手出しなど出来まい。南天は所属国の1国が攻撃を受けた時、これを構成国全体への攻撃と受け取る。シリアやヨルダン如き小国、南天に踏み潰されて終わりだ。まさにいま攻撃もしてない中東諸国が南天の野心によって白化されんとしているのだ。何もできるはずがない。小国など我ら南天に膝まづいておれば良いのだ。

 

 これまでの自国の広がりを思い描く。ヨルダンに侵攻しヨルダン西部を得た。サウジに侵攻しサウジの最北をわがものとしてきた。

 

 それが一気に、ヨルダン全土、サウジの半分、シリアの全土が我がイラクの下に降る事となるのだ。

 

 ユスフ書記長はそうほくそ笑むと、次代の中東の覇者たる自身の姿を思い浮かべながら床に就いた。

 

 南天よりオファニムのステージをいただけることも、この作戦には掛かっているのだ。

 

 

 

「く、くそうっ、南天の犬どもに……っ、南天……条約機構どもめっっ」

 

 瞳を充血させて怒るのは。もはや怒る事が無意味である知ら締められている男。

 

 トゥルキー・ラシード。サウジアラビア国王である。

 

 北にイラク、南に強大なる南天軍に挟まれ、自国が風前の灯火であることを認めざるを得なかった。

 

 彼は後悔していた。これまでの事を。

 

 これまでに幾度かあったのだ。大日本帝国より『我が国の保護国とならないか』という誘いが。

 

 その全てを突っぱねてきたのがこの男ラシードであった。ラシードには保護国化・衛星国化がどうしても許せなかった。

 

 300年の歴史を持つサウジアラビア。その偉大なるアラビアの盟主が極東の島国の下に付く。そのような事が許せるはずがないと。

 

 だが、歴史を追ってみるうちに分かってきたことがある、その極東の島国の歴史は皇歴元年より以前なのだという。

 

 信じられなかった。2,000年以上の歴史を持つ国が実在しているなど。

 

 そして神聖ブリタニア帝国。世界最大の超大国とかの国は、かつて大戦争を引き起こし、引き分けた歴史を持つ超大国同士だったのだ。

 

 若きラシードは学が無い。故に政治情勢にも疎く、ただの島国が世界第二位の『技術の日本』と呼ばれる超大国だとは夢にも思わなかった。

 

 通りで対応に当たっていた執務官たちの態度が畏まった物ばかりだったわけだ。

 

 その超大国に、ラシードは知らず唾を吐きかけた。かの超大国はとかく性格が優しく大人しいという。事実として戦争などの事態には発展しなかったし、外交非礼についても何も言わなかった。

 

 だが、それだけである。後々の国際会議で出逢っても笑顔の挨拶を交わすが、挨拶で終わり。上辺の話はするが深くは話さない。

 

 見限った相手に対してとことんなまでに冷たい国なのだと、その時知った。

 

 かの国の保護国、なっていればイラクからの侵略(中東戦争)は起きなかったろう。保護国化されたクウェートが平和を謳歌している様に、自国も悠々自適な生活が送れていたはずだ。

 

 実際にイラクはクウェートには一切の手を付けていない。日ブの保護国状態の南ブリタニア諸国は日本・ブリタニア自身の手で、オセアニアより守られたという。

 

 保護国ではなかったが、保護国化にサインした北ニューギニアは南ニューギニアとオセアニアの侵略より、物理的に守られている。

 

 日本軍の大艦隊が出撃し、日本の名提督、山本五十六が、オセアニア艦隊を一方的に撃破した逸話は現在でも残っているのだから。

 

 その山本五十六がブリタニアは名門貴族たる、ヴェルガモン伯爵家に婿入りが決定している事もまた有名。

 

 他にも嶋田元宰相とナイトオブトゥエルブ、モニカ・クルシェフスキー卿。南雲忠一駐ブリタニア武官とナイトオブフォー、ドロテア・エルンスト卿。

 

 噂では市井の青年とマリーベル・メル・ブリタニア皇女の恋の話まであるという。

 

 家族と称される日本人とブリタニア人は、真の家族として付き合いをして結びついているのだ。

 

「すべては……、すべては余の失策か……」

 

 うなだれていた時。

 

「ご、ご報告です!」

 

「なんだ……良き報ではなかろう」

 

 表情を暗くするラシードに、最後通牒が突き付けられたのはこの瞬間だった。

 

