問題児たちが異世界から来るそうですよ?~私は科学者です~ 作:東門
そこは木々に囲まれた古い洋館の前。
何百年もの時間が経過したようなその館の前にひとりの女が立っていた。
「博士!博士いないんですか!?」
意を決したようにそう叫ぶが返事が帰ってくることはない。
しかしその女は家主がいないわけがないことを知っているようで諦めることはない。
「フランケンシュタイン博士!」
「聞こえているよ」
女の後ろに突如として現れた男……博士などと呼ばれるには若すぎる容姿。
死人のような肌と真白い髪、皺のよったシャツに白衣を羽織った少年。
「ッッ!!」
女は突如背後に現れた人物への恐怖に息を飲んで背筋を伸ばした。
「なんだ、なにか用があったんじゃないのかい?」
「……博士、このあいだの論文がですね……」
「そういった話は君に一任するといったはずだ。私はこれでも忙しいんだ」
そう言って女の後ろから少年の気配が消える。
女が振り向くと初めからいなかったかのようにその場から少年の姿が消えていた。
「まったく…いちいち無意味な問答はうんざりだよ」
「…………ァァ」
「メアリか……どうした?」
一瞬のうちに館のなかに戻った少年の前に赤毛の少女が現れる。
その少女は一見普通の少女だが頭部に金属の器具が装着され巨大なメイスを手にしている。
「……ゥゥ」
「これは、手紙?お前が書いたのか?」
少女は否定するように唸り声る。
「だろうな……とにかく読んでみるかな」
興味深そうに手紙を覗く少女に見えるようにして少年は手紙を開いた。
『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むならば、己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの〝箱庭〟に来られたし』
「わっ」
「きゃ!」
「おおー、絶景だなぁ」
「これは……「…ォォ」」
突如として視界が切り替わり遥か上空に博士とメアリ、そしてそれ以外に三人が投げ出された。
眼下には広大な森林と世界の果てを彷彿とさせる断崖絶壁。
見たこともない巨大な天幕に覆われた大都市。
そしてとなりを飛んでいく奇怪な形態の怪鳥。
そこは完全無欠な異世界だった。