ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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この章は、ご都合主義が満載かも(笑)
昨日、日間4位にランキング致しました。ありがとうございます。これも、読者様のお陰ですm(__)m
てか、4000~5000字に纏めるの難しいですね。

では、投稿です。
本編をどうぞ。


焔光の夜伯Ⅱ

中世の城館を連想させる、古色蒼然(こしょくそうぜん)とした部屋だ。 不揃いな自然石を積み上げた壁が、ずっしりした質量を感じさせ息苦しい。 石壁に穿たれた小さな窓からは、血の色に似た赤い夕陽が差し込んでる。 敷き詰められた絨毯も色褪せた深緋色。 この場には、向かい合わせになりパイプ椅子に座る、悠斗と凪沙の姿がある。

 

「記憶共有ってこと?」

 

「そうだな。 凪沙も、俺の過去が気になるだろ?」

 

凪沙は頷いた。

凪沙が気になるもの当然だった。 悠斗が、何処でこの力を手に入れたのか? 何処の生まれなのか?は未だに謎なのだ。 悠斗の予想では、肉親(・・)に関わる事は、全て封じられているのかもしれない。 そう、悠斗が覚えているのは、一族関連の事と自身の事だけなのだから。

 

「俺も、両親の事はかなり気になってるんだがな。 つっても、また此処に来るとは思わなかったわ……」

 

悠斗が言う此処とは、監獄結界(・・・・)内部だ。 悠斗たちが座るパイプ椅子の下には、幾重にも構成された魔術の文字が描かれている。 これは高位の魔法陣だ。

また、古城と浅葱はあの後気絶してしまったので、監獄結界内部連れ込んだのは悠斗である。 そして古城たちは、追体験がすでに始まっているはずだ。

その時、那月が部屋の内部に足を踏み込む。

 

「世界を動かせる奴らが、この場に三人も居るとな。――暁凪沙、お前も真祖たちの仲間入りだな」

 

「そ、そうなんですか?」

 

凪沙は驚いたように聞き返した。

那月は頷いてから、

 

「お前は、紅蓮の織天使の血の従者だ。 真祖とほぼ同等だぞ」

 

凪沙は、紅蓮の織天使の血の従者になった事で、黄龍と麒麟を除き、四神たちを召喚可能になったのだ。

 

「そ、そうですか……」

 

どうやら凪沙は、今一実感が無いらしい。

まあ確かに、すぐに理解しろ。と言うのも難しいかもしれない。

 

「那月ちゃん。 やっぱそれを使うんだな」

 

「ちゃんづけをするな。 悠斗(・・)

 

悠斗は、那月が持つ扇子で額を小突かれた。

優しく小突かれたので、あまり痛みを感じなかった。 那月も私用となれば、悠斗とは昔のように接してるのだ。

那月は、まったく。と言い溜息を吐く。

 

「その通りだ。 これを使う」

 

那月の左腕には、一冊の古びた本が抱えられていた。

No.014 固有堆積時間操作(パーソナルヒストリー)の魔導書だ。 この魔導書は、経験、記憶、成長、変化の固有堆積時間操作(パーソナルヒストリー)を奪う。 優れた能力を持つ大人を無力な子供に戻し、相手の知識や経験を自身のものにするという、凶悪な魔導書だ。

世界中の魔導書を蒐集する犯罪組織、図書館(LCO)でも、犯罪者である総記(ジェネラル)だけが持つ事を許された危険な本だった。

 

「出来る事は記憶共有くらいだ。 お前相手では、記憶を全て奪い取る事は不可能だしな。 悠斗は、ある程度は予測してたんだろ? しかし、暁凪沙と一緒だったのは予想外だった」

 

「凪沙は、俺の過去を知るべき人だ。 連れてくるのは当たり前だ」

 

凪沙は、悠斗の過去を知る権利があるのだ。

那月は、そうか。と頷いた。

 

「わたしも見るがな」

 

「別に構わないけど、那月ちゃんも知る権利があると思うし」

 

「だが、悠斗。 お前には辛い体験になると思う。 一族が――――」

 

「……ああ、解ってる。 覚悟はある」

 

悠斗は、那月の言葉を遮った。

過去を見ると言う事は、天剣一族が滅ぼされる経緯も見ると言う事だ。 悠斗にとっては、肉親が失われる瞬間を見る事になるのだ。

 

「……暁凪沙。 お前も覚悟はいいか?」

 

「はい。 南宮先生」

 

「そうか。 ならば、始める」

 

瞬間、悠斗と凪沙の意識は地下深くを潜るように沈んで行った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