「な、南天条約機構軍がオマーン国境・我が国の国境を同時突破北上を開始! イラク軍が停戦ラインを突破して南下を始めましたっ! イラク軍は1,000,000。南天軍は……その」

 

「申してみよ」

 

「は、はっ、南天軍は第一陣で15,000,000。我が国の人口の、約半数……とても止められません」

 

 イラク軍と合わせて16,000,000……。もはや人の海、陸上の津波。防波堤のない我が国は。

 

「ふ、ふ、ふ、ふははははっ」

 

「へ、陛下っ?」

 

「終わったよ、終わった。オマーン、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、ヨルダン、シリア、パレスチナ、そして我がサウジアラビア王国……、すべてが南天の星の下に落ちた……」

 

「さ、最大限の抵抗はして見せますっっ、奴らの言う白化や浄化など、私は絶対に受け入れませんっっ! それならば戦場で一人でも多くの兵を道ずれに散華して見せましょうっ! それでは陛下失礼!!」

 

 静かになった宮殿。騒がしかったのは先ほどまで。皆、身をひそめるか逃げだすか、一矢報いるために行ったのだろう。

 

「抵抗は、無意味だよ……31,000,000の兵に、誰が勝てる物か……どうあがいても不可能だ、それが可能なのはこの世で二国、神聖ブリタニア帝国と……そして……大日本帝国だけだ……余は、疲れた」

 

 ラシードはうなだれながら、玉座に身を沈めるのだった。

 

 

 

 

 

 

『死ねェ南天軍ッッ!!』

 

 巨大なバミデス。サウジの軍が砲撃を繰り返すも機動力に勝る南天のKMFレイスには当たらず。

 

 逆にレイスのスラッシュハーケンにコックピットや薄い装甲を次々と貫かれて撃破されていく。

 

 同様の光景はあちらこちらで観られ、南天の戦車エイブラハムには砲弾や銃砲の玉それ自体がはじき返される。

 

 南天に対し被害を与えているのは、僅かな歩兵にのみ。その歩兵も戦車や装甲車に身を隠しながら対戦車砲を雨あられの様に撃ってくるのだから、少ないサウジ軍は急速にその数を減らしていた。

 

『お、己ェェ、天使の名をかたる死兵の機械マシーン共めェェェ』

 

 ドウンッ

 

 また一騎、バミデスが堕ちた。いや一騎にあらず。100騎単位でバミデスは爆発擱座していく。当然だ全方位展開している南天軍は10,000,000を余裕で超えているのに対して、中東連合軍は500,000にも満たない。

 

 それも正確にはイラク赤軍への対応に北側へと回っている部隊もあり、こちらは総兵力30,000,000の兵と撃退しているのだ。どうやったって勝てる道理は無い。

 

「浄化」

 

『ぐわあッ』

 

「浄化」

 

『がはあッ』

 

 数十騎単位で爆発四散していくバミデスを見遣りながら、冷たい表情のまま、浄化浄化浄化をと繰り返す南天兵。

 

「全天に美しき世界の為にッ」

 

『全天に美しき世界の実現の為にッ』

 

 

“浄化をッ!!”

 

 

 この表情の無い死兵の群れに。圧倒的な人の津波に。戦線は各所で崩壊していく。逃げる物は浄化され、降伏する物には教化するか浄化されるかをその場で選ばされる。

 

 中東連合軍は勝ち目は無い。何をどうやってもこの60体1と兵器の質の違い、兵士の士気の高さと練度の違いの前に、勝利など望めない。それも彼の条約機構群。本当にその一部しか軍を動かしていない。

 

 見える範囲で見えるのは黒山の人だかりで、砂漠の砂が人と兵器で埋め尽くされていた。どこまでも続く戦車・装甲車・KMF。

 

 そして。キーンッッ。耳をつんざく空気音を響かせながら空を駆け巡る猛禽の群れが、一方的に中東連合軍の雀を食い尽くしていた。

 

「あっ、あっ。あっ。も、もう駄目だっ、こんな怪物共にどうやったって勝てるわけが無いっっ!!」

 

 天使? いや、怪物だ。南天は巨大な蠢く怪物なのだ。こんな物をどうやって倒せというのか。

 

 戦線は各所で完全に壊乱。

 

 

