ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

49 / 117
こ、更新です……。
この章も、これで終幕ですな。今回はエピローグなのでちょい短めです。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


錬金術師の帰還Ⅷ

戦闘を終えた悠斗と凪沙は、破壊された甲板を背にぐったりともたれていた。

賢者(ワイズマン)との苛烈な戦闘にも関わらず、海面は凍ったままだ。 流石、第四真祖の眷獣の力である。

だが、この氷のお陰で、フェリーの事故原因は季節外れの流水との激突。という建前が出来たのだ。

 

「……流石にきつかったな」

 

悠斗が空を見上げながら、そう呟く。 悠斗は、ほぼ全ての魔力を守護に、また眷獣召喚に行使したのだ。 こうなるのも無理もなかった。

 

「な、凪沙も疲れた……」

 

凪沙も、眷獣召喚の多様。 初の魔力行使など、体の負荷が凄まじいのだ。

だが、凪沙がいなければ、乗客に死者が出た確率も否めない。

 

「あれ? 凪沙が魔力を使えるって事は、凪沙は悠君の血の従者(・・・・)? なのかな」

 

凪沙が首を傾げ、悠斗にそう聞く。

それを聞いた悠斗は、僅かに取り乱した。

 

「一時的にだが、今の凪沙は俺の血の従者だ」

 

「そうなんだ」

 

凪沙は何事もなかったように呟く。

 

「か、軽いな」

 

「そうかな?――凪沙が吸血鬼になれば、悠君とずっと一緒だよね?」

 

血の従者も吸血鬼と同様、永遠に近い寿命を持つ。

また、言い方を変えれば――凪沙は、悠斗の血の伴侶(・・・・)と言う事になるのだ。

 

「あ、ああ。 永遠(とわ)に一緒って事だな」

 

「なら、早く血の従者になりたいかも」

 

凪沙は悪戯っぽく笑い、僅かに肩の衣服をずらし、悠斗に美しく白い肌を見せた。

 

「悠君。 凪沙の血を吸ってもいいよ」

 

悠斗は珍しく、顔を朱色に染めた。

だが、徐々に平静を取り戻していく。

 

「有り難い提案だけど、今はいいかな。 皆の目もあるし」

 

「そっか。 いつでも言ってね。 凪沙はいつでもOKだから」

 

際どい会話に聞こえるかもしれないが、本人たちにはその自覚はない。

ともあれ、悠斗が前に目をやると、古城が雪菜に膝枕をしてもらっていた。 だが、古城の頭はガッチリ拘束され、にっこりと笑った雪菜に、今までを経緯を教えてください。とも言われていたが。

 

また、悠斗は言わなければいけない事があるのだ。――そう、凪沙が眷獣を召喚した件だ。

悠斗が重そうに立ち上がると、わたしも行く。と凪沙言ったので、悠斗は凪沙の右手を握ってから優しく引っ張り上げ、悠斗と凪沙は古城たちの元へ歩み寄り、その場で腰を下ろした。

 

「古城。 嫁さんに膝枕してもらってる所悪いが、話したい事があるんだ」

 

悠斗がそう言うと、雪菜が、嫁さんじゃありませんっ!と抗議したが、知らん顔で受け流す。

古城も、雪菜の膝からむくりと起き上がり、悠斗の正面に座る形になった。

悠斗は頭を下げた。

 

「古城、最初に謝っておく。 俺は凪沙の血を吸ったんだ」

 

悠斗は、ナラクヴェーラ事件の時だ。と付け加えた

古城は目を丸くし、

 

「なッ!?」

 

と、驚愕の声を上げた。

でもね。と前置きして、凪沙が話始める。

 

「凪沙からお願いしたんだ。 だから、悠君を責めたらダメだからね、古城君」

 

古城は、あ、ああ。と頷き返し、悠斗が本題に入る。

 

「古城と姫柊も気になってると思うが、凪沙が眷獣を召喚できた件だ」

 

古城は、話してくれと促した。

悠斗は、深呼吸をした。

 

「最初の吸血をした時に、俺と凪沙には見えない経路(バス)が形成されてな。 その経路(パス)を通して、凪沙は、俺の眷獣が使役できるようになったんだ。 あ、寿命は俺持ちだから心配するな」

 

「そ、そうか。 じゃ、じゃああれは――」

 

古城が言いたい事は、何故、凪沙が第四真祖の眷獣が召喚できるんだ?と言う事だろう。

だが、悠斗は頭を振った。

 

「……その件は、古城が失った記憶(・・・・・)と関係してるんだ。 だから、話ことはできない」

 

そう。 あの事件では、古城と十二番目が大きく関係してる。 なので、この事柄は、古城が自力で思い出さなければならないのだ。

 

「……そうか」

 

「重要なことは後から話す。 今は色々ときつい」

 

古城は頷き、

 

「……そうだな。 オレも疲れた」

 

「あ、そういえば、ニーナは……?」

 

返事は、古城たちのすぐ近くから聞こえてきた。

 

「ここだ。 大義であったな。 古城、悠斗。 凪沙と雪菜もな」

 

彼女の制服の胸元には、人形のような小さな影が乗っていた。

 

