今回はメインは凪沙ちゃんと美月ちゃんですね。
永遠の友
~数週間後~。
現在、凪沙は最寄駅付近で待ち合わせをしていた。
凪沙たちは美月たちに絃神島を案内することになったのだが、“タルタロスの薔薇”の事件があり、案内が出来なかったので改めて予定を組んだのだ。
だが、蓮夜と悠斗はこの場に居ない。 二人は「女の子だけで回った方が、何かと都合がいいはずだ」と言って、今日は別行動である。
「凪沙ちゃん、お待たせ」
そう言ったのは、小走りで待ち合わせ場所に到着した美月だ。
彼女は、可愛らしいワンピースの上に紫を基調とした薄めの上着を羽織り、白のショルダーバックを肩に掛けるといった可愛らしい格好である。
対する凪沙も、白を基調にしたワンピースに麦わら帽子、茶色のショールダーバックを肩に掛けるという格好だ。――そして凪沙と美月は顔立ち、雰囲気も似ている為姉妹に見える。
「あ、美月ちゃん」
そう言って凪沙が微笑むと、それを見た美月も顔を綻ばせる。
美月は、凪沙の元まで歩み寄り、
「今日は予定を組んでくれてありがとう、凪沙ちゃん」
「うん。 絃神島を案内するって約束だもんね、こちらこそ色々と遅れてごめんね」
まあ確かに、絃神島は
ともあれ、凪沙が「逸れないように手を繋いで行こっか」と言って、美月の手を握り、美月は、うんっ。と笑みを浮かべる。
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凪沙たちが駅からモノレールに乗り訪れた場所はショッピングモールだ。
このショッピングモールの内部は、雑貨店やレストラン、服屋にゲームセンターなどが整っており、絃神島で、一、二を争う有名ショッピングモールでもある。
それから、凪沙たちはショッピングモールのパンフレッドを入手し、パンフレッドを見ながら目的の場所へ歩き出す。 凪沙たちが最初に訪れた場所は雑貨店だ。 この雑貨店は品揃えが豊富なので、絃神島住人からの評価は高い場所だ。
「わあ。 綺麗なシュシュだね」
凪沙は棚に陳列されたシュシュを見ながらそう呟いた。
その中でも、黄色のシュシュが印象的だ。
「うん。 きっと凪沙ちゃんに似合うと思う」
「美月ちゃんも似合うと思うけどなぁ」
凪沙は閃いたように、右手を握り左手に掌を打つ。
「美月ちゃん、お揃いしない?」
「賛成っ。 さすが凪沙ちゃん」
美月は、シュシュの中から紫色が目に止まった。
そして、これにしよう。と決める。
「私は紫色かな。 凪沙ちゃんは?」
「私は黄色、かな」
そう言ってから、凪沙たちは各々のシュシュを手に取り会計場所へと向かい、凪沙が会計場所でお金を払う。 ちなみに、凪沙の手持ち金は百万円ほどある。
凪沙が「お買い物に行くかも」と悠斗に言った所、悠斗は「軍資金だ」と言って、ぽんと百万円を手渡してくれたのだ。――ちなみに、悠斗の口座資金は数億単位だったりする。……まあ命懸けで稼いだ金なので
ともあれ、シュシュを購入した凪沙たちは、長い黒髪をサイドポニーになるように結んだ。
「どうかな、凪沙ちゃん?」
「似合ってるよっ。 私はどうかな?」
「うん、可愛い。 悠斗君はいいお嫁さんを貰ったなぁ」
「ま、まだ結婚はしてないよぉ」
凪沙は顔を朱色に染める。
でも確かに、凪沙は紅蓮の織天使の血の従者ということもあるので、二人が将来を共にするのは決まったも同然であるが――凪沙はまだ中学生、結婚には早い年齢だ。
「美月ちゃんも、将来は蓮夜君と共に歩むの?」
「うん。 私も蓮夜君が大好きだし、蓮夜君の血の従者だからね」
凪沙も美月との交戦した際、美月が蓮夜の血の従者ということを薄々感じ取っていたが今確信に変わったのだった。
なのでこの場には、真祖と変わらない存在が二人もいるのだ。
「そっか」
凪沙はそう言って微笑んだ。
凪沙が、じゃあ次は。と指差した店はランジェリーショップである。
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店に入ると、凪沙たちを見た店員は「いらっしゃいませ」と言って一礼をし、それから「お客さんも今は居ないから、ゆっくり選んでいってね」と声をかけられ、凪沙たちは「ゆっくり選ばせてもらいます」と言って一礼した。
「たくさん種類があるねー」
凪沙が店内を歩き、その一角で止まりそう呟いた。
店内には、赤、青、黄、緑と様々な色の下着に、各々の種類の下着が並んでいる。
「そうだね。――てか、下着には興味を示さないんだよね、蓮夜君」
「わかるよ美月ちゃんっ。 悠君も興味を示さないんだよねぇ。……やっぱり、下着は布認識なのかなぁ」
