ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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かなり久しぶりの投稿です。……まああれです。エタりました。すんません((+_+))
んで、メッセージをくれた方のお陰で、再び書き出しました。ここまで書いたなら完結させないと(他の作品にもいえることだが)。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


タルタロスの薔薇 Ⅱ

 ~人工島南地区(アイランド・サウス)、川沿いの公園内~

 

 悠斗と凪沙は、海辺沿いの手摺に体重を預け今後の話をしていた。

 

「犯行がタルタロス・ラプスって解ってもなぁ……」

 

 いつもより弱い口調で悠斗は呟いた。

 まあ確かに、タルタロス・ラプスの足取りが掴めないと、千賀毅人(せんが たけひと)は探し出すことが困難なのだ。

 

あっち(タルタロス・ラプス)からの接触を待ってみる、とか?」

 

 凪沙の問いに悠斗は頷いた。

 

「それも一理あるな。 十中八九、奴らは俺たちに接触してくるだろうしな」

 

 絃神島で事を起こそうとするタルタロス・ラプスは、危険要素を排除する為に、悠斗たちを消すか、仲間に引き込もうとしようとする筈だ。

 

「蓮夜たちの方にも勧誘とかがあるだろうな。……まあ、あいつらは断るだろうが」

 

 蓮夜たちは束縛を酷く嫌うのだ。というか、勧誘関連でいざこざがあり、眷獣を怒りに任せて召喚しないかの心配の方が大きい。

 確かにね。と言って凪沙は苦笑した。

 

「てか、風水関連の知識が少ないのは痛いなぁ……」

 

 もっと、その辺も調べて於くんだった。と言い、溜息を吐く悠斗。

 

「悠君、その辺はアレだよ。 気合いで何とかしようっ」

 

 そうだな。と言って、悠斗は笑みを浮かべた。

 その時、悠斗が直感で反応を示した。 そして、目標までの距離は数メートルといった所だ。 悠斗は、なぜ?と困惑する。 玄武の気配感知が効果を示さなかったのだ。

 

「(……最近になって、気配感知をすり抜ける奴ら多くないか?)」

 

 悠斗は、内心で溜息吐き呟くのだった。 まあ確かに、気配感知の効果が効かなくなってくると、今後の戦闘などに響いてきたりする。

 悠斗は振り向き、凪沙も悠斗の後を追うように振り向く。

 

「俺たちに何か用か?」

 

 其処には、バイク用のヘルメットを被った見知らぬ少女が、“るる家”のアイスの袋を持って立っている。

 

「いや、紅蓮の織天使と紅蓮の姫巫女に挨拶を、と思ってね」

 

 少女は袋からアイスのカップを一つ取り出すと、どうぞ。言って、袋を悠斗に差し出す。

 悠斗は受け取るのを躊躇ったが、強引にでも渡してくるのがオチだろうな。と思い、袋を受け取った。 ともあれ、悠斗と凪沙は袋からアイスのカップを取り出し、カップを空けてから小さなスプーンでアイスを一口。 ちなみに、どちらともバニラ味である。

 

「んで、お前は誰だ?」

 

「ディセンバー。 そう呼んでもらえたら嬉しい」

 

 ゴーグルをヘルメットの上にずらして、ディセンバーと名乗った少女は目を細めた。 光り輝くような青い瞳だ。

 

「それで、貴方たちを何て呼べばいい? 紅蓮の織天使、紅蓮の姫巫女じゃ嫌でしょ?」

 

「――神代悠斗。 呼び方は、名前でも苗字でも好きな方で呼んでくれ」

 

「――あ、暁凪沙です。 呼び方は、お任せします」

 

「ふむふむ。 神代悠斗くんと……暁凪沙ちゃん、ね」

 

 ディセンバーの青い瞳が、悠斗と凪沙の瞳を覗き込む。

 

「……二人の中であの子(・・・)は生きてる。って見ればいいのかな……いや、別の子もいるね……」

 

 ディセンバーと呼ばれる少女は、凪沙たちと繋がりを持つアヴローラの魂と、凪沙の中に宿っている朱音の魂を見抜たのだ。

 悠斗は、なるほど。と内心で頷いた。

 

「ディセンバーは、アヴローラの関係者(・・・・・・・・・)か……。てことは、お前は器か? まあ、裏付けが何にもないから憶測に過ぎないけどな」

 

 だとしたらディセンバーは、第四真祖の眷獣を召喚することが可能だということだ。 なので攻撃的な姿勢は、この場では得策ではない。 そしてディセンバーは、ふふ。と笑った。

