今回は番外編ですね。今回の話で、結構急展開?になるかも(笑)
では、投稿です。
本編をどうぞ。
婚約と同棲
太平洋の真ん中に位置する絃神島。
そこのアイランド・サウス七〇三号室に住む悠斗には、余裕が微塵も感じられなかった。
「……やばい、古城に会うだけでこんなに緊張するとは」
今日は古城に挨拶をする日時なのだ。 まあでも、悠斗たちは学生で在る為、高価な服を身に纏い、高級レストランで待ち合わせ。と言う事ではなく、いつもの恰好で
ちなみに、現在の時刻は昼過ぎである。
「大丈夫っ! 古城君なら、すぐにお許しをくれるよ」
「……俺、眼力で殺されそうな気がするんだが」
凪沙は苦笑した。
「悠君は紅蓮の織天使で、第四真祖より強いんだから、問題ないよ」
「……凪沙。 それは戦闘の事であって、この件には関係ないような。 まあでも、元気が出た」
「ふふ、どういたしまして」
「んじゃ、行きますか」
そう言って、悠斗と凪沙は玄関へ移動し、各々の靴に履き替えてから、暁家へ向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「「おじゃまします!!」」」
悠斗と凪沙綺麗に挨拶をしてから、玄関で靴を脱ぎリビング踏み入れると、そこには腕組みした古城がダイニングテーブルに着席していた。 その隣には、雪菜も同席している。 雪菜は、古城の血の伴侶同然だ。 ならば、古城の隣に居て当然なのだ。
凪沙と悠斗は、古城に促され向かい合わせになるように着席した。
「え、えーとだな。 今日はこのような席を設けてくれてありがとうございます」
悠斗の言葉を聞いた凪沙は、クスリと笑った。
「ゆ、悠君。 標準語と丁寧語が混じってるよ」
「あ、やべ」
悠斗は、んん。と言い気を取り直した。
「――今日はこのような席を設けて頂きありがとうございます。 本日は、凪沙さんの兄、古城さんに挨拶を申し上げたいと思い、参上致しました」
古城は頭をガシガシと掻いた。
「悪ィ、悠斗。 いつもの口調に戻してくれ。 何と言うか、違和感しか感じない」
「だ、だよな。 んじゃ、いつもの口調でいかせて貰うわ」
やはり、古城たちには硬い空気は似合わないらしい。
場が柔らかくなった所で、悠斗が話し出す。 その内容は、――凪沙との出会いや、愛情に至るまでの経緯など。 悠斗は、凪沙の軌跡をほぼ赤裸々に語った。 まあでも、凪沙が俯き、顔を真っ赤に染めた場面が多々あったが。
その間古城は、腕を組み真剣に話を聞きながら相槌を打っていた。
「古城。 凪沙との婚約を認めて欲しい」
「古城君。 わたしからもお願いします」
悠斗と凪沙は深く頭を下げ、数秒後頭を上げた。
古城は、悠斗と凪沙を見てから瞑目し、数秒後目を開けた。
「……悠斗は、凪沙を幸せに出来るか?」
「ああ、絶対に幸せにする。 どんな事があっても、彼女の事は離さない」
暫しの緊張が走る。
「……そうか。――実はな、オレも、悠斗には任せられると思っていたんだ。 凪沙の事をこんなにも考えてくれる人なんて、そうそう居ないしな。――――二人の婚約を認めるよ」
悠斗と凪沙は、安堵の息を吐いた。
肩の荷が下りた感じだ。
「でもまあ、母親とオレをクリアしても、最後には親父がいるからな。 あいつは、悠斗の事をあんま知らないから、結構骨が折れるかもしれないぞ」
古城も悠斗の事をあまり知らなかったら、こうも簡単に認める事はなかっただろう。 古城にとって悠斗は、親友であり、背中を任せられる戦友なのだから。
「ま、まあ、それは何とかするよ」
「あとは、牙城君を説得できれば、親公認の婚約者だね」
凪沙は、悠斗を見ながらニッコリ笑った。
悠斗も、自然と笑みが零れる。
今まで沈黙していた雪菜が、笑みを浮かべ、悠斗と凪沙を見ながら口を開く。
「神代先輩も、凪沙ちゃんもおめでとうございます。 幸せになってくださいね」
「ありがとう、雪菜ちゃん。 雪菜ちゃんは、どうするの?」
「確かに、現状維持だと埒があかんぞ。 まあでも、姫柊はあいつの隣を確保してるけどな。 姫柊が一歩を踏み出せば、ほぼ勝利だな」
