今回は日常編ですね。
では、投稿です。
本編をどうぞ。
繋がる想い
現在悠斗は、ロビーの玄関口で
何でも、凪沙が買いたい物があるらしく、隣街のショッピングモールで買い物と言う事になったのだ。
まあ、モノレールで二駅程なので、悠斗の服装はラフな恰好だ。 黒のVネックに、黒の短パン。 俗に言う、真っ黒装備である。
「……これってデートか?」
悠斗がそう呟く。
お互いの気持ちが通じ合い、男女が一緒に出掛ける。 何処からどう見てもデートだった。
その時、ロビーに備え付けられたエレベーターのドアが開き、凪沙が姿を現した。
服装は、グレー色のサマーワンピースであり、肩にかけるようにブラウン色のショルダーバックが、長い黒髪は結い上げるのではなくサイドポニーだ。
いつもは活発的な雰囲気であるが、今日は大人っぽさを醸し出してる感じだ。 エレベーターを降りた凪沙は、周りを見回し、ロビーの玄関付近に立つ悠斗を見て、可愛い笑みを浮かべながら歩み寄る。
「悠君。 お待たせ」
「いや、待ってないぞ」
悠斗は、デートでお馴染の台詞を言った。
クサイ台詞であるが、まあ問題はないだろう。
「かなり似合ってるよ。 可愛いし、大人っぽい」
若干、化粧も施されているので、大人っぽさを際立たせている。
十人中、九人は見惚れる容姿だ。
また、凪沙はまだ中学生だ。 高校生になれば幼さは無くなり、かなりの美人になるだろう。
「ふふ、ありがとう。 悠君は、いつのもように真っ黒だね」
悠斗は、黒い服を好むのだ。
なので、真っ黒装備になるのも必然とも言えた。
「ま、まあな。 い、行くか」
「りょうかい」
ロビーを出て、悠斗と凪沙は歩道を歩きモノレールの改札へ向かう。 凪沙はマンションから出てすぐに、悠斗の左腕に抱きついた。
凪沙は中学生とはいえ、女の子特有のものは結構ある方である。
そして、絃神島は常夏だ。 必然的に服装も薄着になる訳なので、悠斗には、それがほぼ直に当たるのだ。 悠斗の理性はガリガリ削られていくが、悠斗の鋼の精神、某アニメで言う理性の化け物で、何とか踏み止まる。
だが、反動は大きそうだ。
駅に到着し、改札にICカードを翳して改札を潜る。
数分後モノレールが到着し、自動ドアが開き乗車する。 乗車すると、窓際の席が空いていたので、悠斗は凪沙はそこへ腰を下ろした。
凪沙は座ってから、悠斗の右肩に頭を乗せた。 誰もが羨む光景だ。
「悠君とデートするのは、三回目だっけ?」
本来なら、二桁くらいになるはずなのだが、悠斗と凪沙は事件等に巻き込まれていたので、時間が取れなかったのだ。
闇誓書事件や、錬金術師との戦闘、監獄結界での出来事などだ。
「まあそうだな。 でも、古城たちと買い物したよな?」
「あれは、デートに入るか微妙な所かな」
まあ確かに。 あの時は、雪菜に必要な物を購入しに行っただけだ。
デートに入るかは、微妙な所だ。
話していたら、モノレールが最寄り駅に到着した。 悠斗と凪沙は立ち上がり、手を繋いでからモノレールから下車する。
それから改札出てショッピングモールへ向う。 その間二人の手は、離れないように優しく握られていた。
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二重自動ドアを潜り、ショッピングモールの内部に入ると、涼しい冷気が体の熱りを引いてくれる。
ショッピングモール内部は、いつもに比べて多くの人で賑わっていた。
「何か、人多いよな」
「今日は、日曜日だからじゃないかな」
そう、今日は日曜日であり、仕事や学校が休みである。
家族連れや、学生が多いのにも納得だ。
「最初は何処行くか?」
「んとね、あそこのお店に行こう」
凪沙が指差し店は、ランジェリーショップである。
それを見た悠斗は、顔を引き攣らせた。
「な、凪沙さん。 ま、まさかと思いますが……」
悠斗の声には、若干だが震えが混じっていた。
凪沙は笑顔で頷き、
「もちろん。 悠君も選んでね。 ちゃんと着るから」
悠斗は、些細な反論を試みた。 あの店に入ると、悠斗は大切な何かを失う気がしたからだ。
前にもこんな事があったような、デジャブと言うやつだろうか?
