ストライク・ザ・ブラッド ~紅蓮の熾天使~   作:舞翼

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連日投稿やで。
この小説書くのに嵌ってしまった(笑)
多分、矛盾が出てるかもしれん。そこはゴリ押ししちゃいます( ̄^ ̄)ゞ
それでは、本編をどうぞ。


戦王の使者
戦王の使者Ⅰ


「糞っ、糞っ、糞っ、糞っ、やってくれたな、人間ども!」

 

掠れた声で口汚く罵りながら、男は深夜の街を疾走する。

銃撃で受けた傷がズキズキと疼いた。

呪力を込めた武器による攻撃は、獣人の再生能力を阻害し、苦痛を長引かせる。

男はある組織の者であり、今夜武器の闇取り引きをする手筈だったのだ。

だが、何処からか情報が漏れ、特区警備隊(アイランド・ガード)に突入され、取引は中止。

仲間も弾丸に撃たれ、負傷してしまった。

 

「許さんぞ、奴ら……必ず後悔させてやる」

 

炎に包まれている背後の倉庫を、男は憎悪の眼差しで睨みつけた。

東京都絃神島――太平洋上に浮かぶ巨大な人工島(ギガフロート)。 人間と魔族が共存する“魔族特区”である。

男は欧州、“戦王領域”の出身であり、絃神島の者ではない。

そして男は、黒死皇派のテロリストである。

男の手の中には起爆装置のスイッチが握られていた。

男が前もって仕掛けていた爆弾は二つあり、最初の一つは倉庫で使ってしまったが、もう一つ、港湾地区の地下水路に仕掛けたものが残っている。

負傷者の救援の為に呼ばれた特区警備隊(アイランド・ガード)の増援部隊がそのあたりを通過しているだろう。

この爆発で、彼らを殲滅する算段だ。

 

「同志の仇だ。思いしれ――ッ!」

 

男はスイッチを入れたが、何の反応も無かった。

この現象に男は呆然とする。

すると、男の背後から気だるげな声が聞こえてきた。

その声の主は、――神代悠斗だった。

 

「ったく。 単位をくれるからって、攻魔師の仕事をさせるなんて、那月ちゃんも人が悪いな。 あ、そうそう。 地下水路に設置した爆弾は、俺の浄化の焔で綺麗さっぱり消し去ったぞ」

 

「き、貴様は、誰だ!?」

 

「俺か? 俺はここの学生だ。 吸血鬼だけど。 まあ、大人しく捕まってくれ。――降臨せよ。 朱雀!」

 

悠斗の隣に、神々しい朱鳥が召喚された。

 

「吸血鬼であり、神々の眷獣を使役する……。 ま、まさか、貴様は!?」

 

悠斗を見て、男は驚愕した。

 

「はいはい、その反応はもう飽きた。――やれ、朱雀」

 

清めの焔を吐き、獣人の行動を停止させてから、悠斗は走り出しながら拳を作り、獣人の腹部を強打した。

これを喰らい、獣人は膝を崩して前屈みに倒れていく。

 

「終わったぞ、那月ちゃん」

 

ビルの屋上、給水路の上に漆黒のドレスを身に纏っている少女が映った。

 

「教師をちゃんづけで呼ぶな!」

 

那月はそう言うと、空間魔術で悠斗の前に降り立った。

悠斗は奪ったスイッチを見ながら、

 

「しっかし、今どき暗号化もされていないアナログ無線式の起爆装置とか。 こいつらアホなのか。 てか、金がなかったのか。 それとも、無能」

 

「全部だろ。――尋問等は特区警備隊(アイランド・ガード)に任せるぞ。 私は、明日の授業の支度があるからな」

 

「深夜に仕事の手伝したから、明日遅刻しそうだなー。 那月先生は許してくれるはずだー」

 

悠斗は棒読みでこう言ったが、那月は、ふん、と鼻を鳴らせた。

 

「お前には、暁妹がいるだろ。 遅刻するはずがない」

 

「も、もしかして、その話って結構有名だったりします……?」

 

「有名も何も、ほとんどの生徒と教師が知ってることだ」

 

悠斗は驚愕した。

まさか、ここまで広まっているとは思わなかったからだ。

 

「さて、帰るぞ。 明日は遅刻するなよ」

 

「……はい、わかりました」

 

悠斗はこう返事をし、帰路に着いた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

九月の半ばの水曜日。

時刻は午前六時三十分前後。

その朝は珍しく、悠斗は早く眼を覚ますことが出来た。

悠斗は伸びをしてから、上体を起こした。

 

「確か、今日は古城の家で朝食を摂るんだっけ」

 

この予定が決まったのは、昨日の放課後だった。

凪沙と一緒に下校していたら、凪沙がこう言ったのだ。

 

