今回もご都合主義が満載です。てか、新章も頑張って書きます!
では、投稿です。
本編をどうぞ。
焔光の夜伯Ⅰ
十一月も終わりに近づいた木曜日。
暦では晩秋だが、亜熱帯に位置する絃神島には強い日差しが降り注いでいる。 また、今日は振り替え休日なので、学校は休みなのだ。 ちなみに、今の時刻は十六時前後だ。
「どうすっか」
現在凪沙は、買い物で席を外しているのだ。
そう、彩昂祭の買い出しだ。 所謂、学園祭である。 だが、魔力の波動で、悠斗は勢い良く立ち上がる。
場所は、MAR付近だ。 悠斗はリビングを駆けドアを乱暴に開け放った。 外に出た所で、悠斗は眷獣を召喚させた。 誰かに見られ吸血鬼だと露見しても、今はそれ処ではないのだ。
「――降臨せよ、青龍!」
悠斗は青龍の背に飛び乗り、MAR研究所へ急いだ。 その途中で、第四真祖の魔力も察知したのだ。 古城と雪菜も、魔力の波動を感じ取ったのだろう。
「(……頼むから、先走るなよ)」
悠斗はそう懇願しながら、青龍を走らせた。
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MAR研究所に到着し魔力の奔流の場所まで移動すると、そこには、ヴァトラーの側近と思われるトビアス・ジャガンの姿が映る。
また、その一方は、妖精めいた美しい顔立ちで、愉快に笑う少女。
「ほう、紅蓮の織天使か」
「……――トビアス・ジャガン。 お前は古城の護衛につけ。 ここは何とかする」
「……わかりました。 ご武運を」
ジャガンは、自身の力では少女に対抗できない事を悟ったのか、徐々に後退し古城の元へ走って行った。
「――
悠斗は、少女と自身を囲むように結界を張った。 だが、この結界は気休めにしかならない。
「結界で我らを囲ったか。 周りを考えるようになったとはな、紅蓮の織天使も丸くなったものだ」
「……貴様は誰だ。 アヴローラじゃねぇんだろ?」
玄武でも感知が出来ないと言う事は、対策もされていると言う事でもあるのだ。
悠斗は少女を睨みつけ、左手を突き出す。
「そう身構えるな」
「――降臨せよ、朱雀、白虎!」
朱雀はMAR研究所を守る為、建物全体を焔の膜で覆った。
「本当に丸くなったのだな。 被害を最小限に抑える為、
少女は微笑んだ。
だが、悠斗に一つの疑問が浮上する。 少女は、悠斗の眷獣を知っているのだ。
「ならばこちらは――
少女の足元から出現したのは、火山の噴火を思わせる灼熱の人柱だ。 大蛇のようにのたうつ爆炎の激流が悠斗に襲いかかる。
「無駄だ!――切り裂け!」
白虎は走り出し、特殊能力、
だが、玄武のように眷獣を無に還した訳ではないので、再び少女の元へ戻っただろう。
「ほう、黄龍と同じ能力があったのか」
「……何故そこまで知ってる。……まさかだとは思うが、お前、
悠斗は、古城と
「違うな。……それよりも、貴様、覚えているのか。
「どうだろうな。 教える義務はない。 教えて欲しかったら、お前の正体を言え」
少女は、やれやれと頭を振った。
教える気はない、戦闘続行だ。と言う意味だ。
「次はコイツだ。――
少女が新たな眷獣を召喚した。 それは巨大な骸骨の巨人だ。 眼球を失った空虚な眼窩と、巨大な口腔。 剥き出しの肋骨の隙間を満たすのは、一切の光を反射しない闇だ。 悠斗は、コイツは危険だと直感で判断した。 そう、悠斗直感通り、コイツは空間攻撃を所有してる眷獣。 それも第四真祖以上の眷獣だ。 朱雀の守護の焔と白虎の
「――
骸骨の肋骨が扉のように開いて、溢れだした無数の砲弾のように放たれる。 空間そのものを抉り取る闇色の砲弾だ。 結界も易々と破壊するだろう。 また、狙いは悠斗ではなく、MAR研究所内部を荒らすように戦闘を行っている古城たちだ。
「――降臨せよ、黄龍!」
悠斗は黄金の龍を召喚させた。 そう、この場で一番適した眷獣だ。
「――
黄龍が闇の砲弾を空間から出現させ、骸骨が放った闇の砲弾を相殺させた。
また、黄龍が放った攻撃は、ほぼ骸骨の攻撃と同じものだ。
「ほう、同じ攻撃で相殺させたか。 流石と言っておこう。 だが、甘い」
空間から無数の闇の球体が出現し、今度は医療棟を狙ったのだ。
「(……不味い。 あそこには……。 だが、黄龍じゃ間に合わない……)」
その時、頭に声が響いた。
『一度だけ、我の力を貸してやる。 悠斗』
この声は、
