ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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ふぅ、早めに書き上げる事が出来ました。
予告通り、花火デートですね(≧▽≦)
甘く書けてるだろうか?もしかしたら、微甘かもしれん。まあ、作者はブラックが甘く感じたが。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


日常編
思い出の花火大会


悠斗と凪沙が待ち合わせ場所にしたのは、屋台の軒から少し離れた場所だった。

 

「悠君、お待たせ」

 

悠斗が振り向くと、悠斗のリクエスト通りの浴衣、淡い水色にピンク色の撫子をあしらった浴衣だ。

其れは、凪沙と見合っていて、とても綺麗だった。

凪沙は悠斗の前で一回転し、首を傾げた。

 

「どうかな? 深森ちゃんから借りてきたんだけど、似合ってるかな?」

 

「そだな。 世界で一番可愛いぞ」

 

悠斗は、凪沙の頭に優しく手を置いた。

 

「う、うん。 ありがとう」

 

悠斗は凪沙に右手を差し出し、

 

「んじゃ、行きますか。 お姫様」

 

「も、もう、恥ずかしいよ……バカ」

 

凪沙も、差し出された手を優しく握り返してくれた。

また、触れ合う二人の手の掌には、お互いの温もりが伝わっていた。

悠斗と凪沙は、手を繋ぎながら歩き出した。

第二波の花火が打ち上がるまで時間があったので、屋台を回る事にした。 まず最初に立ち寄った屋台は、金魚掬い屋だ。

悠斗と凪沙は、水槽の前に座った。

水槽の中には、赤い金魚や出目金などが元気よく泳いでいる。

 

「親仁、金魚掬い二回分頼む」

 

「お、彼女さんと挑戦かい?」

 

以前の悠斗ならば、この問いにしどろもどろになっていただろう。

だが、今は違う。

 

「そうだけど。 てか、将来の嫁さんだ」

 

「ほう。 その歳でか?」

 

「まあな。 婚約者ってやつだ」

 

親仁は、凪沙に目を向けた。

 

「可愛い子じゃないか。 大切にしろよ」

 

「言われなくてもそうするさ」

 

親仁に二人分のお金を払い、お椀とポイを受け取った。

左手にお椀を、右手にポイを持ち、金魚掬いの開始だ。 ポイを水中に沈め、二人のポイは、金魚たちの下につけ狙いを定める。

悠斗は問題なく掬い、左手に持っているお椀の中に金魚を入れる。 悠斗は、難なく金魚を捕まえのだった。

凪沙は、真剣な表情で金魚と睨めっこをしていた。 かなり慎重になってるらしい。 此れを見た悠斗は、苦笑するだけだ。

――そして、ゆっくり慎重に、凪沙はポイを持ち上げた。

 

「や、やった」

 

ポイの上で跳ねていた金魚は、無事お椀の中に飛び込んで行った。

 

「金魚掬いって、意外と難いんだな」

 

悠斗がそう言うと、凪沙は頬をぷくっと膨らませた。

 

「悠君は初めてなのに、凪沙より上手なんだから」

 

「そうなのか? 良く解らんが」

 

凪沙はニッコリ笑い、

 

「そうだよ。 流石、わたしの旦那さまだよ」

 

そう言うと、凪沙は再び金魚と睨めっこをした。

凪沙は、どんな些細な事でも、真剣に取り組むのだ。 悠斗は、そんな彼女が大好きなのだ。

特に大好きな所を挙げるなら、人から遠ざかり孤独に生きていた悠斗を、陽射しが差し込む場所へ連れて来てくれた事である。 なので悠斗は、再び人と触れ合い生きて行こうと思った。 人を信じようと思った。 悠斗にとっての凪沙は、唯一無二の存在なのだ。 彼女の存在が、悠斗の全てと言っても過言ではない。

また、告白の言葉とこの想いは別なのだ。

悠斗は、心の中でこう想っていた。

 

「(いつもありがとう、凪沙。 お前は、俺にとってかけがえのない、大切な人だ。 この命が燃え尽きようと、世界を敵に回す事になろうとも、君だけは、俺が絶対に護る)」

 

悠斗は無意識に、凪沙の頭に手を乗せていた。

当の凪沙は顔を紅潮させていた。

悠斗は、え、何で?と思っていたが、すぐに原因に気づいた。 そう、二人が居るのは、まだ屋台の中なのである。

悠斗は問題ないが、凪沙にとっては、とても恥ずかしい事だったのだろう。

また、この場で取る行動は一つである。

 

「親仁、俺らは金魚一匹で大丈夫だ。 だろ、凪沙?」

 

「う、うん。 そうだね」

 

悠斗と凪沙は、親仁に金魚が入ったお椀を渡し、親仁が金魚を袋の中に移し手渡してくれた。

悠斗と凪沙は立ち上がり、悠斗が凪沙の手を握り、そそくさとこの場から離れたのだった。

 