「……い、いやー。 あそこはダメと言いますか……女の子しか入れないと言いますか……」
「……だ、ダメかな」
凪沙に、上目遣いで見られた悠斗は、うっ。と言葉を詰まらせた。
――完全に、悠斗の負けである。
「……わ、わかった。 入る、入るとも……うん、頑張る。 俺頑張るよ……」
悠斗は、僅かに自暴自棄になったのだった。
これから悠斗は、大事な何かを失うのだった。
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ランジェリーショップ前に到着し、悠斗は意を決して内部に足を踏み込んだ。
内部は、女性の下着がかなり陳列されている。
ランジェリーショップには、女性の店員しか居ない為、悠斗にとってはかなり視線が痛い。
その証拠と言っては何だが、悠斗の額と両手からは冷汗が浮かぶ。
「悠君悠君。 これどうかな?」
凪沙が悠斗に見せたのは、オレンジ色を強調した下着だった。
――だが悠斗は、
「……い、いいんじゃないか……」
棒読みでこう答えるしか出来なかった。
今の悠斗は、早くこの場から脱出したい思いが強い。
「もー、ちゃんと見て意見を言わないと」
最早これは、公開処刑に近いのだ。 まだ、
――――悠斗は腹を決めてから、周りの視線をシャットアウトした。
既に何かしらを失っているのだ。 ならば、堂々とした方がマシだ。
「……うーん。 落ち着いた色の方が良いような気がする……と思う」
「落ち着いた色かぁ」
考え込む凪沙。
「白でいいんじゃないか。 ちょっと着飾ってピンクとか?」
悠斗はこの時、やっべ、死にたい。とも思っていた。 紅蓮の織天使の名は、形無しでもある。
悠斗は平静を保ってるようにも見えるが、内心では一杯一杯なのだ。
「……うん、悠君が選んだ色にするよ」
凪沙は、悠斗が選んだ色の下着を持って会計に向かった。
悠斗は一足先に店を出て、それから盛大に息を吐いた。
「……何か、どっと疲れたわ」
悠斗は肩を落とした。
良い意味で言うと、人生の中で貴重な体験になった。と言う事だろうか。
「悠君。お待たせー」
どうやら、会計が終わったらしい。
右手には、店特有の袋が下げられている。
「悠君のお陰でいい買い物ができました。 ありがとう」
そう言って、凪沙は笑みを浮かべた。
悠斗は凪沙の笑顔を見ると、ほぼ大抵の事は許してしまう。
「気にするな。 俺も貴重な体験ができたしな」
「そっか。 今度は、悠君の番かな」
悠斗と凪沙は、近場にある案内板を見る。
悠斗の目に止まった店は、最近できたばかりの組紐とミサンガが売っている店だ。
「へぇ、組紐とミサンガね」
「珍しいね。 絃神島にこんなお店があるなんて」
「確かに。 ま、行ってみるか」
「りょうかい」
悠斗と凪沙は、二階にある目的の店へ向かったのだった。
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店に入ると、様々な色の組紐とミサンガが陳列されていた。
店内を見回っていると、髪を結ぶ組紐や、ブレスレッド状の組紐、ミサンガも単色の物から、カラフルの物も置いてある。
「一個ずつ買うか」
悠斗が手に取ったのは、赤、青、水色、ピンク、黄色、黄緑、紫、オレンジ、白と、カラフルなミサンガと、ブレスレッド状の組紐だ。
ちなみに、色はオレンジだ。
「じゃあ、凪沙はこれかな」
対して凪沙は、悠斗と同じカラフルなミサンガと、髪を結い上げるのに丁度いい組紐だ。
ちなみに、凪沙は赤色だ。
「組紐にことわざがあるんだっけ?」
悠斗は思考を回した。
「ええと、確か。 『よりあつまって形を作り、捻じれて絡まって、時には戻って、途切れ、また繋がり』だっけか。 旅の途中で聞いた話だから、正確には解らんけど」
「何か、運命の糸みたいだね」
「具体例としてはそんな感じか? てか、難しいことわざだな」
ともあれ、悠斗と凪沙は、選んだミサンガ、組紐を持って会計をした。
それから近場の長椅子に腰を下ろし、悠斗は、ミサンガと組紐を利き腕に、凪沙も、ミサンガは利き腕に、ヘアゴムを取り組紐につけかえた。
「どうかな?」
「かなり似合ってる。 流石、我が奥さん」
かなり可愛いので、変な虫が寄って来ないか。と、悠斗は心配になってしまった。
まあでも、凪沙は眷獣を使役できるので、心配ないと思うが。
ミサンガを利き腕につけるのは、恋愛。と言う意味らしいが、悠斗と凪沙には必要がないような気もするが。
まあ、他の色の効果があると思うので良しとしよう。
