バカとテストと召喚獣と……   作:SSSS

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遅くなってすいません……


七話 Dクラス戦後篇

「工藤信也、戦死!」

 

「西村雄一郎、総合残り40点!」

 

「森川が戻ってこない!やられたか!?」

 

士気が盛り上がったまま戦うことしばし、戦力差の影響が現れ始め次々と景気の悪い報告が聞こえてきた。工藤と森川が戦死し、これで前線部隊は残り五名となってしまった。

そろそろ前線を保つのが難しくなってきた。

 

「明久!もう少し持ちこたえろ!」

 

撤退を考えだしたところでそんな檄が飛んできた。

辺りを見渡してみると明久の遥か後方に援軍を引き連れた雄二の姿が見えた。

 

「援軍だ!合流する前に吉井たちを全滅させろ!」

 

Dクラス前線部隊の隊長である塚本の指示が聞こえる。

だが、いくら雄二達が来たとは言え距離はまだ遠い。

 

「西村雄一郎戦死!」

 

これで残り明久を含めて六名。

雄二達はまだ遠い。

 

「五十嵐先生、Dクラス鈴木が召喚を行います!」

 

「負けるか!Fクラス田中も行きます!」

 

田中も捕まった。

 

『Dクラス  鈴木一郎  VS  Fクラス  田中明

 化学     92点  VS        67点』

 

刀の餌食になる田中の召喚獣。

これで残りは五名。

雄二達は間に合いそうにない。

 

「どんどん行くぞ!」

 

Dクラスは戦死を恐れずに明久達に突っ込んでくる。

ここが正念場であると感じ取っているらしい。

 

『Dクラス  鈴木一郎  VS  Fクラス  柴崎功

 化学     25点  VS        66点』

 

鈴木は撃破したが明久達の戦力は風前の灯となってしまった。

 

「先生!Dクラス笹島圭吾が行きます!試獣召喚(サモン)!」

 

更に新手が出現。

柴崎の召喚獣を倒し、明久に向かってくる。

 

「ちっ!」

 

舌打ち。

だが、舌打ちをしたところで相手がこちらに向かってくると言う事実は変わらない。

――やっぱり、戦うことになるのか。

 

「真理、悪い……今夜、お前と真紀に迷惑をかける」

 

目も合わせずに真理にそう謝罪する。

今は真理に合わせる顔もないから。

だが、真理は優しく微笑み首を横に振った。

 

「いいよ、明久。前にも言ったでしょ?私は明久と一緒に居られるだけでいいの。

だから、好きなだけ私達を『利用』して?」

 

真理の言葉に明久はまるで締め付けられるような痛みを感じた。

確かに明久は真理達を心の底から愛している。

だが、彼女達を利用しているのは事実だ。

親友の為に、そして自分の為に。

真理達は理由を知らないがその事実は知っている。

だが、そのことに対して真理達は何も言わない。

 

「……ありがとう」

 

感謝の言葉を告げて明久に向かってくる敵を見据える。

 

「吉井明久!その首級貰った!」

 

もう、迷いはない。

 

「――試獣召喚(サモン)!」

 

叫んだ直後、足元に現れる魔法陣。

現れた召喚獣は喪服に身を包み、左腕にナイフを装備していた。

 

『Dクラス  笹島圭吾  VS  Fクラス  吉井明久

 化学    80点   VS        152点』

 

「Cクラス並みの点数だと!?」

 

表示された明久の点数に驚愕する笹島。

その隙を逃す程明久は優しくは無い。

自分の召喚獣を相手の召喚獣に肉薄させ、喉を切り裂く。

すると、笹島の召喚獣は戦死した。

 

「なっ!?」

 

更に驚愕する笹島。

彼は何が起こったか理解できていないだろう。

全ての動作を終えるのに一秒もかかっていないのだから。

 

「はい、終わりだ」

 

笹島に告げて別のDクラスの生徒達を見据える。

もう既に笹島は眼中にない。

 

「くっ、お前達!相手は確かに強敵だが全員でかかれば倒せるはずだ!」

 

「舐めるなって」

 

そう言葉を発した瞬間、明久はDクラスの生徒達に向かって召喚獣を突貫させた。

 