天剣一族が暮らす町は、とある辺境の地にある。 この場所は緑豊かで、争いは無縁の地だ。

神代悠斗は、水が透き通る浅辺の湖で、魚を取るに夢中になっていた。

 

「たあっ」

 

悠斗は狙いを定めて魚を取ろうとするが、やはり素手で魚を取るのは難しいらしい。

そんな悠斗の姿を、近場の石段に座り、微笑んで見ている少女の姿もあった。

彼女の名前は、神代朱音(かみしろ あかね)。 神代悠斗の――――()だ。

 

「ほら、頑張って。 今夜は魚にするんでしょ」

 

「姉ちゃん。 コイツら逃げ足が早いんだよ……。 そうだ! 姉ちゃんの眷獣の力を――」

 

「使いませんっ!」

 

「……姉ちゃんのケチ。 はあ、俺も眷獣を顕現できるようになればなぁ……」

 

悠斗はまだ未熟なので、眷獣を顕現する事ができない。 また、悠斗は一度も顕現した事が無いので、自身の中に、どのような眷獣が眠っているかも解っていないのだ。

 

「そんな事言ってないで、魚を捕る努力をしよう」

 

「はいはい」

 

悠斗は、若干へそを曲げてしまった。 彼を見ながら朱音は、まったくもう。と呟くのだった。

その後も、悠斗は魚捕りを続けた。 収穫数は、四匹だ。

 

「父さんと母さんを合わせてピッタリだよ。 流石でしょ、姉ちゃん」

 

「よく頑張りました。 お姉ちゃんがご褒美を差し上げよう」

 

そう言って、朱音は悠斗の頭をくしゃくしゃと撫でた。

朱音のご褒美とは、この事らしい。

 

「やめろよっ」

 

「良いではないか、良いではないか」

 

悠斗と朱音は、魚が入った大き目のバケツを持ち、帰路に着いた。 その間も、悠斗と朱音は、楽しく談笑をしながらだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

悠斗は、木製のドアをスライドさせ玄関で靴を脱ぐと、バケツ持ちキッチンへ急いだ。

キッチンへ入ると、悠斗の母――神代優白(かみしろ ましろ)が微笑みながら振り向いた。

 

「お帰りなさい。 どうだった?」

 

「四匹捕れたよ」

 

悠斗は、流しにバケツを置いた。

見た感じ、かなり活きがいい魚たちだ。

 

「あら。 それなら、全員分あるわね。 じゃあ、お母さんはお料理作っちゃうから、居間に行ってなさい」

 

「わかった」

 

悠斗が居間に戻ると、畑仕事が終わった父――神代龍夜(かみしろ りゅうや)の姿があった。

話によると、そろそろ米の収穫時期らしい。

 

「父さん、お帰り」

 

「おう、悠斗。 ただいま」

 

それから数分後、朱音と優白がお盆に料理を乗せ、テーブルの上に乗せていった。

全員が着席し、いただきます。と音頭をとってから、各々が料理に手をつける。 夜食は、さんまの味噌煮に白いご飯、わかめ味噌汁と言った献立だ。

 

「自分で捕ったのは格別だね」

 

「ふふ、最初は全然捕れなかったくせに」

 

朱音の言葉を聞いて、悠斗はむくれた。

そんな二人を見て、優白と龍夜は苦笑した。 夜食を食べ終わり、各自で流しに食器を置いた。

そんな時、優白が声を上げた。

 

「今日のお供え物、神様に捧げたかしら?」

 

「まだだったような気がするな。 供え物は、玄関に置いてあった気がするぞ」

 

天剣一族には、神々を崇める祭壇があるのだ。

其処には、一日一回、神々に供え物を捧げる仕来たりがあるのだ。

 

「それじゃあ、俺が行ってくるよ」

 

「わたしも行くわ。 悠斗一人じゃ不安だし」

 

悠斗と朱音は立ち上がり、供え物を手にしてから、靴に履き替え家を出た。

祭壇の場所は自宅から離れ数分歩いた所にあり、祭壇の壁には、神々の彫刻が施されている。

其れは、月夜に照らされ幻想的に輝いていた。

 

「凄い……」

 

「ええ、そうね……」

 

朱音と悠斗は、祭壇に彫刻されている神々の絵を見入っていた。

その時、ドンッッ!!と凄まじい爆発音が聞こえてきた。 爆発音の発生地は、悠斗たちの家の方角。 そう、天剣一族の町からだ。

 

「な、何だ!?」

 

「様子を見に行きましょう!」

 