「礼を言う。 お陰で、ようやく二百七十年の負担から解放されたわ」

 

胸を張るニーナの身長は30㎝足らず。 妖精のようなサイズである。

オリエンタルな美貌の見知らぬ女性だが、何処となく浅葱の面影が残っている気がした。

だが、何故小さくなっているのか? 悠斗は疑問をぶつけてみた。

 

「ニーナ。 どうしてそんな恰好なんだ?」

 

「爆発で夏音を護ってな。 霊血が吹き飛んでしまったのだ。 残った霊血をかき集めて見たが、人型を保つには、この寸法(サイズ)が限界であったわ。 生活するのに特に不都合はないがな」

 

そう言ってニーナは、胸に埋め込まれた深紅の宝玉を撫でた。

 

「な、何かすまん……。 爆発を起こさないように注意したんだが……」

 

悠斗がそう言い、古城たちは肩を小さくした。

 

「気にするでない」

 

ニーナの言葉を聞き、古城たちはホッと息を吐いた。

 

「で、ニーナは夏音の所で世話になるのか?」

 

「はい。 マンションで飼っても大丈夫か、南宮先生に相談してみます」

 

悠斗の質問に、夏音は嬉しそうに目を細めて頷いた。

彼女は小動物の飼育をするのが趣味なのだ。 ペット扱いするな、と古の錬金術師が、むくれたように腕を組む。

 

「わ、なにあれ、飛行船!? おっきい!」

 

凪沙が空を見上げて言う。 水平線近くに浮かんでいたのは巨大飛行船だ。 アルディギアの騎士団が、救援に駆け付けてくれたのだ。

 

「あれはアルディギアの飛行船だ。 夏音の護衛だな」

 

「か、夏音ちゃんって、実は凄い人だったり……」

 

悠斗の言葉を聞き、凪沙は僅かに顔を引き攣らせる。

まあ確かに、夏音は王位継承権が無いものの、アルディギア王家の一人であるのだ。

 

「き、気にしないでください。 いつも通りで大丈夫です」

 

凪沙は、よ、よかった。と安堵の息を吐いた。

ともあれ、救援が到着したという事は、フェリーの乗客の安全は確保されたのだ。

 

「俺は一足先に帰るわ。 古城たちはどうするんだ?」

 

「オレと姫柊は、事情説明の為に残るよ」

 

「こちらの事後処理は、わたしと先輩で何とかします」

 

「悪いな。 んで、凪沙はどうする?」

 

凪沙は宿泊研修の生徒だが、フェリーの航行は不可能だ。 中止は免れないだろう。

なので、絃神島に一足先に帰還しても問題ない筈だ。

 

「凪沙も悠君と帰ろうかな。 宿泊研修、無理っぽいしね」

 

そう言ってから凪沙は苦笑し、悠斗も、そうだな。と言い苦笑したのだった。

悠斗は左手を突き出し、

 

「――降臨せよ、朱雀」

 

悠斗は紅蓮の不死鳥を傍らに召喚させ、凪沙を優しく朱雀の背に乗せ、悠斗も朱雀の背に飛び乗った所で、朱雀は翼を羽ばたかせた。

 

「んじゃ、先に帰る。 後は頼んだ」

 

「またね。 古城君、雪菜ちゃん、夏音ちゃん」

 

これを最後に、朱雀は飛翔を開始した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

悠斗は、朱雀の背に座りながら、今後の事を凪沙と話し合っていた。

 

「そろそろ、正式に古城に挨拶に行かないとな。……はあ、死ななければいいけど」

 

悠斗が言う挨拶とは、俗に言う、“娘さんをください(・・・・・・・・)”イベントの事である。

この手の挨拶は、――顔見知り関係なしに緊張するのだ。

 

「大丈夫っ! その時は戦おう」

 

悠斗は顔を強張らせた。

 

「な、凪沙。 戦闘の戦うはダメだぞ……」

 

凪沙も、朱雀と、妖姫の蒼氷(アルレシャ・グラキエス)が使役出来る。 島一つ消滅される事が可能かもしれないのだ。

また、“第四真祖vs紅蓮の織天使”になれば、最悪、世界に影響を与えるかもしれない。

 

「もちろん、説得って意味だよ」

 

「そ、そだな」

 

悠斗は安堵の息を吐いた。

凪沙は笑みを浮かべ、

 

「反対されても、――凪沙は悠君を愛し続けるよ」

 

「俺もだな。――俺が愛する人は、凪沙だけだしな」

 

太平洋の真ん中の海上で、二人の唇が重なった。

この時、太陽の光に照らされて、海面が眩い黄金色に輝いていた――。




凪沙ちゃんは、ほぼ悠君の血の従者(血の伴侶)やねヽ(*´∀`)ノ
質問で攻めはない方向にしましたです。流石に激戦直後ですから。まあでも、最後にフラグが立ったかも。

次回は、番外編を予定しております(*- -)(*_ _)

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!

追記。
凪沙ちゃんの荷物等は、古城君が持って帰りましたよー。
また、悠斗君は、何故凪沙ちゃんに妖姫の蒼氷が宿っているか?の予測がほぼ出来てます。悠君、凄っ!て感じですね(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。