ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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更新が遅れました(-_-;)
今回もご都合主義が満載です。てか、新章も頑張って書きます!

では、投稿です。
本編をどうぞ。


焔光の夜伯
焔光の夜伯Ⅰ


十一月も終わりに近づいた木曜日。

暦では晩秋だが、亜熱帯に位置する絃神島には強い日差しが降り注いでいる。 また、今日は振り替え休日なので、学校は休みなのだ。 ちなみに、今の時刻は十六時前後だ。

 

「どうすっか」

 

現在凪沙は、買い物で席を外しているのだ。

そう、彩昂祭の買い出しだ。 所謂、学園祭である。 だが、魔力の波動で、悠斗は勢い良く立ち上がる。

場所は、MAR付近だ。 悠斗はリビングを駆けドアを乱暴に開け放った。 外に出た所で、悠斗は眷獣を召喚させた。 誰かに見られ吸血鬼だと露見しても、今はそれ処ではないのだ。

 

「――降臨せよ、青龍!」

 

悠斗は青龍の背に飛び乗り、MAR研究所へ急いだ。 その途中で、第四真祖の魔力も察知したのだ。 古城と雪菜も、魔力の波動を感じ取ったのだろう。

 

「(……頼むから、先走るなよ)」

 

悠斗はそう懇願しながら、青龍を走らせた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

MAR研究所に到着し魔力の奔流の場所まで移動すると、そこには、ヴァトラーの側近と思われるトビアス・ジャガンの姿が映る。

また、その一方は、妖精めいた美しい顔立ちで、愉快に笑う少女。

 

「ほう、紅蓮の織天使か」

 

「……――トビアス・ジャガン。 お前は古城の護衛につけ。 ここは何とかする」

 

「……わかりました。 ご武運を」

 

ジャガンは、自身の力では少女に対抗できない事を悟ったのか、徐々に後退し古城の元へ走って行った。

 

「――炎月(えんげつ)!」

 

悠斗は、少女と自身を囲むように結界を張った。 だが、この結界は気休めにしかならない。

 

「結界で我らを囲ったか。 周りを考えるようになったとはな、紅蓮の織天使も丸くなったものだ」

 

「……貴様は誰だ。 アヴローラじゃねぇんだろ?」

 

玄武でも感知が出来ないと言う事は、対策もされていると言う事でもあるのだ。

悠斗は少女を睨みつけ、左手を突き出す。

 

「そう身構えるな」

 

「――降臨せよ、朱雀、白虎!」

 

朱雀はMAR研究所を守る為、建物全体を焔の膜で覆った。

 

「本当に丸くなったのだな。 被害を最小限に抑える為、そいつら(・・・・)か」

 

少女は微笑んだ。

だが、悠斗に一つの疑問が浮上する。 少女は、悠斗の眷獣を知っているのだ。

 

「ならばこちらは――疾い(こい)、シウテクトリ」

 

少女の足元から出現したのは、火山の噴火を思わせる灼熱の人柱だ。 大蛇のようにのたうつ爆炎の激流が悠斗に襲いかかる。

 

「無駄だ!――切り裂け!」

 

白虎は走り出し、特殊能力、次元切断(ディメンジョン・セェヴァル)で空間を切り裂いた。 焔の柱は、切り裂かれた次元に吸い込まれるように消滅した。

だが、玄武のように眷獣を無に還した訳ではないので、再び少女の元へ戻っただろう。

 

「ほう、黄龍と同じ能力があったのか」

 

「……何故そこまで知ってる。……まさかだとは思うが、お前、原初(ルート)か?」

 

原初(ルート)なら知っていても不思議はない。

悠斗は、古城と十二番目(アヴローラ)。 二人と協力して原初(ルート)と戦闘になった事があるのだ。 少女は眉を寄せた。

 

「違うな。……それよりも、貴様、覚えているのか。 焔光(えんこう)(うたげ)を」

 

「どうだろうな。 教える義務はない。 教えて欲しかったら、お前の正体を言え」

 

少女は、やれやれと頭を振った。

教える気はない、戦闘続行だ。と言う意味だ。

 

「次はコイツだ。――疾い(こい)、ソロトル」

 

少女が新たな眷獣を召喚した。 それは巨大な骸骨の巨人だ。 眼球を失った空虚な眼窩と、巨大な口腔。 剥き出しの肋骨の隙間を満たすのは、一切の光を反射しない闇だ。 悠斗は、コイツは危険だと直感で判断した。 そう、悠斗直感通り、コイツは空間攻撃を所有してる眷獣。 それも第四真祖以上の眷獣だ。 朱雀の守護の焔と白虎の次元切断(ディメンジョン・セェヴァル)だけでは足りない。