町に戻り、悠斗と朱音が見たものは、火の海に変わり果てた町だった。 家や畑なども焼け焦げ、原形を留めていなかった。

朱音の目には、襲撃者が映った。 黒いローブに身を包み、顔は見えない。 だが、眷獣を召喚しているのだ。 ローブの中は吸血鬼だ。 朱音は聞いた事があった。――――『異能狩り』。 この集団は、特殊な体質の持ち主を殲滅する集団だ。 天剣一族は、吸血鬼では有り得ないとされる神々の眷獣を内に宿すのだ。 誰の目から見ても、天剣一族は特殊なのだ。

 

「(でも、どうやってここを突き止めたの? もしかして、しらみ潰しに探してた?)」

 

そう、『異能狩り』は特殊体質の持ち主を感知できる力を持つのだ。

朱音の考えが的を得ていた。

町の人々も眷属を召喚して戦闘をするが、多勢に無勢だ。 眷獣の質が高かろうと、数で押し切っているのだ。――――悠斗と朱音の目には、一族の者が殺されていく光景が広がっているのだ。

その時、二人の影が飛び込んで来た。 悠斗と朱音の両親だ。 体の所々には、殺傷もちらほらと窺えた。 あの乱戦を潜り抜けてきたのだ。

 

「無事か? 二人とも」

 

「取り敢えず、遠くへ逃げるわよ」

 

悠斗たちは走り出した。

今逃げなくては、全員殺されてしまう。 他者を助ける余裕までなかったのだ。 だが、『異能狩り』も簡単には逃がしてくれない。

 

「朱音。 悠斗を連れて逃げるんだ」

 

「ここは任せなさい」

 

急に足を止めた、優白と龍夜がそう言った。 そう、悠斗と朱音を逃がす為、優白と龍夜はここで死を選んだのだ。

 

「ダメ! 一緒に逃げるんだよ!」

 

朱音が声を上げたが、龍夜と優白は頭を振るだけだ。

 

「いや、ここでお別れだ」

 

「朱音、悠斗を守るのよ。 約束して」

 

朱音は、先程と同じ言葉を口にしようとしたがそれを飲み込んだ。

すでに、『異能狩り』が目視できる距離まで来てるのだ。

 

「……約束するよ」

 

朱音は、涙を流しながら頷いた。

 

「いい、悠斗。 朱音の言葉を守るのよ」

 

「悠斗、お前は立派な男になる。 絶対に死ぬな、諦めるな」

 

悠斗は幼くても、頭は回る方だ。 すぐに状況を判断し理解した。 悠斗は、涙で顔を歪めた。

 

「……わかった」

 

これが、両親との最後の会話になったのだ。

朱音は目許に溜まった涙を拭い、悠斗の手を引いて走り出した。 龍夜と優白は敵を見据えた。 そして、左手を突き出す。

 

「――顕現せよ、青龍!」

 

「――疾て(きて)、白虎!」

 

龍夜の隣に青き龍が、優白の隣には純白の虎が召喚された。

二人は頷き合うと、敵集団の突撃を開始した。 龍夜と優白の最後の戦闘が始まったのだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

悠斗と朱音は、涙を拭いながら走る。 その時、朱音の体に何かが入った感覚があった。 これは両親の温かさに似ていた。 そう、両親の眷獣だ。 龍夜と優白は、自身が絶命したら、眷獣の権限が移るようにしたのだ。

 

「……父さん、母さん」

 

「……姉ちゃん、もしかして……」

 

「……泣いたらダメよ。 父さんと母さんの約束を守るの」

 

だが、この場には隠れる場所がないのだ。

奴らが追跡を続けてるとしたら、見つかるのも時間の問題だ。 だがそれはやってくる――。

朱音は、後方を振り返った。 奴らが追ってきてるのだ。 朱音は、悠斗の手を引いた。

 

「いい、悠斗。 ここから動いちゃダメよ」

 

「……え」

 

同時に、朱音の言葉が響く。

 

「――炎月(えんげつ)!」

 

悠斗は、四方の結界に包まれた。 朱音は、結界の前に立つ。

朱音が考えた事は、ここで敵を殲滅させる事だ。 敵の残りも三分の一だ。 両親が三分の二を削ったのだ。

 

「――おいで、朱雀、青龍、白虎!」

 

朱音が再び言葉を紡ぐと、朱雀は飛び朱音と融合した。――これにより、二対四枚の紅蓮の翼が朱音の背から出現する。 本来なら神々の力も付与されるはずだが、朱音にはそこまで力量はなかった。 なので、守護のみの向上だけだ。

本来なら、融合はせずに使役したいが、生身の状態で攻撃を受けると一撃で絶命する気険があるのだ。

 