「ま、まだ、奥さんは早いよっ」
「悪い悪い」
凪沙は顔を赤く染め、悠斗は苦笑した。
それから、時間も丁度よくなってきたので、夕食を摂る事にした。 場所は、一階にあるパスタ店だ。
店に入り、店員に『何名様ですか?』と聞かれ、二人と答えてから、悠斗と凪沙は案内された席に着席した。
テーブルに用意してあったメニュー表を開き、注文の品を決める。 注文が決まった所で、ベルを鳴らして店員を呼んだ。
「お決まりでしょうか?」
「えーと。 カルボナーラに、ホットコーヒーで」
「わたしは、ミートソースとオレンジジュースで」
「かしこまりました」
そう言って、店員は厨房へ向かって行った。
悠斗は一息吐き、口を開く。
「それにしても、オレンジジュースか。 お子ちゃまだな、凪沙は」
凪沙は、ムッとした。
「な、凪沙は、お子ちゃまだもんっ。 で、でも、悠君だって。 凪沙と一つしか変わらないよ」
「俺の精神年齢は大人だ。……たぶんだけど」
「た、たぶんなんだ」
楽しく談笑していたら、注文していた料理が届いた。
店員がそれを二人の前に置き、一礼してから戻って行く。 悠斗と凪沙は、いただきます。と、音頭を取ってから、フォークでパスタを巻き口に運ぶ。
人気店もあってか、パスタはかなり美味い。
「美味しいね、ここのパスタ」
「まあ旨いけど。 凪沙の料理の方が、もっと旨いな」
悠斗の正直な感想だ。 悠斗の中では、凪沙が作った料理がダントツで一位だ。
おそらく、一生を通して、勝てる料理は出てこないだろう。
「そ、そうかな」
「そだな。 てか、格が違うし」
「あ、ありがと」
それから食事を続けたが、凪沙がフォークでミートソースを巻き、悠斗の口許へ持っていく。
俗に言う、あーん。というやつだ。
「悠君、口を開けて」
「お、おう」
凪沙にそう言われ、悠斗は口を開けミートソースを一口。
よく噛み飲み込んでから、
「旨さ倍増だな」
「ふふ、上手いんだから」
「事実だからしょうがない。 んじゃ」
悠斗も、フォークでカルボナーラを巻き、凪沙の口許へ。
「凪沙。 あーんだ」
「あーん」
パクリと一口。
凪沙も、よく噛んでから飲み込んだ。
「うん、美味しいよ。 悠君の味がする」
「俺の味ってどんな味だよ。 てか、エロい響きだから止めなさい」
凪沙は今の言葉を思い出し、顔をトマトのように真っ赤にした。
「え、えっと。 今のはね。 悠君のフォークだから……えーと、あの……」
「……凪沙、自爆してるよ。 無理に言わなくていいぞ」
悠斗のせいだと言うのも否めないだが。
だが、あそこで反応してしまうのが、人の性なのだ。
「そ、そうだね」
「ま、食べようぜ」
再び、凪沙と悠斗は食事を再開した。
食事を食べ終わり、会計してから店を出た。 今の時刻は、夜の6:30だ。 ショッピングモールを出て、マンションに着く頃には、丁度いい時間になってるだろう。
まあでも、食べた直後にいきなり動くのは良くないので、近場の長椅子で一休み。
「はあー、今日は楽しかったよ」
「最近は色々な事で忙しかったからな」
悠斗は、椅子に置かれた凪沙の右手の甲に、自身の左手をそっと重ねた。
これからも、ずっと一緒にいられるようにと祈りを込めながら。
「大丈夫。 ずっと一緒だよ」
悠斗の想いは、凪沙にバレてたらしい。
重ねた手が向きを変え、指と指が絡まり、恋人繋ぎになる。
「ああ、ずっと一緒だ」
凪沙と悠斗は見つめ合い、触れ合いだけのキスをした。 唇が触れた後は、抱きしめ合う。
紅蓮の織天使の血の従者と言えど、凪沙の体は華奢だ。 強く抱きしめたら壊れてしまいそうだ。
だからこそ、悠斗は――護ってもあげたいし愛おしくも思う。
数秒抱き合っていた悠斗と凪沙だが、今思うと此処は公共の場なのだ。 なので、温かい視線が凄い。
「やっちまった……。 外では、抑制してたはずなんだなんだけど」
「な、凪沙もだよ」
悠斗と凪沙は苦笑した。
「んじゃ、帰るか。 俺たちの家に」
「そうだね。 帰ったらお洗濯物たたまないと」
「なら、俺が風呂掃除しとくよ」
「うん、よろしくお願いします」
悠斗と凪沙は立ち上がり、ショッピングモールを後にした。
これが、神代悠斗と暁凪沙の休日の光景だ――。
悠君。最後は抑制しようぜ(笑)
後、君の名を。要素をぶっこみましたね。書いてる途中で、ぶっこんじゃおう。と思いまして。
うん、後悔はしてないぞ。
次回は、黒の剣巫に入ります。
ではでは、感想、評価、よろしくお願いします!!