麒麟は封印されていたはず……。 だが、考えてる暇はない。
「――降臨せよ、麒麟!」
医療棟に前に召喚されたのは、一本の角に白い鬣、体の背部の衣は白色であり、その他は稲妻の衣を纏った神獣だ。
「――
麒麟は、医療棟を稲妻の衣で守護したが、守護されていなかったビルの外壁を大きく抉って、地下深くに設けられた実験施設を剥き出しにしていた。 分厚い金属の内壁と、補強用の鉄骨。 高電圧コードに冷却液の循環装置。 無数の測定器。 工場の内部を連想させる無機質な空間だ。 この空間の中では、――十二番目が眠っていたのだ。
「ほう。 紅蓮の織天使、貴様、我より強いかもな。 かなり機転が利く。 今少し戦闘を楽しみたかったが、潮時か。 まあいい。 目的は果たしたのでな」
そう言って、少女はMARを後にしようとする。
「テメェ、待ちやがれ!」
その姿は徐々に遠くなっていく。 だが、無暗に追走するのは危険だ。
奴の思う壷になる確率もあるのだから。
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悠斗は、少女との戦闘が終結した所で、MAR内部に入り古城たちの元へ向かった。
「よう、古城。 そっちも終わったんだな」
「ゆ、悠斗。 外で戦闘してたのは、お前だったのか!?」
「まあな。 逃がしちったけどな」
どうやら、古城と雪菜も、アヴローラに似た眷獣たちと戦闘になっていたらしい。
その為、古城たちの正体が、浅葱に露見したらしいが。 当の浅葱は、頭を抱えていた。
「もう意味分かんないわよ! 古城が、
浅葱が混乱するもの解らなくはない。
世界を動かせる吸血鬼が、この場に二人も居るのだから。
「それよりあんたちっ」
浅葱は、悠斗と古城を真剣な眼差しで正面から見た。
「「お、おう」」
「眷獣を使役できるって事は、
「「ま、まあ」」
古城と悠斗は、浅葱の剣幕の圧されてつい答えてしまった。 古城たちは、あっ、と声を上げたが、時既に遅しである。
「へぇ、それって姫柊さん? 悠斗は想像がつくけどさ」
「ま、まあ。 俺は浅葱の思ってる通りだ」
悠斗はかなり恥ずかしかった。
そう、凪沙の血を吸いました。と浅葱に報告すると通りなのだ。
「で、古城は?」
「いや、オレは、そのだな……」
「もうっ! じれったい!――姫柊さん!」
「は……はい!」
全身を竦めながら、雪菜は頭を上げた。 その雪菜の目の前に、ぐい、と浅葱が顔を近づける。 浅葱の瞳が見詰めてるのは、雪菜の細い首筋だ。
「えっと、何と言うか……非常事態だったので……」
思わず素直に指折り始めてしまう雪菜。 いきなりの事だったので、適当に誤魔化すという選択肢に至らなかったのだ。
「こ、古城! あんたねぇ!」
流石、浅葱と言った所かもしれない。
ここに居る三人が普通の人たちではないと解っても、動揺を一切見せないのだ。
「ま、待て、浅葱。 これには深い事情が……」
この時、悠斗が口を開いた。
「……言い争いは終わりだ。 お客さんだぞ」
悠斗の視線の先には、忽然と現れた若い男性の姿が映った。
黒衣を着た、繊細そうな顔立ちの青年だ。
「お久しぶりです、紅蓮の織天使」
「そうだな。 脱獄囚、絃神冥駕」
冥駕が握っていたのは、左右一対の短槍。 それを強引に接合し、一振りの長槍に変えた。
槍からは、漆黒の輝きを纏っている。
「……なるほどな。
「流石ですね。 その通りです」
冥駕は、悠斗を正面から見て微笑んだ。
「で、どうするんだ。 戦うのか?」
「いえいえ、挨拶を。と思いましてね。 流石の私も、第四真祖と紅蓮の織天使相手に、正面からでは敵いません。 ですが、あなたたちは、私に攻撃はできない。 眷獣を召喚したら、この建物を破壊してしまいますからね。 あ、忠告はしときますが、剣巫は私を倒せませんよ」
雪菜は動こうとしたが、悠斗が片手で制した。
「無駄だ、姫柊。
万物には陰と陽があり、始まりと終わりがあるように、霊力と魔力の拮抗は生命の揺らぎその物だ。 人間であれ、魔族であれ、霊力と魔力の双方から切り離された状態では命を維持できない。 だが、絃神冥駕には、この法則は当てはまらないのだ。
「あなたは本当に面白い。 そこまで知っているとは」
「脱獄囚に褒められても嬉しくねぇーよ」
冥駕は、双槍の連結を解除した。