 

「それは教えられないな。 ま、君ならすぐに答えに行くつくだろうけど」

 

 ともあれ、悠斗たちは無言でアイスを食べるのだった。

 

「あの、ディセンバー……さんは、ここで何を?」

 

 自分のアイスを全て食べ終わり、カップを袋に捨てたところで、凪沙が口を開く。

 

「さん。は要らないよ。……そうだね。 強いて言えば、監視と挨拶かな」

 

「監視と挨拶……ですか」

 

「そうなの。 計画に、余計な茶々を入れられないようにね。 監視ついでに、アイスでも食べながら高みの見物に決めこもうかなって。 そろそろ時間(・・)のはずだけど」

 

 ディセンバーの言葉を聞いた悠斗が、目を見開く。

 

「……お前!? 人工管理局上級理事を消すってことか!?」

 

 直後、視界の片隅で閃光が弾け、一瞬遅れて轟音が響き、絃神島の人工の大地が揺れ、その余波が人工島(ギガフロート)をも震わせる。

 建物の外壁が崩れ落ち、粉塵が空へ舞った。 そう、爆発が起きたのだ。 キーストーンゲートの建物の地下で。 大地を揺らす程の爆発が。

 

「へぇ。 タルタロス・ラプスの名前と動機までは調べ上げてたんだね。 そう、今は一つ一つに布石を打ってる感じかな。……おっと、この場から動いちゃダメだよ。 無闇に暴れたくないしね」

 

「……足止めの監視か。 でもそれは、自分が第四真祖の器って言ってるとほぼ同義だぞ」

 

 第四真祖の眷獣ならば、戦闘になっても悠斗たちの時間稼ぎは可能だろう。 ただ、自衛に徹すれば良いだけなのだから。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「(ディセンバーさんの相手は私に任せて。 悠君は南宮先生と合流して、情報の共有に向かったほうがいいかも)」

 

 確かに、それが今現在の最善策だろう。 まあでも、那月が気配感知から逃れていたら、虱潰しに回るしかないが。

 だが――、

 

「(眷獣一体とはいえ、ディセンバーの力は第四真祖そのものだ。 それに、眷獣の能力が未知数すぎる)」

 

 もし、精神支配系統の眷獣で、眷獣の支配権を奪われたら勝負がついたとほぼ同義である。 一人で対面するのは危険過ぎる。

 

「(悠斗は行って。 凪沙ちゃんには私がいるんだから大丈夫。 精神支配系の眷獣でも、精神支配なんてさせないし、されても絶対に抗うしね。 私のしぶとさは悠斗も知ってるでしょ?)」

 

 確かに、朱音のしぶとさは折り紙つきである。 それは、身近で朱音を見ていた悠斗は身に沁みているのだから。

 

「(……了解だ。――凪沙には朱雀たち(四神)を預ける。 俺は妖姫の蒼氷(アルレシャ・グラキエス)たちがいれば大丈夫だしな)」

 

「(りょうかい。――朱音ちゃん。 融合と眷獣制御の補助、頼りしてるよ)」

 

「(OK。 青龍と玄武の制御は任せて。 朱雀の融合に関しては、悠斗よりも適性が高いし大丈夫だよ)」

 

「(朱雀の融合に関しては、凪沙の方が適性が高いのね。 ま、この場は任せた)」

 

 悠斗は薄々感づいていたことだが、やはり、朱音の魂と適合できた凪沙の方が朱雀との相性が良いのだろう。

 

「「((りょうかい))」」

 

 悠斗と凪沙は、融合呪文を唱える。

 

「――氷結を司る妖姫よ。 我を導き、守護と化せ!――来い、妖姫の蒼氷(アルレシャ・グラキエス)!」

 

「――紅蓮を纏いし不死鳥よ。 我の翼となる為、我と心を一つにせよ――おいで、朱雀!」

 

 妖姫の蒼氷(アルレシャ・グラキエス)と融合した悠斗の瞳には蒼が入り混じり、背から二対四枚の氷結の翼が出現し、朱雀は融合した凪沙の背部からは二対四枚の紅蓮の翼が出現し、瞳も朱が入り混じる。

 悠斗は氷結の翼を羽ばたかせキーストーンゲートの方角へ飛び出し、凪沙はディセンバーと対面するように道を塞いだ。

 

「……悠斗を行かせて、凪沙が私と戦うってこと、なんだね」

 