 

「――往け(ゆけ)、ソロトル」

 

骸骨の肋骨が扉のように開いて、溢れだした無数の砲弾のように放たれる。 空間そのものを抉り取る闇色の砲弾だ。 結界も易々と破壊するだろう。 また、狙いは悠斗ではなく、MAR研究所内部を荒らすように戦闘を行っている古城たちだ。

 

「――降臨せよ、黄龍!」

 

悠斗は黄金の龍を召喚させた。 そう、この場で一番適した眷獣だ。

 

「――影沫(やぶき)!」

 

黄龍が闇の砲弾を空間から出現させ、骸骨が放った闇の砲弾を相殺させた。

また、黄龍が放った攻撃は、ほぼ骸骨の攻撃と同じものだ。

 

「ほう、同じ攻撃で相殺させたか。 流石と言っておこう。 だが、甘い」

 

空間から無数の闇の球体が出現し、今度は医療棟を狙ったのだ。

 

「(……不味い。 あそこには……。 だが、黄龍じゃ間に合わない……)」

 

その時、頭に声が響いた。

 

『一度だけ、我の力を貸してやる。 悠斗』

 

この声は、麒麟(・・)だ。

麒麟は封印されていたはず……。 だが、考えてる暇はない。

 

「――降臨せよ、麒麟!」

 

医療棟に前に召喚されたのは、一本の角に白い鬣、体の背部の衣は白色であり、その他は稲妻の衣を纏った神獣だ。

 

「――衣亙(いこう)!」

 

麒麟は、医療棟を稲妻の衣で守護したが、守護されていなかったビルの外壁を大きく抉って、地下深くに設けられた実験施設を剥き出しにしていた。 分厚い金属の内壁と、補強用の鉄骨。 高電圧コードに冷却液の循環装置。 無数の測定器。 工場の内部を連想させる無機質な空間だ。 この空間の中では、――十二番目が眠っていたのだ。

 

「ほう。 紅蓮の織天使、貴様、我より強いかもな。 かなり機転が利く。 今少し戦闘を楽しみたかったが、潮時か。 まあいい。 目的は果たしたのでな」

 

そう言って、少女はMARを後にしようとする。

 

「テメェ、待ちやがれ!」

 

その姿は徐々に遠くなっていく。 だが、無暗に追走するのは危険だ。

奴の思う壷になる確率もあるのだから。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

悠斗は、少女との戦闘が終結した所で、MAR内部に入り古城たちの元へ向かった。

 

「よう、古城。 そっちも終わったんだな」

 

「ゆ、悠斗。 外で戦闘してたのは、お前だったのか!?」

 

「まあな。 逃がしちったけどな」

 

どうやら、古城と雪菜も、アヴローラに似た眷獣たちと戦闘になっていたらしい。

その為、古城たちの正体が、浅葱に露見したらしいが。 当の浅葱は、頭を抱えていた。

 

「もう意味分かんないわよ! 古城が、世界最強の吸血鬼(第四真祖)で、悠斗はそれを超える紅蓮の織天使。 姫柊さんは、国の特務機関から派遣されて来た監視役? 何なんよホントに……ああもうっ!」

 

浅葱が混乱するもの解らなくはない。

世界を動かせる吸血鬼が、この場に二人も居るのだから。

 

「それよりあんたちっ」

 

浅葱は、悠斗と古城を真剣な眼差しで正面から見た。

 

「「お、おう」」

 

「眷獣を使役できるって事は、ヤッた(吸血した)んでしょ?」

 

「「ま、まあ」」

 

古城と悠斗は、浅葱の剣幕の圧されてつい答えてしまった。 古城たちは、あっ、と声を上げたが、時既に遅しである。

 

「へぇ、それって姫柊さん? 悠斗は想像がつくけどさ」

 

「ま、まあ。 俺は浅葱の思ってる通りだ」

 

悠斗はかなり恥ずかしかった。

そう、凪沙の血を吸いました。と浅葱に報告すると通りなのだ。

 

「で、古城は?」

 

「いや、オレは、そのだな……」

 

「もうっ! じれったい!――姫柊さん!」

 

「は……はい!」

 