『悠君。 明日凪沙は、悠君のお家に行くことができないから、悠君は一人で起きる事になちゃうけど大丈夫。 ご飯は凪沙のお家で用意しとくから。 でもでも、悠君起きられる? 無理そうなら凪沙が無理しても――』

 

『だ、大丈夫だ。 だから心配するな』

 

と、言うことがあったのだ。

悠斗は布団を剥いでから、ベットからから降り立ち、支度をする為洗面所へと向かった。

制服に着替えから玄関へ向かい、靴を履き、外に出てから鍵をかけた。

悠斗は、七〇四号室へ向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「古城、お邪魔してるぞ」

 

「おう、悠斗か」

 

悠斗と古城は片手を上げ、朝の挨拶をする。

悠斗は古城の隣の椅子へ腰をかける。

テーブルの上には、凪沙手製のベーグルサンドとイタリアンサンドが四人分用意されていた。

 

「ん、四人? 一つ多くないか?」

 

「あー、それ、姫柊の分だな」

 

雪菜は、古城と朝食を摂るようになっていたらしい。

 

「まあ、いつもは二人分だけなんだがな。 凪沙はメシを作ったら、悠斗を起こしに出ていくからな」

 

そう。 悠斗はほぼ毎日、凪沙と朝食を摂っている。

 

「あー、なるほど」

 

悠斗と古城が話していたら、何やら楽しげな声が聞こえてきた。

声の発生源は、凪沙の部屋からだ。

だが、古城は立ち上がり、凪沙の部屋に向かって行く。

 

「待て、何かやってる途中だったらどうすんだ」

 

悠斗は嫌な予感を覚えながら、古城の後を追った。

 

「凪沙。 悪ィ、先に朝メシ喰わせてくれ。 コーヒー飲むなら、お前の分も淹れるけ……」

 

欠伸混じりの声でそう言いながら、古城は妹の部屋のドアを開けた。

それまで絶え間なく続いていた凪沙たちの話声が、唐突に切れた。

そこには、長い黒髪を結い上げて、ショートカット風に見えるようにピンで止めている。

膝の上に抱いているのは、チアリーダーのユニフォームだ。

凪沙は中等部のチアリーディング部員なのである。

 

部屋の中にはもう一人居た。

獅子王機関の剣巫であり、古城の監視者である、姫柊雪菜だった。

そして、二人とも()()姿だったのだ。

 

「ど、どうして、姫柊が……ここに?」

 

掠れた声で古城が雪菜を見、悠斗は凪沙と眼が合ってしまった。

凪沙は両腕で胸を隠しながら、完熟トマトのように顔を真っ赤に染めていく。

悠斗は、ああ、俺死ぬのかな、と思いながら天井を見上げた。

 

「「……きゃああぁぁああ――!」」

 

と言う、悲鳴と同時に、古城は雪菜の回し蹴りを喰らいリビングの端まで吹き飛ばされ、悠斗は凪沙のタックルを喰らい、後方へ吹き飛ばされた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「「すんませんでした――ッ!」」

 

悠斗と古城は、雪菜と凪沙の前で絶賛土下座中である。

 

「大丈夫です。 先輩()()がいやらしいのは最初からわかってたことですし、警戒を怠った私の責任です」

 

と、溜息混じりの雪菜の声が聞こえてきた。

その一方で、

 

「……悠君に見られた。 凪沙、もうお嫁さんに行けないよ」

 

悠斗は顔を上げ、

 

「ちょっと待て、なんでそうなる。 まあ、その時は俺が――」

 

「俺が?」

 

凪沙がきょとんとして聞いてきたが、悠斗は頭を振り、

 

「な、なんでもないぞ。 そ、それより、メシを食おうぜ」

 

古城も顔を上げ、

 

「そ、そうだな。 時間もあんまないし」

 

世界最強の吸血鬼(暁古城)紅蓮の熾天使(神代悠斗)の長い一日は、そんなふうにして始まった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「あの、先輩……鼻血……もう本当に大丈夫ですか?」

 

通学中のモノレールの中で、雪菜が古城を見上げて聞いてくる。

 

「まあ、なんとか。 オレこそ悪かったな。 覗くつもりはなかったんだけど」

 

未だにむず痒さの残る鼻を押さえて、古城は謝罪する。

雪菜に回し蹴りで折られた鼻骨は吸血鬼の回復力で治ったが、鼻血が止まるまでは暫くかかったのだ。

 

「いえ……そのことは、もう怒っていませんから」

 

私も手加減せずに蹴ってしまいましたし、と溜息混じりで雪菜が言った。

羞恥と諦めが混じった口調だったが、怒りの気配はもうなかった。

さて、此方は何事もなく和解しそうだが、問題は此方にあった。

 