 浮遊航空艦隊旗艦アズラエルの中から眼下に広がる無駄・無意味・無価値な戦闘を見下ろしていたジェネラルは、全部隊に告げた。

 

「一人も逃すな。浄化か教化の二択だけ。それ以外は認めんと」

 

 

 ※

 

 

 全てが片付いた地上を見下ろしながら、ジェネラルは呟いた。

 

「この地へと招集を掛けて置いてなんだが、壮観たる光景だな」

 

 広がる光景は人と機械の群れ。どこまでも、地平までもを埋め尽くす。南天条約機構軍のその一部たる30,000,000万の正規兵と、兵器、兵器、兵器の群れである。

 

 第4世代KMFレイス、第5世代KMFレブナント計5,000騎、第4世代戦車エイブラハム23,000両、MI装甲車45,000両、浮遊航空艦32隻、輸送トラックやその他の車両18,000両、第5.5世代戦闘攻撃機4,300機、VTOL2,200機.火砲4,300門。ペルシャ湾には空母戦闘群を8個群も集中させているのだ。

 

「軍隊の海だな。たかが中東攻略にこの戦力は不必要。第7世代量産型のガルーダやウィスプを持ち出す必要さえ無い」

 

 実際に不必要だった。中東連合軍は数時間しか持たなかった。数十万の兵でも30,000,000の兵の前には無力だったのだ。そも兵器の質が違いすぎた。KMF擬きのバミデスなどでどうにかなる相手ではなかったのだ。第三世代の戦闘機で第五、第五.五世代の戦闘機になど勝てる訳が無かったのだ。

 

「ならば盟主が狙っているのは」

 

 ジルクスタン・中華連邦攻略。

 

「これの後続部隊の追加派遣の情報も既に入ってきている……」

 

「閣下、シベリアの方は?」

 

「ふん、ガイスト以上にN兵器までくれてやっているんだ。中華にも清に手出しできぬようにと多めにくれてやったんだ。勝ちの決まっている木偶どもの勝負に興味はない」

 

「ですな。しかし、それをおっしゃるのならばこちらも勝ちは決まっているのでは?」

 

「確かに……、だが、盟主は北側と本気でやるつもりなのか?」

 

「さあどうでしょうな。我らが神のお考えは所詮人の身では分かりかねます」

 

 法則がある。太平洋戦争以来の法則だ。

 

 北側――大日本帝国と神聖ブリタニア帝国は手を結び、南側への牽制を始め。

 

 南側――南天の領域は北側への対抗のため、独自のKMF、独自の浮遊航空艦、そして切り札たるF兵器とN兵器をこの世に生み出し、互いににらみ合ってきた。

 

「F兵器については北側も確実に保有している。それも我が国以上の出力の物を我が国以上の量的戦力で」

 

 お互いに動いてはならない。南が動けば北が動き、北が動けば南が動く。もしそこで北南全面戦争が勃発すれば。

 

「世界は滅び去るのみ……盟主は、我が神、創造主クリエイター=Lはいったいなにをお考えなのか……。10の遺跡を奪取して世界を書き換えなさるのか」

 

 

“全天に美しき世界を”

 

 

 創造主クリエイター=L。

 

 人の概念では図れない神の真意は何処に。それはジェネラルにも分からない。ただジェネラルは神の意志に従うのみ。

 

 かつて助けて頂いた御恩に報いるためにと。

 

「“小競り合いは終わった”全軍進め。目標は中東全土。最重要目標はパレスチナ南部」

 

 南天条約機構軍の進む方向は、全方位。中東の全方位なのだ。一部一面での侵攻ではない。30,000,000の兵を以ての中東全地域への全面侵攻。

 

 

 中東全土を我が神の住まう全天に美しき世界の下へ。

 

 

「行け。蒼天双翼光環旗の下に」

 

 

 ※

 

 

「どうするんだ! 南天に、合衆国オセアニアに使者を送りその真意を問い質すのか!?」

 

「だが、使者と言っても我が国には南天へのチャンネルが無い」

 

「あるではないか合衆国東アフリカが!」

 

「あの我々やユーロピアを見下している東アフリカ国家代行議会議長ジョン・ウリエル・ド・ムガベが我々の言葉など聞くとでも思ってるのか! 木偶と罵られて追い返されるだけだ!」

 

「ではどうすればいいのだ?! あの大軍勢。中東攻略の為もあろうがその先を見据えたものぞ!」

 

(……)

 