「なっ!?う、打ち取れ!」

 

塚本はそう指示を出す。

その間にも明久の召喚獣は走る。

Dクラスの前線部隊の召喚獣の隙間を縫うように。

そして、明久の召喚獣が全ての召喚獣の合間から抜け左腕を振るった時、それは起こった。

 

「え?はぁっ!?」

 

「しょ、召喚獣が!」

 

「私の召喚獣もよ!」

 

広がっていく混乱。

それは当然の反応だろう。

 

 

―――首から血を吹きだし彼らの召喚獣が倒れていくのだから。

 

「吉井!お前何をしやがった!」

 

Dクラスの男子の一人が明久に詰め寄る。

明久はそれを軽くいなした。

 

「教えてやってもいいけど分かっても無駄なんじゃね?」

 

言いながら明久はその男子の後ろを指さす。

そこには仁王立ちをする西村教諭の姿があった。

 

「ひぃっ!ほ、補習はいやだぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「気持ちは分かるけど逃げるな」

 

必死に逃げようとするDクラスの男子を抑える明久。

その間にもDクラスの生徒達は西村教諭の魔n……手によって捕まっていく。

 

「よ、吉井!頼む!離してくれ!」

 

「却下。離す訳じゃないじゃん」

 

「少しは考えてくれ!」

 

「分かった」

 

思考開始。

 

……………

 

…………………

 

………………………

 

「やっぱり却下」

 

「三秒しか経ってない!てか、このやり取りどっかで見た覚えが――うわぁぁぁぁっ!」

 

哀れ、名前も知らないDクラス男子。

最後までセリフを言えず西村教諭に連れ去られていった。

 

「よくやったぞ、明久」

 

いつの間にか近くに来ていた雄二がそう言って明久の肩に手を置いた。

 

「別にあの程度大したことねぇよ。それに本番はこれからだろ?」

 

ちらほらと下校している生徒の姿も見え始めた。

もうDクラス代表の首を取りに行く頃合いとなった。

 

「ああ、最初にも言ったとは思うができる限り敵を引きつけろよ?

姫路や坂成が作戦を遂行しやすくする為に」

 

達哉は先程の放送を聞く限り放送室に一度行ったのだろうがもう姫路と合流しただろう。

だから、作戦の執行は姫路一人でと言うことは無い筈だ。

よって、作戦の行方は姫路達にかかっている。

(もっとも、達哉はDクラスの代表を打ち取ることを姫路に丸投げしたのだが明久がそのことを知る筈もなかった)

 

「分かってるっての。俺に全部任せろよ。行くぞ、真理」

 

「うん」

 

真理を引き連れてDクラスの本隊へと向かう明久。

彼は戦後舎弟と恋人達にこう語った。

 

「もし、過去に戻れるなら過去の自分を泣いて謝るまで殴ってやる」

 

 

 

「何でこうなってんだ、こん畜生!」

 

敵の攻撃を避けながら叫ぶ明久。

 

―――約三十名。

 

この数が何の数だか分かるだろうか?

明久が今戦っている人数の数である。

別に明久が引きつけた訳ではない。

最初から約三十名が明久に向かってきたのである。

 

「明久、手伝おうか?」

 

「いや、これくらいの数なら余裕だ。叫んだのもこの不幸さに対するものだから」

 

確かに、何もしていないのに約三十人が一斉に襲ってきたら不幸以外の何物でもないだろう。

 

「しかし、数多いなぁ……っと」

 

ボヤキながら敵の攻撃を躱し、カウンターを入れる。

敵の召喚獣の点数に修正が入った。

 

「さて、そろそろ行こうかね」

 

そう呟き、召喚獣に武器を構えさせる。

その刹那―――

 

「うわぁっ!」

 

「んなっ!?」

 

「な、何でお前がここに―――くそっ!」

 

明久と対向していたDクラスの生徒達の後方にざわめきが生まれた。

明久はそれを認知した瞬間、警戒を始める。

だが、そのざわめきの正体を見てその警戒はすぐに解くこととなった。

 

明久よりも高い身長。

見るもの全てを威圧する鋭い瞳。

そして、本物の銀の様に輝く白髪。

 

