んで、メッセージをくれた方のお陰で、再び書き出しました。ここまで書いたなら完結させないと(他の作品にもいえることだが)。
では、投稿です。
本編をどうぞ。
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悠斗と凪沙は、海辺沿いの手摺に体重を預け今後の話をしていた。
「犯行がタルタロス・ラプスって解ってもなぁ……」
いつもより弱い口調で悠斗は呟いた。
まあ確かに、タルタロス・ラプスの足取りが掴めないと、
「
凪沙の問いに悠斗は頷いた。
「それも一理あるな。 十中八九、奴らは俺たちに接触してくるだろうしな」
絃神島で事を起こそうとするタルタロス・ラプスは、危険要素を排除する為に、悠斗たちを消すか、仲間に引き込もうとしようとする筈だ。
「蓮夜たちの方にも勧誘とかがあるだろうな。……まあ、あいつらは断るだろうが」
蓮夜たちは束縛を酷く嫌うのだ。というか、勧誘関連でいざこざがあり、眷獣を怒りに任せて召喚しないかの心配の方が大きい。
確かにね。と言って凪沙は苦笑した。
「てか、風水関連の知識が少ないのは痛いなぁ……」
もっと、その辺も調べて於くんだった。と言い、溜息を吐く悠斗。
「悠君、その辺はアレだよ。 気合いで何とかしようっ」
そうだな。と言って、悠斗は笑みを浮かべた。
その時、悠斗が直感で反応を示した。 そして、目標までの距離は数メートルといった所だ。 悠斗は、なぜ?と困惑する。 玄武の気配感知が効果を示さなかったのだ。
「(……最近になって、気配感知をすり抜ける奴ら多くないか?)」
悠斗は、内心で溜息吐き呟くのだった。 まあ確かに、気配感知の効果が効かなくなってくると、今後の戦闘などに響いてきたりする。
悠斗は振り向き、凪沙も悠斗の後を追うように振り向く。
「俺たちに何か用か?」
其処には、バイク用のヘルメットを被った見知らぬ少女が、“るる家”のアイスの袋を持って立っている。
「いや、紅蓮の織天使と紅蓮の姫巫女に挨拶を、と思ってね」
少女は袋からアイスのカップを一つ取り出すと、どうぞ。言って、袋を悠斗に差し出す。
悠斗は受け取るのを躊躇ったが、強引にでも渡してくるのがオチだろうな。と思い、袋を受け取った。 ともあれ、悠斗と凪沙は袋からアイスのカップを取り出し、カップを空けてから小さなスプーンでアイスを一口。 ちなみに、どちらともバニラ味である。
「んで、お前は誰だ?」
「ディセンバー。 そう呼んでもらえたら嬉しい」
ゴーグルをヘルメットの上にずらして、ディセンバーと名乗った少女は目を細めた。 光り輝くような青い瞳だ。
「それで、貴方たちを何て呼べばいい? 紅蓮の織天使、紅蓮の姫巫女じゃ嫌でしょ?」
「――神代悠斗。 呼び方は、名前でも苗字でも好きな方で呼んでくれ」
「――あ、暁凪沙です。 呼び方は、お任せします」
「ふむふむ。 神代悠斗くんと……暁凪沙ちゃん、ね」
ディセンバーの青い瞳が、悠斗と凪沙の瞳を覗き込む。
「……二人の中で
ディセンバーと呼ばれる少女は、凪沙たちと繋がりを持つアヴローラの魂と、凪沙の中に宿っている朱音の魂を見抜たのだ。
悠斗は、なるほど。と内心で頷いた。
「ディセンバーは、
だとしたらディセンバーは、第四真祖の眷獣を召喚することが可能だということだ。 なので攻撃的な姿勢は、この場では得策ではない。 そしてディセンバーは、ふふ。と笑った。
「それは教えられないな。 ま、君ならすぐに答えに行くつくだろうけど」
ともあれ、悠斗たちは無言でアイスを食べるのだった。
「あの、ディセンバー……さんは、ここで何を?」
自分のアイスを全て食べ終わり、カップを袋に捨てたところで、凪沙が口を開く。
「さん。は要らないよ。……そうだね。 強いて言えば、監視と挨拶かな」
「監視と挨拶……ですか」
「そうなの。 計画に、余計な茶々を入れられないようにね。 監視ついでに、アイスでも食べながら高みの見物に決めこもうかなって。 そろそろ
ディセンバーの言葉を聞いた悠斗が、目を見開く。
「……お前!? 人工管理局上級理事を消すってことか!?」
直後、視界の片隅で閃光が弾け、一瞬遅れて轟音が響き、絃神島の人工の大地が揺れ、その余波が
建物の外壁が崩れ落ち、粉塵が空へ舞った。 そう、爆発が起きたのだ。 キーストーンゲートの建物の地下で。 大地を揺らす程の爆発が。
「へぇ。 タルタロス・ラプスの名前と動機までは調べ上げてたんだね。 そう、今は一つ一つに布石を打ってる感じかな。……おっと、この場から動いちゃダメだよ。 無闇に暴れたくないしね」
