……他のも更新しなければ(震え声)
では、投稿です。
本編をどうぞ。
悠斗が旅に出てから数年が経過した。 その間、悠斗は一度だけ絃神島を訪れた事があったのだ。 そんな中、仙都木阿夜による闇誓書事件に巻き込まれ、島の異能関係は消え去り、対抗できる人物が、悠斗と那月だけと言う事態に陥ってしまったのだ。
悠斗と那月は島の崩壊を防ぐ為、共闘して仙都木阿夜を戦闘不能にさせ、監獄結界へ収容した。 その後は、那月は監獄結界の看守になり、悠斗は那月と約束を交わし、再び旅に出た。
だが、悠斗が絃神島の外に出ると、敵に狙われる事が多くなったのだ。 二つ名が各地に知れ渡った事で、賞金稼ぎ等に命を狙われる事になってしまったのだ。
「ッチ」
悠斗は舌打ちをした。 奇襲した敵の数は異常だ。 青龍の
悠斗の予想では、襲撃者の正体は
「――降臨せよ、玄武!」
悠斗は、周囲10kmを無に還す事に決めた。 この方法が手っ取り早いのだ。 だが、その代償として、周囲は荒地に様変わりをしてしまう。
「――
玄武が咆哮し周囲を無に還した。 なので、残るのは地だけだ。 周囲の植物、遮蔽物などは完全に消滅した。
隠れて死人を操っていた
「……終わったか」
悠斗は、眷獣を異世界に還した。
今週で襲われた回数は、これで三回目。 月で換算すると約十五人。 体力は問題なくとも、精神はそうではないのだ。 特に心が、だ。
また、悠斗は旅の仲間ができた事があったが、裏切られ奇襲を受けた。 それも、信用していた仲間にだ。 悠斗は、人を信じる事もできなくなっていたのだ。
『……主、大丈夫か?』
朱雀は、悠斗を心配するように声をかけてくる。 悠斗の心は暴風のように荒れているのだ。 心に住まう眷獣たちには、それが良く解ってしまう。
悠斗は苦笑した。
「……ああ、何とかな」
そう言って悠斗は、ローブ羽織りフードで顔を隠した。 だが、その顔には疲労が色濃く滲み出ていた。
そして、その背中はとても寂しそうに見えた。
それからも、悠斗は命を狙われ続けた。 既に、心の均衡は崩れる寸前だ。――悠斗は心の均衡を保つ為、強者と戦闘を繰り広げた。
そして現在、悠斗は洞窟に隠れ傷の手当てをしていた。
『悠斗、お前は戦いすぎだ。 少しは休んだらどうだ』
黄龍にそう言われるが、悠斗は口を閉ざしたままだ。
「……何処でだ?」
僅かな沈黙の後に、悠斗はそう口にした。
『空隙の魔女の本拠地、
絃神島。 太平洋に浮かぶ人口島。 南宮那月が管轄するこの島に居れば、真祖や襲撃者は、悠斗に手を出す事は不可能な地だ。
『学生生活ができるとも、空隙の魔女は言っていたな』
黄龍がそう言った。
那月は悠斗に、学生生活を送って見ないかと提案した事があるのだ。
『それに悠斗、あの島では面白い事が起こってる筈だ。――――
麒麟の言葉に、悠斗は眉を上げた。
麒麟が言うには、絃神島には、様々な魔力が渦巻いてるらしい。 その魔力は、十二番目とほぼ同じだと言う事だ。 麒麟は言葉を続ける。
『悠斗は気づいているかもしれないが、暁古城、彼は十二番目の血の従者だ。――まだ借りだがな、十二番目の魔力の波動が感じられない』
――血の従者。 血の従者は、主人となった吸血鬼の能力を色濃く受け継ぐ。 相性によっては、主人となった吸血鬼をも凌ぐ力もあるとすら言われてるのだ。 もし、十二番目が本当の第四真祖だとすると、暁古城は、第四真祖の血の従者と言う事になる。
『どうだ? 興味はないか?』
「……興味が無いと言えば嘘になる」
第四真祖を覚醒させる為には、
宴の資格を持つ奴を、選帝者と呼ぶ。 選帝者の資格は、一定規模の領地を持っている事だ。
そこには、獅子王機関も携わっているらしい。
「だが、
『奴らとは殺り合ったからな』
くっくっくと麒麟は笑った。
麒麟の言う通り、悠斗は、獅子王機関の三聖と殺し合いをした仲なのだ。
「死にそうになったけどな。 特に、
『朱雀が居なければ死んでいたな』
「だろうな」
暫しの沈黙。
『先程の件はどうするんだ?』
「……絃神島か……。 那月が居るし、行ってみるか」
悠斗が心を開いてる人物は、この世で一人しかいない。
南宮那月。――――空隙の魔女だけだ。
悠斗は絃神島へ向かう為、歩き出したのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
現在悠斗は、絃神島の
絃神島の地を踏んだ悠斗は、顎に右手を当てていた。
「情報が欲しいな。 いや、まずはコーヒーが飲みたいわ」
と言う事なので、悠斗は喫茶店を目指して歩き出した。
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数分歩いた所で、港湾地区で喫茶店を発見し内部へ足を踏み入れた。 店員に『何名様ですか?』と聞かれ、一人と答えてから窓際の席に腰を下ろした。 悠斗はコーヒーを注文し、一息吐いた。
注文したコーヒーを飲んでいたら、ある会話が聞こえてくる。
『戦王領域、カルアナ伯爵領主――フリスト・カルアナの娘。 ヴェルディアナです』
悠斗は眉を寄せた。
「カルアナだと。……そうか。 遺跡で絶命したリアナ・カルアナの妹だな。 だが、戦王領域の貴族が何で極東の魔族特区に?