本人の前で踏み込んだ話をされたので、雪菜は動揺し、あたふたさせた。
だが、そんな雪菜を見ても、古城は、どうしたんだ?姫柊の奴。としか思ってないだろう。 流石、ザ・鈍感である。
「(姫柊も前途多難かもな)」
「(かも。 古城君を気にかけてる女の子はかなり居るから、横から取られちゃう。って事も考えれるよね)」
「(有り得る話だな。 浅葱辺りは、この頃積極的だし)」
悠斗と凪沙は、言葉にせずとも意思疎通が出来るので、脳内に語りかける事が可能だ。
凪沙が、何かを閃いたように口を開く。
「雪菜ちゃんって、ししおうきかん?の剣巫で、古城君の監視役なんだよね?」
古城たちは凪沙に、裏世界の事を全て話したのだ。
こちら側に足を踏み入れた凪沙は、知る権利があるのだから。
「そうですね。 凪沙ちゃんの言う通りです」
次の凪沙の言葉で、古城と雪菜はかなり取り乱す事になるのだ。
「――――だったら、古城君と雪菜ちゃんは
「「なッッ!?」
古城と雪菜は、驚愕の声を上げた。
まあ確かに、雪菜が獅子王機関から受けた任務は、第四真祖の監視である。 ならば、同じ屋根の下で暮らし監視した方が効率は良いのだ。
「な、凪沙は、どど、何処で暮らすんだ?」
凪沙は古城の問いを聞き、きょとんとした。 そんなのは決定済みだよ。と言いたい表情だ。
「凪沙は、悠君と一緒に暮らすよ」
悠斗と凪沙は、半同棲状態だ。
なので、同じ屋根の下で暮らしても問題ないのだ。
「まあそういうことだ。 俺と凪沙は、完全な同棲生活って事になるな。――てか、さっきの件だが、良いと思うぞ。 姫柊もその方が監視しやすいし、移動諸々もなくなって一石二鳥って事になる」
「でしょでしょ。――古城君を朝起こすのも、朝食作りも、雪菜ちゃんのお仕事ってことでどうかな?」
雪菜は顔を赤くしながら、
「せ、先輩が迷惑でないなら……。 その、あの……いいと思います」
「ひ、姫柊!?」
古城は声を上げたが、本人も嫌々ではないようだ。……まあ、悠斗と凪沙の誘導と言う線も否めないが。
「んじゃ、その方向で行くか。 必要な家具とか買いに行くか?」
「うん! あと、お洋服見たいかも」
「いいぞ。 古城たちはどうする?」
古城は溜息を吐いた。
どうやら、色々と腹を括ったらしい。
「ああ、オレも行く。 姫柊は必要最低な物しかなさそうだし、何かと必要な物があるだろ。 服も学校の制服しかなさそうだし」
「そ、そんな事ありませんっ! 先輩のバカっ!」
雪菜はそう叫んだが、
「へいへい」
と、古城に受け流されてしまった。
そんな古城を見ながら、雪菜は頬をぷくっと膨らませた。 ともあれ、こうして報告件、同棲の話が纏まったのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
現在、古城たちは、モノレールの改札前で切符を購入していた。
そう、隣街にあるショッピングモールへ移動する為である。 このショッピングモールは、悠斗と凪沙が初めてデートをした場所でもあるのだ。
ちなみに、古城たちは外出できるラフな恰好である。
「初めてかもな。 四人で買い物は」
「いや、前に皆で行っただろ?」
悠斗が言う前とは、宿泊研修の買い物の時だ。
「あの時は、荷物持ちだっただろ。 こうやって四人で出かけるのは、初めてだなと思ってな」
「……確かに、初めてかもな」
古城と悠斗が話していると、改札奥から可愛い声が届く。
「古城君ーっ、悠君―っ。 行くよー。 ほら、雪菜ちゃんも」
「せ、先輩方。 い、行きますよー」
どうやら、雪菜は凪沙に手を引かれ改札を潜っていたらしい。
これを見た悠斗は苦笑し、古城は、まったく。と言いながら肩を落としていた。
「行くか。 二人とも待ってるみたいだし」
「ああ、そうだな」
そう言って、古城と悠斗は改札潜り、雪菜と凪沙の元へ向かったのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