「も、もう、悠君のバカ。凪沙、恥ずかしかったよ……」

 

悠斗は、悪い悪いと苦笑するだけだ。

凪沙は、正面から悠斗を見て、優しい笑みを浮かべる。

 

「でも、嬉しかったよ」

 

そう言ってくれた彼女は、可憐であり、一輪の花のように美しかった。

誰にも渡したくない、一人占めしたい。 そんな感じだ。

 

「そ、そか」

 

悠斗は恥ずかしさを隠したい為、露骨に話を逸らすのだった。

 

「何か食べるか?」

 

「うん、いいよ」

 

再び手を繋ぎ、悠斗と凪沙が向かった屋台は、花火大会、お祭りの定番である焼きそば屋だ。

 

「凪沙、一個は食べきれないよ。 悠君、一緒に食べよう」

 

「了解だ、二人で一つにしよう」

 

屋台に入り、悠斗が親仁に声をかける。

 

「親仁、焼きそば一つくれ」

 

「あいよ!」

 

焼きそばが入ったプラスチックの容器を貰い、お金を悠斗が渡す。

屋台を出た悠斗は、ある事に気づいてしまう。 そう、――割り箸が一つしかなかったのだ。

おそらく、屋台の親仁は、悠斗だけが食べる。と勘違いをしたのだろう。

さて、どうしようか?と頭を悩ませていたら、凪沙が言うのだった。

 

「悠君、一緒に使おうか」

 

「お、おう。 二人で使うか」

 

悠斗と凪沙は、近場のベンチに腰を下ろした。

パックを開け、割り箸を割り、焼きそばを口に運ぶ。 焼きそばをよく噛んでから呑みこみ、悠斗が口を開く。

 

「やっぱ、凪沙が作ってくれたメシの方が、何百倍も旨いわ」

 

凪沙も、悠斗から受け取った焼きそばを口に運び、よく噛み呑みこんでから口を開く。

 

「も、もう、悠君は上手なんだから」

 

「いや、本当のことを言っただけだぞ。 凪沙が作った料理は、世界一旨い。 俺が保証する」

 

凪沙は苦笑してから、

 

「ありがとう、悠君。 これからも毎日作るんで、美味しく食べてね」

 

「そりゃもちろん。 毎日、美味しく頂きます」

 

焼きそばを食べ終え、立ち上がった悠斗と凪沙は、ヨーヨー釣りや射的、輪投げなど、様々な出店を回った。

あっと言う間に、第二波の花火が上がる時間帯になったのだった。

 

「凪沙は、悠君と居るととても楽しいよ。 悠君はどうかな?」

 

悠斗の少し前を出た凪沙が、くるっと一回転してから聞いた。

もちろん、悠斗の答えは決まっているが。

 

「俺も楽しいぞ。 大好きな女の子と一緒に居られるんだから。 どんな些細な時間でも、俺にとっては、特別な時間に早変わりだぞ」

 

凪沙は悠斗の隣に立ち、悠斗の手を優しく握った。

 

「ありがとう、悠君。――そろそろ時間だし、花火見に行こうか」

 

「そだな。 んじゃ、行くか」

 

悠斗と凪沙は、花火が見渡せる丘に向かって歩き出した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

花火が見える位置に場所を取り、悠斗は足を崩して座り、凪沙は体育座りをして花火の開始を待っていた。

この時、悠斗がポツリと呟いた。

 

「凪沙。 これからも、ずっと一緒に居ような」

 

「もちろん。 凪沙は、悠君から離れないから大丈夫だよ。 悠君と凪沙は、永久(とわ)に一緒だから」

 

此方を振り向いた凪沙は、悠斗にそう言い微笑んでくれた。

 

「ありがとう、これからもよろしくな」

 

「こちらこそだよ。 悠君」

 

その時、

 

――――ドーーーーン!!

 

と音が響き、赤、青、緑、オレンジと、色とりどりの花火が、絃神島の夜空に綺麗な花を咲かせた。

 

「綺麗だね……」

 

「ああ……本当に、綺麗だぞ」

 

悠斗は、花火を見いってる凪沙をそう言った。

花火に照らされる凪沙は、とても神秘的だった。 悠斗が凪沙を見いっていたら、視線に気づいた凪沙が振り向いた。

 

「も、もう、花火がでしょ。 わたしのことはいいから」

 

「そう言われてもな。 綺麗なもんは綺麗だから。 流石、我が奥さんです」

 

「いやいや、悠君。 凪沙、まだ中学生だから。……婚約者だけど」

 

悠斗は苦笑した。

 

「悪い悪い。 俺もまだ高校生だからな。 てか、凪沙の家事スキルなら、何処に行っても通用するぞ。 まあ、凪沙は誰にも渡さないけど」

 