 恐慌し、ののしり合う同胞たち、宮廷会議は沸騰する。この場に天子様がおわせでなくて良かった。

 

 しかし、むべなるかな。中東はまだ彼方とは言え、ジルクスタンと共に中東を押さえられると、悪辣なる南天諸国と地続きとなってしまうのだ。

 

 ましてや中東攻略兵の戦力数は30,000,000という信じられない大軍。噂では後続に20,000,000の大軍勢を組織し始めているという。それが真実ならば目的は一つ。

 

「我が国だ……我が国その物か、我が国の何かか」

 

 皆、ひしひしとそれを感じ取っていたがここにきて感情が爆発した。

 

 南天は自国の教義を押し付けるという。天子様は神の名の下に排除されてしまうか、或いは天子様が「全天に美しき世界の実現を」と叫ぶ日が来るかもしれない。

 

 それを拒めば『浄化』という措置が待っている。すなわち死刑だ。彼らは教義を受け入れない者を悉く浄化してきた。

 

 ならばいい。それならばいい。最後の最後まで抵抗し、浄化されてやろうではないか。そして必ずや天子様だけはお救いして見せる。

 

「そ、そうだ日本へっ、大日本帝国へ使者を送れば……!」

 

「貴公忘れたか。大日本帝国とは旧敵国同士、そう簡単にいくとは……」

 

 会議室が静まり返る。確かに大日本帝国。『技術の日本』ならば『数の南天』にも対抗できよう。世界を北側と南側で二分する北側の雄の一国なのだ。超大国・大日本帝国ならば。

 

 だが忘れてはならない歴史の業が日中の間にはあった。100年前。中華連邦は日本へ侵略したのだ。結果としては自国が叩き潰されてしまった訳だが、旧敵国同士な事には違いない。

 

 国家開闢以来の危機だから助けてくれ! そんな都合のいい話が通るはずがないのだ。

 

「星刻よ貴公はどう見る。現在の日本と中華の関係を」

 

 六か国協議に参加し、日本とも多少は触れ合った星刻に、洪古が話を振った。考え込んでいた星刻は顔を上げる。

 

「正直に言えば手ごたえはあった、吉田大使と二人で話もしたが中華許すまじという空気は少なくとも感じなかった。ただ問題はかの国の国民の方であろう」

 

「国民感情か」

 

 厄介な物である、一度嫌わばとことんその国の人間を嫌ってしまう。かの国の高麗嫌い・宦官嫌いなどは有名だ。

 

 今は家族仲と呼んでも良い程に、二度とは離れられぬ程くっついる日本とブリタニアも、80年ほど前の大戦争時はその20年を前後して険悪な間柄となって居た。

 

 事を重く見た当時の日本側は嶋田伯。ブリタニア側はクルシェフスキー侯が声を上げ、現日本の上皇陛下と、先代のブリタニア皇帝の直接会談にまで繋げたのだ。なお、上皇陛下も血の紋章より逃れえた先代皇帝も、かの国々では恐るべきことに人生150年となり、現在でもピンピンしているらしい。

 

 話を戻すと、結局は日本の国民感情をどうするかだろう。一般の日本人からしてみれば『親族たるブリタニア人の為ならともかく、なんで赤の他人の中華連邦の奴らの為に我々が血を流さなければならないんだ?』である。

 

「ここを抑えることが出来るのであれば、あるいは。大日本帝国を味方にできる、か」

 

 洪古の言葉に場が色めき立つ。

 

「日本が味方に付けば何とかなる」

 

「日本が味方に付くという事は同時にブリタニアも味方に」

 

 色めき立つ者たちを前に、それでも星刻と洪古は真剣であり、こわばった表情を崩さない。

 

 それは、いい。頼もしい味方だ。ただし、分かっているのだろうか。下手をすれば北側と南側の全面戦争になるのだぞ。

 

 彼の三勢力がどのような秘匿兵器を隠し持っているか。KMFですら我が国に無き技術の塊であった。技術力で間違いなく我が国と10年以上は20年は軽く開いているかの国々が持つ秘匿兵器。

 

 その恐ろしい物が解き放たれた時。

 

「世界はどうなってしまうのか……洪古」

 

 今や星刻の側近である彼へと指示を出す。

 

「まずはジルクスタンに連絡を取るか」

 