「もしかしたら、わたしもここまでかもね」

 

そう言って、朱音は苦笑した。

ただ死ぬつもりはない。 『異能狩り』を全滅させてからだ。 だが、死を免れる事は不可能かもしれない。 三体の眷獣同時使役は、体力と精神力をかなり削るのだ。

朱音は息を吐いた。

 

「――雷球(らいほう)空砲(くうほう)!」

 

青龍の凶悪な口からは雷球が放たれ、白虎からは空気の砲弾が放たれた。

かなりの数は絶命させたと思ったが、直撃した者だけしか倒せなかった。 そう、死人のように蘇るのだ。

 

「……これが、父さんと母さんが負けた理由……」

 

其れからは死闘だった。 朱音は攻撃を掻い潜り、守護の焔で浄化させたり、青龍の雷で奴らを消し飛ばす。 白虎に突撃させ、爪で切り裂く。

同じ事を何時間繰り返したか解らなかった。 だが、徐々に敵の数が減っているのは確かだった。

 

「はあ……はあ……はあ」

 

荒い息を吐きながら、朱音は相手を見据えた。

敵の数は残り5人ほど。 だが、自身の体力、精神力は限界で、眷獣が今にも消えそうだ。 命を犠牲に攻撃できても、後1回だけ。

この1撃で決めるしかない。

 

「――雷……球!」

 

青龍が放った雷球が、直撃し残りを消し飛ばした。 朱音は、全ての『異能狩り』を倒したのだ。

それと同時に、悠斗を囲んでいた結界が解けた。 悠斗は朱音の元へ走り出した。

 

「ね、姉ちゃん。 死なないよね?」

 

「……ごめんね。 お姉ちゃん、限界かも」

 

朱音の眷獣は、徐々に消えかかっている。 これが命の残量と見て間違えなかった。

 

「……だ、ダメだ! お、俺、姉ちゃんがいないと!」

 

「……いい、悠斗。……これから辛い事がきっとあると思う。……でも、悠斗なら大丈夫……。 何て言ったって、わたしの弟だもの……。 それから、ゴメンね」

 

そう言って、朱音は悠斗の頭に手を置いた。

そう、肉親に関する事は封じるのだ。 今の悠斗は、この重圧に押し潰されてしまうからだ。

 

「……悠斗、あなたに封印を施したわ。……数時間後には、わたしたち家族に関する事は記憶の奥底に封じ込められる。……でも、わたしたち家族はずっと一緒よ……」

 

朱音は、ゆっくり目を閉じていく。

命の灯が消えかかっているのだ。 そして、――全身の力が完全に抜けた。 神代朱音は、神代悠斗を守りこの世を去ったのだ。 悠斗は、大好きな姉を抱え込むようにし、涙を流し顔を歪めた。

その時、悠斗の体に温かなものが入って来た。 これは家族の温かみだ。 龍夜(青龍)優白(白虎)朱音(朱雀)が使役していた眷獣だ。

最後に、一族から託された眷獣(玄武)も入って来た。

又しても足音が、再び『異能狩り』が駆け付けたのだ。 おそらく、絶命する間際に仲間を呼んだのだろう。 だが、これが最後の部隊だ。 悠斗は、ゆっくり朱音を横にし、立ち上がった。

 

「…………塵にしてやる」

 

皮肉と言うべきか、この状況で悠斗の力が覚醒したのだ。

 

「……降臨せよ、黄龍、麒麟、朱雀、青龍、白虎、玄武……」

 

悠斗は、手持ちの眷獣を全て召喚させた。

ここからは、まさに蹂躙と呼ぶものだった。――――敵は躊躇なく殺す。 慈悲を与えるなどはもっての他だった。 死が確認できない場合は、そこから被せるように攻撃を下す。 悠斗の服は、返り血で深紅に染まっていた。

だが、悠斗の怒りは収まらず、攻撃を繰り返した。 砂煙が晴れ周りを見渡すと、地面はクレーター、遠くの山が抉れていた。 そう、辺り一面焦土と化した。

悠斗はこの日に、大切な人たちを失ったのだ――。




悠斗君の過去を書いてみました。ええ、『異能狩り』は完全に消えましたね。つーか、最後のはオーバーキルだね(笑)
被害はもっと凄まじいはず。まあ凄いんです……。まあ、まだ完全に制御出来てない部分もあるんですが。

悠斗君の眷獣は、肉親に託された奴らだったんです!てか、悠斗君には姉がいたんす。

戦闘諸々は、え、ちょ。ってあったらごめんなさいm(__)m
まああれです。ご都合主義なのです。何て便利な言葉だ(笑)

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