「そこは心配しなくて大丈夫だよ。 凪沙は、悠君に永久就職済みだから」

 

端的に言えば、凪沙は悠斗のものと言っているのだ。

悠斗は、凪沙をもの扱いなんて絶対にしないが。――――此れは絶対である。

そして、――最後の花火が打ち上がった。

最後の花火は、今までの打ち上げ花火より大きかった。 おそらく、最後の締め。ということなんだろう。

花火が終わった所で、悠斗は立ち上がり、座っている凪沙に右手を差し出した。

凪沙もその手を取り、悠斗が引っ張り上げた。 もちろん、凪沙を想いながらだ。

二人はこの場を後にし、アイランド・サウスこと、住宅が多く集まる絃神島南地区に歩き出した。

マンションに帰宅する途中で、悠斗は、凪沙と自身の経路(パス)が繋がった事を、思い切って話すことにした。

悠斗は、真剣な表情で凪沙を見、

 

「凪沙。 これから俺が言う事を、よく聞いてくれ」

 

「う、うん」

 

「凪沙と俺の間には、経路(パス)が出来たらしいんだ。 だから凪沙も、俺の眷獣たちを召喚出来る」

 

凪沙は珍しく、目を丸くした。

 

「ほ、本当? 朱君たちを、凪沙が召喚出来るの?」

 

「まあそうだ、寿命は俺持ちだから心配するな」

 

「ね、悠君。 最近、凪沙の中に何かがいるような気がするんだけど……。 うーん、気のせいなのかな?」

 

凪沙は自身の中に宿っている、妖姫の蒼氷(アルレシャ・グラキエス)の存在に気づいたのかもしれない。

悠斗はそれを言っていいか悩んだが、いつかは解る事なんだし、それが早くなるだけ。と思ったので言う事にした。 また、彼女に嘘をつくなんて事は、絶対にしたくなかったのだ。

 

「ああ、凪沙の中には、眷獣が眠ってる。 コイツも、召喚が可能だと思うぞ」

 

「凪沙を、悠君の眷獣さんたちと、その子が護ってくれてるんだ」

 

「そだな。 話した事はあるが、悪い奴じゃなかったぞ。 凪沙なら、すぐに仲良くなれるさ」

 

凪沙はもごもごしながら、

 

「ゆ、悠君。 朱君を召喚してみたいんだけど、いいかな?」

 

「人が来ない所でならな。 でも、遊びで召喚したらダメだぞ。 眷獣は、力の塊だからな」

 

「うん、わかってるよ。そこは大丈夫」

 

悠斗と凪沙は道の外れに入り、人気がない場所へ移動した。

此処でなら、眷獣を召喚しても心配いらない。

 

「ここでなら、問題ないはずだ」

 

悠斗の隣に立った凪沙は、左手を掲げた。

 

「――おいで、朱君」

 

すると、異界から紅蓮の炎が集まり、凪沙の隣に朱雀が召喚された。

 

『我を呼んだのは、主ではなく、凪沙か?』

 

「うん、そうだよ。 わたしと悠君に経路(パス)ができたらしくて、悠君の眷獣さんたちが召喚可能になったんだ」

 

朱雀は、驚いたように一鳴した。

 

『ほう。 珍しい事もあるのだな。 もしかしたら、凪沙が強い巫女だから、可能になったのかもしれんな』

 

「そうかも」

 

「まあ、そういう事なんだ。 何も起きない事が一番良いんだが、何かあったら助けてあげてくれ。 宝玉じゃ限界もあるしな」

 

眷獣たちには、凪沙に危険が迫ったら、ほぼ自動的に顕現という事になっている。

まあ、寿命が悠斗持ちだから、出来る芸当でもあるんだが。

 

『承知した。 我が主よ』

 

「朱君、またね」

 

朱雀は再び一鳴し、異界に戻った。

 

「とまあ、こんな感じで、俺の眷獣たちが召喚できるな。 あとそうだな。 古城には黙っとくんだぞ」

 

「うん、りょうかいしたよ」

 

悠斗と凪沙は、再び帰路へ着く道へ戻った。

こうして、悠斗と凪沙の、思い出に残る花火大会の幕が閉じたのだった。




うむ。上手くかけていただろうか。
お互い想いを隠さなくなりやしたが。うん、作者は甘かったで。
まあ、昔の悠斗君は、那月ちゃんにしか心を開かなかったんでしょうな。

さて、凪沙ちゃんも、自身の中に眠る眷獣の存在に気づきましたね。
てか、凪沙ちゃんも、悠斗君の眷獣が召喚できるって事は、婚約者チートかも(笑)

次回は、新章ですかね。
まああれです。作者、燃え尽きそうですが……。ええ、最近色々ありまして(;´・ω・)
でも、頑張るぜ(ぐっ!と右手を握る)

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
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