全身を竦めながら、雪菜は頭を上げた。 その雪菜の目の前に、ぐい、と浅葱が顔を近づける。 浅葱の瞳が見詰めてるのは、雪菜の細い首筋だ。

 

「えっと、何と言うか……非常事態だったので……」

 

思わず素直に指折り始めてしまう雪菜。 いきなりの事だったので、適当に誤魔化すという選択肢に至らなかったのだ。

 

「こ、古城! あんたねぇ!」

 

流石、浅葱と言った所かもしれない。

ここに居る三人が普通の人たちではないと解っても、動揺を一切見せないのだ。

 

「ま、待て、浅葱。 これには深い事情が……」

 

この時、悠斗が口を開いた。

 

「……言い争いは終わりだ。 お客さんだぞ」

 

悠斗の視線の先には、忽然と現れた若い男性の姿が映った。

黒衣を着た、繊細そうな顔立ちの青年だ。

 

「お久しぶりです、紅蓮の織天使」

 

「そうだな。 脱獄囚、絃神冥駕」

 

冥駕が握っていたのは、左右一対の短槍。 それを強引に接合し、一振りの長槍に変えた。

槍からは、漆黒の輝きを纏っている。

 

「……なるほどな。 零式突撃降魔双槍(ファングツァーン)――獅子王機関の失敗作か」

 

「流石ですね。 その通りです」

 

冥駕は、悠斗を正面から見て微笑んだ。

 

「で、どうするんだ。 戦うのか?」

 

「いえいえ、挨拶を。と思いましてね。 流石の私も、第四真祖と紅蓮の織天使相手に、正面からでは敵いません。 ですが、あなたたちは、私に攻撃はできない。 眷獣を召喚したら、この建物を破壊してしまいますからね。 あ、忠告はしときますが、剣巫は私を倒せませんよ」

 

雪菜は動こうとしたが、悠斗が片手で制した。

 

「無駄だ、姫柊。 零式突撃降魔双槍(ファングツァーン)の能力は、魔力も霊力も等しく消滅させる。 だが、絃神冥駕は如何なる異能の力を受けない。 ここまで言えば解るな」

 

万物には陰と陽があり、始まりと終わりがあるように、霊力と魔力の拮抗は生命の揺らぎその物だ。 人間であれ、魔族であれ、霊力と魔力の双方から切り離された状態では命を維持できない。 だが、絃神冥駕には、この法則は当てはまらないのだ。

 

「あなたは本当に面白い。 そこまで知っているとは」

 

「脱獄囚に褒められても嬉しくねぇーよ」

 

冥駕は、双槍の連結を解除した。

 

「では、いずれまた。 紅蓮の織天使、神代悠斗。 ふふ、電子の女帝、藍羽浅葱。 いえ、――カインの巫女(・・・・・・)よ」

 

静かな声でそう言い残し、冥駕は姿を消して行く。

また、悠斗は、冥駕の言葉を聞いて珍しく目を丸くしたのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

サイレンの音が聞こえる。 特区警備隊(アイランド・ガード)の治安部隊だろう。 市街地で、真祖クラスの眷獣が暴れたのだ。 MARが通報しなくても、特区警備隊(アイランド・ガード)が押し寄せて来るのは当然だった。

MARの敷地は、無惨な姿を晒していた。 美しかった中庭焼け焦げ、建物の硝子は軒並みに砕け散り、人工島(フロート)の基底部まで剥き出しになっている。

 

真祖(・・)と紅蓮の織天使の戦い――存分に堪能させてもらいましたよ」

 

未だ膨大な魔力の余韻が燻る中、立ち尽くす古城たちの耳元に、軽妙な声が聞こえてくる。

耳障りな音と共に、虚空に亀裂が走った。

そこから現れたのは、黄金の霧だ。 そう、金髪碧眼の吸血鬼の貴族に。 また、ヴァトラーは真祖と言ったのだ。 女性の真祖と言ったら、悠斗の心当たりは一人しかいない。――中央アメリカの夜の帝国(ドミニオン)混沌海域(こんとんかいいき)の領主、二十七体の眷獣を従え、無数の化身へと姿を変える第三真祖――混沌の皇女(ケイオスブライド)だ。 彼女の髪の色も、虹色に輝く金髪から緑色に。 青白い瞳も輝きも消え、深い翡翠色に変わっていた。 先程までの少女とは完全に別人だ。

悠斗は、盛大に溜息を吐いた。

 

「お前らアホか! 何やってんだよ!」

 