「ああ、南天に対抗して歩調を合わせ戦う国は、まずはかの国だからな。南天の狙いが何なのか。未だ良く分からないというのもある。なぜ侵略を始めるのか?その目的と意味とは?」

 

 日本ならば何か知っているかもしれん。

 

 大日本帝国、神聖ブリタニア帝国、かの二国は世界最古の国。

 

 南天の目的も知っているやも。

 

「それを教えてくれるとは思えんがな──おそらくはかの二国にとっても秘匿すべき事柄だろうから」

 

 いずれにせよ、南天条約機構軍は向かってくる。こうしている間にも遠くイエメンの地で準備を整えている。否、既に中東への侵略は始まっているとみるべきだろう。

 

 わずかな洗車装甲戦闘車両、中東独自のKMFバミデスでは一日と持つまい。

 

 距離を考えると信じられない。かの南側諸国の狙いがジルクスタンと我が国などと。

 

「海も警戒せよ。南天軍の海軍もまた強大だ。わが国ではとても対抗できぬほどに……既にペルシャ湾には南天の8個空母戦闘群が展開している。これは簡単にインド洋・アラビア海に周ってくる。我が国はすでに南天の侵略を受けている状態だ」

 

 戦えない戦えない戦えない。弱き自分が、弱き我が国が堪らない……。

 

「8個群は最低で追加で倍は来る。しかも南天諸国では空母や鑑定を増産中、数年内に30個群まで強化されるとは……、同じ列強同士と言えども上位列強・超大国とはこれ程の差があるのか」

 

 

 

 吉田茂氏と連絡を取ってみるか。

 

 

 

 

 

「か、会議中に失礼致しますっっ!!」

 

 通信室の衛生兵が飛び込んできた。

 

「何だ騒々しい」

 

 会議に参加していた上級将官の一人が表情を歪めるが、そんな事はすぐに吹き飛んでしまった。

 

「こ、高麗半島近海より飛翔体が発射され、西モンゴル自治区で直径数キロに及ぶ巨大な大火球が発生したとのことですっっ! なお同じ大火球は北京でも発生し被害の全容はつかめておりませんっっ!!」

 

 

 

『な、なんだとっっ!!』

 

「そ、そんな馬鹿なっっ、何かの間違いではないのかっっ」

 

「い、いえ、間違いありませんっっ、西モンゴル軍区西部地域っ、北京付近っ、両地域で飛翔体の来襲と共に大爆発が起きたのを視ている者、多数っっ!」

 

「ばか、なっ」

 

「飛翔体は高麗本土からも発射され、北方のシベリア方向にも向かったとっっ」

 

 

『な、なにが起こっているのだ』

 

 

 落ち着きを取り戻したというよりも、誰もが言葉を失ったという雰囲気であった。

 

「て、天子様っ、天子様をお守りしろっっ!!」

 

 直径数キロの謎の大火球を相手にして何もできなくとも。星刻は、あの気の弱く心優しい天子──蒋麗華の傍に居てやりたかった。

 

 その想いで星刻は走った。

 

 

 

 ※

 

 

 

 サウジアラビアの王宮に大勢の足音が響き渡る。

 

 戦闘機の音。VTOLの音。戦車の音も。全てサウジ軍の物では無い。

 

 南天の、悪魔共の足音だ。

 

‟探せっ、探せッ、国王の遺児はいないか探せッ、教化に応じなかったサウジの王室は根絶やしにせよッ”

 

 玉座に崩れ落ちたままのラシード国王はもう口を開かない。

 

 全身に穴を開けて血を吹き出し事切れているからだ。

 

 南天条約機構軍サウジ王宮攻略司令官を前に、彼は言ったのだ。

 

 浄化か。

 

 教化か。

 

 サウジ国王は大勢の兵士達を喪い、側近すらも戦場に散ったと訊いたサウジアラビアの偉大にして愚かな国王は嗤いながら告げたのだ。

 

『浄化も教化も無いっ! 我々は砂漠の民として自由に生きるのだっ!! 去るが言いっ、南の天より降り立ちし悪魔共よっっ!!』

 

 瞬間。

 

 

“ズガガガガガッッッ!!”

