上手く書けたかわからんが。
それでは、本編をどうぞ!
昼休みが始まってすぐに教室を抜け出し、悠斗と古城は職員室前の廊下で雪菜と合流し、生徒指導室へ到着した。
ドアをノックして中に入ると、那月が古城たちを待っていた。
「来たか、暁に転校生…………神代」
「って、おい! 俺はオマケかい!?――那月ちゃん」
魔力を纏った扇子を、悠斗の頭目掛けて振り下ろしてきた。
それを、悠斗は紙一重で回避する。
「あぶッね」
「チッ」
「舌打ちしたよね!? 今、舌打ちしたよね!?」
那月は表情を改め、
「ふん、まあいい。 さて、お前たち。 一昨夜、アイランド・イーストで派手な事故が起きたのは知っているな?」
「え、ええ。 そりゃまあ」
いきなり核心を突いてきた那月の質問に、古城は居心地悪い気分で頷いた。
雪菜も表情には出さなかったが、内心は緊張していた。
悠斗はいつも通りだが。
「実は、その現場近くで、旧き世代の吸血鬼が一匹、確保されたそうだ。 重傷を負って死にかけていると、誰かが匿名で消防署に通報したらしい。 さて、何者の仕業なのだろうな?」
「さ、さあ」
古城は、わざとらしく首を捻った。
「ふむ。 実はな、この島で死にかけた吸血鬼が発見されたのは、今回が初めてじゃなくてな、似たような事件が六件起きている。 流石に、旧き世代が巻き込まれたのは初めてだが」
そう言って、那月は分厚い資料の束をテーブルの上へ投げ出した。
「こいつは、あの時のナンパ野郎か?」
写真に写っている男を見て、悠斗がそう呟いた。
そこに写っていたのは、悠斗と古城が初めて雪菜と出会った日、雪菜をナンパしようとした奴だった。
「今まで襲われた魔族のリストだ。 そこに写ってるのは六件目の被害者。 発見されたのは、二日前だそうが……お前らの、知り合いか?」
「知り合いではないが、 一悶着あったのは確かだ。 で、こいつはどうなったんだ、那月ちゃん」
「教師をちゃんづけで呼ぶな! はあ、まあいい。 入院中だ。 一命は取り留めたそうだが、今も意識は戻っていない。 生命力が取り柄の
険しい目つきで古城を眺めて、那月は優雅に頬杖をついた。
「お前たちを呼び出したのは、それが理由だ。 なにが目的はかは知らんが、この無差別の魔族狩りをしてる犯人は、今の捕まっていない。 つまり、お前たちが襲われる可能性があるということだ」
「あ、ああ……そうか。 そうっすね」
「企業に飼われている魔族や、その血族には、魔族狩りに気をつけろと、すでに警告が回っているらしい。 お前たちには、そんな上等な知り合いはいなそうだから、あたしが代わりに警告してやる。 感謝するがいい」
「はあ。 それはどうも」
「というわけで、この事件が片付くまでは、しばらくの夜遊びは控えるんだな」
「は……」
あまりにもさりげない那月の口調に、古城は思わず、はい、と頷いてしまいそうになるが、雪菜の責めるような視線に気付いて我にかえり、
「い、いや、夜遊びとか言われても、なんのことだか」
「……ふん、まあいい。 とにかく、警告はしたからな」
那月はそう言って、出て行け、と古城たちを追い払うように手を振った。
古城と雪菜と悠斗は、言われた通り生徒指導室から去ろうとする。
「ああ、そうだ。 ちょっと待て、そこの中学生」
那月が雪菜を呼び止め、雪菜が振り返った。
那月は黒いドレスの胸元から何かを取り出して、雪菜へと軽く放った。
「……ネコマたん……」
ハッ、と口元を押さえる雪菜を見て、那月はニヤリと不敵に笑った。
「忘れ物だ。 そいつは、お前のだろ」
雪菜は何も言わず静かに会釈をし、古城と共に、生徒指導室を出て行った。
悠斗もその後に続こうと――
「神代悠斗は、少し待て」
と、呼び止められてしまった。
悠斗は再び振り返った。
「神代悠斗、お前、力を使ったろ」
悠斗は冷汗流しながら、
「な、なんのことかな」
「一昨日、アイランド・イースト付近でお前の魔力を感知した。 お前が、
那月は、ぶっきら棒にこう言っているが、何かと悠斗の心配をしてくれている。