数分間モノレールに揺られ、目的地へ到着した。 また、モノレールに揺られている間も、凪沙と雪菜は今後の予定について盛り上がっていた。 やはり、戦闘等を除くと、雪菜と凪沙は可愛い中学生なのだ。
――閑話休題。
ショッピングモールの二十扉を潜ると、冷たい風が汗を引いてくれる。
古城と悠斗は額の汗を拭うと、口を開く。
「最初は何処に行くんだ?」
「やっぱ、最初は雑貨屋じゃないのか? 姫柊の必要な物を買わないとな」
「そうだね。 まずは、雪菜ちゃんが必要な物を揃えないと」
「な、何かすいません……」
古城たちは、気にしない気にしない、と言いながら、ロビーの備え付けられているエレベーターに乗り、雑貨屋がある四階へ向かったのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
雑貨屋に入ると、古城と雪菜、悠斗と凪沙で分かれる事になり、買い物が終わったら近場にある長椅子へ集合と言う事になった。
「圧力鍋で豚の角煮も作って見たいしなぁ。 こっちのステンレスフライパンも捨て難いなぁ」
凪沙と悠斗が訪れている場所は、食器コーナと言えばいいのか、かなりの料理器具が展示されている場所だ。
うーん……。と頭を捻っている凪沙を見ながら、悠斗は苦笑した。
「悩んでるなら、どっちも買うか?」
「いいの!?」
振り向いた凪沙は、目を輝かせた。
「おう、いいぞ。 これを使った、凪沙の料理も食べて見たいしな」
「ありがとう! 悠君、大好きっ!」
そう言って、凪沙は悠斗の左腕に抱きついた。
悠斗は笑みを浮かべながら、開いた右腕で、自然と凪沙の頭に手をポンと置いた。 凪沙は小猫のように目を細めて、悠斗の腕に抱きつく力を僅かに強めたのだった。
「俺も大好きだぞ。 ずっと一緒に居ような」
「うんっ!」
悠斗と凪沙は気づいていなかった。 そう、二人を包むように、甘い固有結界が展開されていたのだ。
余談だが、女の子特有なものをほぼ直に押し当てられた悠斗の理性は、ガリガリ削られていのは内緒だ。 目的の商品を籠に入れ、悠斗と凪沙は会計する為レジへ向かい会計を済ませ、集合場所へ急いだのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
長椅子の場所へ向かった悠斗と凪沙だが、古城と雪菜の姿は見当たらなかった。 どうやら、まだ買い物をしてるらしい。
悠斗と凪沙は席に腰を下ろした。 長椅子に座った時、悠斗の右肩に凪沙の頭がコテンと乗せられた。
「凪沙、この恰好好きなんだ。 何か、安心する」
「そうか。――俺も結構好きだったりするんだけどな」
「そっか」
悠斗は眠りそうな凪沙の前髪を左右に分けていた。 凪沙は気持ち良さそうに、ん。と甘い声を出したのだった。 この時、悠斗は気づいた。 此処はショッピングモールであり、――自宅ではないのだ。 つまり、公共の場である。
その証拠に、温かい視線が凄いのだ。
「(ま、いっか)」
悠斗はこの視線を、この一言で片づけてしまったのだった。
数分が経過した頃、結構な荷物を持った古城と雪菜が姿を現した。と言っても、ほぼ古城が持っているが正しいかもしれないが。
「ったく、ここは公共の場だぞ」
二人を見た古城は呆れたようにそう言い、
「か、神代先輩、凪沙ちゃん。 破廉恥です」
雪菜は顔を真っ赤に染めた。
今の言葉は、紗矢華そっくりだ。 悠斗は名残り惜しいが、凪沙を起こす事にした。
「凪沙、移動するぞ」
凪沙は頭を起こし、
「わかった。 でも、もうちょっと堪能したかったかも」
「……俺もだけど。 ま、今日から一緒に暮らすんだし、いつでも出来るだろ」
「ん、そうだね。 そうだっ。 今日は一緒に寝よう」
「まったく、わかったよ。 行くぞ」
「りょうかいです!」
悠斗と凪沙は立ち上がり、古城たちと並ぶ為歩き出した。
それよりも、凪沙のタガが外れそうな気がするのは気のせいだろうか……。
古城たちが次に訪れた場所は、レディース服店だ。
何でも、凪沙がワンピースを見たいらしい。 今更だが、凪沙に似合わない服なんてあるのだろうか?