 

 

 四方八方からの銃撃に彼の身体はマリオネットのように踊り。銃撃の終わりと共に玉座に崩れ落ちたのだ。

 

 

 トゥルキー・ラシード。

 

 

 南天の魔の手に最後まで屈しなかった彼を知る者はこう言う。

 

 隠れ顰その最後を見ていた、聞いていた民たちは称える

 

 

“愚かにして偉大なる我らが国王陛下”

 

 

 と。

 

 

 

 

 

 南天条約機構

 

 第4世代KMFレイス。名前は幽霊の意味。独自開発された南天のKMFで性能はグラスゴーや無頼に相当し、全高などもほぼ同じである。

 

 正規KMFであるため第5世代KMFジェンシーよりも高い戦闘力を誇る。現在は第5世代機と第7世代機に置き換わっていっているために二線級の兵器である。

 

 

 

 第5世代KMFレブナント。再び蘇ってきた者という意味(フランス語)ゾンビの亜種。

 

 南天のKMFでレイスから得た研究データをもとに開発された。開発期間は叡智のギアス。フルカネルリ機関の本格的な採用と改良を得てレイスとは比べ物にならない戦闘力を得る。

 

 この機体も第5世代ハイクラスと第7世代機の量産が始まった事で旧式化されているが、正規KMFを持たない中東諸国、中華連邦相手ならばこれで十分という考えのもと編成された。

 

 

 

 イラク社会主義共和国、ユスフ・サルマン・ユスフ書記長。

 

 共産イラクの現共産党書記長にして独裁者。

 

 拡大主義者で過去にヨルダン・サウジアラビアを相手に中東戦争を起こし戦勝国となっている。

 

 その後南側諸国と接触、南天条約機構に加盟オブザーバー。この戦役後は正式加盟の予定。

 

 ユスフ書記長の南天としてのステージはドミニオン。

 

 隣国の小国クウェートも欲しいが日ブの衛星国の為に手が出せない。なおクウェートにはアルガトロ混成騎士団が常駐している。指揮官はアルベルト・ボッシでクウェート在中の日ブ混成軍の事実上の司令官。

 

 

 

 トゥルキー・ラシードサウジアラビア国王

 

 サウジ版のバカ男爵。一人っ子だったために前国王・王妃が甘やかせて育てたため、成人する頃になっても政治学の基礎も習っていなかった。

 

 大日本帝国を極東の島国と侮るなど言動の端々に、政治的倫理のなさが現れている。

 

 彼が国王では早晩サウジ王家は革命で倒れていた可能性もある。

 

 日本に助けを求められない、家族と称されるほど日本と硬い盟友であるブリタニアに助けを求められない直接的原因を作った張本人。

 

 

 

 ジェネラル

 

 南天条約機構及び南天での最高ステージ第零階位に君臨する一人。階級名でもあり通称もジェネラル。

 

 本来は一人或いは少人数で行動する人物で、軍の司令官はあまりやることはない。

 

 

 

 

 大火球

 

 

 もうお分かりかと、ニュークリアパワードがヒントにして答えです。

 

 とうとう炸裂しました。そしてシベリア戦争も中東侵攻と共に同時開戦です。

 

 といっても残敵処理状態になるかもしれません。

 

 この後、日本側でお話はさかのぼりますが。

 

 驚愕するのは夢幻会の一部、高亥も含めた大宦官。

 

「見よ!私の力を!」のセリフは某国大統領です。

 

 中華連邦首都は原作通り洛陽なので天子もその他の名有りキャラも無事ですが

 

 西モンゴル軍区の頭部と、北京は地獄になっているかと。無論シベリアのユーロユニバース兵も一気に消し飛ばされて半減しているでしょう。

 

 

 

 

どのカップリングの恋愛が見たいですか?(いずれもそれぞれに書いております・また書いていきます。新しいカップリングも増える可能性あり。

  • 嶋田繁太郎×モニカ・クルシェフスキー
  • 嶋田繁太郎×ユーフェミア・リ・ブリタニア
  • 山本五十六×リーライナ・ヴェルガモン
  • 南雲忠一×ドロテア・エルンスト
  • 玉城真一郎×クララ・ランフランク
  • 玉城真一郎×マリーベル・メル・ブリタニア
  • 澤崎敦×井上直美
  • レオンハルト×マリーカ・ソレイシィ
  • 原作ルルーシュ×シャーリー・フェネット
  • ルルーシュ(休日)×ミレイ
  • オデュッセウス×皇神楽耶
  • ジェレミア×ヴィレッタ・ヌゥ
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  • 鳩川雪夫×ストーカー女(書けたら(-_-
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