悠斗は耳を澄ませた。
これは、かなり有益な情報が入手できると思ったからだ。――――
『ペンプトス……五番目の
『ふんふー……王、自らが襲って来たという事は、あなたが持っている鍵は、本物だと信じていいのかしら?』
――――鍵。
ヴィルディアナがコートの懐から取り出したのは、粗末な布に包まれた金属製の棒だ。 直径は三、四センチ程。 長さは五十センチ弱。 片方の先端を尖らせた形は、小型の杭を連想させる。 銀色に輝く表面には、細かな魔術文字が刻まれていた。
これは天部の遺産。――魔力を無効化し、ありとあらゆる結界を切り裂く真祖殺しの聖槍だ。
起動するには純度の高い大量の霊力が必要だ。 また、これを扱えるのはメトセラの末裔のみ。 天部の因子を受け継いだ霊媒が必要になるのだ。 貴族が持っていても、ただの金属棒だ。
だが、悠斗は神々に恩恵を与えられた一族。 この法則には当て嵌まらないのだ。 結論を言うと、悠斗はこの槍を使用する事が可能だ。
『昔の凪沙ちゃんなら、たしかにそれを使えたかもね。 でも、駄目なの』
『駄目、とは?』
『凪沙ちゃんは、ゴゾ島の事件で精神に大きな負担を負って、力を無くしてしてしまったの。 今でも、入退院を繰り返してるわ』
凪沙とは、悠斗が守護した暁兄妹の妹だろう。
『妖精の柩を開ける一番確実な方法は、獅子王機関を頼る事でしょうね。 彼らは以前から、メトセラの末裔を集めて育てている噂は有名だもの。 だからこそ、獅子王機関が宴の
悠斗は頷いた。
獅子王機関が携わるのは不思議と感じていたが、メセトラの末裔、真祖を殺せる者が存在するなら合点がいくのだ。
『我々は、眠り姫を目覚めさせるつもりはありません』
――眠り姫。 十二番目の
彼女は、妖精の柩と呼ばれる氷塊の中で封印されている。 ヴェルディアナは、彼女を目覚めさせる為に、多くの犠牲を払って、極東の魔族特区を訪れたのだ。
だが、交渉は決裂。 ヴィルディアナは乱暴に椅子を蹴って立ち上がり、この場から去ろうとしたが、何かの箱を渡されていた。
ヴィルディアナが箱を開封すると、中に入っていたのは、黒光する金属製の狩猟器具。 そう、クロスボウだ。 そのクロスボウは、ヴィルディアナの持っている金属杭が嵌る大きさだ。 また、内部に凄まじい霊力が充填された筒も同封されていたのだ。
あれだけの霊力があれば、柩の鍵を起動させる事が可能だ。 ヴィルディアナでも、十二番目の封印を解く事が可能なのだ。
『わたしたちは、眠り姫を起こすつもりはないの。 獅子王機関や、他の素体たちを敵に回すのも面倒だしね』
悠斗は、なるほど。と相槌を打った。
おそらく、ヴィルディアナを利用する気なのだろう。――眠り姫を起こした張本人として。 たしかに、今の悠斗ならば、ヴィルディアナを利用するだろう。 悠斗は、目的の為なら使える物は使うのだ。 それが――人間でも、だ。
そして話が終わり、その者たちは退席して行った。
「……アヴローラ・フロレスティーナに関わる情報が手に入るとはなぁ」
悠斗はコーヒーを一口飲み、予想外だわ。と呟く。
おそらくヴィルディアナは、これからMARを襲撃に向かうだろう。――アヴローラの眠りを覚ましに。
『悠斗。 お前は、宴に介入するのか?』
「さあな」
悠斗は冷めてしまったコーヒーを全て飲み、会計をしてから喫茶店を後にしたのだった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
悠斗は無意識に足をMARに向けていた。 そう、アヴローラが気になったのだ。