雪菜と凪沙が手に取ったのは、サマーワンピースだ。
「悠君は、どっちの色がいい?」
凪沙が手にワンピースの色は、対照的なグレーと白である。
グレーは大人に見せるような感じであり、白は活発さを際だせる感じだ。
「そうだな、グレーかな。 見てみたいって言う願望もあるけど」
「りょうかい。 着替えてくるね」
そう言って、凪沙は試着室へと消えて行った。
また、雪菜は凪沙と反対の色、白を試着するらしい。 ちなみに、この色は古城が選択した色らしい。
「なあ古城。 姫柊も似合いそうだな」
「え、ま、まあ、そうだな。 姫柊は、元が良いし、可愛いしな」
「ったく、それを本人の前で言ってやればいいのに」
そう言って、悠斗は溜息を吐いた。
古城は、何でだ?と疑問符を浮かべていたが。 数分経過した所で、試着室のカーテンが開かれた。
「じゃーん。 どうかな?」
グレーのワンピースは、凪沙のスタイルと絶妙にマッチしていた。
その証拠に、悠斗の顔は硬直したままだ。 いや、見惚れているが正しいかもしれない。
「ゆ、悠君。 どうしたの?」
「あ、ああ、すまん。 かなり似合ってる。 見惚れてたわ」
「そ、そっか。 ありがと……」
「お、おう」
凪沙は顔を俯け、悠斗も僅かに顔を朱色に染めたのだった。
それは、とても初々しいカップルに見えたのだった。 悠斗が古城たちを見ると、古城はしどろもどろに答え、雪菜は顔を俯けていた。
雪菜は、古城競争率の中では、頭一つ飛び抜けた感じである。
ともあれ、凪沙と雪菜は私服を数着と、悠斗と古城が選んだサマーワンピースを購入したのだった。 この時悠斗は、凪沙の着物姿も見てみたいと思ったのは秘密である。
レディース服店を出て、腕時計で時間を確認すると、現時刻は十七時を回ろうとした所だ。
「そろそろ帰るか。 姫柊も、今日から古城の家に住むんだ。 私物等の移動もあるだろ」
悠斗がそう言うと、雪菜と古城は目を丸くした。
「え、マジで!?」
「そ、そうなんですか?」
「……そうだけど。 てか、いつからだと思ってたんだよ」
雪菜と古城の事だ。
今から一週間後。とでも思っていたのだろう。
「雪菜ちゃん、古城君をちゃんと見てあげてね」
「え、はい。 わかりました、任せてください」
雪菜は、どうしようもない時は、雪霞狼を使用するので問題ないです。とも言うのだった。
それを聞いた古城は、当然顔を青くしたのだった。 そう、雪霞狼は真祖を殺す事ができる武神具だ。 古城がこうなるのも無理もなかった。
「そう言う事だ、古城。 殺されないように頑張れ」
古城は天井を見上げ、勘弁してくれ……。と呟くのだった。
そんな古城を見ながら、悠斗たちは苦笑した。 とまあ、このようにして、古城たちはショッピングモールを後にしたのだった――。
えー、古城君からすんなり許可が出たな。と思う方すいません(^_^;)
書いてたら、こうなってしまいましてですね……。でもまあ、古城君には急展開?が訪れたのかな。
てか、最終的にはダブルデートぽくなっちゃったけど。こっちの要素が強い気がするのは、たぶん気のせいだ……。
凪沙ちゃんは、既に悠君のマンションに私物を配置してますね(^O^)
さて、次回は暁の帝国かな。
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
追記。
雪菜が住んでいたマンションは、空き部屋になってしまいました……。
ええ、前に住んでいた人、ドンマイですね(-_-;)
後、第四真祖の本当の監視役の事は伏せてますね。まだ、言う時期ではないと思うので。