「では、いずれまた。 紅蓮の織天使、神代悠斗。 ふふ、電子の女帝、藍羽浅葱。 いえ、――
静かな声でそう言い残し、冥駕は姿を消して行く。
また、悠斗は、冥駕の言葉を聞いて珍しく目を丸くしたのだった。
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サイレンの音が聞こえる。
MARの敷地は、無惨な姿を晒していた。 美しかった中庭焼け焦げ、建物の硝子は軒並みに砕け散り、
「
未だ膨大な魔力の余韻が燻る中、立ち尽くす古城たちの耳元に、軽妙な声が聞こえてくる。
耳障りな音と共に、虚空に亀裂が走った。
そこから現れたのは、黄金の霧だ。 そう、金髪碧眼の吸血鬼の貴族に。 また、ヴァトラーは真祖と言ったのだ。 女性の真祖と言ったら、悠斗の心当たりは一人しかいない。――中央アメリカの
悠斗は、盛大に溜息を吐いた。
「お前らアホか! 何やってんだよ!」
「やァ、悠斗。 とても楽しませてもらったよ。 まさか、麒麟まで見れるとはね。 ふふ、古城には効果があったみたいだけどね。 だろ、古城?」
「……ああ、そうだな。……思い出したよ。 何もかも、全部な」
古城は、アヴローラの姿をした眷獣と戦い、破壊された医療棟の氷塊の中で眠る少女を見て、忘却の底に沈んでいた記憶を呼び起こしていたのだ。
「そうか。 ならば
彼女は、瞳に残酷な光を浮かべ、半壊した医療棟のビルを睨み上げる。
「だが、哀れなる
「――やめろ」
「――手を出すな」
悠斗と古城の覇気が膨れ上がった。
「……想像以上だ。 紅蓮の織天使は尤も、ヴァトラーが第四真祖も気に入ったのも頷ける」
ジャーダが満足そうに頷いた。
「ならば、此度は貴様らの顔を立てておこうか、暁古城、神代悠斗。 いずれ、我が
古城は黙ったが、悠斗はそうではなかった。
「嫌に決まってるだろ。 つーか、俺に構うな」
「いや、君とは殺し合いをすると思う。
そう言って、ジャーダは質感を失い、虚空へ溶け込むように消えて行った。
おそらく、第三真祖の眷獣の能力だろう。
「相変わらずおっかない婆さんだな。 厄介なのに目をつけられたね、古城。 それに悠斗、君は、必ず婆さんと戦うと思うよ」
ヴァトラーが同情するような眼差しを古城と悠斗に向けた。
「はあ、戦いたくないわ。 第三真祖の眷獣は、面倒な奴らばっかなんだぞ」
そう言って、悠斗は溜息を吐いた。
「いいじゃないか。 一度勝ってるだろ?」
「まあな、殺しはしなかったけど」
「ハハハハッ、それでこそ悠斗だ。 殺さないで次の戦いを楽しむ。 実にいいね! 僕も負けてられないよ!」
「……いや、何にだよ」
このやり取りに、若干頭を痛くした悠斗だった。
「まあいいや。 お前は部下の所に早く行け」
「ふふ、そうさせてもらうよ。 それとこの場の後始末は、君たちに任せるヨ」
「「は?」」
ヴァトラーが口にした言葉に、古城と悠斗はかなりの焦りを見せた。 この場には間もなく
MARの施設は大破。 負傷者も多数。 設備の損害は、一億や二億ではきかないだろう。 襲撃の原因である第三真祖は逃亡済み。 ヴァトラーも既に姿を消している。
つまり、古城と悠斗に責任を取れと言う事だろうか?
「「勘弁してくれ……」」
古城と悠斗は、空を見上げてそう呟いた。
そんな時、雪菜がぽつりと聞いた。 視線の先には、医療棟の地下に設置された巨大な氷塊だ。
「先輩、彼女は……?」
「……本当のアヴローラ。 十二番目の
「眠ってるの?」
浅葱がそう聞いてくる。
古城は、いや。と頭を振った。
「こいつはもう死んでるよ」
氷塊の中に横たわる少女の胸には、銀色の槍が輝いていた。 彼女の心臓を刺し貫くように。 そう、金属製の杭が。
古城は切なげに目を伏せ、呟く。
「オレが、この手で殺したんだ――」
悠斗は、古城の肩に手を乗せた。
「俺も死の間際に居合わせた――。本当は、部外者のはずだったんだがな」
第三真祖は、悠斗君と戦いたかったんでしょうね(笑)なので、古城君は自身の分身眷獣(アブローラ似)を戦わせた。と言う事です。
てか、この小説での凪沙ちゃんは、元気ですよ。なので、MARには入院してないんです。
この章の原作は読んだけど、矛盾が出そうで怖い……。
まあ、出たらゴリ押ししちゃいます(笑)
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!