悠斗がこの島で身を隠せてるのも、那月が裏で手を回してくれてるからだ。
なので悠斗は、那月に頭が上がらない。
「りょ、了解。 大人しくしてるよ」
「ふん、わかればいい。 でだ、お前は現場にいたんだろ。 なにか分かったことはないのか?」
「ああ、ロタリンギアの
那月は眉を寄せた。
「なに、
眷獣というのは、不老不死である吸血鬼にしか宿すことが出来ない。
何故かというと、眷獣が実体化する際、宿主の生命力を喰らうのだ。
なので、人間、獣人が眷獣を宿せば、命を落としかねない。
「まあいい。 この件はわたしの方で調べるから、余計な首を突っ込むなよ。 暁古城には、お前から言っといてくれ」
「了解」
と言い、悠斗は生徒指導室を出た。
その時、誰かに呼び止められた。
その人物は中等部の制服を着た、――暁凪沙だ。
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悠斗と凪沙は横に並びながら、職員室へ向かっていた。
悠斗は段ボール箱(重い方)を持ちながら、話し掛けた。
「で、頼まれたから断れなかったと」
どうやら、教室の備品を、職員室に運ぶのを頼まれたらしい。
凪沙は首を左右に振り、
「ううん、違うよ。 凪沙が運ぶって言ったんだよ」
「ホント、お前はお人よしだな。 俺はそれに救われたんだが」
「そっかな? それなら、悠君もお人よしだと思うけど」
「お、俺がか? 俺には縁がない言葉だぞ」
凪沙は、頬をぷくっと膨らませた。
「だって悠君は、いつも凪沙のわがままに付き合ってくれるし、たまにだけど、古城君の勉強も見てあげたよね。 これがお人よしじゃなかったら、なんなのさ」
「……そう言われると、そうかもしれないが」
「凪沙が言うんだから、間違えないよ」
「ま、そういうことにしとくか。――そういえば、聞きたい事があったんだ。凪沙に」
「ん、なに?」
「……凪沙は、俺が吸血鬼だって事を知ってるよな。 俺が怖くないのか?」
凪沙は魔族恐怖症だ。
なので、獣人、吸血鬼を見たら、極度に恐怖するはずなのだ。
「うーん、なんでだろ? 悠君だから、かな」
「な、なんじゃそりゃ」
話している内に、職員室前に到着した。
悠斗は段ボールの箱を床に置いてから、職員室の扉をノックした。
「「失礼します」」
と、悠斗と凪沙は言った。
悠斗は段ボールの箱を持ってから、職員室に足を踏み入れた。
中に入って、悠斗と凪沙を迎えてくれたのは、凪沙のクラス担任。
笹木岬だ。
「凪沙ちゃん、神代くん、お勤めご苦労。 それは、そこのテーブルの上へ置いて良いから」
悠斗は、その指定されたテーブルの上へ段ボールを置いた。
凪沙もそれに倣った。
「じゃあ、俺は戻りますね。 行くか、凪沙」
「りょうかいー」
悠斗と凪沙は、高等部と中等部に別れる所で別れ、教室へ向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
悠斗が教室に入った時、空席が眼に入った。
「ん? あの席は、古城の席だよな。――まさかとは思うが、首を突っ込んでないよな、古城」
悠斗は浅葱の席へ駆け寄った。
「なあ、浅葱。 古城はどうしたんだ?」
浅葱は不機嫌そうに、
「古城なら、私にロタリンギアの企業について調べさせて、どっか行ったわよ、まったくもう」
「ロタリンギア? 詳細は分かるか」
浅葱は溜息を吐いた。
「あんたもなのね。 まあいいわ。――ステレべ製薬の研究所。 主な研究内容は、人口生命体を利用した新薬実験。 二年前に研究所を閉鎖して、今は差押えになってるわ。 これを聞いた古城は、教室から飛び出していったわよ」
「あの、バカ。 案の定、首を突っ込んだな。――悪い、浅葱。 俺も急用ができた。 午後の授業は上手いこと誤魔化しといてくれ。 今度なんか奢るから」
悠斗はそう言うと、急いで教室を出て行く。
「こ、こら……! あんたもなの!? あんたら、殺すわよ! この、馬鹿二人組――っ!」
悠斗は浅葱の怒鳴り声を背に、ステルベ製薬の研究所へ向かった。