「……あれだよね、勝負下着の意味がないんだよね」
「そうそう、私たちは真剣に選んでるんだけどなぁ。 あと、一回だけ悠君の選んでもらったことがあるんだけど……意識してくれたのは最初だけだったよ」
「私も同じ経験があるけど、最初に褒めてくれただけだったよ……」
「だよねぇ」
はあ、と溜息を吐く凪沙と美月。
やはり共通の認識であるのか、悠斗たちの愚痴が絶えない凪沙たちである。
「でも下着は欲しいね。……最近、ブラが合わなくなってきちゃって」
「私も欲しいかも……最近、私もブラが合わないんだ」
「やっぱり、えっち後に大きくなった感じかな?」
「そんな感じがするなぁ」
ある意味生々しい話をしながら、凪沙と美月は上下の
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ゲームセンターでゲームをした後、ペットショップを回った頃には時間も丁度良くなったので、凪沙たちは夕食を摂ることにした。 場所は、一階に並ぶパスタ店である。
店に入り、店員に「何名様ですか?」と聞かれた所「二人です」と答えて、店員に促されるようにテーブル席で対面で着席し、買い物袋を隣に置く。
それから、テーブルの上に用意してあったメニュー表を開き、注文品を決めると、ベルを鳴らして店員を呼ぶ。
「はい。 お伺いします」
「えっと、カルボナーラとホットコーヒーをお願いします」
「私はミートソースにホットコーヒーでお願いします」
「注文品は、お一つずつで宜しいでしょうか?」
凪沙たちが「はい」と答えると、店員は「畏まりました」と言って、テーブル席から下がった。
店員が下がった所で、凪沙が口を開く。
「美月ちゃんたちは、この後はどうするの?」
「もう暫くは絃神島に居るかも。 でも滞在が終わったら、また旅に出るかなぁ」
凪沙は「そうなんだ」と呟いた。
でも、離れたとしても凪沙と美月は友達に変わりはない。
「旅かぁ。 色々と落ち着いたら、私も悠君と旅に出て見たいなぁ」
きっと悠斗は、凪沙のそれを断ることはないだろう。
そして悠斗にとっての旅は、人生の歩みとも捉えることもできるのだ。
「悠斗君と旅に出るなら、一度天剣一族の名残を見る必要が出てくるかも。 まあ、一族の想いが残ってれば最高なんだけど」
「うん。 それはきっと必要なことなんだと思う」
そして凪沙は、眷獣を通しその想いの力に干渉が出来たことがある。
だがそれは、朱雀たちは本来悠斗の
なので、もし一族の想いが残っていたとしても、そこに干渉できるという保証はないのだ。
それから軽く談笑していた所で、注文していた料理が運ばれて、凪沙たちの前に置かれ、凪沙たちは「いただきます」と言ってからフォークを使いパスタを口に運び咀嚼してから飲み込み口を開く。
「美味しいね、ここのパスタ」
「だね。 さすが、有名店って感じかも」
そう言って食事を続けていたが、不意に凪沙が呟く。
「美月ちゃんのミートソース食べて見たいんだけど、いいかな?」
「ん、いいよ。 私も、凪沙ちゃんのカルボナーラを頂くね」
そう言ってから、凪沙がフォークでミートソースを巻き、美月の口許へ持っていく。
俗に言う、あーん。というやつだ。
「美月ちゃん、あーんして」
「あーん」
凪沙にそう言われ、美月は口を開けカルボナーラを一口。
美月はよく咀嚼して飲み込んでから、
「うん、美味しい」
美月もそう言ってから、フォークでミートソースを巻き、凪沙の口許まで持っていく。
「凪沙ちゃん、あーん」
「ん、あーん」
パクリと一口。
凪沙もよく咀嚼してから飲み込んだ。
「うん、美味しい」
「ふふ、そっか」
ともあれ、この後も時々食べさせ合いながら凪沙たちはパスタを完食した。
食後のホットコーヒーを飲んだ所で席から立ち上がり、買い物袋を持った所で、会計を済ませ店を後にする。
現在の時刻は夕陽が落ちる時間帯に差し掛かろうとしていた。 なので、ショッピングモールを出て駅付近に到着する頃には、夜に差し掛かる時間と言った所だろうか。
「帰ろっか、美月ちゃん。 遅くなり過ぎたら、悠君たちが心配するだろうし」
「だね、帰ろう」
そう言ってから、凪沙と美月の手は繋がれる。
今日という日は、絃神島を
そして、“タルタロスの薔薇”の事件は完全に幕を閉じたのだった――。
百合百合してるなぁ。と思いながら執筆していた作者です。
やはり、親友(友達)同士仲がいいですねぇ。
それに、下着の件では描いているのが恥ずかしくなりました。
まあ、凪沙ちゃんと美月ちゃんは、B→Cって感じです。
ではでは次回(*・ω・)ノ
宜しければ、感想もよろしくお願いしますm(__)m