「やァ、悠斗。 とても楽しませてもらったよ。 まさか、麒麟まで見れるとはね。 ふふ、古城には効果があったみたいだけどね。 だろ、古城?」

 

「……ああ、そうだな。……思い出したよ。 何もかも、全部な」

 

古城は、アヴローラの姿をした眷獣と戦い、破壊された医療棟の氷塊の中で眠る少女を見て、忘却の底に沈んでいた記憶を呼び起こしていたのだ。

 

「そうか。 ならば(ワタシ)の役目もこれで終わりだ」

 

彼女は、瞳に残酷な光を浮かべ、半壊した医療棟のビルを睨み上げる。

 

「だが、哀れなる十二番目(アヴローラ)の亡骸を弄んだMARとやら。 奴らには、相応の報いを与えてやるべきだと思うが――」

 

「――やめろ」

 

「――手を出すな」

 

悠斗と古城の覇気が膨れ上がった。

 

「……想像以上だ。 紅蓮の織天使は尤も、ヴァトラーが第四真祖も気に入ったのも頷ける」

 

ジャーダが満足そうに頷いた。

 

「ならば、此度は貴様らの顔を立てておこうか、暁古城、神代悠斗。 いずれ、我が混沌海域(こんとんかいいき)でまみえようぞ。 それまでに、無くしたものを取り戻しとくがいい」

 

古城は黙ったが、悠斗はそうではなかった。

 

「嫌に決まってるだろ。 つーか、俺に構うな」

 

「いや、君とは殺し合いをすると思う。 (ワタシ)の直感だがな」

 

そう言って、ジャーダは質感を失い、虚空へ溶け込むように消えて行った。

おそらく、第三真祖の眷獣の能力だろう。

 

「相変わらずおっかない婆さんだな。 厄介なのに目をつけられたね、古城。 それに悠斗、君は、必ず婆さんと戦うと思うよ」

 

ヴァトラーが同情するような眼差しを古城と悠斗に向けた。

 

「はあ、戦いたくないわ。 第三真祖の眷獣は、面倒な奴らばっかなんだぞ」

 

そう言って、悠斗は溜息を吐いた。

 

「いいじゃないか。 一度勝ってるだろ?」

 

「まあな、殺しはしなかったけど」

 

「ハハハハッ、それでこそ悠斗だ。 殺さないで次の戦いを楽しむ。 実にいいね! 僕も負けてられないよ!」

 

「……いや、何にだよ」

 

このやり取りに、若干頭を痛くした悠斗だった。

 

「まあいいや。 お前は部下の所に早く行け」

 

「ふふ、そうさせてもらうよ。 それとこの場の後始末は、君たちに任せるヨ」

 

「「は?」」

 

ヴァトラーが口にした言葉に、古城と悠斗はかなりの焦りを見せた。 この場には間もなく特区警備隊(アイランド・ガード)が押し寄せて来るのだ。

MARの施設は大破。 負傷者も多数。 設備の損害は、一億や二億ではきかないだろう。 襲撃の原因である第三真祖は逃亡済み。 ヴァトラーも既に姿を消している。

つまり、古城と悠斗に責任を取れと言う事だろうか?

 

「「勘弁してくれ……」」

 

古城と悠斗は、空を見上げてそう呟いた。

そんな時、雪菜がぽつりと聞いた。 視線の先には、医療棟の地下に設置された巨大な氷塊だ。

 

「先輩、彼女は……?」

 

「……本当のアヴローラ。 十二番目の焔光の夜伯(カレイドブラッド)だ」

 

「眠ってるの?」

 

浅葱がそう聞いてくる。

古城は、いや。と頭を振った。

 

「こいつはもう死んでるよ」

 

氷塊の中に横たわる少女の胸には、銀色の槍が輝いていた。 彼女の心臓を刺し貫くように。 そう、金属製の杭が。

古城は切なげに目を伏せ、呟く。

 

「オレが、この手で殺したんだ――」

 

悠斗は、古城の肩に手を乗せた。

 

「俺も死の間際に居合わせた――。本当は、部外者のはずだったんだがな」




第三真祖は、悠斗君と戦いたかったんでしょうね(笑)なので、古城君は自身の分身眷獣(アブローラ似)を戦わせた。と言う事です。
てか、この小説での凪沙ちゃんは、元気ですよ。なので、MARには入院してないんです。

この章の原作は読んだけど、矛盾が出そうで怖い……。
まあ、出たらゴリ押ししちゃいます(笑)

ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
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