問題児たちが異世界から来るそうですよ?~私は科学者です~   作:東門

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第二話

数千メートル上空から湖への落下途中

 

「メアリ…濡れるのはごめんだよ」

 

「ァァ」

 

博士の言葉に肯定するように唸りをあげるメアリはメイスを構える。

博士はメアリの体にしがみつきメアリは戦鎚の先端に魔力を注ぐ。

そして戦鎚の先端から魔力が放出され湖の上空から脱出し地面へ軟着陸した。

ちなみに一緒に落ちていた三人+猫は驚愕の表情を浮かべながら湖に落下した。

 

「……ゥゥ」

 

「えっ、あやうく水没するところだったって?馬鹿な、そのぐらいで私の作った作品が壊れるものか」

 

それを肯定するように唸るメアリの後ろから湖に落ちた三人がぐちぐち文句をいいながら上がってきた。

 

「いやァ実に乱暴な呼び出しだったね。こんな真似をした相手には相応の代償を払ってもらわなければね」

 

「右に同じだクソッタレ、呼び出しといていきなり水中に落とすなんてな。まあ…自分らだけ逃げた奴もいるけどな」

 

「…そうね、女性を放っておいて自分だけ逃げた人がいたわね」

 

「………」

 

「まあそれはともかくだね、ここがどこかということを考えようじゃないか」

 

三人の非難するような視線を受けることに耐え切れず話を変える。

腑に落ちないという顔をしつつも話に乗ってくる。

 

「確かにここ……どこだろう?」

 

「さあな。まあ、世界の果てっぽいのが見えたしどこぞの大亀の背中じゃねえか?」

 

「大亀か、そんな存在がいるならぜひともサンプルを採取したいものだね」

 

そんな話をしつつも、問題児オーラを発する少年が服を絞り終えて確認するように言った。

 

「で、まず間違いないだろうけど一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは〝オマエ〟って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴方は?」

 

「……春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。それで野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜君」

 

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」

 

「ちなみに私はヴィクター。ヴィクター・フランケンシュタインだ。こっちはメアリ」

 

「……ゥゥ」

 

「「「ヴィクター・フランケンシュタイン?」」」

 

少女二人は単にその名に疑問を持っただけだったが、十六夜はその名とメアリという少女からなにか理解したというような表情を見せた。

 

 

心からケラケラ笑う逆廻十六夜。

傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。

我関せず無関心を装う春日部耀。

そして興味深そうに周囲を観察するシュタインとメアリ。

 

 

そんな彼らを物陰から見ていたウサ耳少女はというと。

 

(うわぁ……なんか問題児様ばかりみたいですねえ……)

 

 

召喚した身で文句など言えはしないが心の中でこれからのことを考えため息をつくのだった。

 

 

適当に会話する四人だったが十六夜はいい加減苛立ったように言う。

 

「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。

この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「……この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」

 

「錯乱されても面倒だからこれぐらいでちょうどいいさ」

 

 

(うう、もっとパニックになってくれたら出やすかったのですが……仕方がありません)

 

 

ウサみみが覚悟を決めた瞬間

 

 

「―――仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話聞くか?」

 

 

物陰に隠れていた黒ウサギは心臓を掴まれたようなに飛び跳ねた。

 

 

三人の視線が物陰に隠れていた黒ウサギの方へ一斉に向けられる。

 

「なんだ、貴方も気づいていたの?」

 

「当然。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?

そっちの猫を抱いている奴も気づいていたんだろ?」

 

「風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「で、そっちのお前も―――――」

 

「むうっ!ガイガーカウンターに反応があるぞ!?」

 

機械を手に見当違いの方向を向いているシュタインに十六夜の視線が行き、そのまま目をそらす。

 

「……まあそれはともかく、だ」

 

若干、苦笑いになったが十六夜の目は笑っていない。それは他の二人も同じだ。殺気を込めた視線にさらされたその人は、怯えながらも茂みから出てきた。

 

「や、やだなぁ皆々様。そんな狼みたいな顔で睨まれると黒ウサギは死んでしまいます? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵にございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

 

「断る」

 

「却下」

 

「お断りします」

 

「その耳だがね、本物ならサンプルに一本いただきたいのだが?」

 

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪というか最後の方黒ウサギの素敵耳を切断しようなどとなにを考えているのですかー!!」

 

 

火を吹かんばかりに怒りの咆哮をあげるウサギの後ろにいつの間にか耀が忍び寄っている。そして―――

 

「えい」

 

「フギャー!」

 

耀がウサギのウサみみを思いっきり掴んで引っ張った。

 

「ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

 

「好奇心の為せる業」

 

「自由にも程があります!」

 

無論これで終わるほど甘くはない。

 

「へえ? このウサ耳って本物なのか?」

 

「……。じゃあ私も」

 

「よしっ、いけっ!引っこ抜いてしまえ!!」

 

左右から楽しそうな表情で十六夜と飛鳥がウサみみを掴む。

そしてシュタインは「サンプルゲットー!」とばかりに二人の行動に声援を送る。

 

 

「ちょっとそこ!何恐ろしいことを口走っているのですか!あ、ちょ、ちょっと待――!」

 

 

黒ウサギの言葉にならない絶叫は近隣に木霊し、

一人我関せずと周辺の見たことのない花々を摘んでいたメアリは空を見上げ。

 

「……ァァ」

 

平和だ……、というように唸ったのだ。

 

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