「……足止めの監視か。 でもそれは、自分が第四真祖の器って言ってるとほぼ同義だぞ」
第四真祖の眷獣ならば、戦闘になっても悠斗たちの時間稼ぎは可能だろう。 ただ、自衛に徹すれば良いだけなのだから。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「(ディセンバーさんの相手は私に任せて。 悠君は南宮先生と合流して、情報の共有に向かったほうがいいかも)」
確かに、それが今現在の最善策だろう。 まあでも、那月が気配感知から逃れていたら、虱潰しに回るしかないが。
だが――、
「(眷獣一体とはいえ、ディセンバーの力は第四真祖そのものだ。 それに、眷獣の能力が未知数すぎる)」
もし、精神支配系統の眷獣で、眷獣の支配権を奪われたら勝負がついたとほぼ同義である。 一人で対面するのは危険過ぎる。
「(悠斗は行って。 凪沙ちゃんには私がいるんだから大丈夫。 精神支配系の眷獣でも、精神支配なんてさせないし、されても絶対に抗うしね。 私のしぶとさは悠斗も知ってるでしょ?)」
確かに、朱音のしぶとさは折り紙つきである。 それは、身近で朱音を見ていた悠斗は身に沁みているのだから。
「(……了解だ。――凪沙には
「(りょうかい。――朱音ちゃん。 融合と眷獣制御の補助、頼りしてるよ)」
「(OK。 青龍と玄武の制御は任せて。 朱雀の融合に関しては、悠斗よりも適性が高いし大丈夫だよ)」
「(朱雀の融合に関しては、凪沙の方が適性が高いのね。 ま、この場は任せた)」
悠斗は薄々感づいていたことだが、やはり、朱音の魂と適合できた凪沙の方が朱雀との相性が良いのだろう。
「「((りょうかい))」」
悠斗と凪沙は、融合呪文を唱える。
「――氷結を司る妖姫よ。 我を導き、守護と化せ!――来い、
「――紅蓮を纏いし不死鳥よ。 我の翼となる為、我と心を一つにせよ――おいで、朱雀!」
悠斗は氷結の翼を羽ばたかせキーストーンゲートの方角へ飛び出し、凪沙はディセンバーと対面するように道を塞いだ。
「……悠斗を行かせて、凪沙が私と戦うってこと、なんだね」
「……うん、私が足止めだよ。 これでも真祖と同等の力があるらしいし、簡単には通さないよ」
「……そっか。――
ディセンバーの傍らには、全長十メートルにも達する巨大な眷獣。 それは、銀水晶の鱗を持つ美しい魚竜だ。 前肢半透明な翼であり、
その眷属が纏う禍々しい気配は、第四真祖の眷獣とまったく同質なものだ。
「……十番目の
「……そう。 そして私は特別の器。眷獣の封印を解いても、元の体に戻ることが可能なの。 だから、私がこの場で消滅することはない、かな」
そう言ってから、ディセンバーの背後には、
「そして、
「そっか。――おいで、青龍、白虎!」
対する凪沙は、天を統べる青き龍、大地を統べる白き虎を傍らに召喚した。 おそらく、
「まだだよ。――
そして、物理攻撃に対する神通力を纏った白虎の
先に動いたのは凪沙だった。 凪沙は紅蓮の翼を羽ばたかせながら、ディセンバー目掛けて刀を振るう。 だが、その攻撃はディセンバーには届かず、
そしてディセンバーは、牽制として腰から拳銃を抜き、引き金を引いたが、凪沙が瞬時に距離を取り、
数メートル両隣では、
「(凪沙ちゃん。 やっぱりここでの戦闘はちょっとヤバイかも……)」
「(……だよね)」
頷く凪沙だが、既に、公園が破壊されたという被害があったりする。
だからこそなのかも知れない、凪沙は開き直ってしまったのだ。
「(……うん、しょうがない。 南宮先生に後で怒られよっか)」
朱音は、悠斗に似てきたよ、凪沙ちゃん。と言ってから、わざとらしく溜息を吐いた。
「(りょうかい。 じゃあ、行こっか)」
「(うん、朱音ちゃん)」
すると、凪沙の紅蓮の翼の威圧が増し、四神たちは咆哮を上げた。 この咆哮は、絃神島全体に響き渡っていると見ていいだろう。 そして、膨大な魔力が漂っている。 凪沙は魔力放出により、
「……凄いね、凪沙は。 普通だったら、もう君の眷獣たちは戦闘不能になっていてもおかしくないのに」
「まあ、ね。 結構、いっぱいいっぱいな所でもあるんだけど」
再び、凪沙とディセンバー。 そして眷獣たちが衝突し、凄まじい爆発音が響き、周囲に粉塵が舞ったのだった――。
凪沙ちゃんとディセンバーとの戦闘でした。戦闘の描写、かなり不安です(^_^;)
公園の被害ですが、完全に周りが吹き飛ばされてます。まあ、焦土と化した。まではいかなかったですが。てか、真祖の一撃でこれだけの被害で済んだのは、ほぼ奇跡ですね(笑)
次回は早めに更新できるように頑張ります!
追記。