てか、戦闘回とか難しすぎましたね、はい。……すんません、いい訳ですね。
では、どうぞ。
島の上空を覆い尽くす魔法陣からは、今も眷獣たちが召喚され続けていた。
その眷獣たちを、悠斗の宝剣と凪沙の刀、そして“黄龍”と“青龍”の攻撃で消滅させるが、一向に減る気配がない。 眷獣を迎撃、しかし新たな眷獣が生み出される。――この繰り返しだ。
戦況的には悠斗たちが押しているが、それがいつまでも続かない事は悠斗と凪沙は理解している。 強大な力を有しているとはいえ、力を行使するという事は、精神力と体力を消耗するのだ。 守護を解けばある程度負担が軽減する事ができるが、奴らの攻撃が直撃すればあの世行きだろう。
「きりがねぇな。 凪沙、まだいけるか?」
「大丈夫。 まだ余裕はあるよ」
悠斗は、そうか。と頷く。 まあ確かに、凪沙は人間から“血の従者”になったのだが、今までの経験と日々のトレーニングが功を制しているのだろう。 また、悠斗の計算では、時間は十分稼げるはずだ。
だが、絃神島上空を覆う魔法陣に、異様な変化が起きていた。
全ての薔薇の花弁が散って、四つの球体へと変化して、大きな種子を形作った。 “タルタロスの薔薇”の最終形態。 咲き誇る真紅の花弁が散り、新たに種が生み出されたのだ。
夥しい数の薔薇の眷獣たちは、四つの種子に魔力を奪われ千涸びるように次々と消滅し、種子たちが取り込んだ魔力量は、悠斗の予想を遥かに超えている。
その異常な量の魔力を内包したまま種子が割れ、出現したのは四体の化身だった。
一体は猛禽のようであり、一体は鰐に似た姿。 一体は龍に似て、最後の一体は虎に酷似している。 いずれも全長二メートル超える眷獣たち。 吸血鬼と同じく、濃密な魔力の集合体だ。
「……冗談、だろ」
悠斗の声が珍しく罅割れていた。――四聖獣。 奴らは、悠斗に馴染み深い眷獣だったからだ。
東西南北――四基の
悠斗は、ものは試しだ。と内心で呟いた。
「――
悠斗がそう言うと、“黄龍”が凶悪な口から稲妻が凝縮された鋭い“神槍”が四聖獣たちへ向かうが、それは直前で消し去った。
――玄武の特性である魔力無効化である。
「……悠君。 やっぱり、物理攻撃じゃなきゃダメなのかな?」
「ああ。 千賀の野郎、俺たちの四神の特性まで取り入れてやがる。 てか、解析しやがった」
最悪だな。と嘆息する悠斗。 それにしても、悠斗たち対策がここまで進んでいたとは、予想外過ぎた。
物理攻撃となれば、眷獣たちの突撃攻撃、宝剣と
「凪沙の刀じゃ、少し不利かも」
まあ確かに、今の戦闘で刃が欠けてきている。 神通力が宿ってるとはいえ、物理消耗がある刀は不利なのは間違えない。
凪沙は刀を異空間に仕舞い、呪文を唱える。
「――天を統べる青き龍よ。 我の矛になる為、我に力を与えたまえ。 汝、我を導き槍となれ。――
凪沙が両手で握るのは、
凪沙は右手を掲げ、眷獣を召喚させる。
「――おいで、白虎! 玄武!」
凪沙の傍らに召喚されたのは、純白の白い虎。 亀の甲に蛇が巻き付いている神獣。
そして悠斗が、右手を突き出す。
「――降臨せよ、麒麟!」
悠斗が傍らに召喚したのは、黄金の縦髪を靡かせる神獣である。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「二人は、四聖獣の玄武と白虎をお願い!」
凪沙の問いに答えるように、白虎と玄武は咆哮し、玄武は“四聖獣の玄武”の足を止める為突撃し、白虎も“四聖獣の白虎”の
残るは、“四聖獣の朱雀と青龍”。 朱雀に対峙するのは凪沙で、青龍に対峙するのは悠斗である。
そして、空を断ち切るように“四聖獣の朱雀”から鋭い爪が振り下ろされ、
「――っ!」
凪沙は槍でそれを受け止め、爪を弾き返し、隙を作った所で背後へ飛んだ。
今の一撃はかなり重い。 眷獣の武器ではなかったら押し潰されていただろう。 今の衝撃で額に切り傷が入り、一筋の血液が流れる。
それを見た悠斗は、声を張り上げる。
「凪沙ッ!」
凪沙は額を袖で拭い、
「だ、大丈夫。 掠り傷だよ」
そうか。と、悠斗は安堵し、
「麒麟! 四聖獣の朱雀の足止めを頼む!」
麒麟は一鳴きし、“四聖獣の朱雀”に息吹の攻撃を仕掛けるが、流石守護の化身と言うべきか“麒麟”の攻撃は寸前の所で阻まれている。 そして、“四聖獣の青龍”が襲ってきそうな所を、“黄龍”が足止めをしてる状況だ。 正に、同力の衝突と言ってもいいだろう。
「……凪沙。 一か八か、やってみるか?」
確かに、全快の悠斗たちの“宝剣”や“雷槍”の力を上乗せすれば、四聖獣たちを押し退ける事ができただろうが、大量の眷獣を相手にした後で今の戦闘だ。 体力と精神力の消耗が凄まじい。
「……わかった。 自信はないけど」
「……いや、そこは『自信がある』だろう。……まあ、俺も自信なさげの言葉だったかも知れんが」
悠斗は両手で宝剣を握り締め、宝剣に神力を流し込み、凪沙も雷槍に魔力を込めていくと、“宝剣”は蒼く発光し“雷槍”は稲妻が勢いを増す。