「……悠君に見られた、悠君に見られた。 もうお嫁にいけないよ」

 

「いや、なんでそうなる。 てか、今朝もそう言ってたな。――悪かった。 なんでも一つだけ言う事を聞くから許してくれ」

 

悠斗は自分の言ったことを思い出し、あっ、と声を上げた。

 

「……なんでも?」

 

「いや、今のは言葉の綾で」

 

凪沙の子猫のような姿を見て、悠斗は折れた。

 

「……おう、なんでもだ」

 

凪沙は眼を輝かせ、

 

「じゃあ、凪沙は悠君とデートしたい」

 

「……え、まじで。 何か違うのにしないか?」

 

これがバレたら、――シスコンの兄に殺される。

凪沙は頬をぷくっと膨らませた。

 

「着・替・え」

 

「……あい、了解しました。 凪沙さん」

 

凪沙は悠斗の回答に、うんうん、と頷いた。

悠斗も、まあいいか。と肩を落とした。

 

「てか、なんでチアの裁縫なんてしてたんだ」

 

凪沙は笑顔で笑い、

 

「雪菜ちゃんのチアユニフォームだよ。 悠君忘れたの?今月に球技大会があるの」

 

凪沙が首を傾げて聞いてくる。

 

「あー、確かそうだったな。 まあ、俺は学校の行事には関わった事無かったし。 あの時は、一匹狼だったしな」

 

凪沙は口許に手を当て、クスクス笑った。

 

「そうだね。 あの時の悠君は、誰も近寄るなオーラ全開だったからね」

 

「凪沙はそれを破壊したんだけどな。 で、その球技大会と、姫柊のチアユニフォームはどういう関係があったんだ? 凪沙は、チア部だからわかるが」

 

古城も、この会話に割り込んできた。

 

「もしかして、姫柊が着るのか?」

 

古城がそう言うと、雪菜は気鬱そうな表情を浮かべた。

 

「そんなつもりはなかったんですけど、どうしても断り切れなくて……」

 

雪菜は、重々しげに深々と溜息を吐いた。

そうそう、と対照的に凪沙が笑い、

 

「クラスの男子全員が、土下座して雪菜ちゃんに頼んだの。 姫がチアの衣装で応援してくれるなら家臣一同なんでもする、死に物狂いで優勝目指して頑張るって」

 

「「男子全員、土下座?」」

 

古城は凪沙の説明に唖然とし、悠斗は絶句していた。

 

「普通ならそんなのドン引きなんだけど、なにしろほら、相手が雪菜ちゃんだし、男子がそう言いたくなる気持ちもわかるから、女子も協力してあげようって話になったんだ」

 

「なんだそりゃ、姫柊のクラスの男子はアホなのか?」

 

「……さすが姫、クラスを掌握してるな」

 

「か、神代先輩、やめてください」

 

雪菜は、おどおどしながら反論する。

 

「それで、おまえも一緒になってチアやるのか」

 

「へっへー、いいでしょ。 あ、もしかして古城君と悠君も応援して欲しかった?」

 

「いや、それは別にどうでもいい」

 

古城は無頓着に答えて首を振る。

凪沙の表情が不機嫌なものへと変化して、

 

「えー、どうして!? 嬉しくないの!?」

 

「たかが学校の球技大会で、そんな気合い入れた恰好で妹に応援されたら恥ずかしいっての」

 

それを横で聞いていた雪菜は、

 

「は、恥ずかしい……恰好……」

 

と言い、憂鬱そうに俯いてしまった。

生真面目な雪菜にとって、チアガールの衣装を着るのは、やはりハードルが高いものなのだろう。

 

「てか、俺は球技大会には出たくねぇな。 屋上で寝てたい」

 

「それはダメ。 凪沙、悠君が出る試合も楽しみにしてるんだから」

 

「いや、でもなあ」

 

「……悠君」

 

凪沙に真剣に顔を見られた悠斗は、

 

「……あい、わかりました。 ちゃんと出場します」

 

「うんうん、よろしい」

 

これを見て、古城と雪菜はこう思ったのだった。

この少年が本当に、真祖を超えるかもしれない紅蓮の熾天使なのかと。

 

モノレールが目的の駅へと到着したのはその直後だった。

車両を下りて、いつもと同じ改札へと向かう。――いつも通りの朝の光景。

モノレールの車窓から見える絃神港に、見慣れない豪華客船が一隻停泊してたことに、悠斗と古城は気付いていなかった。




悠君は、凪沙に尻に敷かれてますね(笑)
後、凪沙は、今日だけ自宅でメシを食べると古城に伝えてます(^O^)

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