「達哉!」

 

そう、明久の舎弟である坂成達哉がそこに居たのだ。

 

「明久さん!真理さん!一旦合流しましょう!」

 

「了解だ!」

 

「分かったよ!」

 

達哉の提案を承諾し、敵を倒しながら達哉の方へ向かう。

達哉も敵を倒しながら明久との合流を目指す。

 

「達哉姫路と作戦を遂行している筈のお前が何でここに居る?簡単に説明しろ」

 

達哉と合流し、達哉にそう尋ねる。

 

「あの須川の放送の対策をしてる最中に『明久さんのことだから真理さんには召喚させないんじゃないか?』って思いまして。敵を引きつけるんだったら数が多い方が良いんでこっち来ました」

 

「姫路の方は大丈夫なのか?」

 

達哉がここに居るとなると作戦の遂行は姫路一人でということになる。

一抹の不安は拭いきれない。

 

「大丈夫でしょう。この季節なら明久さんや俺程の操作能力を持ってる奴はそうは居ません。居たとしてもDクラスの生徒です。そう簡単に倒せないでしょう」

 

「完全に不安は拭いきれねぇけどまぁ、納得しといてやるよ」

 

姫路一人で作戦を遂行できるかと聞かれると完全に「イエス」とは断言できない。

達哉の役目は完全に「イエス」と断言できるようにすること。

正直その役目を放棄した達哉は褒められたものではないが放棄してしまったものは仕方がない。

 

「達哉、下手して戦死するなよ?」

 

「分かってます」

 

そう言いながら二人は召喚獣に武器を構えさせる。

 

「真理、ちゃんと追いついて来いよ?お前の居るべき場所は俺の隣なんだから」

 

「うん!」

 

真理の返答を聞いて明久達は召喚獣を引き連れて駆ける。

敵はどうにかして明久達を止めようとするが、誰一人明久達を止められない。

 

「平賀源二!その首貰ったぜ!」

 

「覚悟!」

 

「くっ!代表!逃げてください!」

 

「ここは私達が何とかします!」

 

明久達の前に立ち塞がる二人の女子生徒。

その結果平賀はがら空きになる。

平賀はこの危険な場所から一刻も早く脱出する為に駆け出した。

 

――何故自分達はここまで追い詰められている!?

 

走りながら平賀は思う。

相手は問題児の集まる最低クラス。

自分達の成績は平均よりも少し低いがFクラスよりも遥かに頭が良い筈だ。

なのに、何故―――

 

「―――作戦通りだ」

 

――――え?

 

後方からの声。

気のせいだ。辺りは戦争の喧騒で騒がしい。

そんな状況で一つの特定の声がはっきりと聞こえる筈がない。

そんなことは分かっているというのに何故自分はここまで焦っている!?

 

「くっ!」

 

自分の中の思考を全て振り払うように首を横に振る。

そして、後もう少しで現代国語のフィールドから出られると言う所で声をかけられた。

 

「平賀君」

 

足を止めて声のした方を向く。

そんなことをする暇はないが何故か足が止まった。

 

「ひ、姫路さん?」

 

声をかけてきたのは学力で五本の指に入る生徒『姫路瑞希』だった。

 

「どうしたのかな?Aクラスはこの廊下を通らなかったと思うけど」

 

何となく、彼女がここに居る理由は分かっている。

だが、どうしても認められなかった。

まさか―――

 

「いえ、そうじゃなくて……」

 

彼女が―――

 

「Fクラスの姫路瑞希です。Dクラス平賀君に現代国語勝負を申し込みます」

 

Fクラスの生徒だなんて!

勝てる筈がない。

だが、受けなければ敵前逃亡で戦死扱いとなる。

 

「さ、試獣召喚(サモン)!」

 

ヤケクソ気味に召喚獣を召喚する平賀。

 

『Fクラス  姫路瑞希  VS  Dクラス  平賀源二

 現代国語  339点  VS        192点』

 

素早い動きで姫路の召喚獣は平賀の召喚獣に肉薄する。

そして、相手の反撃も許さず一撃でDクラス代表を下した。

 

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