「はッ!」
「行っけ――!」
悠斗の宝剣からは一つの槍を形成し、雷槍からは電撃の塊が四聖獣たちの元に飛来するが、それは跡形も無く消え去る。 四聖獣の玄武の常時無効化能力だ。
「……今思うと、玄武の力ってチート染みてるんだな」
まあ確かに、今の眷獣たちも物理攻撃しか届かない。
「……うん。 今のは反則だよ」
そして、“四聖獣の白虎”と白虎の均衡が崩れ、白虎は
こうなったら、最終手段か?と、凪沙と悠斗が思考していた時、――後方から声が聞こえた。
「全てを食らい尽くす、漆黒の大蛇よ。 我を守護し、我の声に応え降臨せよ!――
すると、蛇の八つの頭が、“四聖獣の青龍”と“四聖獣の朱雀”を押し退ける。そしてこの眷獣は、
ということは、奴も居るはずだ。
「
悠斗の背後で、漆黒の龍を召喚したのは
「――暴食者!」
飛翔した
そして、美月が凪沙の隣に、蓮夜が悠斗の隣に立つ。 それから数秒後、力を使い果たした玄武は消滅し、
「派手にやられてるな」
「……
蓮夜は「ふん」と鼻で笑い、
「水を差して悪かったな。 ところで神代悠斗、お前のその剣は何だ?」
蓮夜が見ているのは、悠斗が携える“鏡花水月”だ。
「あ、ああ。 天剣一族に代々伝わる宝剣だ。 俺の“切り札だった”ものだ」
「まあそうか。 オレに見られた以上、切り札じゃないって事か」
「ま、そういう事だ」
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凪沙の隣に立った美月は、凪沙の顔を覗き込む。
「凪沙、大丈夫?」
「な、何とか。 助けに来てくれてありがとう」
美月は頭を振り、
「ううん。 友達だから当然だよ」
そう、美月は神力を感じ取り、凪沙の救援に来たのだ。……あれだ、悠斗はオマケみたいなものである。 まあ、今後どうなるかは不明だが。
そして、美月の傍らに立つのは、八つの頭がうねうねと動き、八本の尾を持つ巨大な蛇、
「――いくよ、凪沙」
「――いつでも、美月ちゃん」
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「今の戦闘で解ったと思うが、あいつらの動力源は絃神島の“龍脈”だ」
蓮夜の言う通り、それは戦闘不能状態になった“四聖獣の玄武”が現していた。
そう、先方の蓮夜の攻撃は、“四聖獣の玄武”が吸い取る龍脈の“
「ああ。“
「そうだ、不意打ちはもう効かない。 オレと美月で四聖獣の白虎を止める、
ああ。と、悠斗は頷く。
「――行くぞ」
「――了解」
悠斗は“縦髪を靡かせる麒麟”は引き連れ、四聖獣の青龍の元へ、蓮夜と美月は“
後は簡単な作業だ、眷獣たちが物理的に“四聖獣たち”の動きを止め“
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一方その頃、ディセンバー探索に向かっていた古城たちは、
「暁古城! 術者を見つけたわ! 三時の方向、距離六千二百!」
紗矢華が、“
その隣では、斐川志緒が“
「――距離六千二百?」
古城は、紗矢華の言葉を受け眉を寄せる。
そこにあるのは、海上に僅かに残された土地だけだ。 島の半分以上は海中に沈んでおり、三日月型のような歪な形をしてる場所。 壊れかけたビルだけが立ち並んでいるその場所は、人工管理公社からも見放されている廃墟だ。
「――
「でも、暁古城! この状況はどうするのよ?」
紗矢華がそう古城に言う。
確かに今の状況は、
「いえ、龍脈が徐々に切り離されていくのを感じます」
「ホント、自力で“薔薇”を破壊するとかチート染みてるぞ」
直後、
ともあれ、“薔薇”を破壊できたのは、悠斗たちだけの力ではない。 蓮夜たちの力が有ってからこそだ。 でもまあ、古城はまだこの事を知らないので、蓮夜たちを数に入れていないのは仕方ない。
そして雪菜は古城の隣に立ち、古城は眷獣召喚を解いた。
「行きましょう、先輩」
「ああ。 グレンダ、まだ飛べるか?」
グレンダは「だぁ!」と謎のガッツポーズを取りながら頷いた。
「唯里さんたちは待っててくれ。 消耗が激しいだろ」
確かに、今の戦闘で呪力をほぼ使い果たしてしまい、走るのがやっとの状態だ。 現状でついていっても、戦闘の邪魔になるのは確かだろう。
紗矢華は古城を睨み、
「暁古城。 雪菜に何かあったら許さないから」
「ああ。 その時は呪い殺してくれて構わないぜ」
するとグレンダは、着ていた服を脱ぎ捨て、出現した鋼色の
“薔薇”をどうにかしちゃうとか、悠斗くんたちはチート過ぎますね。四聖獣も原作よりかなり強く設定しましたからね(笑)
ちなみに、玄武の重量等は張った結界でなんとかなってます。
次回も頑張って更新します。では、また次回m(__)m
追記。
悠斗君の宝剣は、物理消耗とかそういうのには例外です。天然ものの、神格振動波が宿っていますからね。