「……うん、私が足止めだよ。 これでも真祖と同等の力があるらしいし、簡単には通さないよ」

 

「……そっか。――()()れ、麿羯の瞳晶(ダビ・クリュスタルス)

 

 ディセンバーの傍らには、全長十メートルにも達する巨大な眷獣。 それは、銀水晶の鱗を持つ美しい魚竜だ。 前肢半透明な翼であり、野羊(やぎ)に似た螺旋状の角も光り輝く水晶柱だ。

 その眷属が纏う禍々しい気配は、第四真祖の眷獣とまったく同質なものだ。

 

「……十番目の焔光の夜伯(カレイドブラッド)なんだね。 ディセンバーさんは……」

 

「……そう。 そして私は特別の器。眷獣の封印を解いても、元の体に戻ることが可能なの。 だから、私がこの場で消滅することはない、かな」

 

 そう言ってから、ディセンバーの背後には、獅子の黄金(レグルス・アウルム)冥姫の虹炎(ミネラウバ・イーリス)、を複製させた。

 

「そして、麿羯の瞳晶(ダビ・クリュスタルス)の能力は、精神支配に、魅了と複製(・・)。 だからこんなこともできちゃうんだ。 二体が限界だけどね」

 

「そっか。――おいで、青龍、白虎!」

 

 対する凪沙は、天を統べる青き龍、大地を統べる白き虎を傍らに召喚した。 おそらく、獅子の黄金(レグルス・アウルム)には青龍、冥姫の虹炎(ミネラウバ・イーリス)は白虎を、ということだろう。

 

「まだだよ。――牙刀(がとう)

 

 そして、物理攻撃に対する神通力を纏った白虎の(かたな)を召喚し、右手で持った。

 先に動いたのは凪沙だった。 凪沙は紅蓮の翼を羽ばたかせながら、ディセンバー目掛けて刀を振るう。 だが、その攻撃はディセンバーには届かず、麿羯の瞳晶(ダビ・クリュスタルス)が体勢を崩したので、銀水晶の鱗に当たり弾かれる。

 そしてディセンバーは、牽制として腰から拳銃を抜き、引き金を引いたが、凪沙が瞬時に距離を取り、銃弾を刀で弾き飛ばした(・・・・・・・・・・)

 数メートル両隣では、獅子の黄金(レグルス・アウルム)の雷砲と、青龍の雷球が衝突し、凄まじい爆風が起こり公園の遮蔽物を薙ぎ払い、白虎と冥姫の虹炎(ミネラウバ・イーリス)の次元能力により、空間に歪みが生じ、粉塵が凄まじい。

 

「(凪沙ちゃん。 やっぱりここでの戦闘はちょっとヤバイかも……)」

 

「(……だよね)」

 

 頷く凪沙だが、既に、公園が破壊されたという被害があったりする。

 だからこそなのかも知れない、凪沙は開き直ってしまったのだ。

 

「(……うん、しょうがない。 南宮先生に後で怒られよっか)」

 

 朱音は、悠斗に似てきたよ、凪沙ちゃん。と言ってから、わざとらしく溜息を吐いた。

 

「(りょうかい。 じゃあ、行こっか)」

 

「(うん、朱音ちゃん)」

 

 すると、凪沙の紅蓮の翼の威圧が増し、四神たちは咆哮を上げた。 この咆哮は、絃神島全体に響き渡っていると見ていいだろう。 そして、膨大な魔力が漂っている。 凪沙は魔力放出により、麿羯の瞳晶(ダビ・クリュスタルス)の精神支配に抗っているのだ。

 

「……凄いね、凪沙は。 普通だったら、もう君の眷獣たちは戦闘不能になっていてもおかしくないのに」

 

「まあ、ね。 結構、いっぱいいっぱいな所でもあるんだけど」

 

 再び、凪沙とディセンバー。 そして眷獣たちが衝突し、凄まじい爆発音が響き、周囲に粉塵が舞ったのだった――。




凪沙ちゃんとディセンバーとの戦闘でした。戦闘の描写、かなり不安です(^_^;)

公園の被害ですが、完全に周りが吹き飛ばされてます。まあ、焦土と化した。まではいかなかったですが。てか、真祖の一撃でこれだけの被害で済んだのは、ほぼ奇跡ですね(笑)

次回は早めに更新できるように頑張ります!

追記。
麿羯の瞳晶(ダビ・クリュスタルス)の複製能力は、作者の独自です。
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