その時だった。 MARが爆発したのだ。 ヴィルディアナがアヴローラを眠りから覚ます為、杭を放ったのだろう。
「……あの、アホ吸血鬼! 民間人が隣の棟にいるだろうが!」
悠斗は悪態を吐き、病練棟へ向かった。
病練棟へ到着すると、悠斗は眷獣を召喚させる。
「――降臨せよ、朱雀!」
悠斗は、病練棟を守護するように命じ、隣接するMAR棟へ走り出した。 そこは氷で覆われていて、分厚い霜こびりついていた。 花弁のような結晶が、霧に覆われた大気に入り混じっている。 地面に生えた無数の氷柱が、茨のように鋭く尖って近づく者を拒んでいた。 悠斗は、内部を見て声を上げた。
「お前は変態か!?」
そう、アヴローラの姿を見て、――――少年が鼻血を噴き出していたのだ。
声に反応した少年が、
「違うわ! こいつが勝手に寄ってくるからだ!?」
「その鼻血はなんだよ!」
「こ、これは、不可抗力だ!」
「何のだよ!」
何とも、緊張感が無いやり取りだった。
すると、アヴローラは彼に顔を寄せて唇の端から牙を覗かせた。 その牙は、少年の肩に埋まっていった。 そう、アヴローラは少年の血を吸ったのだ。
だが、次の瞬間、彼女は怯えたように後ずさった。 血を舐め啜り、禍々しく笑っていた先程の彼女とは別人だ。
「(俺が出会った時とは態度が違う。……記憶喪失か?)」
悠斗はそう結論づけた。
どうやら、無事に十二番目は目を覚ましたようだった。
「お前、名前は?」
「あ、暁。
「神代悠斗だ。――逃げるぞ。 警備ポッドが来る」
悠斗は懐からローブを取り出し、古城へ放り投げた。 何故か解らないが、悠斗は彼女を放って置けなくなったのだ。
「これを着せてやれ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
そう言いながら、古城はアヴローラにローブを着せた。
此れならば、外に出ても問題ないだろう。 不格好になってしまうのは確かだが。
その時、ブルネットの髪を靡かせ、黒いクロスボウを携えた女が、悠斗の前に立ち塞がった。
但し、クロスボウには矢は装填されていない。 単なる威嚇である。
「――動かないで!」
「……退け」
悠斗の威圧だけで、ヴィルディアナは委縮した。
「お前は誰だ!」
今の彼女は、簡単に道を開けてくれそうにはなかった。
だが、次の悠斗の言葉で、ヴィルディアナは目を見開く。
「神代悠斗。――紅蓮の織天使だ」
「……そう。――暁古城。 彼と一緒に、その子を守って!」
ヴィルディアナは、古城に矢が装填されてないクロスボウを手渡した。
だが、古城は困惑するだけだ。 唐突に、その子を守って。と言われたら仕方ないが。
「この子を宴に巻き込むな」
「な、何故それを!」
ヴィルディアナは目を丸くした。
「お前に教える義理はない。 ヴィルディアナ・カルアナ、お前との話は後だな」
悠斗は、後方に目をやった。
「警備ポッドはお前が何とかするんだな。――行くぞ、暁。 話はそれからだ」
「お、おう」
この一件が、暁古城と神代悠斗の出会いだった――。
遂に、悠斗君と古城君が邂逅しましたね。
ちなみに、悠斗君は那月ちゃんにしか心を開いてませんよ(現時点で)那月ちゃん以外には、常に警戒してる状況ですね。
悠斗君は、プラハ国立劇場占拠事件で、黒死皇派を潰しましたよ。まあでも、トップを逃がしてしまったのですが……。
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!
追記。
闇誓書事件の時系列等は改変してますね(多分ですが……)
オリキャラ設定もズレが出てきたので、この章が終わってから修正しますm(__)m