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「……先輩」
と呟き、雪菜は俯き、床に座り込んでいた。
古城と雪菜は浅葱の情報を元に、スレルベ製薬の研究所へ乗り込んで、アスタルテとオイスタッハと戦っていたが、結果は敗北。
古城は雪菜を庇い、オイスタッハが振り下ろした
「はあ、やっぱりこうなったか」
雪菜が振り返ると、そこには、
「か、神代先輩。 あ、暁先輩が!」
「落ち着け、姫柊。 古城は、こんな簡単には死なないぞ」
「そ、それは、どういう――」
雪菜が古城の屍に眼をやると、傷がどんどん修復されていき、流れ出ていた血も時間が戻ったように体内に逆流していく。
「第四真租は、規格外な存在だからな。 こんな傷じゃ簡単には死なない。――さてと、俺は殲教師の所に向かうから、古城が起きたら一緒に来てくれ」
「ど、どうするつもりですか?」
「足止めだな。 俺の眷獣は、攻撃力がほぼないからな。 後は、古城に任せるさ。――んじゃ、早く来いよ」
悠斗は雪菜に背を向けてから、右手を上げた。
悠斗は、破壊された壁を潜り、殲教師の元へ向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
キーストーンゲートとは、絃神島の中央に位置する巨大複合建造物の名前だ。
十二階建ての地上部は、島内でもっとも高い建物であり、逆ピラミッド型のその威容を島のあらゆる場所から見上げる事が出来る。
そして、この建造物には重要な役割がある。
この場所は、絃神島を構成する四基の人工島の連結部を兼ねているのだ。
海流や波風などの影響で発生する人工島間の歪みや振動は、このキーストーンゲートによって吸収、調整される。
そして、ゲートの壁を経由して届いたワイヤーケーブルは、この最下層の支柱に巻き付けられている。
四基の人工島から伸びる連結用のワイヤーを調律することで、島全体の震動を制御し、無効化しているのだ。
この働きがなければ、絃神島の四つの地区は、たちまち激突、あるいは分解され、洋上を彷徨う事になるだろう。
まさしく、要石の名に相応しい重要な施設だ。
そして今、最下層を隔てている気密隔壁が、虹色に輝く人型の眷獣によってこじ開けられていた。
眷獣の胸の中央に閉じ込められているのは、藍色の長い髪、薄水色の瞳を持つ少女。 アスタルテだ。
彼女の背後から姿を現したのは、法衣を身に纏ったロタリンギアの殲教師、ルードルフ・オイスタッハ。
オイスタッハは、辿り着いたゲート最下層を、感慨深けにゆっくり見回していた。
「
自らの眷獣に取り込まれたままの姿で、アスタルテが告げる。
オイスタッハは、最下層の中央へ歩み寄る。
そこは、四基の人工島から伸びる、四本のワイヤーケーブルの終端だった。
全てのマシンヘッドを固定するアンカー、小さな逆ピラミッドの形をした金属製の土台である。
そのアンカーの中央を、一本の柱が、杭のように刺し貫いている。
直径は、僅か一メートル足らず。
これが絃神島を支える、黒曜石に似た質量の半透明の石柱――
「お……おお……」
オイスタッハの口から、悲鳴と観喜の声が同時に漏れた。
「ロタリンギアの聖堂より簒奪されし不朽体……我ら信徒の手に取り戻す日を待ちわびたぞ! アスタルテ! もはや、我らの行く手に阻むものなし。 あの忌まわしき楔を引き抜き、退廃の島に裁きを下しなさい!」
高らかな笑い声を上げながら、オイスタッハはアスタルテに命じた。
しかし、
「
「なに?」
要石によって固定されたアンカーの上に、誰かがいる。
「悪いな。 役者が揃うまで、俺の相手になってもらうぞ」
そこの立っていたのは、古城の友人――神代悠斗だった。
次回は作者が苦手な戦闘回ですな。
さて、上手く書けるかどうか。
後、文字数は、4000~5000字の間にしようかと、間がメッチャ空いてる気がするが(汗)
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!